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57.ゴミ掃除

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「なんて?」
「ギルドに通達を出したから領主親子とミーコを捕縛して待機してくれってさ。ミーコの実家の方にも手が回るみたいだ」
「は?なんなのよあんた達…」
ミーコが悔しそうな顔で泣き出した

「俺は何度も忠告したぞ?それを無視して付きまとったお前が悪い。あまりにも鬱陶しいからあんたを調べることになったんだからな」
「私を“調べる”ですって?」
「そ。あんたら使用人を奴隷か何かと勘違いしてないか?ちょっと調べただけで驚くほど証拠が出て来たぞ?」
「そんなにひどかったんだ?」
「かなりな。ま、今の生活に戻ることは無理なんじゃねぇの?」
「それならこの町も住みやすくなるね?」
俺達は適当にあしらいながら3人を捕縛する
そのついでにニールの肩口にヒールをかける

「父上が不正をしていたとは…」
尊敬していたらしい父親は不正をしてたのにも気づいていなかったのか?
「自分がどれだけ卑怯なことしてきたかちょっとは身に染みただろ?おまけに自分がどれだけおめでたい頭をしてたのかもな」
「…」
ニールは無言のまま顔を反らした

「ミーコが俺以外の男に抱かれていたとは…俺は婚約者を他人と共有してたのか…?」
愛していたミーコは町中が知る阿婆擦れだった
まぁ俺に彼女がいたとして、その相手がって考えたら凹むどころじゃないだろうな

「ちょっとニール!早く私を助けてよ!助けてくれたら好きなだけ抱かせてあげ…」
「黙れ、この売女が!」
ニールは縋りついてきたミーコを蹴り飛ばした

「ば…いた…?」
「お前のような腐った女との婚約は破棄だ。不貞が原因だから慰謝料も請求してやるからな」
「はぁ?!このチキンやろうが偉そうに…!」
ニールとミーナは互いにののしり合いを始めた
時々サントスも割り込んであり得ないくらい煩い

「シア、この3人、頭大丈夫?慰謝料の請求も支払いも意味をなさないって気づいてないのかな?」
「どういう意味よ!?」
シャノンの言葉を拾ったのはミーコだった

「…あなた達をつかまえる命令を出したのは上位貴族よ?」
「それに、禁止されてる薬物の売買は重罪だ。関わった者の一族含めて奴隷落ちだったか…」
エリザベス・ミュラーリア・サブマリンの件があってから俺はコーラルさんから犯罪とその処罰に関して色々と教えてもらっていた
自分の身を守るためと同時に相手への抑止力にもなる

「奴隷?この私が?」
「あぁ、あんたの場合は貴族に不敬を働いた不敬罪も入るかもな?婚約者に嘘を付いての不貞だ」
「あれ?でもそれは当主が黙認してたから問題ないんじゃない?」
「そこは腐っても貴族ってとこだろうな。黙認していたという証拠はない」
「なるほど。明確な証拠がない以上暗黙の了解や口約束は黙殺されるってことか」
俺達の話を聞きながらサントスは醜い笑みを浮かべニールは呆然としている
そしてミーコは青ざめてその場に崩れ落ちた

「ようやく静かになったか」
そうつぶやいたときギルドからの使いがドタバタとなだれ込むようにやってきた
3人を捕縛していくのを見送り、一緒にやってきたギルドマスターに証拠の品々を渡して俺達の役目は終わり
2日後、コーラルさんから“粗大ごみはこちらで処分しておくから引き続き旅を楽しむように”とメッセージが届いた
次がどんな領主になるかはともかく、俺達は平和な日々を手に入れた
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