11 / 27
step3 勃発!ハムスターDV論争!
ぴゅあぴゅあいちごを探して三千里
しおりを挟む
詳しい事情は知らないが、少しでも情を抱いてしまったのがいけなかったか。
元はと言えば、知り合ってまだ数日しか経っていないただの赤の他人なのだ。
能天気な奴に勝手に無害な奴だと油断していたのかもしれない。
家賃滞納で追い出されたって位だから、金に困っていたんだろう。
それなのに、財布をリビングのテーブルの上に置きっぱなしにしとくなんて迂闊だった。
だけど俺だって最初からまるっきり、警戒していなかった訳ではない。
リビングに財布を置きっぱなしにするなんてことも今回が初めてだったと思う。
……それがこんなことになるなんて。
きっと無意識のうちに気を許し始めていたのかもしれない。
いつも屈託ない笑顔で出迎えてくれるあいつに。
リビングのソファーに座れば、いつの間にか隣にひっついてくるあいつに。
人懐っこくて、何度その手を振り払ってもしつこくひっついてこようとするあいつに、俺はいつのまにか振り払うのを止めていた。
しぶとい奴に諦めたっていうのもあったが、単純に天真爛漫で毒気のないあいつの隣が、少し心地いいと思い始めていた。
そんな風に、確かに少しずつ情が湧き始めていた。
あんなにうざったいと思っていたのに。
その日、深夜過ぎた頃静かに玄関のドアが閉まる音がした。
あいつが、おそらくあの巨大なスーツケースを持って出て行ったのだろうと、ぼんやりベッドの中でそう思った。
……心配することなんかない。
あいつだってもうしっかり成人してるんだ。
ここらは治安のいい方だし、駅前まで出れば漫画喫茶だってビジネスホテルだってある。
……だけど、ちょっと酷だったか。
せめて次の住む場所見つけるまで、置いてやるべきだったか。
いや、でも。
これ位厳しくしないと、戻ってきてもあいつは甘えてまたつけあがるだけじゃないか。
だからと言ってこんな時間に若い女一人外をふらつくのは危なかろうか。
やっぱり迎えに行ってやろうか。
成人してるとはいえ、あいつの頭の中はまだまだお子様だ。
朝までどうやって過ごすつもりなのだろうか。
それとも頼るつてでもあるのだろうか。
どうしようか、変な奴に誘拐でもされていたら……っ
いてもたってもいられず携帯電話に手を伸ばしたのは、1時過ぎた頃だった。
しかし……
『おかけになった電話番号は、現在電波の届かない……』
……なんだそれ、
まさか携帯忘れて行ったんじゃ、と部屋に入るとそこに携帯は見当たらなかったがコンセントに刺さったままの充電器を発見した。
がくっと打項垂れる。
なんで肝心の充電器忘れていくんだよ。
しかし困ったな、これじゃ携帯で連絡取れないってことか……。
何か手がかりを、と部屋を見渡すと何やらファンシーな名刺を1枚見つけた。
「……ぴゅあぴゅあ?いちご?」
メイド喫茶 ぴゅあぴゅあ
いちご
よろしくおねがいします
ご主人さま♡
奴の部屋で見つけた名刺を、その手の話に詳しそうな後輩の水嶋に聞いた。
「メイド喫茶、ぴゅあぴゅあ?」
「あぁ、知らねぇか?」
「お店の名前は知ってますけど、いちごちゃんは知らないなー。何すか?この子彼女かなんかっすか?」
「まさか」
「……つか、それよりも先輩すっげー顔っすよ。どうしたんすか?」
あまりの死相に、触れようか触れまいか迷いましたが、と付け足す水嶋。
どうしたもこうもない。
結局昨日は眠れず、1人もんもんと夜を明かすはめになったのだ。
おかげでいつにも増して、俺の顔はげっそりとひどいことに……。
「それよりも、お前さ今日仕事終わった後暇?」
「今日っすか?今日は合コ「そうか、そうか暇なんだな。え、何?ぴゅあぴゅあに行きたいって?」
「え、ちょ、せ、先輩?」
「しょうがねーな、付き合ってやるよ」
「たく、そんな誘い方ありますか」
強引な俺の誘いに苦笑しながらも了承してくれた。
良かった、日頃こいつのこと色々面倒みておいて。
元はと言えば、知り合ってまだ数日しか経っていないただの赤の他人なのだ。
能天気な奴に勝手に無害な奴だと油断していたのかもしれない。
家賃滞納で追い出されたって位だから、金に困っていたんだろう。
それなのに、財布をリビングのテーブルの上に置きっぱなしにしとくなんて迂闊だった。
