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第2章 クラウスと国家動乱
45 エルフ達の終戦とあの術(アリシアside)
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アリシアが里に戻って丁度10日目。
朝から精霊神ハヤトが里に住むエルフ全員と、各国の神殿で務めているエルフに呼び掛けた。里のエルフ達は中央広場に集まり、各国の神殿には音声通話が通されてから、精霊神の話が始まった。
「私がこの世界に降り立ち、魔人の侵攻への対処を始めて200年。皆の協力を得てこれまで人類を支えてきた。そしてその間、私は魔神エルトナへずっと呼びかけていた。今まで返事は無かったが、二日前に魔神エルトナが応答した。話し合いを進め、戦争を終わらせる事で互いに同意した」
唐突な話にエルフ達が戸惑う。アリシアもすぐには信じられなかった。しかし精霊神がわざわざエルフ全員を集めて直接語り掛けている。何か重大なお知らせがあるのだろうと皆感じていた。それが終戦の知らせなのだと気付き、ざわざわし始め、そして次第に歓声へと変わっていった。終戦は精霊神だけでなく、エルフ全員の悲願だったのだ。
あちこちから「やったぞー!」「ついに平和が!」などと声が聞こえてくる。「なんと喜ばしい・・・!」と涙を流すエルフまでいた。
「うそ・・・本当に?」
「ああ!そうだぞ!ハヤト様が言ってるんだ!間違いない!」
「やっと終わるのね!よかったわ!今夜はお祭りね!」
呆然と呟くアリシアに、祖父イツキと祖母ミヤビも歓声を上げながら応える。
(戦争が、終わった・・・?)
あまりにも突然な終戦宣言に、イマイチ実感がわかない。アリシアは壇上に立つ精霊神を見つめた。
精霊神は歓声が落ち着いてきた頃に片手を上げた。それに合わせて辺りは静まり返る。
「魔王ギルベルト=ファーベルクも既に承知している。・・・いや。魔王ギルベルト=ファーベルクが、これまで根気強く魔神エルトナを説得していたようだ。そしてアリシア=クロス=サリヴァン」
突然名前を呼ばれてアリシアは驚いた。ビクリと体を震わせた瞬間、精霊神と目が合った。
「君が魔国ティナドランの神域である王宮に潜入していた事が、魔神エルトナの背中を押した。アリシアは潜入中も終戦と平和を望み続けた。それが魔神エルトナに届いたのだ。彼女にも賞賛を」
「えっ!?私!?」
驚いて声を上げる。静まり返っていた広場にはアリシアの驚いた声が響いた。辺りにいたエルフ達はアリシアに気付くと、再び歓声が上がった。
自分で注目を集めてしまい、恥ずかしさに襲われてアリシアは顔を赤くした。周りは「よくやったな!」「すごい!」「アリシアー!」などと叫んでいるが、どういうことなのかアリシア本人が全く分からない。
「今後はまず、人類連合が魔国ティナドランとの和平協定を行っていく。しかし現在魔国ティナドランとの連絡手段がない。私はこの体を眠らせて神界へ戻り、魔神エルトナと魔王ギルベルト=ファーベルクとの連絡を取り持とう。人類連合総司令とこの里の事は全て長のコウキ=ヒノハラに一任する。そしてこのまま和平が成されるのであれば、私は神界へと帰る」
「ええっ!?」
「うそ!!」
最後の一言はエルフ達にも衝撃を与えた。確かに魔国との戦争が終わるのなら、精霊神はこの世に留まる必要はない。本来は神界の存在なのだから、戻るのは当然と言えば当然だ。
しかしエルフが創造されて200年。その間精霊神は身近な存在だった。自分達を創った親が見える形で存在しなくなると分かれば、寂しいと感じるのも当然だろう。
「しかし私は消えるわけではない。それは皆が良く分かっているだろう。これからはどの神域からでも私とコンタクトが取れるようになる。皆、遠慮せず遊びに来て欲しい」
最後は笑顔で言う精霊神に、エルフ達は「行きます!」「寂しいわー」と返事をしている。
(戦争が、終わった。しかも私が・・・?どういう事?)
アリシアは混乱に陥っていた。まだどこかから「アリシア―!」と名前を叫ばれている。
(精霊神様は神界に戻られる・・・・・・え!?ちょっと待って!?)
