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訓練シリーズ
すきです
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篠田未南の甘々話です。訓練シリーズと繋がっているのでここに掲載します。未南が少し格好良くて、篠田が可愛いです。苦手な方はご注意下さい。
嫉妬/緩拘束/擽り/微裏?/甘々
攻→篠田/視点
受→未南
◇ ◆
「……っ、ん」
タオルで両手を縛られて動けなくなった未南さんは、必死に声を我慢しながら愛撫に耐えていた。
「し、のだぁぁ……!」
たまに僕の名を恨めしそうに呼ぶ声が聞こえたが、完全にスルーして彼の苦手な箇所への愛撫を続けた。
「ひぁぁぁ……っ、おい!やめっ…ぁっ」
そもそも何故こんな事になったのかと言うと、数十分前の朝食時の会話がきっかけだった。
「実は昨日、マッサージしてもらったんだよ!担当の子は可愛らしい男の子だったんだけどすげー気持ち良かった」
と笑顔で言ってきたのだ。それを聞いた途端、今まで感じた事のないような感情が芽生えた。
桃瀬さんに教えてもらって作ったマッサージクリームでマッサージしたばかりなのに。
僕が風見さんをマッサージするって話したら「やだ」って言ったくせに、自分は他人に触られてるんだ。
そう思うと、いつもみたいな笑顔で接することが出来なかった。
食事をしながら終始素っ気ない態度をとっていると、それに気付いた未南さんは困ったようにあわあわしていて。
「…し、篠田くん?なんか、怒って……」
「未南さん。ちょっと話したいことあるんでいいですか?」
「あ、はい……」
普段と違う態度に驚いた未南さんは、敬語で返事をした後、素直に僕の後ろをついて来た。
いつもは未南さんの部屋で過ごすことが多いが、今回は自室へ来てもらい、部屋の真ん中に縮こまって座る未南さんを押し倒した。
「……え、何で、え?」
「…未南さん、この前僕が風見さんをマッサージするって話した時、やだって言ったじゃないですか。それなのに何で自分は他人に触られてんですか?」
思ったままに言葉にすると、一瞬ぽかんとした顔をした後、ニヤッと口角を上げて抱きついて来た。
「あーもしかしてヤキモチ妬いてんの?俺のこと好きって言ってたもんねぇ。でもマッサージ店に行ったのは理由が──」
楽しそうな声にもイラッとしたので、手を掴んでタオルを結びつけた。
「うおおお、なんつー早技!?ちょ、話を最後までっ」
「理由って何ですか」
「風見さんが「日頃頑張ってくれてるから」って誘ってくれたんだよ!折角の誘いを断れないから…っ、ひゃあ!」
「…断りにくいかもしれませんが、僕は風見さんのマッサージしてくれっていう申し出を断ったんですよ?未南さんの嫌がることしたくないから。なのに何であなたは簡単にオッケーするんですか。ってことでお仕置きです」
──というのが冒頭に至った理由だ。
上に着ていた服を捲り上げ、腹部を晒して真っ先に未南さんの弱点でもある臍に口付けた。
唇が触れるだけで敏感に反応する未南さんは謝罪しながらパタパタと足を動かして刺激から逃れようと試みていた。
もちろん離すはずもないので動けないように足へ体重をかけて臍を愛撫しながら空いている両手を脇腹に添えた。
「あっ……待って、待って篠田くん!!」
慌てて制止する声が聞こえるも、行為をやめるつもりはないので優しく脇腹を擽ると、ビクンと大きく腰が跳ねた。
舌で臍の周りを愛撫しながら肌を撫でると、次第に甘い声に変わっていった。
「ごめっ……篠田くっ……ただの、もみほぐし、だからっ…気にしないと、思って…ごめんなさいっ…ひひっ…ぁはははっ…くすぐったいぃぃっ」
「──前にちゃんと伝えたけど、僕はあなたのことが……その、す………き、なので…だから、もみほぐしだろうが何だろうが誰にもあなたの体に触れて欲しくないんです」
「! ……そ、そんな照れながら言ってくんなよ!こ、こっちまで照れるだろっ…」
「う、うるさいです。とにかく…お仕置きするんで黙ってて下さい!」
「んっ、……分かった、分かったからぁ……て、手ぇ解いて…抵抗しねーから」
