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第162話 さてと、腹ごしらえは大切ですね。

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前回のあらすじ:日々楽しく過ごしていたので、使者が来ること忘れてました。




 テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン。さて、お目覚めの時間か。で、今日はコカトリスも無事参加できたみたいだね。いつものように、マーブル達を順番にギュッとして、モフモフを堪能。コカトリスからも、いつもの産みたて卵を受け取って、お礼のモフモフなでなでをしてから、コカトリスさん退場。


 水術で顔を洗ってさっぱりしてから、朝食の準備を始める。といっても、今日の朝食はアンジェリカさん達がうどんを用意してくるとのことだったので、その準備である。というのも、アンジェリカさん達から、新しいうどんのメニューを教えて欲しいと言われたので、その要望に応える形である。


 ちなみに、うどんは戦姫効果もあってか、日々新たなレシピが作られており、こちらも提案できるメニューはあるにはあるのだけど、鰹節や昆布が手に入らない現状、あまり多くはないのが実情である。そんな中、一応提案できそうなものがあったので、今回はそれを用意する。このメニューは材料が少ないので、準備といってもあまり時間も手間もかかっていないのだけど。マーブル達も私があまり動いていなかったのが不思議のようだったけど、ちょっと待っててね。


「アイスさん、マーブルちゃん、ジェミニちゃん、ライムちゃん、ご機嫌よう!!」


「アイスさん、みんな、お早う!」


「ウサちゃん達、アイスさん、おはよう、、、。」


 戦姫の3人が登場。マーブル達も戦姫の3人に挨拶を返していた。


「アンジェリカさん、セイラさん、ルカさん、お早うございます。早速で申し訳ありませんが、用意していたうどんを出して頂けますか?」


「構いませんわよ。ワタクシ達もお腹が空いておりますので、今日の朝食は非常に気になりましてよ。」


 そう言うと、3人はそれぞれうどんのタネを渡してくれた。面白いのは、どれも完成度が高いのは言うまでもないが、それぞれの性格が出ているのだ。


 アンジェリカさんのタネは、ガッツリとこねているみたいで、硬くてコシがかなり強く、ルカさんのタネはコシは比較的弱いが、仕上げが丁寧で、完成したら口上がりが素晴らしいものになるだろうし、セイラさんのタネは、2人のタネを足して2で割ったような感じである。正直、私がうったタネよりいい仕上がりになっていると思う。聞くと、ほぼ毎日うつのが日課となっているそうなので、この出来上がりも納得である。いくら普段料理しているとはいえ、そりゃ、追い抜かれるでしょ、って感じだ。


「アイスさん、希望通り、タネの状態でお持ちしましたけど、本当によかったのですか?」


「もちろんです。このメニューは茹でたて、というのが大事で、茹でて水を切ったら完成となりますので、すぐに食べられますので、まあ、見ていて下さい。」


 受け取ったタネを、打ち粉をした作業台の上に乗せていき、麺棒でのばして形にしてそれぞれ切っていく。麺用の包丁は最近、ロックさんに作ってもらったので、非常に使い勝手がいいものだ。素材はもちろんミスリル製のチートである。戦姫がそれぞれ用意してくれたタネはほぼ10玉分くらいの量があったので、丁度良かった。


 それぞれ生麺の状態になったところで、麺を投入。アンジェリカさん作、セイラさん作、ルカさん作の順番でそれぞれ沸かしておいた鍋に投入。順番は茹で上がりに時間の掛かる順である。まとめて投入してもよかったけど、それだと茹で上がりにムラが出てしまうのだ。アンジェリカさんに聞かれたので、そう答えると、3人は感心した感じで頷いていた。


 茹でている間に、マーブル達が動いていた。もちろん、こっちがお願いして動いてもらったんだけどね。マーブル達はお手伝いできるのが嬉しいらしく喜んで手伝ってくれる。ライムがテーブルをキレイにし、マーブルとジェミニで今回必要な食器をそれぞれ用意し、それをテーブルに置く。用意が完了したら、3人でそれぞれの場所に食器や皿などを配置していった。見事な連携と手際はもちろん、3人の可愛らしさに撃沈しそうになりながらも、辛うじて耐える。撃沈してしまうと茹ですぎて麺がのびてしまうからねぇ、、、。


 配膳の準備が終わった頃に、茹で上がりの兆しが見えてきたので、そっちの準備をする。茹で上がりはルカさん、セイラさん、アンジェリカさんの順になっており、それぞれ順番に茹で上がったうどんの水を切ってから、それぞれの大皿、いや、サラダ用のお椀に入れていく。仕上げをする前に、全員にそれぞれの場所に座ってもらってから、頂きますの挨拶をして、最終準備にとりかかる。


 そう、今回の朝食はズバリ釜玉である。本来は卵黄と卵白を分ける必要があるけど、コカトリスの卵は何故か知らないけど分けられないので、全卵でいく。しるけんで取った出汁をかけてから、醤油も回しかけてからコカトリスの卵を割って、かき混ぜて完成。