ハッとアリシアは気付いた。魔国ティナドランに潜入していた際に授かっていた術をすっかり忘れていた。
帰還の術は一度っきりの術なので、もう問題ない。しかしアリシアの身を守るための例の術がそのままだ。
(どうしよう!お返ししないと!授けられたままじゃあちらにご迷惑が!)
アリシアがアタフタしている横で、祖父母は今晩はごちそうよ!と楽しそうに話していた。
* * *
「精霊神様!」
精霊神が自宅に戻ろうとしているところに、アリシアが声を掛けた。
「ああ、アリシア。さっきは驚かせたね。でも事実はきちんと伝えておかないと」
アリシアに気付いた精霊神は、ニコリと笑みを返した。
「あ・・・そちらも詳しい話をお聞きしたいところですが、あの・・・お帰りになる前に例の術をお返ししたくて」
最後は声を潜めて伝えた。授けられた時、精霊神に『これは内緒だよ』と言われていたのだ。
「術・・・?ああ!あれか。・・・うーん。そのままでもいいんじゃないかな」
「ええっ!?さすがにそれは・・・あちらがご迷惑に思われてるかもしれませんし」
アタフタとしながらも伝えると、精霊神はフフッと笑って自宅を指さした。
「少し話そうか。中にどうぞ」
精霊神の後に続いて、アリシアも「お邪魔します」と言って玄関に入る。ドアを閉めて靴を脱いだところで、精霊神が話の続きを始めた。
「迷惑ねぇ・・・心配なら、一度話してみる?」
「え?話?」
「ヴァルター」
誰と?という前に、精霊神は呼び出してしまった。精霊神とアリシアの前にふわりと現れる。
金髪に黒い瞳、白い肌に長い耳。容姿は瞳の色以外、エルフと同じだ。身長もエルフと変わらない。中性的な面立ちだが、人格は女性だと聞いた。確かに胸は羨ましい程に膨らんでいる。しかしエルフと違って体はやや透けている。その上全身から淡い光が溢れていた。
その姿を見て、アリシアは言葉を失ってしまう。精霊王ヴァルターだ。
「ヴァルター、聞いてただろ?どうする?アリシアの事気に入ってただろう」
『うむ。術はそのままにしておいて欲しい。むしろ我と契約してくれても良いと思っている』
「だよね。結局呼び出されなくて、この前拗ねてたしなぁ」
(・・・え・・・え?拗ねてた?)
精霊神とヴァルターを交互に見て、アリシアは動揺する。
例の術とは、魔国ティナドランでアリシアが危機的状況になった時、一度だけ精霊王ヴァルターを呼び出して使役できる、というものだ。しかし呼び出したが最後。精霊王ヴァルターは通常の精霊と違い、今のように姿が見える。すぐにアリシアが人類連合の諜報員だとバレてしまう。だから呼び出さなかったのではなく、呼び出せなかったのだ。あの術は本当に最後の一手だった。
「ほら、アリシア。戦争も終結したわけだし、また魔国ティナドランに行くことになると思うよ。その時の保険としてさ。ヴァルターも嫌がってないし、持ってて損はないから」
そう言った直後、精霊神は、「あっこの世界は保険という概念が無かった」と呟いた。さすがにハッキリとした意味は分からないが、言葉の流れでアリシアにもなんとなくは分かる。
しかし今は保険についてはどうでもいい。それよりも精霊王ヴァルターだ。精霊神だからそんな軽くとらえているのだろうが、アリシアからしたら雲の上の、その更に上の存在だ。気軽に呼べる存在ではない。だからこそアリシアは慌てた。
「損はないなんてそんな失礼なことは!私には過ぎた力なんです。実際に諜報の任務中も必要になる事はありませんでした。今後も不要です!」
慌てすぎて端的に言うアリシアに、精霊王ヴァルターはしょんぼりして姿を消してしまった。
「あ・・・へこんだ・・・」
「・・・・・・あ!」
失言に気付いてアリシアは口元を手で押さえる。なんてことを言ってしまったのだろう。アリシアは青ざめた。
「精霊神様!すみません違うんです!慌ててしまって・・・私には恐れ多いのでお呼びする事が出来ない、なので術があっても使わない、という意味をお伝えしたかったのですが、うっかり『不要』なんて言ってしまいました・・・」
今度はアリシアがしょんぼりしてしまう。精霊王ヴァルターを傷つけてしまった。
そんなアリシアとヴァルターに、精霊神はクスクスと笑った。
「大丈夫。もし必要になったら呼べばいい。すぐに飛んでくる。ヴァルターはアリシアを気に入ってたから、術はあってもなくても変わらない。話し相手として気軽に呼び出していいから。喜ぶと思うよ」
「ええ!?」
精霊王を話し相手で呼び出すとはいかがなものか。アリシアは精霊神を見つめて唖然とした。
