Please me

金木犀

文字の大きさ
36 / 67
夏合宿

1

しおりを挟む

彰人がパニックになった日から、もともと周りから見て過保護気味だった2人の関係はより深くなり、本人同士も若干やりすぎなのでは、と思うような関係になった

「須田、最近山本のことずっと膝に乗っけてるね」

福部は、何やら動画を見ていた携帯から顔を開げ、須田の膝に乗っている彰人のことを見ながらそう笑った

「ほっとけぇ?いーっしょ、別に」

ぶっきらぼうに須田がそう返すと、緩く抱きしめていた腕に少し力が入るのがわかった

「暑くないんですか?もう7月入りましたけど」

年中気だるそうにしている上條は、いよいよ夏本番という気温により一層だるそうにソファで寛いでいた

「いやここエアコンかかってるしそんなにじゃね?あ、暑い?」

自分よりも彰人の意見という感じで、膝に乗る彰人にそう声をかけると、くっついてる安心感で眠気を誘われていた本人は驚いた猫のような丸い目で何事かと聞き返した

「暑くない?くっついてるの」

「ううん、暑くない。それより、重くない?」

「いんや?重くない」

出会って3ヶ月の間で急激に距離が近くなった2人のことを、他のサークルメンバーは多少の驚きもありつつ見守っていた

「おつかれっすー。まぁじで、今日暑い」

講義終わりの沢井がTシャツの襟元で仰ぎながら部屋に入ってきた

「上條ー、そこ貸してー」

エアコン直下の特等席であるソファに近寄りながらそういうと、上條は寝転んでいた体を起こして後から来たパートナーに席を譲った

「薄着でエアコン当たると風邪ひくで?」

そう言いながら自分の薄手のパーカーを沢井の肩に羽織らせると、かけられた本人は満足そうに上條の横に腰を落とした

少しすると河野も講義を終えてやってきて、お決まりの窓側の席に腰を据えると、読みかけの小説をカバンから出して読み始めた

「暑くなかった?」

「ん、寒いよりいいかな」

福部は横に座るパートナーに声をかけながら癖っ毛の髪に触れると、甘えるように手のひらに少しだけ頭を寄せた

「あ、ところでさ」

その後も何人かサークルメンバーが部屋を訪れ、ボードゲームに興じていると、ソファで休んで回復したのか沢井はどこからか出したお菓子を食べながら机のほうに寄ってきた

「今年も夏合宿やろうと思うんだけど、どう?」

「夏合宿?」

唐突に発表されたイベントに驚き須田の顔を見上げると、補足のために口を開いてくれた

「あー、去年の夏に民宿に希望者みんなで泊まって3泊4日で旅行に行ったんよ、去年天気良かったしBBQとか海とか結構楽しかったもんな」

須田のその言葉で、経験者たちは昨年のことを思い出し、新入部員たちは興味津々の様子だった



しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。 更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

脱落モブ男が人気アイドルに愛されるわけがない

綿毛ぽぽ
BL
 アイドルを夢見るも、デビューできずオーディション番組に出演しても脱落ばかりの地味男、亀谷日翔はついに夢を諦めた。そしてひょんなことから事務所にあるカフェで働き始めると、かつて出演していた番組のデビューメンバーと再会する。テレビでも引っ張りだこで相変わらずビジュアルが強い二人は何故か俺に対して距離が近い。 ━━━━━━━━━━━ 現役人気アイドル×脱落モブ男 表紙はくま様からお借りしました https://www.pixiv.net/artworks/84182395

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

不器用な僕とご主人様の約束

いち
BL
敬語のクラブオーナー×年下のやんちゃっ子。遊んでばかりいるSubの雪はある日ナイトクラブでDomの華藍を知ります。ちょっと暑くなってくる前に出会った二人の短編です。 🍸カンパリオレンジのカクテル言葉は初恋だそうです。素敵ですね。 ※pixivにも同様の作品を掲載しています

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

処理中です...