「アイスさん、これで完成ですか?」


「はい、これで完成です。本来であれば、1人ずつ用意するべきなんでしょうが、今回はコカトリスの卵を使用しておりますので、こういう形になっております。」


「いえ、向こうは向こう、こちらはこちらでよろしいのではなくて?」


「ハハッ、仰るとおりですね。」


「ところで、うどんが大きく3つに別れておりますが、これは意味があるんですの?」


「もちろんです。それぞれ3人が用意してくれたうどんになっております。どれもいい出来ですが、微妙に差がありますので、その差を楽しんでくれたら、と思って、このように分けました。」


「なるほど! ワタクシ達には違いはわからないかも知れませんけどね、フフッ。」


「それなら、それでいいではありませんか。どれも美味いのは間違いないでしょうし。」


 ということで、頂きましたよ。結論から言うと、非常に美味しゅうございましたね。正直、釜玉うどんってそれほど好きでもなかったんですけどね、これは好きになりそうですよ。マーブル達も嬉しそうに食べていたしね。もちろん、戦姫の3人も、オニキスも嬉しそうに食べておりましたよ。30玉分のうどんがあっという間になくなったのは驚きだったけど。


「ところでアイスさん、今日はアバロン帝国から使者がくるそうですわね。」


「そうですね。ガブリエル達からそう聞いております。丁度昼食前辺りだそうですね。」


「なるほど。それで、ワタクシ達も何か協力できることはありますの?」


「アンジェリカさん達が協力? それは非常にありがたいのですが、よろしいので?」


「もちろんですわ! 今のタンヌ王国は、トリトン帝国と一心同体といっても過言ではありませんから。ちなみに、お父様にも許可は取ってありますのよ。恐らく、いえ、ほぼ間違いなくトリトン陛下とお父様とで話はついていると思いますの。」


「そこまで話が行っているのかな、いや、アイン達なら、陛下や、リトン公爵にも報告を出しているだろうし、あの2人ならそこまで話が行っててもおかしくないか。」


「アイスさんはどうなさるおつもりですの?」


「一応、堂々と国を代表する使者として来るのか、ひそかにここに来る使者なのかで対応を変えるつもりです。とはいえ、どちらも断ること前提ですけどね。まあ、陛下やリトン公爵は私が断ること前提で理解していると思いますよ。」


「なるほど。としますと、お父様もそのつもりで対応なさるかも知れませんね。けど、相手は大国ですが大丈夫ですの?」


「大丈夫ですよ。向こうの情報については、ガブリエル隊のみんながいい仕事してくれているようなので。」


「疑うわけではないのですが、そこまで諜報部隊を信用なさっても大丈夫ですの?」


「信用云々ではなく、与えられたものをいかに使うかですね。どちらにせよ、私に届く情報はアインとラヒラスが精査してから届けてくれますので。仮にアインとラヒラスが裏切っていたら、こちらはどうしようもないですし。まあ、あの2人についてはそんなことはないですね。」


「なるほど、確かにそうですわね。それで、アバロン帝国の内情はどうなっておりますの?」


「そうですね、時間に余裕があるわけでもないですし、かいつまんで説明しましょうか。」


「時間に余裕がない? どういうことですの?」


「はい、アンジェリカさんには、久しぶりにアンジェリーナ王女殿下に戻って頂きますので。」


「えっ? アイスさんは、ここに来てまで、あの面倒な服を着ろと、そう、仰いますの?」


「ええ、そう、仰います。というのも、向こうがタンヌ王国と既に交渉が済んでいるかのように話してくる可能性が無きにしも非ずです。それを否定するのに、戦姫のアンジェリカさんと、タンヌ王国のアンジェリーナ王女殿下、どちらに説得力があると思いますか?」


「・・・そうだろうと思っておりましたわ。ええ、ええ、承知しましたわ! あの服でもメイド服でも何でも来いってものですわ!!」


「アンジェリカさん、落ち着いて。まあ、そういうことですので、お願いしますね。セイラさんとルカさんも今回は戦姫ではなく、アンジェリーナ王女殿下の侍女としてお願いできると助かります。」


