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序章
プロローグ、もとい1つの童話。
しおりを挟むこの国の王宮にある塔には、それはそれは美しいお姫様が囚われていました。
お姫様は少しばかりこの国と争っていた敗戦国から、和平の証として迎えられた存在でした。
しかしその実、恭順を示すための人質のようなもの。だからこそ塔へと囚われたのです。
お姫様は泣きました。
泣いて泣いて泣いて泣いて、目が溶けるぐらいに泣き続けても、お姫様は自由にはなれませんでした。
やがて時が流れ、お姫様の祖国がすっかりお姫様を忘れた頃、王様はようやくお姫様に会いに行きました。
もう捉えている意味が無くなったからでした。
ですが王様は泣いているお姫様のあまりの美しさに一目で恋に落ちました。
そして塔からは出さず、そのままお姫様を捕まえておくことに決めます。
それは王様がお姫様を離したくなくなったからでした。
王様は泣いているお姫様を愛します。
たくさんたくさん愛を注いで、花を贈り手紙を届け、時間が許す限り塔に通いました。
色んな色の宝石やとても綺麗なお洋服も、とてもたくさんお姫様に捧げます。
それでもお姫様には王様の愛がわかりません。
ただ悲しくて泣くばかり。
そのうちにお姫様は子供を産んで、その子供は次の王様になることが決まりました。
王様はお姫様を愛し続けます。
泣いて泣いて泣くばかりのお姫様を。愛しているのだと捕まえ続けました。
お姫様は塔から出ないままお妃様になりました。
ですが、お姫様は泣くばかり。
お姫様は大変に王様に愛されて、何人もの子供を産みましたが、泣き止むことはありませんでした。
これは王宮の侍女が、こっそりと子供たちに聞かせていた童話のような作り話だ。
だけどこのお話には本当のことが沢山含まれている。
例えば塔に囚われた泣き続けるお姫様を、俺が愛しているところだとか。
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