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48.プレゼントは…

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「流石にこれ以上は来ないと思うんだけどな」
「あの人たちいい笑い者だもんね」
そのためにギルド前に放置したわけだ
あいつらはガキにやられた汚名を抱えていくことになるだろう

「今日の飯はご馳走してやる」
「え?」
「本当?」
「ああ、お前ら誕生日だろ。その祝いだ」
「そういえば今日だっけ?」
「すっかり忘れてた」
2人は顔を見合わせてそう言った

「シアのおごりで食べるってすっごい贅沢」
「お前らだってそれなりに金あるだろ?」
「それとこれとは別。人のお金で食べるご飯程美味しいものはないもん」
「しかもシアに遠慮は必要ないってわかってるしね」
一応こいつらなりに自分たちが人の数倍食うってことを理解しているらしい

「ま、満足いくまで食え。リトスは俺とゆっくり食おうな」
『しあとたべるー』
リトスは頬ずりしながらそう答えた

立ち並ぶ屋台で何度も立ち止まりながら購入する
俺の分も買ってはいるがこいつらの分に比べればごくわずかだ
二人を見ると、食ったり隠れてマジックバッグに入れたりしながら手元にあるのは一定の量
ある種の離れ技にちょっと驚いた
屋台のかなりの店で買ったから昼飯から晩飯迄食い続けてそうな気もする
ついでに果実水とエールを樽で購入しておいた

「お帰り。昨日に続き今日も大量だな?」
宿屋の主人が2人の抱える食糧を見て目を見開いた
「後で調理場かしてくんね?」
「調理場か?そうだな…昼の客が落ち着いたころなら構わんぞ。呼びに行ってやる」
「助かる」
俺は約束を取り付けて2人の後を追う

シャノンの部屋からテーブルと椅子を持ってきて料理を所狭しと並べる
果実水の樽もついでに出した
「じゃぁ、2人共誕生日おめでとう」
「「ありがとう!」」
果実水で乾杯するなり2人は目の前の料理をほおばり始めた
多分食べてる時が一番幸せそうな顔をしてると思う
その対象が食事以外に向くのはいつなのかちょっと楽しみではあるが

「リトスは何食いたい?」
『んとね、あれ』
指したのは鶏の串
俺はそれを1本取ると串を抜いた

『わーい』
リトスは肉を4本の足で抱え込んでかぶりつく
安定の可愛さだ
何種類か食べて満腹になったリトスはテーブルの上で仰向けに寝転がる

「滅茶苦茶可愛いんだけど」
膨らんだ腹をつつきながらシャノンが笑う

「癒される」
そういえばリトスが来てからシャノンとルークの喧嘩が減った気がする
それまでは2人は自分たちの好き放題の言動が多かったし実際そういう行動を取ってた
でもリトスが来てからはリトスの様子を伺う様になった
俺が寝込んだのも何らかの影響があったのかもしれない
守られてるだけの状況から変わったのは確かだろう
そういう意味でもこの旅は得る物が多いのかもしれないと、何となくそんなことを考えていた

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