「もちろん了解だよ。でも、これってアイスさんが考えたことじゃないよね?」


「セイラさんわかります? 当然これは私ではなく、ラヒラスの考えですね。」


「やっぱり。アイスさんだったら、王女殿下ではなくて、戦姫のリーダーとして何かお願いするだろうし、むしろお願いしないと思う。」


「あ、バレてます?」


「王女殿下じゃないけど、私達だって、同じように長い付き合いがあるからね。」


「ハハッ、確かにそれもそうですね。ルカさんもそれでいいですか?」


「わかった、、、。・・・それにしても、ラヒラス、恐ろしい子、、、。」


 3人の許可をもらったことで、基本的な対応と、アバロン帝国の内情について説明した。


 アバロン帝国は500年くらいの歴史があり、代々他国を攻めることにより領土を拡大している。拡大した領地は基本的に皇帝直轄の地となるため、どのような地となるかは、その時の皇帝によりけりである。そんな国情なので、帝都といくつかの都市についてはかなり発展しており、流石は巨大帝国といえるものらしいが、それ以外の都市に関してはさほどでもなく、半分以上が貧しいものとなっているようだ。全てが直轄領というわけでもなく、属領というものも存在しており、帝国に降伏した国がそんな扱いを受けているそう。


 また、直轄領には帝都から派遣された代官がしは、いや、治めているそうで、その代官には基本的には帝国貴族が就いているようだが、ほとんど名目だけで、実際にしは、いや、治めているのはその貴族が派遣した者が行っているそうだ。属領は降伏した国王が領主として就いているようだが、実際には補助という名目で帝国から派遣された者が領土経営をする、つまり傀儡というやつである。


 そんな状況なので、帝都といくつかの都市を除けば、発展しているどころか、クソ貧しい地域となっているのは想像に難くない。言い換えると、領土の大半は、フロスト領が出来上がる前のトリトン帝国と遜色ないものといえる。そのトリトン帝国は現在、リトン公爵が主導となって各地を開発しているので、タンヌ王国とメルヘン王国くらいしか国境を接していないのもあり、恐ろしい勢いで発展しているようだ。(その発展はフロスト領が起点となっているのはアイス自身も知らない、というか知ろうともしていない。)


 そういう国なので、次の狙いはサムタン公国であるのは間違いなく、向こうの打ってくる手が、サムタン公国への援軍という名の先兵か、サムタン公国を滅ぼした後の内部工作か、と大きく2つに別れる。結局はこちらにもちょっかいを出してくることに違いはなく、面倒なことに変わりはないので、どちらにしろ断るという選択肢しかないのだ。トリトン陛下もリトン公爵も、それを理解しているから、こちらに全てを任せると伝えているのである。


 ちなみに、国の使者として堂々と来るのか、密かに使者として来るのか2種類用意しているのは、実際に来る使者がどちらにするか決めかねている状況だからだ。というのも、アバロン帝国側でも、こちらの状況を探るべく密偵や冒険者などをフロスト領へと送っているが、冒険者はともかく、密偵はすでにこちら側でことごとく始末しているため、情報が向こうへと入っていないのだ。偽情報をつかませることも考えたけど、情報すら与えない方が楽なので、そっちを採用している。諜報員は基本的にはガブリエル隊が始末しているが、そのガブリエル隊が把握できないほどの凄腕が来た場合には、マーブル達によって始末されているらしい。


 マーブル達は基本、あまり眠らないので、私が寝付くと自由行動となり、レオ率いるウサギ族やコカトリス達、あるいは、恵みのダンジョンにいる豆柴(合体してケルベロス、オルトロスになってしまうヤバい存在)達と遊びつつ、そういった者達を探知したときに、ガブリエル隊で対応できればそれに任せ、無理そうなら自分たちで始末しているそうだ。


 同じ魔物でも、ゴブリン達はというと、生活リズムが基本、私達と同じであるため、そういった行動はとらないようだ。とはいえ、一応、起こったことはカムドさんやエーリッヒさん、エルヴィンさん、ハインツさん達にしっかり報告しているらしい。


「なるほど。そこまで準備はできているのですね、、、。それにしても、マーブルちゃん達ってもの凄いですわね。マーブルちゃん達、そこまで頑張ってて大丈夫ですの? しっかりと休養しておりますの?」


「ミャア!」「キュウ!」「だいじょうぶー!」


 3人が問題ない、と言わんばかりに答えた。一応、ジェミニも「アイスさんと一緒の時は休んでいるから大丈夫です!」と答えているけど、残念ながら、アンジェリカさん達には、アマさんと一緒にいるときしか言葉が通じないようだ。


「ということで、もうすぐ使者が到着しますので、面倒だとは思いますけど、アンジェリカさん、セイラさん、ルカさん、準備の方をお願いしますね。」


「承知しましたわ。」


 渋々と3人は頷いた。3人とも、アレを着るの? いやだぁ、、、。という表情を隠すことなく浮かべていたけど、これって、私も窮屈な服を着ないといけない、ということでもあるんだよね、ハァ、メンドクセ。

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トリトン陛下「おい、オーグの。フロスト侯爵とは会わなくてもいいのか?」

タンヌ国王「トリトン殿、会うと面倒なことになりそうなので、会わない方がいいんだよ。」

トリトン陛下「そうなのか!?」

タンヌ国王「まあ、アンジェリーナから詳細は聞いているからな。」


こうしてちょこちょこ、フロスト領産の酒を酌み交わしつつ行われている会談の一幕
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