「ああ、あと魔神エルトナの事も話さないとね。とりあえず座って」
応接室の前で立ったままのアリシアに、精霊神はドアを開けて椅子を勧める。そちらの話も聞きたいので、アリシアは動揺しながらも、勧められるままに座った。
「魔神エルトナはね。アリシアが王宮使用人の採用面談で登城した時に、俺と縁ある者だって気付いてたらしい」
「・・・え!?」
のっけから衝撃的な話に、アリシアは目を見開く。そんなアリシアをにこやかに見つめて、精霊神は経緯を教えてくれた。
全てを聞いたアリシアは、嬉しいような恥ずかしいような、いや、恥ずかしさが勝って顔が熱くなってきた。
「そうでしたか・・・私の存在が終戦の後押しになったのなら、これほど光栄なことはありませんが・・・」
「謙虚だねぇ。魔神エルトナの後押しになった事を公表したのは、アリシアが魔国ティナドランから1年で帰ってきたことに不満を言う奴らもいたからだ。そんなに不満なら自分で行ってみればいいのにね」
「・・・いえ、その通りです。そう思われても仕方ありません」
そう思われている可能性は考えていた。各国で精霊神に許可された者は、あの諜報報告システムである『データベース』を見ることが出来る。『データベース』には名前を記入していたので、誰が諜報員として潜入しているのかも把握されている。たった一年で戻ってきたアリシアへの風当たりはきついかもしれない。そのほとぼりが冷めるまでエルフの里にいた方ががいいと、音声通話で家族と相談していたのだ。
「そんな事はないんだよ。アリシアのお陰で魔国の王宮や首脳陣の事が随分知れた。それは終戦した今こそ、非常に役に立つ情報に変わっていく。先の事を見れない愚か者はキッチリ絞めといたから安心して。でも言葉に出さなくても同じように思ってる奴もいる。だからこの終戦の功労者だと公表したんだ。れっきとした事実だしね」
(キッチリ絞めた・・・・・・)
その言葉にアリシアはゾッとしたものを覚えたが、あまり想像しないように頭の片隅へと押しやった。
「ありがとうございます。それなら、近いうちに神聖ルアンキリの家に帰れそうです」
「うん。楓も待ってるだろうから、顔を見せておやり」
「はい」
久々に家族に会えるかもしれない。笑みを浮かべるアリシアに、精霊神も微笑んだ。
* * *
その夜はイツキ達が言っていた通り、エルフの里はお祭り騒ぎになった。各家庭で料理を作って持ち寄り、精霊術で花びらや雪を散らしたり。精霊神も出てきて「こういう時はやっぱりキャンプファイヤーだよね」と言って、中央広場に丸太を交互に重ねて四角い枠を作り、火を焚いた。その周りをエルフの子供たちがキャッキャと駆け回る。
アリシアも外に出て、精霊神の言う『キャンプファイヤー』を眺めた。
(キャンプの火って、もっと小さいイメージがあったけど・・・)
キャンプファイヤーとして精霊神が作った四角い枠は、一辺が3mほどもある。今もアリシアの前で囂々と音を立てて大きな炎が立ち上がっている。その周りに火の精霊達が集まり、炎で動物を模ったり、花を模したりして遊んでいる。
(戦争が、本当に終わった)
近くにいては火の熱で暑いので、アリシアは少し離れた場所に腰かけ、ぼんやりと炎を見つめた。
(父さん・・・・・・終わったよ)
父オーウィンは空から見ているだろうか。生きていたら何て言うだろうか。あの父の事だ。このエルフの祭りに交じって一緒にお祝いしているかもしれない。
(父さんが、終戦への第一歩だった)
精霊神から聞いた話では、戦線が全く進まなくなり終わりの見えない戦争に変わったことが、魔神エルトナが終戦を考える切っ掛けになった、と言っていた。そうであれば父オーウィンによる影響が大きい。父があの位置まで戦線を押し切り、父が育てた後進があの戦線を死ぬ気でキープしていたのだから。
(そして私が、最後の一押し)
アリシアも終戦を求めて諜報活動をしていた。しかし何の成果もあげられないまま帰ってきてしまった。戦争を止める情報も、全く得る事が出来なかったのに。
『まだ18歳の女の子が、戦争を止めたいと心の底から願い、魔国ティナドランの王宮に潜入してきた。アリシアはオーウィンを失った悲しみを持っていただろう?それもエルトナに響いたんだ。その上数えきれない程の魔人が死ぬ事を危惧して、魔王暗殺の阻止に全力で協力した。それがエルトナにとって一番大きかったみたい。だけど普段のアリシアの言動や魂の輝きも、エルトナは気に入ってたみたいだよ。よく見てたって言ってた』
(よく見てたって・・・何を・・・?)
精霊神の言葉を思い出して、顔に熱を感じて下を向く。見られていた時に変な事をしてなかっただろうか。今更気にしても仕方ないのは分かっているのに、どうしても不安になってしまう。
(まさか魔神エルトナに最初からバレてたなんて・・・しかも、よく見てた・・・)
恥ずかしさで頬を手で押さえる。
(もう魔国の王宮には行けない・・・)
はぁ、と大きくため息をついた。それと同時に思い浮かぶ顔がある。
(・・・もう会えないと思ってたけど、もしかして・・・また会える?)
毎夜欠かさずクラウスから手紙が届いている。一度も返信をしていないのに、向こうは全く諦めていない。
昼間に精霊神から魔神エルトナの話を聞い後、ふとアリシアは気付いた事があった。部屋に戻り、エルフの里に帰ってから受け取ったクラウスからの手紙を全て読み返した。毎回手紙の始めの時候の挨拶で『こちらは〇〇、そちらはどうか』と書かれていて、ずっと気にはなっていた。魔国でやり取りしていた時はそんな言い回しをしていなかったのに、と。
(という事は、最初の手紙をもらった日、ハルシュタイン将軍は私が魔人じゃないと気付いていた。エルフの里にいる事も知ってたかもしれない。その上で『諦めない』し、『今も好き』で、『時間がかかっても迎えに行く』と・・・)
更に顔が熱くなり、アリシアは頬だけではなく顔全部を手で覆った。嬉しいけど恥ずかしい。
どうしてそんなに早く気付かれたのかは分からない。魔王ギルベルトを通して魔神エルトナから聞いたのかもしれないし、あのハルシュタイン将軍だ。自ら気付いたのかもしれない。
(でも今更返事を書くのも、どうなんだろう・・・)
ずっとクラウスへの気持ちを忘れようとしていた。だからアリシアには返信が書けなかった。何度か書いてみようと思ってペンを取ったものの、全く筆が進まず断念した。そんなアリシアが、終戦したからと返信を書くのも手のひら返しな気がして、やはり書けない。
この気持ちを諦めなくてもいいのかもしれない。そう思うものの返事も書けない。一体どうすればいいのだろう。
アリシアは顔から手を離し、目の前のキャンプファイヤーを眺める。
(それに『迎えに行く』って・・・ここまでどうやって?エルフの里への船は、あの近辺だと神聖ルアンキリからしか出てないし、魔国ティナドランには大洋を長距離航行できる船は無かったはず)
再び大きくため息をつくと、アリシアの前に誰かが立ったことに気付いた。キャンプファイヤーで逆光になって良く見えない。視線を動かすと、それがミヤビだと気付いた。
「ほらほら!終戦の立役者がこんなところでため息ついて!色々とあるだろうけど、今はただ終戦を喜びましょうよ」
そういってアリシアへ手を差し出す。
「・・・そうだね」
苦笑してミヤビの手を取ると、グイッと引っ張られて立ち上がった。
「さ!アリシアの好きな料理沢山あるわよ!お気に入りの天ぷらも、皆が色んな種類を用意してるから」
「え、本当?どんなのがあるの?」
「行ってみてのお楽しみよ!ほらこっち!」
手を引っ張られながら、ミヤビの楽しそうな顔を見る。アリシアも笑みを浮かべた。今この瞬間は悩みを忘れて楽しもう。なんせ500年続いた戦争が今日、終わったのだから。
朝から精霊神ハヤトが里に住むエルフ全員と、各国の神殿で務めているエルフに呼び掛けた。里のエルフ達は中央広場に集まり、各国の神殿には音声通話が通されてから、精霊神の話が始まった。
「私がこの世界に降り立ち、魔人の侵攻への対処を始めて200年。皆の協力を得てこれまで人類を支えてきた。そしてその間、私は魔神エルトナへずっと呼びかけていた。今まで返事は無かったが、二日前に魔神エルトナが応答した。話し合いを進め、戦争を終わらせる事で互いに同意した」
唐突な話にエルフ達が戸惑う。アリシアもすぐには信じられなかった。しかし精霊神がわざわざエルフ全員を集めて直接語り掛けている。何か重大なお知らせがあるのだろうと皆感じていた。それが終戦の知らせなのだと気付き、ざわざわし始め、そして次第に歓声へと変わっていった。終戦は精霊神だけでなく、エルフ全員の悲願だったのだ。
あちこちから「やったぞー!」「ついに平和が!」などと声が聞こえてくる。「なんと喜ばしい・・・!」と涙を流すエルフまでいた。
「うそ・・・本当に?」
「ああ!そうだぞ!ハヤト様が言ってるんだ!間違いない!」
「やっと終わるのね!よかったわ!今夜はお祭りね!」
呆然と呟くアリシアに、祖父イツキと祖母ミヤビも歓声を上げながら応える。
(戦争が、終わった・・・?)
あまりにも突然な終戦宣言に、イマイチ実感がわかない。アリシアは壇上に立つ精霊神を見つめた。
精霊神は歓声が落ち着いてきた頃に片手を上げた。それに合わせて辺りは静まり返る。
「魔王ギルベルト=ファーベルクも既に承知している。・・・いや。魔王ギルベルト=ファーベルクが、これまで根気強く魔神エルトナを説得していたようだ。そしてアリシア=クロス=サリヴァン」
突然名前を呼ばれてアリシアは驚いた。ビクリと体を震わせた瞬間、精霊神と目が合った。
「君が魔国ティナドランの神域である王宮に潜入していた事が、魔神エルトナの背中を押した。アリシアは潜入中も終戦と平和を望み続けた。それが魔神エルトナに届いたのだ。彼女にも賞賛を」
「えっ!?私!?」
驚いて声を上げる。静まり返っていた広場にはアリシアの驚いた声が響いた。辺りにいたエルフ達はアリシアに気付くと、再び歓声が上がった。
自分で注目を集めてしまい、恥ずかしさに襲われてアリシアは顔を赤くした。周りは「よくやったな!」「すごい!」「アリシアー!」などと叫んでいるが、どういうことなのかアリシア本人が全く分からない。
「今後はまず、人類連合が魔国ティナドランとの和平協定を行っていく。しかし現在魔国ティナドランとの連絡手段がない。私はこの体を眠らせて神界へ戻り、魔神エルトナと魔王ギルベルト=ファーベルクとの連絡を取り持とう。人類連合総司令とこの里の事は全て長のコウキ=ヒノハラに一任する。そしてこのまま和平が成されるのであれば、私は神界へと帰る」
「ええっ!?」
「うそ!!」
最後の一言はエルフ達にも衝撃を与えた。確かに魔国との戦争が終わるのなら、精霊神はこの世に留まる必要はない。本来は神界の存在なのだから、戻るのは当然と言えば当然だ。
しかしエルフが創造されて200年。その間精霊神は身近な存在だった。自分達を創った親が見える形で存在しなくなると分かれば、寂しいと感じるのも当然だろう。
「しかし私は消えるわけではない。それは皆が良く分かっているだろう。これからはどの神域からでも私とコンタクトが取れるようになる。皆、遠慮せず遊びに来て欲しい」
最後は笑顔で言う精霊神に、エルフ達は「行きます!」「寂しいわー」と返事をしている。
(戦争が、終わった。しかも私が・・・?どういう事?)
アリシアは混乱に陥っていた。まだどこかから「アリシア―!」と名前を叫ばれている。
(精霊神様は神界に戻られる・・・・・・え!?ちょっと待って!?)
ハッとアリシアは気付いた。魔国ティナドランに潜入していた際に授かっていた術をすっかり忘れていた。
帰還の術は一度っきりの術なので、もう問題ない。しかしアリシアの身を守るための例の術がそのままだ。
(どうしよう!お返ししないと!授けられたままじゃあちらにご迷惑が!)
アリシアがアタフタしている横で、祖父母は今晩はごちそうよ!と楽しそうに話していた。
* * *
「精霊神様!」
精霊神が自宅に戻ろうとしているところに、アリシアが声を掛けた。
「ああ、アリシア。さっきは驚かせたね。でも事実はきちんと伝えておかないと」
アリシアに気付いた精霊神は、ニコリと笑みを返した。
「あ・・・そちらも詳しい話をお聞きしたいところですが、あの・・・お帰りになる前に例の術をお返ししたくて」
最後は声を潜めて伝えた。授けられた時、精霊神に『これは内緒だよ』と言われていたのだ。
「術・・・?ああ!あれか。・・・うーん。そのままでもいいんじゃないかな」
「ええっ!?さすがにそれは・・・あちらがご迷惑に思われてるかもしれませんし」
アタフタとしながらも伝えると、精霊神はフフッと笑って自宅を指さした。
「少し話そうか。中にどうぞ」
精霊神の後に続いて、アリシアも「お邪魔します」と言って玄関に入る。ドアを閉めて靴を脱いだところで、精霊神が話の続きを始めた。
「迷惑ねぇ・・・心配なら、一度話してみる?」
「え?話?」
「ヴァルター」
誰と?という前に、精霊神は呼び出してしまった。精霊神とアリシアの前にふわりと現れる。
金髪に黒い瞳、白い肌に長い耳。容姿は瞳の色以外、エルフと同じだ。身長もエルフと変わらない。中性的な面立ちだが、人格は女性だと聞いた。確かに胸は羨ましい程に膨らんでいる。しかしエルフと違って体はやや透けている。その上全身から淡い光が溢れていた。
その姿を見て、アリシアは言葉を失ってしまう。精霊王ヴァルターだ。
「ヴァルター、聞いてただろ?どうする?アリシアの事気に入ってただろう」
『うむ。術はそのままにしておいて欲しい。むしろ我と契約してくれても良いと思っている』
「だよね。結局呼び出されなくて、この前拗ねてたしなぁ」
(・・・え・・・え?拗ねてた?)
精霊神とヴァルターを交互に見て、アリシアは動揺する。
例の術とは、魔国ティナドランでアリシアが危機的状況になった時、一度だけ精霊王ヴァルターを呼び出して使役できる、というものだ。しかし呼び出したが最後。精霊王ヴァルターは通常の精霊と違い、今のように姿が見える。すぐにアリシアが人類連合の諜報員だとバレてしまう。だから呼び出さなかったのではなく、呼び出せなかったのだ。あの術は本当に最後の一手だった。
「ほら、アリシア。戦争も終結したわけだし、また魔国ティナドランに行くことになると思うよ。その時の保険としてさ。ヴァルターも嫌がってないし、持ってて損はないから」
そう言った直後、精霊神は、「あっこの世界は保険という概念が無かった」と呟いた。さすがにハッキリとした意味は分からないが、言葉の流れでアリシアにもなんとなくは分かる。
しかし今は保険についてはどうでもいい。それよりも精霊王ヴァルターだ。精霊神だからそんな軽くとらえているのだろうが、アリシアからしたら雲の上の、その更に上の存在だ。気軽に呼べる存在ではない。だからこそアリシアは慌てた。
「損はないなんてそんな失礼なことは!私には過ぎた力なんです。実際に諜報の任務中も必要になる事はありませんでした。今後も不要です!」
慌てすぎて端的に言うアリシアに、精霊王ヴァルターはしょんぼりして姿を消してしまった。
「あ・・・へこんだ・・・」
「・・・・・・あ!」
失言に気付いてアリシアは口元を手で押さえる。なんてことを言ってしまったのだろう。アリシアは青ざめた。
「精霊神様!すみません違うんです!慌ててしまって・・・私には恐れ多いのでお呼びする事が出来ない、なので術があっても使わない、という意味をお伝えしたかったのですが、うっかり『不要』なんて言ってしまいました・・・」
今度はアリシアがしょんぼりしてしまう。精霊王ヴァルターを傷つけてしまった。
そんなアリシアとヴァルターに、精霊神はクスクスと笑った。
「大丈夫。もし必要になったら呼べばいい。すぐに飛んでくる。ヴァルターはアリシアを気に入ってたから、術はあってもなくても変わらない。話し相手として気軽に呼び出していいから。喜ぶと思うよ」
「ええ!?」
精霊王を話し相手で呼び出すとはいかがなものか。アリシアは精霊神を見つめて唖然とした。
