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まこ

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訓練シリーズ

懐かしい日常

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拘束/擽り/薬/甘々

攻→風見かざみ
受→七彩/視点

◇ ◆

「ただーいまぁっ」

軽いノリで帰って来たのは、俺の元教育係兼、先輩の風見さん。役職は変態上司と同じ。任務として薬や拷問の事に関する調べ物をしており、ついさっき組織へ戻って来た。

「げ。もう帰って来たんすかーお帰りなさい」

「おー七彩、ただいま。相変わらずだな」

俺を見るなりわしゃわしゃ頭を撫でてくるので、バシッとその手を叩いた。

「いやぁ、お前の顔見たらなーんかホッとするわぁ。んじゃ報告行ってくる」

「はいはーい。お疲れ様でした~」

そう言って先輩は去って行った。任務内容にもよるが、危険な物もあったりするので、最悪捕まって監禁されたりなんて事もあり得る。久方ぶりに元気な姿で帰ってくる先輩を見れて少し安堵した。


◇ ◆


「んー…今日俺オフなんですけどー…」

翌日、安堵した事を後悔する出来事が起こった。先輩が朝っぱらから俺を無理矢理起しに来て、そのまま部屋へ連行してきたからだ。

役職毎に支給される部屋のグレードは異なり、俺の部屋より遥かに広い先輩の部屋。完全に目覚める前だったこともあり、あっさりと連れ込まれてベッドに放り投げられた。

「んー…眠いんですけどー何すかいきなり。俺見て欲情でもしたんすかぁ…」

ふわぁ、と欠伸しながらゴロンとベッドで寝返りを打つと、両手首を頭上へ持って行かれ、カチャンと手錠をかけられた。その手錠はベッドの上部と繋がれており、下げる事は出来なかった。そして仰向けで寝転んだ俺の体に覆い被さる先輩。

(げ…何?)

変態上司だったら部屋に来た時点で警戒したが、風見先輩だとつい警戒心が緩んでしまっていた。

ガチャガチャと音を立てて今の状況を確認していると、先輩は一つの小さな瓶を見せつけた。

「これ任務で得た薬なんだけど」

それだけで怪しさ満載の薬。それを俺の見えるように開封すると、顎を固定して無理矢理口に押し込んできた。

「んん~っ!!」

「溢さず飲め。変な薬じゃねーから」

(変な薬だろうがどうせ!!)

先輩は何かあるといつも俺で試してくる。首を振ろうとするも、虚しくもその薬は俺の喉を通って行った。特に何の味もしない薬をコクンと飲み干すと、先輩はニヤリと笑った。

「ていうかー何かあったら俺で試すの……」
【やめてもらえません?うざいんですけどー】

そう言うつもりで続きの言葉を伝えようとしたのだが。

「嬉しいです。俺以外とあんまりこんな事しないでほしいので」

俺の口から出たのは、心の中で思っている"素直な言葉“だった。

(…え?)

自分の口から放たれた言葉に驚くと、先輩はパァッと目の色を輝かせた。

「……!?」

その顔を見て、時間差でカァッと顔が熱くなった。

「へぇ。他の奴とはしてほしくないんだ。…七彩ってば可愛い。いつもイヤイヤ言いながら付き合ってくれてんだと思ってた」

【嫌に決まってんだろ。いつも俺で実験しやがって】
「嫌なわけないでしょ。俺以外としてる方がやだ」

(…はぁ!?)

口を開く度に言おうとした言葉と真逆の言葉が伝えられる。更に熱くなる顔にきゅっと唇を結ぶと、先輩は俺の耳元へやってきて薬の効力を伝えた。

「それ、自分の本当に思ってる事を言っちゃう薬。拷問の時とかに飲ませたら、嘘つけなくなるから最高じゃない?」

「んん…っ」

ボソボソと低い声で囁かれると吐息が当たり変な声が出た。

【やめろよ気持ち悪い!】
「気持ちいい…けど恥ずかしい…っからやめて下さい」

(うおおおい!!俺ぇぇぇ!!)

