パワード・セブン

絶対に斬れない刃

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第三章

パワード・セブン 第八話

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「叔父様はのことを大事に思われているんですね。」
「そりゃ家族だから、そうじゃないのか?」
まだ闇に支配されていた暗闇でのに巻き込まれたにも関わらずに、そう言いながら勇一に対して微笑みながら銀色に煌めく短めの髪を揺らしながら、ルナは碧い瞳で勇一を見ながら言い、勇一はそんなルナに対してじっと見つめられているのは少し恥ずかしいな、と思いながら、頬を掻いてルナに言った。
親がどんな風に思っているのかなどは、まだ親にはなってはいない勇一には分からないし、勇一と同じ高校生であるルナにも同じことは言えると思うのだが、ルナは親である鉄也の気持ちが分かるように言うことに勇一は不思議に思った。
こうして、普通に共に登校していることにおや?と疑問には思ってはいたのだが、今は別に疑問に思うこともないな、と思うあたり勇一もだいぶ感覚がマヒしてるなーと呑気に思ったりしていた。思うだけで、言いはしないのだが。
そう思いながら、チラリと隣にいる少女を見る。
「なんでしょうか、?」
小首を傾げながら、ルナは勇一に何事か訊く。彼女の銀色に煌めく髪が風に吹かれて揺らいで舞う。日本人特有の髪色とは勇一には思えなかったが、勇一は特には考えない様にした。
「いや。大したことじゃないんだけどさ。」
その様にした勇一であったが、この際訊いてしまえば何かのヒントが掴めるのではないかと思い、訊いてみた。
「ルナってさ。海外出身?」
「はい。が如何しましたか?」
「いや。」
彼女は勇一の予想通りの解答をした。その解答を聞いて勇一は少し考えた。その際に、薄っすらとであるが、記憶の中でより少し前の情景が浮かんできた。
血と。
叫び声と。
燃えている情景が。
その中に助けを求めているように救いを求める少女の手が伸ばされていた。
その手を勇一は・・・・・・・・・・。
?」
「・・・・・・・・・・・・・ハッ!」
突然黙った勇一を心配するようにルナの声が勇一の耳に届く。彼女の声を聞いて勇一はハッとする。
意識を戻した時には彼女の碧い瞳が勇一の目を見ていたのが、勇一の瞳に映る。
「如何しました?体調が優れませんか?休まれた方がよろしいのでは・・・・・?」
「いや、ちょっと考えてただけだから。そこまで心配せんでも大丈夫。」
「そう・・・・・・・・ですか?」
「ああ。大丈夫だから。」
「分かりました。でしたら、貴方マスターの言葉を信じて、これ以上はお聞きしません。ですが、優れなくなった場合にはすぐに御知らせ下さいね?」
「そこまで、心配しなくても・・・・・・・・。」
「心配します。私は貴方マスターのモノなのですから。貴方マスターがいなくては私はにはいません。ですので、貴方マスターがいない世界では私がいる価値など。」
「重症だな。思うのも、思われる方も。」
「ええ。少なくとも、私がになったのは、のおかげですので。」
「あれ?藪蛇?」
「どうでしょう?」
彼女の言葉を聞いて、勇一はおや?いけないとこ突いちゃったかな?と思ったが、ルナはそんな彼の顔を見てふふっと微笑んでいた。
何事もなく平和に時間が過ぎていく、高校生活初めての平和な時間であったことを勇一たち二人は何事も思わずに過ごしながら、登校路を歩いていた。




