だけど俺だって最初からまるっきり、警戒していなかった訳ではない。
リビングに財布を置きっぱなしにするなんてことも今回が初めてだったと思う。
……それがこんなことになるなんて。
きっと無意識のうちに気を許し始めていたのかもしれない。
いつも屈託ない笑顔で出迎えてくれるあいつに。
リビングのソファーに座れば、いつの間にか隣にひっついてくるあいつに。
人懐っこくて、何度その手を振り払ってもしつこくひっついてこようとするあいつに、俺はいつのまにか振り払うのを止めていた。
しぶとい奴に諦めたっていうのもあったが、単純に天真爛漫で毒気のないあいつの隣が、少し心地いいと思い始めていた。
そんな風に、確かに少しずつ情が湧き始めていた。
あんなにうざったいと思っていたのに。
その日、深夜過ぎた頃静かに玄関のドアが閉まる音がした。
あいつが、おそらくあの巨大なスーツケースを持って出て行ったのだろうと、ぼんやりベッドの中でそう思った。
……心配することなんかない。
あいつだってもうしっかり成人してるんだ。
ここらは治安のいい方だし、駅前まで出れば漫画喫茶だってビジネスホテルだってある。
……だけど、ちょっと酷だったか。
せめて次の住む場所見つけるまで、置いてやるべきだったか。
いや、でも。
これ位厳しくしないと、戻ってきてもあいつは甘えてまたつけあがるだけじゃないか。
だからと言ってこんな時間に若い女一人外をふらつくのは危なかろうか。
やっぱり迎えに行ってやろうか。
成人してるとはいえ、あいつの頭の中はまだまだお子様だ。
朝までどうやって過ごすつもりなのだろうか。
それとも頼るつてでもあるのだろうか。
どうしようか、変な奴に誘拐でもされていたら……っ
いてもたってもいられず携帯電話に手を伸ばしたのは、1時過ぎた頃だった。
しかし……
『おかけになった電話番号は、現在電波の届かない……』
……なんだそれ、
まさか携帯忘れて行ったんじゃ、と部屋に入るとそこに携帯は見当たらなかったがコンセントに刺さったままの充電器を発見した。
がくっと打項垂れる。
なんで肝心の充電器忘れていくんだよ。
しかし困ったな、これじゃ携帯で連絡取れないってことか……。
何か手がかりを、と部屋を見渡すと何やらファンシーな名刺を1枚見つけた。
「……ぴゅあぴゅあ?いちご?」
メイド喫茶 ぴゅあぴゅあ
いちご
よろしくおねがいします
ご主人さま♡
奴の部屋で見つけた名刺を、その手の話に詳しそうな後輩の水嶋に聞いた。
「メイド喫茶、ぴゅあぴゅあ?」
「あぁ、知らねぇか?」
「お店の名前は知ってますけど、いちごちゃんは知らないなー。何すか?この子彼女かなんかっすか?」
「まさか」
「……つか、それよりも先輩すっげー顔っすよ。どうしたんすか?」
あまりの死相に、触れようか触れまいか迷いましたが、と付け足す水嶋。
どうしたもこうもない。
結局昨日は眠れず、1人もんもんと夜を明かすはめになったのだ。
おかげでいつにも増して、俺の顔はげっそりとひどいことに……。
「それよりも、お前さ今日仕事終わった後暇?」
「今日っすか?今日は合コ「そうか、そうか暇なんだな。え、何?ぴゅあぴゅあに行きたいって?」
「え、ちょ、せ、先輩?」
「しょうがねーな、付き合ってやるよ」
「たく、そんな誘い方ありますか」
強引な俺の誘いに苦笑しながらも了承してくれた。
良かった、日頃こいつのこと色々面倒みておいて。
0
あなたにおすすめの小説
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ヤンデレ男子の告白を断ってから毎日家の前で待ち伏せされるようになった話
チハヤ
恋愛
「告白の返事を撤回してくれるまで帰らない」と付きまとわれても迷惑なので今日こそ跳ねのけようと思います――。
ヤンデレ男子×他に好きな人がいるヒロインのとある冬の日の出来事。
メリバです。
迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる
九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。
※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる