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第127話 さてと、ポイントを稼ぐとしましょうか。

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前回のあらすじ:職人種族キターーーーー!!



 ノーム、ドワーフ、ジャイアントの3種族の方達を先頭に、私達はその後ろを付いていき、到着したのは洞窟の入り口であった。


「ここが俺たちの住んでいる場所だ。ま、何も無い所ではあるが、入ってくれ。」


 と、入ることを促されたので、後について入っていく。洞窟、いや、彼らの住み処に入ると、そこには3種族の奥さんと子供であろう家族が住んでいたが、どの家族も1家族しかいなかった。彼らを含めると13人いたが、どの人達も憔悴しきっていた。


「とりあえず戻ったぜ。だが、安心してくれ。こいつらは俺たちを害しに来たわけではないようだ。」


 とりあえず自己紹介を済ます。


「ロックさんから話は聞いておりますが、これは予想以上に厳しい状況ですね。」


「ああ、公国の連中がちょっかいを出すだけならどうにかなっていたのだが、山奥にやばい魔物が現れてな、俺らもそうだが、ボーラ達ジャイアント族でもまるで歯が立たねぇんだ、、、。それで、食料が満足に調達できなくてな、、、。」


「なるほど。それでその魔物はいつ頃からこちらに来たんですかね?」


「大体、1ヶ月前くらいだな。幸いにもその時は蓄えがかなりあったから、今までどうにかなっていたが、これ以上続いてしまうとな、、、。」


「で、その魔物とは一体?」


「ああ、その魔物か。マンイーターとか呼ばれる種類の魔物だ。触手やら何やらで複数の箇所から攻撃してくる上に、毒やら持っていやがるから手に負えねぇんだ。しかも1体だけじゃなくてな、、、。」


 ほう、マンイーターか。私の知っている知識では、それは、人型のイヤラシイ格好をしている奴なのか、植物型の魔物なのかはわからない。とりあえず、どうしようかは決めたけど、みんなはどう思っているのか一応確認してみると、マーブル達はやる気になっているし、戦姫の3人も出番だと言わんばかりに頷いた。


「なるほど、ということは、私達の出番ですかね?」


「そうですわね。ここはワタクシ達が手助けするのが一番かと思いますわ。」


「ということで、ロックさん、その魔物は私達が倒しますので、場所を教えてくれると助かります。」


「いいのか? そりゃ、助かるが、俺らには大したお礼もできないぞ。」


「お礼? お礼は魔物のドロップ品を頂ければ十分。あ、あとはそこまでの案内が欲しいかな。」


「ほ、本当にそれだけでいいのか?」


「贅沢を言うと、本当はうちの領の住民として加わってもらいたいかな。ただ、それは話し合いをする必要があるだろうから、討伐に行っている最中に話し合ってくれれば良いかな。案内は欲しいけど、ある程度の場所を教えてくれればいいや。」


「そういや、お前さん、さっきから自分の領地とか言っているが、どこかのお偉いさんの息子か何かか? 申し訳ねえけど、そのように見えねえのだが、、、。」


「ああ、そういえば名前しか伝えてませんでしたね。改めて自己紹介を。私はトリトン帝国所属のアイス・フロストと申します。爵位は侯爵で、フロスト領を治めております。」


 改めて名乗ると、洞窟の住民が全員驚いた顔をしていた。まあ、そりゃそうか。ってか、爵位ってみんなわかるのかな? あ、子供達はポカーンとしているだけだったか、そりゃ、そうだね。


「な、こ、侯爵だと!? お前さん、とんでもねえ奴だったのか、、、。で、でもよ、トリトン帝国所属と言ったよな? ここはサムタン公国だぞ? 仮にお前さんの領地でお世話になるにしても、どうやってそこまで移動するんだ? 見ての通り、俺らには幼い子供達がいるから、満足に進めねぇぞ。」