学校に着き、靴を履き替えて教室に向かった二人であったが、教室前に見知った後ろ姿を見つけて、勇一は声を掛けた。
「よぉ、風音。おはようさん。今日は早いな。」
「おはようございます、青野さん。」
「えっ。えぇ、おはよう、勇。おはよう、星川さん。」
勇一たち二人の挨拶に一瞬驚いた様子で風音は反応するが、それも一瞬であったようですぐにいつもの調子で返事をする彼女に対して、勇一はおや?と疑問に思った。
故に、彼女に勇一は訊いてみた。
「なにかあったのか、風音?」
「なにか・・・・・・・・・・・・ね。まぁ、答えにくいんだけど・・・・・・・・。」
そう言うと、彼女は勇一たちにも見える様に身体を少し横にずらした。
そこにはついこの前までは、春とは言っても半袖で登校していた空がブレザーを着て自分の席に座って、どこか怯えた様子であちらこちらに視線を向けている姿が二人の目に映った。
勇一は空のその姿を見て、風音に訊いた。
「誰だ、あれ?」
「空よ。」
「いやいや、冗談言うなよ。」
「冗談は言っていないわ。」
「空なわけあるか。」
「勇。信じたくはないのは分かるけど、彼女は木ノ葉空本人なのよ?事実を受け止めなさい。」
「事実って言ってもな・・・・・・・・・・・・。」
そう言うと、勇一はもう一度空を見てみる。
あの堂々とした出で立ちはどこへ行ったのか、今にも泣きだしてしまいそうな雰囲気を出している彼女に勇一は何とも言えない気持ちになり、彼女から目を外して再び風音を見る。
が空って言ったけどな。空はあそこまでビビりじゃねぇぞ?」
は、とは言っても高校生になってからは、ね。勇とは別の中学だったから知らなかったかもしれないけど。」
「そう言われたら、小学生の時はくらいだったっけか。」
「そう考えると、だいぶ成長してたわね。」
「そうなる・・・・・・・・か。」
どこか懐かしむように風音と勇一は空を眺めていた。ルナは二人の反応にどうしたらいいのかと困った様子で立っていた。
そんな三人に誰かが声を掛けてきた。
「よぉ、勇一!風音に星川!何やってんだ?」
何事かと勇一は振り返るとそこに立っていたのは涼子であった。勇一の肩を叩いて挨拶した涼子であったが、勇一たち三人の雰囲気からだいたいのことを察したのか、すまなそうに声の調子を鎮める。
「・・・・・・・・・・なんかあったのか?」
突然調子を下げた涼子に勇一たちは涼子に複雑な思いで見つめ返した。が、何時までそうしておくわけにもいかないので涼子に現状を伝えることにした。
「いや、空がな。」
「空?今日は晴れてるけど?」
「そっちじゃねぇよ。だよ。」
ほら、と言って勇一は涼子にキョロキョロと不審な動きを見せてる空を指差した。涼子はその様子を見ると、ふむ、と頷いてみせる。
「誰だ、あれ?」
「空よ。」
「空?あいつが?」
「だそうだ。・・・・・・・・・・・・ま、信じろって言われても信じはられないんだけどな。」
目の前にある現実をどう受け入れるべきかな、と勇一は思いながら涼子に話す。
だが、思ってみると、昔の空の様子に似ている様に勇一は思ってしまう。昔の泣き虫で弱虫であった頃の空に。高校で再会した時に見せた彼女の様子から本当に彼女か?と疑ったものだが、まぁ、人は変わるものだし別にいいか、と気にはしなかった。気にはしなかったし、人には人の都合もあるものだから個人の込み入った具合について問い質すわけにもいかないだろう。問い質すのであれば、勇一の隣にいる銀色の髪をしている少女、ルナに問い質したほうが良いであろう。
そんなことを思っていると、また一人、そんな四人のところに来る人物がいた。
「勇一君、涼子ちゃん、風音ちゃん、星川さん、おはよう~。」
勇一たちの知り合いの中でこんな呑気な挨拶をしてくるのは一人しかいない。その声がした方向を勇一は見て、彼女に挨拶を返した。
「よぅ、のどか。相変わらず、呑気な挨拶だな。」
「うっす、のどか。」
「おはよう、のどか。」
「おはようございます、十九野さん。」
「おはよう~。そんで、四人も揃ちゃってどうしたの~?」
ゆらりゆらりと今にも倒れそうに歩くのどかにも分かりやすいように勇一は片身を開けて、教室内の様子を見せる。
「いやな。空の様子が変わっちまったんでどうしたものかな、って話してたってわけよ。」
「空ちゃんが~?」
のどかはそう言うと、片身を開けているのにも関わらずに勇一の身に寄り掛かるようにして、ゆらるゆらりと寄ってくると、勇一の片身に身体を寄りかけて教室内を見る。
「たしかに~。なんか変だね~。」
「変なのは、てめぇだ、のどか!朝から何やってんだ!」
涼子はそう言うと、いつの間にか持っていたハリセンでのどかの頭を叩こうと振り被る。だが、のどかは涼子の様子が見えないに関わらずにハリセンを流れに任せて避ける。しかし、避けたところには当然のことながら、勇一がいるわけで。
「ったい!!」
勇一は避けもしないで涼子のハリセンを受けてしまう。
「涼子!てめぇ、なにしやがる!」
「ハッ!避けないてめぇがわりぃ!」
「んだとこら!」
「やんのか!」
「勇!涼子も!」
。気を静めて下さい。叔父様を呼びますよ?」
「あっはい。」
ルナの言葉を聞いて勇一はすぐに落ち着くが、涼子は勇一と違って落ち着くことはなかった。勇一の代わりに、風音が涼子を宥めに掛かる。その隙を狙ってのどかは教室内に入ると、自分の席に鞄を降ろして、席に座ると、すぐに腕を枕にして夢の世界へと旅立っていった。
事の発端を起こした本人はすぐに行ってしまった上にもう寝ていることにどうしたものかな、と勇一が考えて教室を見た時に、空と目が合ってしまい、一瞬時が止まる感覚に襲われる。
!」
ガタッと勢い良く立ち上がる空の瞳には目一杯に溜め込んでいたと思える涙でいっぱいの様に勇一には見えた。だが、そんなことなど気にする余裕はなく、空は勇一に向かって一直線で走り寄ってこようとする。その様子からか、こちらを気遣って風音と涼子、ルナの三人は勇一から距離をとる。その三人に対して、勇一は助けを求めるような目で助けを訴えるが、三人は首を振って拒否した。
薄情だな、お前ら!と彼女ら三人に対して勇一は言うと、逃げるわけもいかずに空を出迎える。迎えられた空は勇一に走り寄って、抱き締めてもらうかのように勇一に向かって飛んだ。
!」
空に呼ばれた勇一は強く頷き、空を抱きとめる。
「おっとっと。ったく、すぐに走ってこようとするなよ。ちょっとはな・・・・・・・。」
「えへへへへ。だって、。」
えへへへと笑う空の言葉に、勇一はおや?と疑問を浮かべた。
久しぶりと言うのにはの期間は空いてはいないはずであるはずだし、一昨日も昨日も会っているのに関わらずに久しぶりと言うのにも変だと勇一は思った。そう思いながら、勇一から距離を取った三人の方へと目を向ける。向けられた目に涼子と風音の二人は理解が出来ないという様に困惑気味に勇一を見たが、ルナの一人だけはどこか気になる様な目で勇一たちを見ていた。





