「ああ、あと魔神エルトナの事も話さないとね。とりあえず座って」
応接室の前で立ったままのアリシアに、精霊神はドアを開けて椅子を勧める。そちらの話も聞きたいので、アリシアは動揺しながらも、勧められるままに座った。
「魔神エルトナはね。アリシアが王宮使用人の採用面談で登城した時に、俺と縁ある者だって気付いてたらしい」
「・・・え!?」
のっけから衝撃的な話に、アリシアは目を見開く。そんなアリシアをにこやかに見つめて、精霊神は経緯を教えてくれた。
全てを聞いたアリシアは、嬉しいような恥ずかしいような、いや、恥ずかしさが勝って顔が熱くなってきた。
「そうでしたか・・・私の存在が終戦の後押しになったのなら、これほど光栄なことはありませんが・・・」
「謙虚だねぇ。魔神エルトナの後押しになった事を公表したのは、アリシアが魔国ティナドランから1年で帰ってきたことに不満を言う奴らもいたからだ。そんなに不満なら自分で行ってみればいいのにね」
「・・・いえ、その通りです。そう思われても仕方ありません」
そう思われている可能性は考えていた。各国で精霊神に許可された者は、あの諜報報告システムである『データベース』を見ることが出来る。『データベース』には名前を記入していたので、誰が諜報員として潜入しているのかも把握されている。たった一年で戻ってきたアリシアへの風当たりはきついかもしれない。そのほとぼりが冷めるまでエルフの里にいた方ががいいと、音声通話で家族と相談していたのだ。
「そんな事はないんだよ。アリシアのお陰で魔国の王宮や首脳陣の事が随分知れた。それは終戦した今こそ、非常に役に立つ情報に変わっていく。先の事を見れない愚か者はキッチリ絞めといたから安心して。でも言葉に出さなくても同じように思ってる奴もいる。だからこの終戦の功労者だと公表したんだ。れっきとした事実だしね」
(キッチリ絞めた・・・・・・)
その言葉にアリシアはゾッとしたものを覚えたが、あまり想像しないように頭の片隅へと押しやった。
「ありがとうございます。それなら、近いうちに神聖ルアンキリの家に帰れそうです」
「うん。楓も待ってるだろうから、顔を見せておやり」
「はい」
久々に家族に会えるかもしれない。笑みを浮かべるアリシアに、精霊神も微笑んだ。
* * *
その夜はイツキ達が言っていた通り、エルフの里はお祭り騒ぎになった。各家庭で料理を作って持ち寄り、精霊術で花びらや雪を散らしたり。精霊神も出てきて「こういう時はやっぱりキャンプファイヤーだよね」と言って、中央広場に丸太を交互に重ねて四角い枠を作り、火を焚いた。その周りをエルフの子供たちがキャッキャと駆け回る。
アリシアも外に出て、精霊神の言う『キャンプファイヤー』を眺めた。
(キャンプの火って、もっと小さいイメージがあったけど・・・)
キャンプファイヤーとして精霊神が作った四角い枠は、一辺が3mほどもある。今もアリシアの前で囂々と音を立てて大きな炎が立ち上がっている。その周りに火の精霊達が集まり、炎で動物を模ったり、花を模したりして遊んでいる。
(戦争が、本当に終わった)
近くにいては火の熱で暑いので、アリシアは少し離れた場所に腰かけ、ぼんやりと炎を見つめた。
(父さん・・・・・・終わったよ)
父オーウィンは空から見ているだろうか。生きていたら何て言うだろうか。あの父の事だ。このエルフの祭りに交じって一緒にお祝いしているかもしれない。
(父さんが、終戦への第一歩だった)
精霊神から聞いた話では、戦線が全く進まなくなり終わりの見えない戦争に変わったことが、魔神エルトナが終戦を考える切っ掛けになった、と言っていた。そうであれば父オーウィンによる影響が大きい。父があの位置まで戦線を押し切り、父が育てた後進があの戦線を死ぬ気でキープしていたのだから。
(そして私が、最後の一押し)
アリシアも終戦を求めて諜報活動をしていた。しかし何の成果もあげられないまま帰ってきてしまった。戦争を止める情報も、全く得る事が出来なかったのに。
『まだ18歳の女の子が、戦争を止めたいと心の底から願い、魔国ティナドランの王宮に潜入してきた。アリシアはオーウィンを失った悲しみを持っていただろう?それもエルトナに響いたんだ。その上数えきれない程の魔人が死ぬ事を危惧して、魔王暗殺の阻止に全力で協力した。それがエルトナにとって一番大きかったみたい。だけど普段のアリシアの言動や魂の輝きも、エルトナは気に入ってたみたいだよ。よく見てたって言ってた』
(よく見てたって・・・何を・・・?)