「拘束するのは趣味なので」
「変態が!!」
「そんな口叩けるならもっと擽っても問題なさそうですね」
「ぎゃあああああ!!あはははははっ!!」
脇腹を激しく擽ると思いっきり激しい笑い声が響く。必死に逃げようと暴れる体を押さえつけながら徐々に手を上へ移動させると、未南さんは更に暴れる力を増した。
「ほらほら、しっかり逃げないと未南さんの弱点に着いちゃいますよ~」
脇腹からトコトコと歩かせた指は胸の横へ到達すると、思いっきり悲鳴を上げながら悶え出した。
人差し指を立ててグリグリと刺激すると、もう悪態も吐けないくらいに余裕がなくなっていった。
「ひっ、あ"ぁぁぁぁあ!! ごめんなさいっ、ぁははははは!!やめっ…そこ、やだってば!!やだ!やだぁぁぁぁあ!!」
「だめです。そんなに暴れないで下さい」
指を動かしつつ、服を更に捲り上げて胸元を晒すとぷくっとピンク色の乳首が見えた。それに唇を寄せて吸い上げると、未南さんの体は可愛い反応を示してくれた。
「やぁ…っ、舐め、んなっ……」
「ん。硬くなってきましたね」
「ひぁぁぁ…っ!!喋んなばかぁぁぁ!!」
「歯が当たると感じるんですか?可愛いですね~。けどこれお仕置きなんで気持ち良いことするだけじゃないですよ?そんな態度だと……」
胸の横に置いていた指を脇へ持っていき、こちょこちょと動かしてやると、再び激しい笑い声が聞こえてきた。体もビクンビクンと面白いくらい跳ねていて、乳首を愛撫すると気持ち良さそうな声を混ざり、忙しそうだ。
舌先でころころと転がしながら肌を擽り続けると、僕の体には未南さんのモノが当たった。
「未南さん、勃ってますよ」
「っ、ばかっ、うるせぇぇ……もぉやめろ!!もう反省したからぁぁっ……」
「終わるわけないでしょ?今から未南さんを全裸に縛り付けて何時間も攻める予定なのに」
「させるかばかぁぁ!!お前だって仕事あんだろ!!」
「ありますよ。けどまぁ大丈夫です」
「ちゃんと仕事しろよぉぉ……っ、あっ、ぅ、ぅぅ……篠田くんっ、だめ、むりっ…!!」
話している間も舌の動きは止めず、肌も気持ち良さを感じる触り方で撫でながら膝でグリグリと股間を刺激すると、早くも限界が近付いている様子。
「…もう僕以外に触れさせないって約束出来ます?」
「するっ…する、からっ……」
「──僕のこと、好きですか?この前、風見さんに触れて欲しくないって言われてちょっとだけ期待してるんですけど」
愛撫を止めてじっと瞳を見つめると、涙に濡れた瞳でしっかりと見つめ返してくれた。
「…………ん、そうだよ」
「そうだよ、じゃなくてちゃんと言葉にしてほしいです」
「…好きだよ。篠田くんのこと」
恥ずかしそうにしながらも一切視線を逸らさずに伝えてくる未南さんは、少しだけ格好良いと思えた。
「あはは。嬉しいです。それにしても散々いじめてる僕のこと好きなんて未南さんも──」
「そういう雰囲気に持ってくな。俺はちゃんと言ったんだ。男らしく、お前も言えよ」
「……」
タオルで縛られてこんな状態にも関わらず、未南さんの眼差しは真剣で。
流石にちゃんと言わないといけないと分かっていても、今まで真面目に目を見て伝えたことなんてない。
(…は、ずかしい)
そう思ってしまうと上手く顔を見れなくて視線を逸らすと、「こっち見ろよ」と強い口調で言われた。
「…俺は、篠田くんが好きだよ。篠田くんは?」
「………」
「……」
「…です」
「ちゃんと言え」
「…れも、…」
「うん」
「…俺も、未南さんが好きです。だから、誰にも触らせないで。ずっと、これからも」
「よく出来ました」
「もう………やっぱりちゃんとSの部分はあるんですね」
「今のはSとは違くね?お前がいつもと同じような軽い雰囲気に持ってくからむかついてたの」
「だって恥ずかしいんですもん。こういうの」
「ま、新鮮な篠田くんが見れて良かった。つーか篠田くんが自分のこと俺って言ってんの初めて聞いた」
「え、言ってました?……普段は僕にしてるんです。仕事の時とかそっちの方がいいかと思って」
「ふぅん。なぁ、俺達って今どんな関係なの?」
「……え?」