。御聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ああ。こっちも訊こうと思ってたとこだ。」
「それでしたら、お先にどうぞ?」
「いや、レディーファーストだ。そっちからでいい。」
「それでは。」
こほん、と軽く咳ばらいをしてルナは勇一を碧い瞳で見た。
すでに授業は半分終わり、残すは昼休み後の午後の授業を残すのみとなった。そのため、勇一とルナ、他の生徒の机の上には自身が用意してきた弁当の空き容器が残っているのみとなっていた。
「木ノ葉さんのことです。」
「分かるのか!?」
ルナの言葉を聞いて勇一は身を乗り出すが、ルナはそんな勇一を手で制した。
、ですが。」
いいですか。
「『パワード・セブン』となる時に魂のリンクが行われます。」
「ああ。」
「魂とは精神ともリンクしているモノです。変わることないモノです。人の手では、ですが。」
「何が言いたい?」
いいですか。
「つまり、魂とのリンクで『パワード・セブン』となり、変身が解かれ、個々に時に、何かしらのが起きた可能性があります。」
?」
ええ、とルナは言うと言葉を切った。勇一はルナの言葉を頭の中で反芻させる。
精神と魂はリンクしている。
精神があるから魂があり、になる。
少し昔に、父が言った言葉を勇一は思い出す。

『魂とは心であり、記憶である。記憶があるから、人になるのではなく、記憶があって心があり、魂となるから。お前自身を作るのは技術でも能力でもない。魂だ。忘れるな、勇一。がお前というとなり、ということを。』