「はは、耳まで赤くなってる。可愛いな~気持ちいいから嫌なの?」

「んん…っ、ぅ…」

ふぅ、と耳へ息を吹きかけられるとゾクリと背中に伝わる刺激。モゾモゾと体を動かすと、先輩は俺の体を押さえつける力を強めた。

「この間、変態上司と柚木と訓練したんだってな。変態から聞いたけど、随分可愛かったんだって?…お前の可愛い姿知ってんの俺だけのはずだったのに。むかつく」

名前すら考えてもらえていない変態上司を哀れに思いながら、ずっと耳元で話す先輩にぞわぞわした。

「……この薬の持続効果も知りたいし、久しぶりに相手してよ。七彩」

【絶対に嫌だ】
「はい、喜んで」

(……もう、やだ)

羞恥で視界が涙で歪んだが、先輩はニヤニヤしながら首筋に顔を埋めた。

「ふ……あ!気持ち良い…擽ったい…」

どれだけ抗っても、自分の口から言葉として放たれるのは本音のみ。仕方なくそれを受け入れながらも、やはり言葉として自分の耳にも届くと恥ずかしくて堪らない。

「何処が一番好き?」

「…わ、……っ」

つい素直に伝えそうになったが、弱点を晒すのが恥ずかしくてもう遅いかもしれないが口を噤んだ。

「わ?…ふぅん、こっち?それともこっち?」

服の中へ入ってきた手は脇腹と腋を這った。ビクッと反応して逃げようとすると、「逃げれないよ」と耳元で俺の弱い声色で強調された。

「…んん…っ」

口を開かなければ本音を伝える事もない。ぎゅっと唇を噛み締めながら耐えていると、耳へ先輩の舌が侵入し、肌を擽る指も大胆になった。

「ひゃ……っ!あ…わ、脇腹っ、脇腹…擽ったい…優しく撫でられたり揉まれたら我慢出来ない…!先輩の声格好良い…!変な気持ちになるから耳元で喋らないで…!」

思いっきり全ての本音が出た。

(ぎゃぁぁ…やめろよぉぉぉ……何だこの薬どうなってんだ……)

「へぇ…変な気持ちってどんなの?…教えて七彩」

耳を舐めながら囁く声と、俺が苦手だと伝えた脇腹を優しくこちょこちょと動く指。必死に暴れても取れない手錠に、先輩の人力の拘束に目の前がクルクル回った。

「はぅ…っ、え、エロい…気持ちになる…!昔、先輩とした訓練思い出して…っ、今にもイッちゃいそうになる…!」

「…へぇ、お前素直だとやけに可愛いのな。今まで暴言吐きまくってたくせに」

「だって…恥ずかしい、し…蕩けた自分見せて先輩に嫌われたくなかったから……」

「はぁぁ…可愛い、そんな心配してたんだ?へぇぇ…」

いつもならうざい気持ち悪いという照れ隠しの言葉を吐く所だが、口を開くと絶対に違う言葉が出るだろう。必死に声が出ないようにしていると、先輩は俺を見下ろして訓練の時によく見せたS気全開の顔で言葉を伝えてくれた。