「それは大丈夫。移動については全く問題ないから安心して欲しい。と言っても、信じてもらえないかな? まあ、それは後でわかるとして、その前にとりあえず食事を摂ってもらいますかね。これから食事の準備をしますので、準備が完了したら食べて下さいね。食べている間にのんびり話し合いでもしててください。その間にさっさと討伐してきますから。」


「い、いいのか? 助けてもらう上に食料まで。」


「もちろん、職人や力仕事のできる住民は一人でも多く欲しい、という下心はあるけど、ムリに誘うつもりはないです。じゃあ、準備しますね。」


「ワタクシ達も手伝いますわ。アイスさん、指示をお願いしますね。」


「そうですね、ここにいる皆さんは、最近満足に食べられていないだろうから、いつものメニューだと逆に体に悪いですからね、少しアレンジをするとして、完成したものを運んでもらう以外になさそうかな。あ、そうだ、今のうちにマンイーターのいる場所を聞いておいてもらえますかね。あと、ライムとオニキスは、折角だからこの住み処を綺麗にしてほしいかな。」


「「ピー!!」」


 ライムとオニキスが揃って返事をした。ここではライムも普通のスライムとしておきたかったことを理解しているみたいで、よそ行きモードで返事をしてくれた、流石。


 ライムとオニキスがキレイにしている様子を見て、住人達は驚きを隠せていない様子だった。夕食で食べようと思っていた料理を取りだして、押し麦のご飯をスープに入れて軟らかくする。消化に良さそうな葉物を入れつつ、スガーで味付けをしていく。どれだけ食べるのかはわからないので、とりあえず鍋は2つくらい用意して調理している。ちなみに、今回は私が水術で温めているため、マーブル達は特にすることがないので、子供達の遊び相手になっている、といっても、動き回る元気はなさそうなので、モフモフさせている、といった方が正しいかな。


「よし、完成かな。アンジェリカさん、話の方は終わりましたか?」


「ええ、しっかりとお聞きしましたわ。」


 器と匙を人数分出して並べ、おたまを取りだして器に入れていく。私達は昼食を済ませているが、もちろん味見も兼ねているが、食べても問題ないことを証明するために、少なめではあるけれど、自分たちの分も用意しておく。話が終わったアンジェリカさん達が入れ終わったスープを住人達に渡していく。ライム達も部屋の掃除が終了したみたいで、こちらに戻ってきた。


「うん、美味い。ちょっと熱いけどね。」


「ええ、いつもながらの、いい味付けですわ。」


「というわけで、食べても大丈夫ですので、みなさん、遠慮せずに召し上がって下さい。とはいえ、ゆっくり食べましょうね。」


 住人達が食べ始めた。ノーム一家とドワーフ一家はこのくらいの熱さは問題なさそうだけど、ジャイアント一家には少し熱いようで、冷ましながら食べている。よかった、食べてくれて。


「では、みなさんはこのままゆっくりと食べていて下さい。もちろん、全て食べきっても問題ありません、というより遠慮なく食べちゃって下さいね。この間に私達はマンイーターを殲滅してきますので。」


 住人達は申し訳なさそうにしていたけど、食欲には勝てないようで、食べながら頷くだけだった。


 洞窟を出た私達は、アンジェリカさん達の案内の元、マンイーターのいる場所へと向かった。


「ところで、アンジェリカさん、マンイーターってどんな特徴があるんですか?」


「外見は巨大な花らしいですわ。ある程度近づくと、多数の蔓を出して攻撃してくるみたいですの。彼らも応戦はするみたいですが、数が多すぎて対応しきれないようですの。しかも数は1体だけではないそうです。」