忘れるな、と言う父の横顔が勇一の脳裏に焼き付いて消えることはなかった。その後に父に『それじゃ、父さんは?』と訊いたら、『だからいいのだ。』と言っていたので、それはどうなんだろう、と疑問に思ったことがある。そう思うのと同時に、大人って卑怯だな、とも思った。
まぁ、そうは思っても言ってはいないのだが。
「お前は大丈夫なのか?」
ルナの言葉を聞いて、父との会話を思い出していた勇一であったが、ふと気になったことをルナに訊いてみる。彼女は彼の言葉がどの様な意図から来た質問なのかを怪しんだ様子で彼を見たが、それを理解すると、フッと優し気な微笑みの顔となる。
「御心配には及びません、。私はであり、皆さんはお強いですから、私に掛かるのはほんの少しだけです。」
「そうか?」
ええ。
「まぁ、と申しても受け入れるのは無理なのです。受け止めることは出来ますが、お一人様限定ですので、どうにも。」
困りますよね、と彼女は乾いた微笑みを勇一に向ける。その彼女の微笑みは乾いており、心の底からの笑みではない様だと勇一は思った。
「だったら、その分、俺が手を伸ばしやる。だから、無理はするな。」
いいな?
「はい、我が主マイ・マスター。御心配痛み入ります。」
軽く頭を下げた彼女に対して、勇一はハッハッハ、と軽く笑った。
「とすると、変身後ってなるのか。」
「ええ。」
参ったな、と勇一は頭を抱えた。
「どっちにしても、俺だよな、これ。」
「いえ、の責任ではないかと思われますが。昨日は昨日で変身は一度きりですし。その後も変化はなかったかと思いますが。」
「そういや、昨日は父さんが来てたんだっけか。忘れてた。」
「そうですね、叔父様の影響力はお強い様子ですし。佐藤先生も叔父様に絞られた御様子でを見る目が変わっておりましたし。」
「あー。佐藤先生か。の潜入任務だとか言ってたな。陸自の任務ってことは父さんの件も知ってるだろうし。」
はどの様な?」
「ああ。聞いたところによると、父さんは普通の陸上自衛隊の管轄からは外れてる宮内庁管轄の部署の人間でらしいんだ。詳しくは知らないけど。だから、つい前に、海外にに行った時に、を持ってきたから、って言ってたっけ。」
にしてる自衛官も父さんくらいだよなぁ、と勇一は軽く思った。本当はあれこれ手続きが必要なところをということで省略しているだけなのだが、まだ高校生の勇一にはそこのところ詳しくは知らなかった。
そう考えるとどうしたものかと改めて勇一は考えた。
『パワード・セブン』でのリンクが原因と考えるにしても、解決策が勇一たちにすぐに思い浮かぶわけもなかった。だが、そのままにしておくわけにもいかない。どうしたものかな、と考えるしか方法はない。
その時であった。
ドォン!!と校庭にが落ちてきたような音が聞こえ、白い砂煙を撒き散らしたのは。
!!」
『ええ!、ですわ!!』
宮子の声と共に姿を現したのは巨大なロボット、『ハガネイラー』であった。
『一度ならず二度までも!!やられた分はやり返しますわ!!さぁ、現れなさい、「パワード・セブン」!今日こそは倒しますわ!そして、破鋼という名の恐ろしさをその身に刻みなさい!!』
オーッホッホッホ!!と高笑いまでする宮子の言葉に対して、勇一は席を立ち、立ち向かおうと教室を出ようとする勇一の肩をルナが掴んだ。
「お待ちください、。一応、お聞きしますが、どこへ行こうと仰るので?」
「あのデカブツを潰しに、だ。だから、力を貸してくれ、ルナ。」
貴方マスター、お一人で、ですか?」
「ああ。七人皆で力を合わそうにも、空がじゃあ、な。」
チラッと空の席に勇一は視線を向ける。昨日の空であれば、すぐに席を立って勇一の肩を叩いて、『ハガネイラー』に向かっていたであろう。だが、今の空は、『ハガネイラー』の出現に怯え、席も立てない非力な少女であった。
その姿を見て、情けないな、とは勇一は思えなかった。今現在の姿が木ノ葉空という少女の姿であり、勇一たちが数日間見ていた木ノ葉空という少女の姿は現実で見ることが出来た幻想なのだ。
であれば、答えは一つのみ。
それを理解したのか、ルナは勇一にコクリと頷いた。
「分かりました。ですが、私は、貴方の所持物であります。私に許可を求めることは不要です。貴方が行かれる場所こそが我が道であり、貴方が求めるのであれば、その願いに応えるのみ。ですので、力を貸せ、と仰るだけでよろしいかと存じます。」
彼女の碧い瞳に勇一は頷いて応える。
「わかった。・・・・・・・・・・だけど、すぐには変えられそうにない。分かってくれるか?」
「なるほど。でしたら、いいでしょう。」
「悪いな。」
そう言うと、勇一はルナの手を肩から取り除き、ルナと共に外へと向かった。


