「…俺が今更お前の事嫌いになるわけねーから、全部曝け出せよ」

嬉しいような、恥ずかしいような。よく分からない感情に顔が熱くなりそっぽを向くと、脇腹に手を添えられた。

「!!待っ……ひゃあ!あはっ……!だめ!先輩待って、擽ったい!ひゃはぁぁ…あはっ…んん、んっ、」

左右に添えられた指が優しく動き出すと、ベッドの上で小さく体が跳ねた。先輩が俺の体を押さえていなかったらきっともっとバウンドしてただろう。

「あはぁっ!あは…ははっ…ひゃははっ…擽ったい!擽ったい!!」

ガチャガチャと頭上で響く手錠の音。俺が優しく触られると弱いと伝えたからか、大爆笑するような刺激ではなく中途半端に堪えられるようなもので余計混乱した。

「はぁっ…あは…!ははっんん、」

ツツ、と人差し指で脇腹から腋を往復されると、今まで以上に体が反応した。

「ひゃあっ!それ…!それ弱いです!俺それ気持ちいっ…だめ!がっ、がまんっ、出来ない!擽ったい!気持ちい!やっ、あはっ、ぁぁあ!!」

「へぇ」

くるくると円を描きながら腋の窪みや胸の横、そして乳首周りと腹部、脇腹と探る様に人差し指が這うとぞわわっと鳥肌が立った。

「ぁぁぁあ!…あ!やっ…だめだめだめ!それ…!それっ、」

「これがどうしたよ」

なぞる動きからツンツンとつつく動作に変わると更に我慢が難しくなった。

(もうどれも無理なんだけど!!)

「ひゃあ、ああっ!やっ、……あはぁぁぁっ!」

「すんげービクビクしてるけど擽ったいの?気持ち良いの?」

「どっちも…!どっちもあります…!でも…今は、気持ち良い方が強い…っ恥ずかしい、」

「擽ったい方がいい?俺にどうやっていじめられたい?」

自分の本音が分からない。本当は今すぐやめて欲しいはずなのに。どうせ口を開くと自分でも分かってない本音の言葉が出るんだろう。認めるのが怖くてフルフルと首を振ると、こちょこちょと笑わせにくる動きに変わった。

「ひゃはははは!あはっ!…ぁぁぁ!擽ったい!擽ったい!!」

ポロポロと伝う涙に、熱い顔。きっと俺も今まで訓練してきた人達みたいに甘い顔になってるんだろうが、先輩だからか見れられても何も思わない。ただ間抜け面で嫌われたりしないかと不安だったが、先輩の顔を見るとその不安も吹き飛んだ。

「…あー、可愛い。何か久しぶりにお前の事いじめたくなった」

「いじ、めてっ…いっぱい…触って…っ」

「へぇ…素直だな」

(てめぇが飲ませた薬の所為だろうが…)

「言葉はちゃんと素直なのに睨んではくるんだな。…恥ずかしくて素直になりきれねーの?そういう所も可愛いねぇ」

脇腹にいた手が腋に移動するとサワサワと動き出した。その瞬間にガンッと鈍い音が頭上から聞こえた。敏感になっているので何処触られても擽ったい。

擽ったさと少しの快感に蕩けながら先輩を見つめると、カリカリと優しく窪みを引っ掻かれた。

「ひっ…!あはははは!あっ…んん!あは、ぁっ…」

腋の窪みから二の腕をサワサワ擽られ、焦らすように暫く揉まれたりした後、また腋に戻ってくると余計擽ったく感じた。

「ずっと同じ所だと慣れんだろ?だからこうやって別の場所触った後に…擽ると余計気持ち良いだろ?」

「やはははは!…分かった、分かったからっ…ちょっ…あはは、苦しい!お腹痛いっ!一回、一回休憩したいっ…」

「だーめ。まだ始まったばっかだし」

「あははははは!!だめっ、むりっ!擽ったいんだけどぉっ、もぉっ…先輩っ、先輩ぃぃ!」

「えー…じゃあ次はこっちな」

モゾモゾと動く指は、乳首へやってくると、爪で優しく擽られた。

「!!」

ゾクリと体全体に気持ち良さが伝わると、体が温かくなった。

「んん……!気持ちいい…っ、」

「おーおー、そりゃ良かった。お前胸弱かったもんな。もうこんなに反応させちゃってぇ。変態にもここ触られたん?」

周りをなぞったり、時折乳首をツンとつついたりと甘い刺激を与えてくる。

「触られてません…っ」

「…他の誰にも触られてない?」

「はい…先輩、だけです」

「それなら良かった」

「ふふ、…ん、ん、何か…擽ったくて、気持ち良い…ずっとそれがいい」

「そうか」

きゅっと指の腹で乳首を摘まれるとゆっくりと捏ねられ、トクンと股間に熱がいった。

(気持ちいい……今まで恥ずかしかったけど、どうせ本音しか言えないんだ。だからもう…素直になろ)

