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「くそっ!どこに行った!」
息を荒げ、額に汗を流す警官の一人が忌々しげに言葉を吐き捨てる。
先ほど逃げた少年を追いかけて、全力で走り続けた二人はある薄暗い路地裏までやってきた。
先ほどまでいた賑やかな街並みと違い、光が差さないせいか肌にひんやりとした冷気と気味の悪い静けさが漂い、ゴミが床に散乱しているせいか異臭までする。
警官はよほど路地裏の異臭が耐えられないのか、腕で顔を覆い。あからさまに顔を顰めた。
「汚い…。スラム街はなんでいつもこうなんだ」
「本当ですよ、いくら探しても見つからない…。くそっ、ただでさえ別件で忙しいっていうのに」
警官の一人が舌打ちまじりにそう告げる。
すると、路地裏の奥にある人影が視界に入った。
大きめなボロいローブを身に纏ったその人物は顔は見えないものの。ローブからはみでた白い髭と縮こまった弱々しい姿から老人に思える。
壁に寄りかかり、ゴミに囲まれた汚い床に座る人物に警官が近づいた。
「おい、そこのジジィ。ここに褐色肌で手に赤い手提げ鞄を持った薄汚い小僧を見なかったか?」
「…おぉ、これは警官殿。こんなところにお目にかかれるとは珍しい」
男はしゃがれた声でそう応えると、弱々しい動作で両手を合わせ。警官に向かって拝み始めた。
「まさかこんな日が来るなんて。ありがたや、ありがたや…」
「質問したことだけに答えろ。さもないと、お前を共犯として捕らえるぞ!」
警官は老人に厳しい眼差しを向け、鋭い言葉を吐き捨てる。
それに臆したのか、老人は「ひぇっ」と小さく悲鳴をあげて、更に身を縮こまらせた。
「も、申し訳ございません。褐色肌の小僧…。なに分目が悪いもんで、ここを通り過ぎたかどうかは…」
「本当か?隠しているなら、お前も罪に問われるぞ」
「か、隠すなんて滅相もない!どうか、わしを信じてくださいっ。牢獄だけは…」
冷めた眼差しで疑わしげに見る警官に老人は必死に弁明する。
すると、更に問い詰めようと口を開く警官にもう一人の警官が彼の肩に手を置いて静止の声を上げた。
「やめておけ。たとえ、こいつがあのコソ泥を見たとしても。これ以上はスラム街に入れない」
「ですが、ひったくられた鞄が…」
「残念だが、被害者の女性には諦めてもらうしかない。先ほども言ったように、我々は別件で忙しいんだ。コソ泥相手に割く時間はない」
そう言われて、警官は言葉を詰まらせる。だが、どこか納得がいかないと言わんばかりに、苦々しく顔を顰めると。吐き捨てるように呟いた。
「くそ、なんであんな馬鹿げた噂を優先しないといけないんだ」
「おい、言葉に気をつけろ。…まぁ、気持ちはわからなくはないが」
「…あの、もしやその噂って…」
老人は恐る恐る、警官に声をかける。
二人は厳しい眼差しを老人に向けるも。老人は言葉を続けた。
「最近、話題の『生き人形』の件のことでしょうか?」
息を荒げ、額に汗を流す警官の一人が忌々しげに言葉を吐き捨てる。
先ほど逃げた少年を追いかけて、全力で走り続けた二人はある薄暗い路地裏までやってきた。
先ほどまでいた賑やかな街並みと違い、光が差さないせいか肌にひんやりとした冷気と気味の悪い静けさが漂い、ゴミが床に散乱しているせいか異臭までする。
警官はよほど路地裏の異臭が耐えられないのか、腕で顔を覆い。あからさまに顔を顰めた。
「汚い…。スラム街はなんでいつもこうなんだ」
「本当ですよ、いくら探しても見つからない…。くそっ、ただでさえ別件で忙しいっていうのに」
警官の一人が舌打ちまじりにそう告げる。
すると、路地裏の奥にある人影が視界に入った。
大きめなボロいローブを身に纏ったその人物は顔は見えないものの。ローブからはみでた白い髭と縮こまった弱々しい姿から老人に思える。
壁に寄りかかり、ゴミに囲まれた汚い床に座る人物に警官が近づいた。
「おい、そこのジジィ。ここに褐色肌で手に赤い手提げ鞄を持った薄汚い小僧を見なかったか?」
「…おぉ、これは警官殿。こんなところにお目にかかれるとは珍しい」
男はしゃがれた声でそう応えると、弱々しい動作で両手を合わせ。警官に向かって拝み始めた。
「まさかこんな日が来るなんて。ありがたや、ありがたや…」
「質問したことだけに答えろ。さもないと、お前を共犯として捕らえるぞ!」
警官は老人に厳しい眼差しを向け、鋭い言葉を吐き捨てる。
それに臆したのか、老人は「ひぇっ」と小さく悲鳴をあげて、更に身を縮こまらせた。
「も、申し訳ございません。褐色肌の小僧…。なに分目が悪いもんで、ここを通り過ぎたかどうかは…」
「本当か?隠しているなら、お前も罪に問われるぞ」
「か、隠すなんて滅相もない!どうか、わしを信じてくださいっ。牢獄だけは…」
冷めた眼差しで疑わしげに見る警官に老人は必死に弁明する。
すると、更に問い詰めようと口を開く警官にもう一人の警官が彼の肩に手を置いて静止の声を上げた。
「やめておけ。たとえ、こいつがあのコソ泥を見たとしても。これ以上はスラム街に入れない」
「ですが、ひったくられた鞄が…」
「残念だが、被害者の女性には諦めてもらうしかない。先ほども言ったように、我々は別件で忙しいんだ。コソ泥相手に割く時間はない」
そう言われて、警官は言葉を詰まらせる。だが、どこか納得がいかないと言わんばかりに、苦々しく顔を顰めると。吐き捨てるように呟いた。
「くそ、なんであんな馬鹿げた噂を優先しないといけないんだ」
「おい、言葉に気をつけろ。…まぁ、気持ちはわからなくはないが」
「…あの、もしやその噂って…」
老人は恐る恐る、警官に声をかける。
二人は厳しい眼差しを老人に向けるも。老人は言葉を続けた。
「最近、話題の『生き人形』の件のことでしょうか?」
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