『遅いですわね。』
『まぁ、言ってませんから、当然ではありますが、ねぇ?』
『私たちの行動も予測はできませんよ、宮子様。』
『「パワード・セブン」はとは違って多いですからね。』
『ハガネイラー』を操る四人は口々に思っていたことを言っていた。その彼女らの言葉に少し勇一は怒りを感じたがすぐにその怒りを抑える。
「待たせたな!!」
『来ましたわね、「パワード・セブン」!』
そう言った宮子だが、すぐに疑問に思ったことを言った。
『おや?柳宮さんと星川さんのお二人だけ?他の六人はどちらに?』
「ちょいとお花を摘みに出掛けたよ。」
『花?』
勇一の言葉に宮子は疑問に思ったのか、その単語を言ったが、すぐに頭から打ち消した。
『時間稼ぎですかっ!!ですが、ここに来たのが運の尽きっ!!今日こそは倒してごらんに見せますわっ!!』
「ハッ!やってみやがれっ!」
そう言うと、勇一はルナに手を伸ばし、ルナは伸ばされた彼の手を優しく握って、光と共に姿を消す。そして、勇一の腰にベルトがすでにそこにあったかのように現れる。
『スタンバイ、レディ。』
の声を聞いて、勇一は右手を左前に伸ばし、左手を左腰に当てる。
「変、身っ!!」
『ビルドアップ。』
変身の掛け声とともに右手を引いて、右腰のスイッチを右手で押し、左手をそのまま下に下げて左腰のスイッチを押す。すると、どこからともなく旋風が巻き起こり、竜巻となって勇一の身体を包み込む。
その竜巻の中で、勇一の身体は銀色に塗られた金属のボディーに身体が覆われていく。
そして、竜巻が徐々に勢いを失っていくと、そこには勇一ではないがそこにはいた。
七色に点灯する腰のベルトには、蒼い色をしたボタンが一つだけ点灯していた。
の思いを受け継いで、悪を倒せと我が身が叫ぶ!!平和を乱す悪はが許さん!!『パワード・セブン』、ここに現、着!!」
『フッ、「パワード・セブン」がお一人で、とは!!片腹痛いですわ!!』
「ハッ!言ってろ、バカヤロー!」
『だったら、砕けなさい!!ドリル!クラッシャー!マグナム!』
・・・・・・・・・・っ!』
「くたばるかよっ!」
勇一に向かってくる高速に回転する拳に向かって、勇一は吠えてみせ、両腕のアームを外すと、一つの芸術品レールガンを構えて、引き金を引いた。引き金を引いた瞬間、空気を割く高速の弾丸が撃ち出される。
『ハガネイラー』の拳を打ち壊せるか?と思ったが、その予想を裏切って、弾丸は軽く拳に当たって、弾かれた。その結果を見て勇一は芸術品レールガンを分解しようとする。だが、分解終わる前に拳が勇一の立っていた場所を刈り取る。
『やったか!!』
『ふっ、いくら「パワード・セブン」とは言えども、この「ハガネイラー」の「ドリル・クラッシャー・マグナム」は避けられまい・・・・・・・・。』
『宮子様、少しくらいはお聞きしてもよろしいのでは?』
『えっ、そこ、私ですの?』
刈り取った場所には砂塵が舞い、すぐに確認することは出来なかった。撃ち出された拳が『ハガネイラー』に戻る。その時、勢いよく舞った砂塵が勢いを失い、様子が分かりそうになったにも関わらずにも突如として勢いを増して、一つの渦となる。
「くたばって・・・・・・・・・・・っ!!」
・・・・・・・・・・・っ!』
「たまるかよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ボロボロになりつつも、勇一は鋼鉄の身体のままの姿で爆炎から這い出てくる。だが、かなりのダメージがあるのか、その足取りは重いように見えた。
『まだ立てますか!!「パワード・セブン」!!』
「ったりまえだっ!!こんなもんで倒れるかっ!男にゃ、倒れちゃいけねぇ時があるんだっ!」
・・・・・・・・・っ。』
宮子の言葉に勇一は己を振るい上がらせるように、気合を込めて言って、両腕を左右に振り、二本の大剣を両腕左右に現すと、ゆっくりとした足取りで、宙に飛ぶ。
「疾風怒濤っ、大回転、魔弾っ!!」
ゆっくりとした動きとは裏腹に勇一はギュイィィィィィィィィン!!と勢いよく身体を回して、『ハガネイラー』に向かっていく。だが、そんな勇一の技を受ける義理は当然のことながら、『ハガネイラー』にはなかった。
『防がなくとも、余裕ですわ!!迎撃で十分!!食らいなさい!ドリル!クラッシャー!マグ、ナム!』
勇一に向かって打った拳が戻ってくると、宮子は再び拳を勇一に向かって打った。今の勇一にはその拳を避ける余裕はなかった。その為、拳は勇一の身体を撃ち抜いた。
「ぐっ、っがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
拳に当たり、弾かれた勇一は二、三回地面に身体をバウンドさせて、ぐたりと身体が動かなくなった。
っ!っ!』
ルナが自身を呼ぶ声に、答えることも出来ずに、勇一はゆっくりと気を失くそうとしていた。



その気が徐々に失っていく暗い空間に、どこかで見た白く蒼い髪が揺れた気がした。

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