見た目詐欺の処女ビッチは甘々純愛じゃ満足できないっ!

愛早さくら

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37・痛む心④

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 僕はそんな風に評価されるほど、素晴らしい人間じゃない。
 本当の自分との剥離。
 褒められれば褒められるほど、心苦しくなって堪らなかった。

「これは、その……僕が勝手に感じたことで、本当に誰かに何かをされたとか、言われたとかではないのです……」

 むしろこんな風に、心苦しく思っていることこそ申し訳ない。
 人の称賛を素直に受け取れない。
 穿った見方をしているつもりはないのだ、だけど、僕は僕自身のことを、皆が言うような素晴らしい人間とはとても思えなかった。
 だから苦しくて。

(少なくとも間違っても清らかではないと思う……清らかな人間はラセア殿下の股間とか見ない……)

 この期に及んでも、目を伏せると次に吸い寄せられるのはそこなのだから、本当に自分は救いようがない。
 僕はそう、だからこそ苦しいのだと、なんとかラセア殿下にお伝えした。
 ラセア殿下は僕の言葉に、へにょと眉を下げて、とても困った顔をしていらした。

「フィーヴィ……それはまた、なんというか……つまり君は、自分に自信がないということなのかな?」

 そう確かめられたけれど、それはまた少し違う気がした。
 自分が出来ていない、とそう思っているわけでは決してないのだ。
 ただ、皆が称賛するほどには、素晴らしい人間ではないと思うだけで。
 僕は曖昧に首を傾げる。

「いずれにせよ、ですから、誰かに何かを言われた、だとか、そういうことではない、ので……ああ、でも……」

 誰が悪いわけでもない、そう念押ししながら、これも言ってしまっておこうと言葉を続けた。

「でも?」

 これは多分、言ってもいい、そう思う、こんなの結局、ただの醜い嫉妬のようなものだけれど、でも嫉妬している、それは伝えてしまってもいいと思った。

「あの、僕……とても考えが浅かったみたいで……その……これまで、ラセア殿下に、僕以外の、その、お話がある・・・・・、だとかそういうのを、考えたこともなかったので……それを知って、少しショックには思いました」

 考えの浅い自分が信じられなかったし、そんな当たり前のことに、衝撃を受けている自分というのにも、僕自身びっくりしてしまったのは本当だった。
 多分この感情は、嫉妬、であっているはずだ。

「それは……だが、……やはり、彼女は……」

 今回は避けた方がよかったか。
 僕の言っているのが誰のことなのかはすぐに分かったのだろう、眉を寄せたラセア殿下に僕は慌てて否定の言葉を続けていた。

「いえ! むしろ、その……知れて、よかった、と、思います……知らないままでもいられないお話だったでしょうし、実際にはそういったお話が持ち上がっただけだったのだとも教えて頂きました。ただ、そのようなことを面白くないと思う自分には、やはり皆さまから頂く称賛のお言葉は過分だとも思ってしまって……」

 結局何処までも、僕自身の気持ちの話に過ぎなかった。
 これは本当に誰が悪いわけでもないのだ。

「フィーヴィ……」

 殿下の顔は晴れない。
 それはまた、僕の顔も同じだった。
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