精霊神の言葉を思い出して、顔に熱を感じて下を向く。見られていた時に変な事をしてなかっただろうか。今更気にしても仕方ないのは分かっているのに、どうしても不安になってしまう。
(まさか魔神エルトナに最初からバレてたなんて・・・しかも、よく見てた・・・)
恥ずかしさで頬を手で押さえる。
(もう魔国の王宮には行けない・・・)
はぁ、と大きくため息をついた。それと同時に思い浮かぶ顔がある。
(・・・もう会えないと思ってたけど、もしかして・・・また会える?)
毎夜欠かさずクラウスから手紙が届いている。一度も返信をしていないのに、向こうは全く諦めていない。
昼間に精霊神から魔神エルトナの話を聞い後、ふとアリシアは気付いた事があった。部屋に戻り、エルフの里に帰ってから受け取ったクラウスからの手紙を全て読み返した。毎回手紙の始めの時候の挨拶で『こちらは〇〇、そちらはどうか』と書かれていて、ずっと気にはなっていた。魔国でやり取りしていた時はそんな言い回しをしていなかったのに、と。
(という事は、最初の手紙をもらった日、ハルシュタイン将軍は私が魔人じゃないと気付いていた。エルフの里にいる事も知ってたかもしれない。その上で『諦めない』し、『今も好き』で、『時間がかかっても迎えに行く』と・・・)
更に顔が熱くなり、アリシアは頬だけではなく顔全部を手で覆った。嬉しいけど恥ずかしい。
どうしてそんなに早く気付かれたのかは分からない。魔王ギルベルトを通して魔神エルトナから聞いたのかもしれないし、あのハルシュタイン将軍だ。自ら気付いたのかもしれない。
(でも今更返事を書くのも、どうなんだろう・・・)
ずっとクラウスへの気持ちを忘れようとしていた。だからアリシアには返信が書けなかった。何度か書いてみようと思ってペンを取ったものの、全く筆が進まず断念した。そんなアリシアが、終戦したからと返信を書くのも手のひら返しな気がして、やはり書けない。
この気持ちを諦めなくてもいいのかもしれない。そう思うものの返事も書けない。一体どうすればいいのだろう。
アリシアは顔から手を離し、目の前のキャンプファイヤーを眺める。
(それに『迎えに行く』って・・・ここまでどうやって?エルフの里への船は、あの近辺だと神聖ルアンキリからしか出てないし、魔国ティナドランには大洋を長距離航行できる船は無かったはず)
再び大きくため息をつくと、アリシアの前に誰かが立ったことに気付いた。キャンプファイヤーで逆光になって良く見えない。視線を動かすと、それがミヤビだと気付いた。
「ほらほら!終戦の立役者がこんなところでため息ついて!色々とあるだろうけど、今はただ終戦を喜びましょうよ」
そういってアリシアへ手を差し出す。
「・・・そうだね」
苦笑してミヤビの手を取ると、グイッと引っ張られて立ち上がった。
「さ!アリシアの好きな料理沢山あるわよ!お気に入りの天ぷらも、皆が色んな種類を用意してるから」
「え、本当?どんなのがあるの?」
「行ってみてのお楽しみよ!ほらこっち!」
手を引っ張られながら、ミヤビの楽しそうな顔を見る。アリシアも笑みを浮かべた。今この瞬間は悩みを忘れて楽しもう。なんせ500年続いた戦争が今日、終わったのだから。
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