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step5 ゴジラ、襲来
ちちんぷいぷい!ルリルリちゃん爆誕
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「ほ、ほら言動に気を付けて」
「早速、ルリルリちゃんの衣装来てもらおうかな」
そのいかがわしい衣装をお披露目される前に、一刻も早くこの場をあとにしなければならない。そんな中水嶋から解放された仁菜こそっと、
「彰人さんも一緒に泊まって」
と懇願される。いくら子犬に同情しながらもそこまでは面倒見れず即答する。
「やだよ」
「だって襲われたらどうしよう。仁菜の貞操の危機が迫っている」
と、きゅっと胸の前で両手を握る仁菜。そんな仁菜の両肩に手を置いて諭した。
「……それは大丈夫。水嶋にも選ぶ権利はある」
「どういう意味ですか、彰人さん」
ムっとした仁菜に、水嶋が再登場する前に姿をくらますべく、仁菜の目の前だろうがお構いなしに、携帯を片手に大声で水嶋に聞こえるように、さる芝居に出る。
「あ!病院からだ、なんだろう、こんな時間に!」
「えっ、今電話鳴ってない!なんでそんな演技するのっ」
そう言って、ゆさゆさ俺の体をゆする仁菜。それを完全にスルーしてさる芝居を続ける。
「えぇっ!?今日手術した患者が急変した!?それは大変だ!今すぐ向かう!」
「彰人さんのばかーっ、人でなしー、ゲス野郎ーっ」
ゆさゆさ揺すりながら、俺の悪口を言う仁菜に、聞き捨てならず
「あ?」
と一瞬、怒りを露わにすると、今度は泣き落としにかかってきた。
「うっ、ばか、ばか、ばかー、お願い、行かないでーっ」
そう言って汚い顔をおしつけられそうになるが、それも華麗にスルー。急いで家を出て行こうとする俺に、水嶋も顔を出した。
「先輩、病院からの呼び出しですか?しょうがないですね、今度生ルリルリの恰好見に来てください。あとで写真送りますから」
「あぁ、病院からじゃしょうがない。ルリルリの恰好楽しみにしてるよ。それじゃ、水嶋、仁菜のこと頼んだぞ!くれぐれもお手柔らかになっ、じゃっ!」
「彰人さんのばかーっ」
逃げるようにマンションから出て、車までたどり着くと仁菜の悲鳴が聞こえたような気がした。
後ろ髪ひかれるような思いとはこのことだろうか、少し騙したようで仁菜に罪悪感を感じながらも、しかし車のアクセルを踏む足には力が入る。ここで足止めされてはいかん、携帯の電源を切って即刻立ち去らなくては。
仁菜には本当に悪いことをしたと思っている。だけど正直、逸る胸を抑えきれない。ふふふ、これで厄介者払いできた、と。確かにさっきまで仁菜に対して哀れみを感じていた、だけどやっと優雅な一人暮らしに戻れると思ったら、高笑いが止まらなかった。
助けを求めるべく何度も彰人さんの携帯に電話するが、無情にも毎度感情のない電子的なお姉さんに繋がってしまう。
「あき、ひゃんっ、たしけて……っ」
助けを求めている間にも、変態は何やら怪しい呪文を唱え始めている。
「チチン、プププイっ、魔法のティーポッドをこすると~」
陽気に歌いながら私の服を脱がしにかかる。
「いやだー、犯されるー」
「出てくるのは~、ジャスミンティーの妖精~、ルリルリちゃーん」
「いやだぁーっ、この人おかしいよー。本物の変態だよーっ」
何度目かの電話でやっと彰人さんに繋がり、必死に助けを求めた。
「あっ!あき、ひゃん、助けて……っ!」
『何ぃっ、大量出血だと、大変だっ。早くOPE室の手配と、輸血の準備をっ!』
「……だれと、しゃべってんだよ、このばかっ、いっしょうのろってやる、おぼえてろよ、このやろう……っ」
『ははは、そんな悪態つけるなんて元気じゃないか。精々、変態同士仲良くしろよ』
「あ、あきひゃん、ごめ、ごめんなさい、見捨てないでっ!」
