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シーズン1
21.触れない温もり
レッドナイト公爵家に来てからの初夜の日、ユリはしっかりと房事をした。それは彼の情熱を隠すことなく、私に向けてくれた特別な時間だった。それ以降、彼は驚くほど私の体調に気を配るようになり、今のように私を組み敷きながら腕立て伏せをして、監視の目をごまかす日々が続いている。
彼は何度も私だけをイかせることがあり、そのたびに自分を律している様子が見て取れた。彼がどれほど我慢しているかは、彼の険しい表情や、時折漏れる荒い息遣いから明らかだった。
そんな彼を見ていると、愛しさと申し訳なさが入り混じる複雑な感情が湧いてきた。
「その、アナタに何をされても大丈夫ですから…無理はしないで下さいね。」
私がそう言うと、ユリの動きが突然ピタリと止まった。汗に濡れた彼の前髪がわずかに揺れる。どうしたのだろうと思い、顔を覆っていた手を下げると、そこには真剣な目をした彼がいた。
「…何をされても…?本当に?」
低く、重みのある声が部屋に響いた。その声には驚きと疑念、そしてどこか熱を含んだ何かが混ざっている。
「はい…。」
私が視線を逸らしながら小さく頷くと、彼の目がわずかに見開かれ、次の瞬間、彼の表情が一変した。
「俺は忠告はしましたよ。煽ったのは…アナタだ。」
その言葉とともに、ユリの瞳に宿る光が変わった。それはまるで理性をギリギリで保ちながらも、どこか歯止めを失いつつあるような、危うさと情熱が入り混じった目だった。彼の目が少し赤く血走っていることに気づき、私は胸がドキリと高鳴る。
(ああ、この状態…。二度結婚を経験した私にはわかる。これが男性のどういう状態を意味しているのか…。)
彼の唇がわずかに開き、そこから漏れる熱っぽい息遣いが耳に触れる。その音に、私は顔を赤くしながらも目を逸らし、震える声で言葉を紡いだ。
「すみません…その…どうぞ。」
自分でも驚くほど消え入りそうな声だった。彼が微かに笑みを浮かべると、その笑みにはどこか危うさが滲んでいた。
「どうぞ、ですか…?」
ユリはそう呟くと、彼の視線が私の体を滑りながら何かを計算しているように見えた。その目に直視できず、私は彼に視線を向けないようにしていた。
「……少し背を向けていて下さい。」
低く甘い声が指示を出した。
「どの道、あとでしなければいけないことでしたので。」
彼の言葉の意味を完全には理解できずに、私は首を傾げた。
「え?あ…はい。」
少し戸惑いながらも、私は彼の言葉に従い、静かに体を動かす。ユリが私の左側に移動し、私は右を向いて横になり、彼に背中を向けるようにする。
少し戸惑いながらも、私は彼の言葉に従い、静かに体を動かした。ユリが私の左側に移動し、私は右を向いて横になり、彼に背中を向ける。シーツの柔らかな感触が肌に触れるたび、緊張で少し汗ばんだ手がベッドの端をぎゅっと掴んでしまう。
部屋は静寂に包まれ、カーテンの隙間から差し込む柔らかな月明かりが、白い壁と家具を淡く照らしていた。その静けさの中、ユリの息遣いがすぐ背後で聞こえた。最初は一定のリズムを保っていたその呼吸が、徐々に荒くなり、時折止まりかけるような瞬間が増えていく。
(…どうしてこんなに胸がざわざわするの?)
彼に背中を向けているのに、彼の存在を強烈に感じる。それはまるで、彼の感情そのものが背中越しに伝わってくるかのようだった。ふと耳を澄ませば、彼がシーツを掴む音が微かに聞こえた。その音はぎこちなく、それでも確かな意志を持っているように思えた。
部屋を満たしているのは、かすかに揺れるカーテンの音と、彼の抑えきれない息遣い。それが私の耳元で響くたびに、背中がじんわりと熱くなる。時折聞こえる喉の奥で漏れる低い唸り声に、心臓が跳ねた。
(…ユリ、今どんな顔をしているの?)
目を閉じても、彼の気配が鮮明に感じられる。個人的で深い感情が渦巻いているように思えた。
ふいに、シーツのかすかな擦れる音が耳に届いた。その音は、彼が少し身じろぎをしただけのものだったかもしれない。だが、そのささやかな動きが、私には妙に生々しく感じられた。
「…メイ。」
低く抑えた彼の声が耳元に届いた。まるで自分に言い聞かせるようなその声に、私は顔が熱くなり、さらにシーツを掴む力を強める。
(どうしてこんなにも私の心が乱されるの?)
