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38 弟シャルマンのひとりごと
しおりを挟むアカリ嬢が生徒会のメンバーに入った。
学園を去り、生徒会のメンバーから抜けることになったクリフの代わりだって。
年度の後半は卒業パーティーとか重要な行事が予定されているから、欠員となったメンバーをどうするか慎重に審議しているところだったのに。
よく分からないけどアカリ嬢は突然、聖剣の乙女、とやらに認定されたらしく、学園の重要機関である生徒会のメンバーになることが決まった。
今まで候補ですらなかったのに、どうして?
聖剣の乙女って言ったって……ただ偶然、聖剣を見つけただけだろう?
たいして努力もしていないのに、姉様のそばにいられるようになったのが気に入らない。
僕は前々から勉強も剣術もがんばったから、生徒会に入れたんだよ。
しかも「ヴェレッドお姉さまぁ、ヴェレッドお姉さまぁ」とうるさい。
姉様は、僕の姉様なのに。
僕はアカリ嬢と兄妹になった憶えは無いよ。
ただ……アカリ嬢がいると姉様が楽しそうに笑うようになった。
その点だけはアカリ嬢に感謝したい。
クリフがいなくなってから、姉様は表面上は明るくしていても心が塞ぎ込んでいるようだったから。
それにしても……
アカリ嬢のすぐそばで、ふわりふわりと浮いている鮮やかなピンク色の剣が気になる……。
たぶんアレが、聖剣、だよね……?
色は強烈だけど、素晴らしい装飾が施された立派な剣。
だけど時々、疲れた人間の姿勢が崩れるように少しだけ曲がったり、ハッと気づいたようにピンと姿勢を正したりしているみたいに見えるのは気のせいかな?
剣、だもの、曲がったりしないよね。
それとも古の剣は曲がる仕様なの?
そしていつの間にか、ふわりふわりと姉様の方へ漂っていくこともあって。
そんな時は姉様に「アカリ様をお守りしてね」と言われて、またアカリ嬢の方へと戻っていく。
人間の言葉が、分かるのかな?
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