その後服をひんむかれ、無残にもルリルリの恰好をさせられた私。変態はというと、嬉しそうに高そうなカメラでそんな私の写真を何枚も撮っていた。
「……もう、こんなんじゃお嫁に行けない」
「ルリルリちゃーん、はいこっちだよー。にこって笑ってー」
「ルリルリじゃないっ、仁菜っ!」
「怒った顔も可愛いねー」
そう言って何度もシャッターを切っていく。
「……なんで彰人さん帰っちゃったの?そんなにあの人が大事?あんなにおっかないのに」
この期に及んでグズる私に、やっと変態の手が止まった。
「あぁ、涼香さん?」
「知ってるんですか?」
「まぁ、外科部長の娘さんだし。先輩から話聞いてるだけだけど」
「彰人さんは本当にあの人のこと好きなんですか?」
「うーん、好きじゃないんじゃない?」
「じゃあ、なんで?」
「前に俺も聞いたことあるけど、恋愛とか、結婚とかどうでも良いんだって。そういうのが破綻した家庭にいたからって。だから別に涼香さんでも良いって思ってんじゃない?」
「じゃ、仁菜でもいいじゃん」
「え?君?ダメでしょ?」
「なんで?」
「だって、君、彰人さんにとって手のかかる騒がしいペットって感じだし。心配はするけど、あの人基本面倒ごと嫌いでしょ?涼香さんだったら、外科部長の機嫌も取れるし、お互い仕事が忙しいから結婚してもすれ違いの生活になる。性格はどうあれ、一人が好きな先輩にはぴったりの相手」
「そんな……」
「あれ?落ち込んじゃった?」
「はい、今日は笑えそうにないので、また明日にしてください」
「分かった、また明日ね」
「あの、私の服、返してもらえませんか?」
「返したら出て行っちゃいそうだからだめー、これは人質だよ」
「えっこれで寝ろと?」
「僕の部屋着貸してあげるよ」
「はぁ」
そう言って渡された一枚のTシャツ。やっとルリルリの衣装から解放されてそのTシャツを着るが、私にはデカすぎて、ワンピースとまではいかないがチュニックのようになる。しかし、少し頭を下げるとパンツが見えそうで気が気じゃない。下のズボンを要求しようと、モジモジしながらリビングへ戻る。
「早速、ルリルリちゃんの衣装来てもらおうかな」
そのいかがわしい衣装をお披露目される前に、一刻も早くこの場をあとにしなければならない。そんな中水嶋から解放された仁菜こそっと、
「彰人さんも一緒に泊まって」
と懇願される。いくら子犬に同情しながらもそこまでは面倒見れず即答する。
「やだよ」
「だって襲われたらどうしよう。仁菜の貞操の危機が迫っている」
と、きゅっと胸の前で両手を握る仁菜。そんな仁菜の両肩に手を置いて諭した。
「……それは大丈夫。水嶋にも選ぶ権利はある」
「どういう意味ですか、彰人さん」
ムっとした仁菜に、水嶋が再登場する前に姿をくらますべく、仁菜の目の前だろうがお構いなしに、携帯を片手に大声で水嶋に聞こえるように、さる芝居に出る。
「あ!病院からだ、なんだろう、こんな時間に!」
「えっ、今電話鳴ってない!なんでそんな演技するのっ」
そう言って、ゆさゆさ俺の体をゆする仁菜。それを完全にスルーしてさる芝居を続ける。
「えぇっ!?今日手術した患者が急変した!?それは大変だ!今すぐ向かう!」
「彰人さんのばかーっ、人でなしー、ゲス野郎ーっ」
ゆさゆさ揺すりながら、俺の悪口を言う仁菜に、聞き捨てならず
「あ?」
と一瞬、怒りを露わにすると、今度は泣き落としにかかってきた。
「うっ、ばか、ばか、ばかー、お願い、行かないでーっ」
そう言って汚い顔をおしつけられそうになるが、それも華麗にスルー。急いで家を出て行こうとする俺に、水嶋も顔を出した。
「先輩、病院からの呼び出しですか?しょうがないですね、今度生ルリルリの恰好見に来てください。あとで写真送りますから」
「あぁ、病院からじゃしょうがない。ルリルリの恰好楽しみにしてるよ。それじゃ、水嶋、仁菜のこと頼んだぞ!くれぐれもお手柔らかになっ、じゃっ!」
「彰人さんのばかーっ」