彼の息遣いはますます荒くなり、まるで抑えようとしても溢れ出してしまう感情そのもののようだった。それでも彼は、私の体に触れることはしない。まるで、自分に課した何かを守り抜こうとするかのように、その距離を保ちながら、自分自身と戦っているようだった。
静寂が漂う部屋に、時折彼の息が短く鋭く漏れる音が響く。そのたびに私の背中がピクリと反応してしまう。続けざまに聞こえるかすかな音――何かがシーツに滴るような、水滴にも似た音――が、どうしても耳から離れない。
(…ユリ…?)
心の中で名前を呼ぶものの、振り返ることはできなかった。彼に背を向けているという事実だけで、私は今の状況を直視せずに済んでいるような気がした。けれど、音が再び「ぽた…ぽた…」とシーツに響き、何かが溢れているのだと悟る。その瞬間、胸の鼓動が一層激しくなった。
「…すみません、メイ。」
彼の声がかすかに震えていた。それは自制心を失うことを許さないという彼自身への戒めと、私に迷惑をかけないようにという配慮が混じったものだった。
しばらくして、音も息遣いも次第に収まっていく。部屋には再び静寂が訪れ、彼が大きく深呼吸する音が響いた。それはまるで、自分自身をようやく落ち着かせたという証のように感じられる。
私は動かないまま、彼の気配を背中越しに感じていた。すると、彼がそっと体を寄せてきたのが分かった。彼の手が私の髪を優しく撫で、唇が静かに私の首筋に触れる。それはとても柔らかく、静かな感情が込められていた。
「…メイ。」
囁くような声に、胸がじんわりと温かくなる。そして、次の瞬間、彼の唇が私の耳元に触れ、そこから頬へ、そして唇の端にそっと降りた。
「あなたが…本当に大切です。」
彼の声には疲れと同時に深い愛情が込められていた。その言葉が私の胸に響き、安心感と共に、私も小さく頷いた。
彼の動きが止まり、そっと背中を離していく。シーツがかすかに擦れる音がした後、彼が静かにベッドに横たわる気配が伝わってきた。そして、そのまま私の肩に唇を押し当て、少しだけ長く触れてから離れた。
「おやすみなさい、メイ。」
静かな声が耳元に届き、私はその優しい響きに答えるように目を閉じた。
「おやすみなさい、ユリ。」
月明かりが薄く差し込む部屋の中で、私たちは互いに寄り添いながら静かに眠りについた。彼の息遣いが穏やかになり、再び訪れた平穏が心を満たしていく。
彼は何度も私だけをイかせることがあり、そのたびに自分を律している様子が見て取れた。彼がどれほど我慢しているかは、彼の険しい表情や、時折漏れる荒い息遣いから明らかだった。
そんな彼を見ていると、愛しさと申し訳なさが入り混じる複雑な感情が湧いてきた。
「その、アナタに何をされても大丈夫ですから…無理はしないで下さいね。」
私がそう言うと、ユリの動きが突然ピタリと止まった。汗に濡れた彼の前髪がわずかに揺れる。どうしたのだろうと思い、顔を覆っていた手を下げると、そこには真剣な目をした彼がいた。
「…何をされても…?本当に?」
低く、重みのある声が部屋に響いた。その声には驚きと疑念、そしてどこか熱を含んだ何かが混ざっている。
「はい…。」
私が視線を逸らしながら小さく頷くと、彼の目がわずかに見開かれ、次の瞬間、彼の表情が一変した。
「俺は忠告はしましたよ。煽ったのは…アナタだ。」
その言葉とともに、ユリの瞳に宿る光が変わった。それはまるで理性をギリギリで保ちながらも、どこか歯止めを失いつつあるような、危うさと情熱が入り混じった目だった。彼の目が少し赤く血走っていることに気づき、私は胸がドキリと高鳴る。
(ああ、この状態…。二度結婚を経験した私にはわかる。これが男性のどういう状態を意味しているのか…。)
彼の唇がわずかに開き、そこから漏れる熱っぽい息遣いが耳に触れる。その音に、私は顔を赤くしながらも目を逸らし、震える声で言葉を紡いだ。
「すみません…その…どうぞ。」
自分でも驚くほど消え入りそうな声だった。彼が微かに笑みを浮かべると、その笑みにはどこか危うさが滲んでいた。
「どうぞ、ですか…?」
ユリはそう呟くと、彼の視線が私の体を滑りながら何かを計算しているように見えた。その目に直視できず、私は彼に視線を向けないようにしていた。
「……少し背を向けていて下さい。」
低く甘い声が指示を出した。
「どの道、あとでしなければいけないことでしたので。」
彼の言葉の意味を完全には理解できずに、私は首を傾げた。
「え?あ…はい。」
少し戸惑いながらも、私は彼の言葉に従い、静かに体を動かす。ユリが私の左側に移動し、私は右を向いて横になり、彼に背中を向けるようにする。
少し戸惑いながらも、私は彼の言葉に従い、静かに体を動かした。ユリが私の左側に移動し、私は右を向いて横になり、彼に背中を向ける。シーツの柔らかな感触が肌に触れるたび、緊張で少し汗ばんだ手がベッドの端をぎゅっと掴んでしまう。
部屋は静寂に包まれ、カーテンの隙間から差し込む柔らかな月明かりが、白い壁と家具を淡く照らしていた。その静けさの中、ユリの息遣いがすぐ背後で聞こえた。最初は一定のリズムを保っていたその呼吸が、徐々に荒くなり、時折止まりかけるような瞬間が増えていく。
(…どうしてこんなに胸がざわざわするの?)
