異世界初? のスーパー銭湯もとい『娯楽施設スケルトン』開業です!!

ありぽん

文字の大きさ
17 / 78

17話 モグー叩きにハマった師匠

しおりを挟む
 6階に上がると直ぐに玄関になっているわけじゃなくて。何か作業をできるよう、ちょっとしたスペースがあって、その先が玄関になっているんだけど。
 そのちょっとしたスペースの所に。スノーベアーを半分くらいにした、それでも大きなスノーベアーのぬいぐるみを持った師匠が立っていた。

 ちなみにスノーベアーとは、ツキノワグマを2倍くらいにした、白が強目の青色をしたクマみたいな魔獣だ。だから半分くらいの大きさのスノーベアーのぬいぐるみでも、かなりの大きさなんだよ。しかもこれ、施設の景品じゃないか?

『師匠!! いつからここに!? 連絡をくれれば、俺が師匠の所へ行ったのに」

「なに、わしもさっきまで遊んでおったんじゃよ。今日はお客がいつもよりも少なかったからの。いろいろと遊んで回れたわい。それにこの時間だと、そろそろお主達が戻ってくると思っての。じゃからここで待たせて貰ったんじゃ。ほれ、リル。これをお主にやろう。モグー叩きで、今日の記録を更新したんじゃよ」

『大っきいぬいぐるみ!! おじいちゃん、ありがとう!!』

『すみません、いただいちゃって』

「なに、わしには必要ない物じゃからな。それに家にもう何個もあるからの」

『何個も? ぬいぐるみがですか? 大人用の景品はありませんでしたか?』

「記録更新し過ぎて、景品がまだ届いていないようじゃ。それに最近どうも、ぬいぐるみを集める事にハマっておってな。じゃが、このぬいぐるみはもう持っておるから、リルにプレゼントじゃ」

『記録更新のし過ぎって、どれだけ更新しているんですか?』

「最近はあの遊びにハマっておるな。はははははっ!」

「……そうなんですね。すみません、すぐに開けます!」

 俺はすぐにドアを開け、客室に師匠を通そうと思った。だけど今日、師匠は俺にマッサージを受けに来たらしく。その理由が今話していた、最近ハマっている遊びのやり過ぎで、肩と腕が疲れた、という理由らしい。

 今日、午後の仕事に戻る時に、チラッと遊戯場を見た時、ある遊具の前に人盛りができていて。何かと思って近づいて見てみれば。その中心には師匠の姿が。そして見ている人達からは。

『あのお爺さん凄いな。何度やってもミスが数回だぞ』

『あれだけ長く続けていて、腕は大丈夫なのか?』

『さすが大賢者だ』

『あの景品の数が物語っているよな。いやぁ、さすがだ』

 という声が。たぶん、その時遊んでいた遊具で、遊び過ぎたんだろう。

『師匠、モグー叩きですか?』

「うむ、あれは実に面白いのう」

 やっぱりか。モグー叩き。この世界に住んでいる、モグーというモグラに似ている魔獣がいるんだけど。モグラ叩きってあるだろう? それのモグーバージョンのモグー叩きが、遊技場にあるんだ。係員が魔法を使い、ランダムでモグーを操作し、点数によって景品が貰える。

 遊技場には他にもたくさんの遊具があって、必ず景品が貰えるようになっていてる。子供も大人も、どの種族も楽しめるように、様々な種類の景品を用意してあるぞ。子供ならおもちゃやぬいぐるみにお菓子、大人ならお酒とか日用品とかな。

 それで師匠は最近、モグー叩きにハマっているらしく。ここ最近の記録更新は、全て師匠が叩き出していると。そしてその景品として、最初はお酒をもらっていたけれど。
 あまりの記録更新の頻度に、お酒の景品の補充が間に合わず。代わりにぬいぐるみを貰っていたら、そのままぬいぐるみ集めにハマったと。

 だけど今回は、同じぬいぐるみだったため、リルに巨大ぬいぐるみを持ってきてくれたらしい。お酒を早具補充しないと。

 と、それは良いとして。いや景品がないのはダメだけど。大賢者がモグー叩きにハマってる? 師匠が遊ぶ時は、力を使わないようにしている。本気になればなんでもできちゃうからな。普通の他の人に合わせて遊んでいるんだ。

 そんな師匠が、力を使わずに、真剣にモグー叩きをしている姿を考えると、どうにも違和感しかない。しかもそれで肩と腕を疲れさせるって。どれだけハマっているんだか。お客さんに言われた言葉だって。モグー叩きで、さすが大賢者だって。それ、どうなんだ?

 俺はリルに先にご飯を食べているように言い、すぐにベッドを用意して、師匠のマッサージを始める。

 俺はマッサージを習い始めてから少しして、ある力を手に入れた。何故かお客さんのこっている箇所や、痛めている場所が分かるようになったんだ。

 もしかしたら、ご飯石を見分けられるようになったことや、凄い魔力を備わったことと、同じような感じかもしれない。衝撃により、いろいろな力を備わったついでに、この力も授かれたのかも。俺にとっては最高の力だ。

 その力で師匠を診てみると、師匠が言った通り、腕と肩が、オレンジに染まって見えた。症状は軽い方から薄いオレンジに始まり、だんだんと濃くなっていって、最終的には真っ赤に見える。

 今回はそこまで濃いオレンジには見えなかったけれど、ここまで疲れさせるって、本当にどれだけモグー叩きをしていたのか。

『師匠、どうでしょうか?』

「うむ。更に腕を上げたようじゃの。わしが言ったように、しっかりと努力を続けておるようじゃな。とても気持ちが良いぞ」

『ありがとうございます!!』

「このまま励むのじゃぞ」

『はい!!』

「それとのう、今日お主の所へ来たのは、何も遊んだついでではないのじゃ。情報があるんじゃよ」

『情報?』

「ケシーが目撃されたのじゃ」

『ケシーさんが!?』
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

帰還勇者の盲愛生活〜異世界で失った仲間たちが現代で蘇り、俺を甘やかしてくる~

キョウキョウ
ファンタジー
普通の会社員だった佐藤隼人(さとうはやと)は、ある日突然異世界に招かれる。 異世界で勇者として10年間を旅して過ごしながら魔王との戦いに決着をつけた隼人。 役目を終えて、彼は異世界に旅立った直後の現代に戻ってきた。 隼人の意識では10年間という月日が流れていたが、こちらでは一瞬の出来事だった。 戻ってきたと実感した直後、彼の体に激痛が走る。 異世界での経験と成長が現代の体に統合される過程で、隼人は1ヶ月間寝込むことに。 まるで生まれ変わるかのような激しい体の変化が続き、思うように動けなくなった。 ようやく落ち着いた頃には無断欠勤により会社をクビになり、それを知った恋人から別れを告げられる。 それでも隼人は現代に戻ってきて、生きられることに感謝する。 次の仕事を見つけて、新しい生活を始めようと前向きになった矢先、とある人物が部屋を訪ねてくる。 その人物とは、異世界で戦友だった者の名を口にする女子高生だった。 「ハヤト様。私たちの世界を救ってくれて、本当にありがとう。今度は、私たちがあなたのことを幸せにします!」 ※カクヨムにも掲載中です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...