「なるほど。でも、ここら辺って、それほど食べられそうなもの以前に、植物自体があまり存在しないようですが、、、。」


「ええ、ワタクシもそう思って、彼らに話を聞いたのですが、あの魔物が現れるまでは、何とか食べられる位の植物は存在していたらしいです。」


「なるほど。どちらにしろ、仮に倒してもしばらくは、採取出来そうもない状況ですかね。」


「恐らくそう思いますわ。」


「姫様、アイスさん、魔物の気配を探知しました。」


「セイラ、数はわかりますの?」


「今現在確認できているのは3体です。」


 セイラさんから報告があったので、こちらも気配探知をかけて確認する。うわぁ、何この数? 3体ずつグループになっているのか? 嫌らしいことに、広範囲に散らばっている感じかな。とりあえず、鑑定をかけてみますかね。気配から鑑定をかけるのは久しぶりだけど、ここまで視界が悪いとそうするしかないな。ということでアマさん、よろ。


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『マンイーター』・・・おろ? 何じゃこれは? 通常のマンイーターではないのう。環境がかなり過酷だったらしく、どれも共食いで成長している感じじゃの。とはいえ、攻撃されると、周囲にいる同類の魔物を呼び寄せるようじゃぞ。これは放っておくとまずいやつじゃから、早急に殲滅する必要があるのう。植物じゃから火が効きそうに見えるが、体内に大量の水分を蓄えておるから、案外効果は薄いぞい。あ、本題じゃが、こやつは食えんぞい。間違ってもこやつを加工したものを供えないように。

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 あれま。こいつらにとっても過酷な環境だったのね、、、。ってか、流石に食べる気にはなれないかな。しかし、水分を蓄えているから火は効きが悪いのか、、、。いや、待てよ。水分のせいで火が効きづらいのなら、水分を取り払えば良いじゃん。いや、それも面倒だな。まあいいか。出たとこ勝負だ。


「アイスさん、鑑定結果どうだった?」


 セイラさんが聞いて来た。


「おろ? 何も言ってないのによく鑑定したの気付きましたね。」


「えー、どれだけ一緒に冒険してるんですか? 流石にわかりますよ。」


 アンジェリカさんも頷いている。気付いていたのか、まあ、いいか。別にバレたら困るものでもないしね。


「じゃあ、早速結果から。思いっきり植物ではありますけど、体内に蓄えられている水分のせいで、火魔法は効きが悪いそうです。あと、食べられないそうです。」


「え? それだけですの?」


「はい、それだけです。いかんせん、気配から鑑定しているので、これ以上は具体的な情報は手に入らないと思いますけどね。もしくは、そこまでの相手ではないとか。あ、忘れてましたが、こいつらにとっても過酷な環境みたいで、共食いで成長しているタイプの奴だそうですよ。」


「ええっ? それってもの凄く質の悪いタイプですわよね?」


「はい、そう思いますけど、食べられないわ、共食いするわで、碌なもんじゃなさそうですね。ということでさっさと殲滅するに限りますね。」


「それはわかったけど、数はどうなの? 私の探知では最初の3体しか探知できてないけど。」


「結構広範囲に散らばっているようですね。まあ、問題ないと思いますよ。何か、攻撃されると周囲の同じような魔物を呼び寄せる習性があるようですし、普通に戦っていれば、勝手に向こうから来てくれるので、ある意味ラクですかね。」


 探知をかけながら近づいていくと、向こうもこちらの存在に気付いたのか、近づいてきたようだ。少しして姿が見えるようになると、その姿にビックリ。まんまラフレシアじゃん、、、。しかも根元がうねうね動いているし、、、。うわぁ、マジかよ、あれって、確かかなり臭いんだよね。そうなると、近距離はまずいな。最初は様子見で私が戦おうか。