彼に背中を向けているのに、彼の存在を強烈に感じる。それはまるで、彼の感情そのものが背中越しに伝わってくるかのようだった。ふと耳を澄ませば、彼がシーツを掴む音が微かに聞こえた。その音はぎこちなく、それでも確かな意志を持っているように思えた。
部屋を満たしているのは、かすかに揺れるカーテンの音と、彼の抑えきれない息遣い。それが私の耳元で響くたびに、背中がじんわりと熱くなる。時折聞こえる喉の奥で漏れる低い唸り声に、心臓が跳ねた。
(…ユリ、今どんな顔をしているの?)
目を閉じても、彼の気配が鮮明に感じられる。個人的で深い感情が渦巻いているように思えた。
ふいに、シーツのかすかな擦れる音が耳に届いた。その音は、彼が少し身じろぎをしただけのものだったかもしれない。だが、そのささやかな動きが、私には妙に生々しく感じられた。
「…メイ。」
低く抑えた彼の声が耳元に届いた。まるで自分に言い聞かせるようなその声に、私は顔が熱くなり、さらにシーツを掴む力を強める。
(どうしてこんなにも私の心が乱されるの?)
彼の息遣いはますます荒くなり、まるで抑えようとしても溢れ出してしまう感情そのもののようだった。それでも彼は、私の体に触れることはしない。まるで、自分に課した何かを守り抜こうとするかのように、その距離を保ちながら、自分自身と戦っているようだった。
静寂が漂う部屋に、時折彼の息が短く鋭く漏れる音が響く。そのたびに私の背中がピクリと反応してしまう。続けざまに聞こえるかすかな音――何かがシーツに滴るような、水滴にも似た音――が、どうしても耳から離れない。
(…ユリ…?)
心の中で名前を呼ぶものの、振り返ることはできなかった。彼に背を向けているという事実だけで、私は今の状況を直視せずに済んでいるような気がした。けれど、音が再び「ぽた…ぽた…」とシーツに響き、何かが溢れているのだと悟る。その瞬間、胸の鼓動が一層激しくなった。
「…すみません、メイ。」
彼の声がかすかに震えていた。それは自制心を失うことを許さないという彼自身への戒めと、私に迷惑をかけないようにという配慮が混じったものだった。
しばらくして、音も息遣いも次第に収まっていく。部屋には再び静寂が訪れ、彼が大きく深呼吸する音が響いた。それはまるで、自分自身をようやく落ち着かせたという証のように感じられる。
私は動かないまま、彼の気配を背中越しに感じていた。すると、彼がそっと体を寄せてきたのが分かった。彼の手が私の髪を優しく撫で、唇が静かに私の首筋に触れる。それはとても柔らかく、静かな感情が込められていた。
「…メイ。」
囁くような声に、胸がじんわりと温かくなる。そして、次の瞬間、彼の唇が私の耳元に触れ、そこから頬へ、そして唇の端にそっと降りた。
「あなたが…本当に大切です。」
彼の声には疲れと同時に深い愛情が込められていた。その言葉が私の胸に響き、安心感と共に、私も小さく頷いた。
彼の動きが止まり、そっと背中を離していく。シーツがかすかに擦れる音がした後、彼が静かにベッドに横たわる気配が伝わってきた。そして、そのまま私の肩に唇を押し当て、少しだけ長く触れてから離れた。
「おやすみなさい、メイ。」
静かな声が耳元に届き、私はその優しい響きに答えるように目を閉じた。
「おやすみなさい、ユリ。」
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