そう思って先輩が与えてくる刺激を受けながら「気持ち良い」を繰り返した。

「…とろっとろんなったな」

「先輩に触られてるからねー…当然でしょー」

刺激が止まると、はぁ、と熱い吐息を漏らして息を整えた。

「素直な七彩最高だったよ」

「あは、それはどうもー一応ノッてあげただけなんでームード出て最高だったでしょ?」

この頃にはもう薬は切れたのか、いつも通りの言葉が出るようになった。

「ま、薬の効果はこんなもんか。…じゃあ次は何の薬もないお前から本音聞かせてもらおうかな」

「…え?もう終わりじゃ…」

「終わるわけないじゃん?だってここ触ったら随分弱ってくれたし。…昔みたいに俺のこと好き好き叫びながら許しを乞えよ」

「んなぁぁ…!あ、あれはアンタが好きって言わないとやめないとか言うから…!」

「あー…今薬効いた状態だったら最高だったのになー…」

「るっさい!もうあんな言葉絶対言わないしー」

「じゃあ試してみるか。俺の事好きって言わないとやめねーから覚悟しろよ?」

わきわきと目の前で動く指を見て、一気に青ざめた。

「ひゃああああ!」

脇腹に添えられた指が再び苦手な刺激を生み出すと、俺の体はピクンと大きく跳ねた。

「ほらほらー、好きって言わねーならもっと頑張んねーとな」

優しく5本の指が両サイドから脇腹を擽ると、反射的に体が暴れた。

「やぁははははは!あはぁっ!ちょ、やめっ、やめてっ…あははは!」

「お腹ビクビクしてんなぁーでもちゃんと引き締まってて偉い偉い。ちゃんと筋トレもしてんの?」

右手は脇腹で遊びながら、左手はクルクルと腹筋をなぞってくる。

「ひゃははっ…あは、あはぁ!やめっ…くるしっ…ぃ、先輩ぃっ…やめれっ、やめぇぇぇっはははは」

「俺の事好きー?」

「るっせぇぇ…んなわけ、ないしっ、やめろっ、もぉっ…俺、今日っ…出かけようと、思ってたのにぃっ…あはっ、あははは!もぉぉぉ!」

「何処行く気だったん?」

「んはぁっ…近く、に出来た…っパフェ、の店にぃっ…」

「一人で?」

「…んっ、そうですよっ…、悪いですかぁ…だって…あひゃぁっ…柚木、仕事、だしっ…はははっ」

「相変わらず柚木と仲良しだなぁ…俺も甘いもん食いてーし、お前が素直になってくれるなら今すぐに行こうぜ」

「ひゃはははは!やめっ、擽ったぃぃ!一人で行くからぁっ……アンタが、いるとっ……」

(デートみたいで恥ずかしいじゃん)

薬が切れて良かったと思う本音に気付くと、心の中で思うだけで羞恥を覚えた。

「ん?…俺が居ると、何?」

ツツー、と脇腹を人差し指が上下すると、ビクッと大きく反応した。

(やばい…!これ耐えれない!!)

ガチャガチャと激しい音が響く中、先輩は俺を追い詰めるように弱い触り方を徹底させた。

「ひゃぁぁぁあ!!やめっ…それやだ!やだっ!!っ、めろ、やめっ…んんぁっ」

「俺と一緒に出かけんの嫌なの?何でー?七彩~」

頭が痺れるような甘い刺激に変な事を口走りそうになりながら必死に耐えて居ると、指を立てて肋骨を確認するようにコリコリと動き出した。

「ひっ、!?あああああっっ!!」

「お、効いてる」

「や"っ…ああああはははは!!やめ……!ちょ、待って!!むりむりむり!!おいっ、ざけんなぁっ、もう、もういいじゃん、やめれっ……ひ、ははは!」

肋骨を優しくつついたり、サワサワと擽る動きへ変えたり、慣れないようにするためのランダムな刺激は、確実に俺を追い詰めた。

(やばい!無理!これはもう無理!)