「みなさん、マンイーターですが、あれ、実はもの凄く臭い匂いを出しますので、近距離戦闘はできるだけ避けた方がいいかも。」


「えぇ、、、。ワタクシは一体どうすれば、、、。」


 アンジェリカさんが困っていると、現在は私の肩に乗っているマーブルがテシテシと私の肩を叩いた。


「ん? マーブル、何か良い考えがあるの? って、そうか! 風魔法か!!」


「ニャア!!」


「じゃあ、近距離戦闘になったら頼むね。」


「マーブルちゃん、お願いしますわ!」


「とりあえず、匂い対策は大丈夫かな。ちょっと確認したいこともあるので、最初は私から行きます。」


 そう言って、私はオニジョロウを取りだして、氷の矢を作り出して構える。今回は矢の芯は無しで。


 近づいてきたラフレ、いや、マンイーターに発射する。弓矢でここまで遠い距離から発射したのはMMOをやったとき以来であるので、多少不安はあったけど仕方がない。矢は花びらの部分に命中する前に、生意気にも蔓が伸びてきて矢をはたいてきたが、そんなことは想定済みである。矢をはたいた蔓は凍って動かなくなった。その後すぐに花びらの部分に矢が刺さり、刺さった部分から凍っていった。


 しばらく様子を見ていると、マンイーターは動けなくなっていた。よく見ると、探知では3体に見えていたマンイーターだったけど、あれで1体分のようだ。攻撃されたマンイーターは周囲にいた同種の魔物を呼び寄せたらしく、周りにいた連中がこちらにやってきていた。


「みなさん、魔物の増援がこちらにやって来ます。迎撃準備を。」


「「「「了解!!」」」」


 そう言って、敬礼してから攻撃準備をするメンバー達。


 増援の第一陣が視界に入ってきたが、先程のマンイーターとは違って、ラフレシアではないようだ。どうやら、マンイーターは植物の魔物ではあるけど、ラフレシア固定ではないらしい。となると、強烈な臭さをモツ植物だけとは限らないということでもあるかな。これは、アンジェリカさん達にとって朗報だ。


「先程の奴とはタイプが違いますが、あれもマンイーターです。ということは、必ずしも臭い匂いを発するタイプということではなさそうですが、その分、どんな状態異常をかけてくるかわからない、ということでもありますが、強烈に臭い、よりかはマシかなあ。」


「臭い匂いでなければ、どうにかなると思いますわ。ということで、アイスさん、ワタクシ達にも出番をお願いしますわね。」


「そうですね、蔓と匂いにさえ気をつければ、私達の敵ではなさそうですので、1人1体ずつで対処してみてください。で、マーブル、申し訳ないけど、今回はみんなの補助に回って。みんなが大丈夫そうなら仕留めて良いから。」


「ミャア!!」


 マーブルは了解! と言わんばかりに元気よく敬礼のポーズをした。非常に可愛らしい、、、。


「って、ホッコリしている場合じゃなかったかな、では、視界に入った魔物を片っ端から倒していきましょう。あ、ライムとオニキスはペアで頼むね。」


「まかせてー!」「ピー!」


 他のメンバーがマンイーターに向かって行ったのを確認して、私は凍らせたままの状態になっていたマンイーターにトドメを刺すべく、オニジョロウをしまって、グラムを取りだし、叩きつけた。凍ったマンイーターはバラバラに砕け散った。氷を解除すると、蔓や茎や根となっていた部分は一気に消え去った。ありゃ、これは食べられないな。ってかお供えすらできねぇよ!!


 少しは素材を落としてもいいだろうに、とか思っていたら、丸い玉が残っていた。恐らく魔石か何かだろうか。これは回収しておきましょう。


 メンバーはもう倒し終えたのか、同じように丸い玉を持っていた。周りに気配探知をかけたけど、どうやら全て倒しきったようだ。


 それでは、洞窟に戻って報告とまいりましょうかね。

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ロック「何じゃ、この美味さは!?」

ガンド「向こうに住めば、これが食べられるということか、、、。」

ボーラ「ここに住む必要なくね?」

奥様達「「「・・・(こくこく)。」」」

子供達「「猫ちゃんと、ウサちゃん、スライムさんもみんか可愛かった!!」」
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