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4・これからの為の覚悟
*4-4・君の為に注ぐ
しおりを挟むティアリィの意識はなかった。
だが、意識をなくしていてさえ、その苦しみからは逃れられていないのか、瞼を閉じた秀麗な顔は苦痛ゆえだろうひどく歪められていて。
痛ましい。
早く、と急く気持ちのまま手を伸ばす。
自分の服を手早く寛げながら、ティアリィの眠る寝台の上に僕も乗り上げ、彼の服にも指をかけた。元よりティアリィが今身につけていたのは薄い寝間着で、乱すなんて簡単で。
滑らかな肌に触れながら、指先から流すのは魔力だ。だけど結局、指先から注げる魔力などたかが知れているから、もっと早く、もっと濃い魔力を出来るだけ多く注がなければ。その手段など、一つだけ。
下衣を下着ごと取っ払い、僅か開かせた素足の間に僕自身の膝を差し込んだ。
「ティアリィ」
彼の上へと覆いかぶさる。包むように。囲うように。名前を、囁いて。息にも魔力を乗せて、口を塞いだ。
反応のない甘い唇を味わいながら、魔力を込めた唾液を彼に流し込み、舌を絡め導いて、呼吸に合わせて嚥下するよう促す。
こくり、小さく彼の喉が鳴ったのを確かめて僕は彼の肌を探るのを進めた。
魔力と魔術を駆使し、昨日も行った行為ゆえ、それほど頑なにはなっていないティアリィの体を、それでももっと更にと解していく。彼に、少しの苦痛も感じてほしくはないから、可能な限り丁寧に。
ぬちと、僕の指を悦ぶかのように綻んだ彼の下肢、本来は排泄口でしかないはずの彼の其処は、すでに僕の指や僕自身を覚えきって、きつい締め付けとぬるく巻き付くような感触で僕の指を迎え入れた。
温かくぬかるんだその場所の気持ちよさを僕は知っていて、こんな時なのに下肢に熱がともる。
ティアリィは今、苦しんでいて。僕はそれを何とかしたいと、そう思っているだけのはずなのに。どうして、彼を求める熱はこんなにも際限がないのだろう。我ながら浅ましい。
だが、今はそれも悪くはないはず。否、それよりも一刻も早く、彼に魔力を注ぐのが急務だ。
彼の腹を、おざなりに探っただけではあったのだが、充分な綻びは保てていたようなので大丈夫だろうと判断する。
びくり、ティアリィが震えるのに構わず指を引き抜き、足を抱え上げた。すでに固く反り返った僕自身を底に宛がう。熱い。
早く。気が急いた。ぬちぬちと音を立て入り口を突き、すぐに躊躇わず腰を進めた。
「ぅっ……、くっ……」
やはり解したりなかった部分があるのだろう、きつい締め付けは、だが、僕を腰からとかしていくかのような心地よさ。
「ぁっ……」
意識を失ったままのティアリィが小さく声を上げ、僕の動きに合わせるよう、喉を仰け反らせた。
まるで人形のよう、力の抜けきった体を僕は気遣いながら腰を動かし始める。
ティアリィの腹は、意識がある時ほどの締め付けこそないものの、充分にしっとりと僕を受け入れてくれていて、気持ちよさはいつもと同じぐらい。僕は夢中で腰を振った。
「ぁっ、ぁっ、はっ、ティア、り……、ぃ……」
荒くなる息の合間に彼の名を呼んで。何度も何度も彼の名を呼んで。込み上げてくる衝動には逆らわず、何度も何度も彼の中へと熱を注いだ。魔力も一緒にこれでもかと流し込む。
流した魔力はティアリィの腹で、子供に食われて消えていく。その様子に際限はなく、その子がまだ植えていることが僕にはわかった。
「は……はは、どれだけ……くそっ……」
思わず上がった声で笑い、悪態を吐いて更に腰を振った。気持ちいい、気持ちいい、気持ちいいけど、きっとまだ足りない。もっと、もっと注がなければ。もっと。
「ぁっ、ぁっ、ぁっ、」
僕が揺さぶるのに合わせ、喉から声を漏らしていたティアリィが、どうやら意識を取り戻したらしいと気付いたのは、どれだけ僕が彼へと魔力を注いだ後のことだったろうか。それほど長い時間ではなかったはず。
その証拠に、きっとまだ足りないだろうことが分かる。
「ぅっ……ん、ティア、リィ……?」
息を詰め、また、彼の中へ熱を吐き出した。とぷん。体液と共に流れていく僕の魔力。それは全て、子供が貪欲に吸収していく。
意識を。取り戻せたということは、少しはましになったのだろうか。
うっすらと目蓋を開いて、当然と酔ったような表情に今ばかりは苦しみも見当たらない。
「よかった、……気が付いたんだね。少しは、ん、気分が、良くなった……かな?」
小さく頷いてくれて、ほっと安堵した。だが、まだ足りないだろうことは明らかだから、彼の意識が戻ったからと言って、行為をやめることなどできない。
「ぅっ、でも、まだ、充分じゃないから……」
「あっ!」
ぐっと、腰を突き入れる。僕の全てを彼の中に収めようと思うと、どうしても彼の最奥の更に奥を暴くしかなく、今もすでに其処は開かせていた。ティアリィの体そのものを、少し操作しているので痛みは感じていないはずだが、衝撃はその限りではないのだろう。
がくがくと震えるようなティアリィを逃がさず、ぐぽぐぽとそこを何度も通り抜けては擦り上げる。
不随意に湧き上がる衝動にも逆らわず、彼の腹へと熱を注ぎ続けた。
「あっ! あっ! がっ! ぁあっ!」
流石に、意識がない時とは比べ物にならないぐらいに、大きく反応するティアリィを揺さぶり続ける。
何度も、何度も、何度も。
僕の魔力が尽きるまで、何度も。
特にその日は念入りに魔力を注いだ。
その甲斐あってか、翌日にはティアリィも起き上がれる程度には復調していて、逆に僕の方こそ少々、体調を崩している有様だったけれど。とは言え、少し休めば回復する程度。
子供はその後も無尽蔵に魔力を欲しがり、結局あれだけ注いでも、ティアリィの調子は三日と持ちはせず、結局毎晩、可能な限り魔力を注ぎ続けることで何とか日中、短時間でもティアリィが起きていられるように安定してきた時には、それから1週間ほどが過ぎていて。そこから子供も安定し、膨大な魔力を要しないようになるのには医師の見立て通り、大体一ヶ月を必要とした。
あれほど、ティアリィに触れられたにもかかわらず、ティアリィには勿論のこと、僕にとってもどうしてか。苦しく感じられた一ヶ月だった。
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