ニヤニヤしてやめる気配のない先輩の態度に負けてしまい、顔を見ないように背けながら、必死に呟いた。

「……で、…デート、みたいで…恥ずかしい、から…二人で出かけんの、やです……」

「えー?俺はデートしたいけど。だめなの?」

「~~んんん!!!あはははっ!ちゃんと、言ったぁぁ!もぉやめろよばかぁぁっ!!」

「えー、じゃあ何でダメなのか教えて~?俺が居ると緊張して恥ずかしくて~パフェの味分かんないとか?」

「そ、だよッ、緊張してっ、味、分かんなくなるからっ…ていうか、隣にいるだけで腹一杯になるし……」

「あははは、可愛い。ありがと、ちゃんと伝えてくれて」

ずっと脇腹に留まっていた指が漸く離れると、次は顎を持ち上げて視線を合わせてきた。

「じゃあ最後は昔みたいに『好き』でフィニッシュしようか。パフェ食いに行く時間なくなるから早く素直になれよ」

「……スキスキスキスキスキ。これで満足かよ?つーか、無理矢理言わせて何が楽しいんだかー」

「無理矢理だけど、お前の顔見てると嘘じゃないって分かるしな。まぁ今のは腹立つからもう暫く続けるか」

「!?ごめんなさいっ、も…むり!ぎゃああああ!」

完全に蕩けるまで何分か分からない長い長いくすぐり攻撃が続けられた。

手が止まった時には痙攣する事しか出来ずに、ピクピクと体を震わせていた。

「七彩、可愛い。大好き」

「…っ、れも、好き…ですっ…好き、先輩…、好き…」

涙で歪んだ視界で先輩を見つめながらそう伝えると、先輩は手錠を外して優しく抱き締めてくれた。

力が入らない腕を必死に伸ばして背中は回すと、久しぶりの体温の温かさにとても安心した。


◇ ◆


「美味しいー」

朝早くから行為を進めてくれたおかげで、昼過ぎには目的の店へ来ることが出来た。何故かちゃっかりと正面に座る先輩とパフェを食べた。

「本当、お前可愛いよな」

「何処がですかー?今可愛い子いっぱい居ますよー。由麗とかー千隼とかー渚とかー。まぁ柚木も顔は可愛いか」

「俺の中では七彩がずっと一番可愛いよ」

「パフェより甘いこと言うのやめてもらえますー?」

顔が熱くなるのを感じながらパクパクと食べ進めると、先輩は温かいコーヒーを飲んでいた。

甘いものは特に好きじゃないのは知っていたが、何故ついてきたんだろうか。

「パフェ食べないのに何で一緒に来たんですかー?」

「お前とデートしたかったからだよ」

「ん…っ、」

喉が詰まりそうになったので水を飲むと、先輩はニヤニヤと笑っていた。

「…からかわないでもらっていいすかー」

「後輩の事はからかうくせにな?」

「…知ってんすか」

「昨日柚木と会ったから色々話した」

「…へぇ」

「んな不貞腐れた顔しなくても柚木とは何にもねーから」

「はぁ?…ふざけた事言わないでもらっていいすか」

調子が狂うのでパクパク食べ進めて居ると、嬉しそな顔でずっと見つめられた。

「あんま見られたら食べにくいんすけどー」

「食べにくいなら、俺にも一口ちょーだい?」

「あげませんよ」

昔に戻ったみたいな懐かしい何でもない些細なやりとり。

(…先輩と出かけんの久しぶりだから、すげー安心する)

大好きな甘いものと、大好きな先輩との時間に幸せを感じながら、パフェを平らげた。

「これからは暫く長期任務に出ないからまた遊んでよ」

「……はい」

「へぇ、素直でよろしい」

「…るさい」

熱くなった顔を隠すように、先輩に会計伝票を押し付けて店を出た。

end.
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