逃げるようにマンションから出て、車までたどり着くと仁菜の悲鳴が聞こえたような気がした。
後ろ髪ひかれるような思いとはこのことだろうか、少し騙したようで仁菜に罪悪感を感じながらも、しかし車のアクセルを踏む足には力が入る。ここで足止めされてはいかん、携帯の電源を切って即刻立ち去らなくては。
仁菜には本当に悪いことをしたと思っている。だけど正直、逸る胸を抑えきれない。ふふふ、これで厄介者払いできた、と。確かにさっきまで仁菜に対して哀れみを感じていた、だけどやっと優雅な一人暮らしに戻れると思ったら、高笑いが止まらなかった。
助けを求めるべく何度も彰人さんの携帯に電話するが、無情にも毎度感情のない電子的なお姉さんに繋がってしまう。
「あき、ひゃんっ、たしけて……っ」
助けを求めている間にも、変態は何やら怪しい呪文を唱え始めている。
「チチン、プププイっ、魔法のティーポッドをこすると~」
陽気に歌いながら私の服を脱がしにかかる。
「いやだー、犯されるー」
「出てくるのは~、ジャスミンティーの妖精~、ルリルリちゃーん」
「いやだぁーっ、この人おかしいよー。本物の変態だよーっ」
何度目かの電話でやっと彰人さんに繋がり、必死に助けを求めた。
「あっ!あき、ひゃん、助けて……っ!」
『何ぃっ、大量出血だと、大変だっ。早くOPE室の手配と、輸血の準備をっ!』
「……だれと、しゃべってんだよ、このばかっ、いっしょうのろってやる、おぼえてろよ、このやろう……っ」
『ははは、そんな悪態つけるなんて元気じゃないか。精々、変態同士仲良くしろよ』
「あ、あきひゃん、ごめ、ごめんなさい、見捨てないでっ!」
その後服をひんむかれ、無残にもルリルリの恰好をさせられた私。変態はというと、嬉しそうに高そうなカメラでそんな私の写真を何枚も撮っていた。
「……もう、こんなんじゃお嫁に行けない」
「ルリルリちゃーん、はいこっちだよー。にこって笑ってー」
「ルリルリじゃないっ、仁菜っ!」
「怒った顔も可愛いねー」
そう言って何度もシャッターを切っていく。
「……なんで彰人さん帰っちゃったの?そんなにあの人が大事?あんなにおっかないのに」
この期に及んでグズる私に、やっと変態の手が止まった。
「あぁ、涼香さん?」
「知ってるんですか?」
「まぁ、外科部長の娘さんだし。先輩から話聞いてるだけだけど」
「彰人さんは本当にあの人のこと好きなんですか?」
「うーん、好きじゃないんじゃない?」
「じゃあ、なんで?」
「前に俺も聞いたことあるけど、恋愛とか、結婚とかどうでも良いんだって。そういうのが破綻した家庭にいたからって。だから別に涼香さんでも良いって思ってんじゃない?」
「じゃ、仁菜でもいいじゃん」
「え?君?ダメでしょ?」
「なんで?」
「だって、君、彰人さんにとって手のかかる騒がしいペットって感じだし。心配はするけど、あの人基本面倒ごと嫌いでしょ?涼香さんだったら、外科部長の機嫌も取れるし、お互い仕事が忙しいから結婚してもすれ違いの生活になる。性格はどうあれ、一人が好きな先輩にはぴったりの相手」
「そんな……」
「あれ?落ち込んじゃった?」
「はい、今日は笑えそうにないので、また明日にしてください」
「分かった、また明日ね」
「あの、私の服、返してもらえませんか?」
「返したら出て行っちゃいそうだからだめー、これは人質だよ」
「えっこれで寝ろと?」
「僕の部屋着貸してあげるよ」
「はぁ」
そう言って渡された一枚のTシャツ。やっとルリルリの衣装から解放されてそのTシャツを着るが、私にはデカすぎて、ワンピースとまではいかないがチュニックのようになる。しかし、少し頭を下げるとパンツが見えそうで気が気じゃない。下のズボンを要求しようと、モジモジしながらリビングへ戻る。
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