「なぁ、普通男からきちんと言うもんじゃねーの?言えよ」
「ついに男であること放棄したんですか?」
「いいから。仕事モードじゃない、篠田くんの口からちゃんと言って」
未南さんの顔を見ていると、わざと恥ずかしがるような事言わせようとしているわけではなく、純粋に言って欲しそうな表情だった。
「……っ、い、一回しか言いませんからね」
「うん」
期待した瞳で見つめる未南さんの視線に緊張しながら、ふぅ、と息を吐いて気持ちを落ち着かせた。そしてずっと見つめ続けてくる未南さんを起こし、タオルを解いてぎゅっと抱き締めた。
「……好き。俺と付き合って、未南さん」
顔を見られないように強く抱き締めると、未南さんは嬉しそうな素直な声で「はい」と言ってくれた。
「あはは。お前体熱すぎ。いつも人のことバカにしといてさぁ」
「バカにした事なんてないですよ。可愛いからいじめたくなるだけで」
「……ん、俺も今、その気持ち分かったよ。可愛くて篠田くんのこといじめたくなっちゃった」
「いじめるのは僕の役目なんで。未南さんはずっと可愛く居て下さい」
「…ま、篠田くんの前ではそれでもいいか。大切にしろよ、俺のこと」
「もちろんです」
「……俺も大事にしてやるから」
「それは嬉しいですね」
「そういやお前さぁ。足の付け根弱かったんだっけ?」
「?」
悪戯っ子な声が聞こえると共に、足の間に入り込んでくる未南さんの指。一体何のことだ?と思っていると、ふと思い出した。
『未南さんは何処が弱点ですか?僕は足の付け根部分なので、そこを刺激するようなものを取り付けたいと思ってます』と、初めてペアを組んだ時に言ったんだっけ。
実際は何処も弱いと感じる箇所はないが、一つくらい言わないと未南さんも言ってくれないと思ったから。
(へぇ、今までの仕返しする気だったのかな?)
ニヤニヤ笑いながら体に触れてくる未南さんが子供っぽくて可愛らしい。
「未南さん」
「何だよ降参か?全く、今日の篠田くんは可愛──っ…え?」
足に触れてくる未南さんの両手を掴み、つい先程解いたタオルを再度結びつけた。
「……え、あれ?」
「触った時に、僕が全く反応してないのも分からないんですか? 全く、可愛い人だなぁ。でも…イタズラしようとした悪い子には、お仕置きですね」
「………」
その後、未南さんの激しい叫び声が部屋に響いたのだった。
end.
嫉妬/緩拘束/擽り/微裏?/甘々
攻→篠田/視点
受→未南
◇ ◆
「……っ、ん」
タオルで両手を縛られて動けなくなった未南さんは、必死に声を我慢しながら愛撫に耐えていた。
「し、のだぁぁ……!」
たまに僕の名を恨めしそうに呼ぶ声が聞こえたが、完全にスルーして彼の苦手な箇所への愛撫を続けた。
「ひぁぁぁ……っ、おい!やめっ…ぁっ」
そもそも何故こんな事になったのかと言うと、数十分前の朝食時の会話がきっかけだった。
「実は昨日、マッサージしてもらったんだよ!担当の子は可愛らしい男の子だったんだけどすげー気持ち良かった」
と笑顔で言ってきたのだ。それを聞いた途端、今まで感じた事のないような感情が芽生えた。
桃瀬さんに教えてもらって作ったマッサージクリームでマッサージしたばかりなのに。
僕が風見さんをマッサージするって話したら「やだ」って言ったくせに、自分は他人に触られてるんだ。
そう思うと、いつもみたいな笑顔で接することが出来なかった。
食事をしながら終始素っ気ない態度をとっていると、それに気付いた未南さんは困ったようにあわあわしていて。
「…し、篠田くん?なんか、怒って……」
「未南さん。ちょっと話したいことあるんでいいですか?」
「あ、はい……」
普段と違う態度に驚いた未南さんは、敬語で返事をした後、素直に僕の後ろをついて来た。
いつもは未南さんの部屋で過ごすことが多いが、今回は自室へ来てもらい、部屋の真ん中に縮こまって座る未南さんを押し倒した。
「……え、何で、え?」
「…未南さん、この前僕が風見さんをマッサージするって話した時、やだって言ったじゃないですか。それなのに何で自分は他人に触られてんですか?」
思ったままに言葉にすると、一瞬ぽかんとした顔をした後、ニヤッと口角を上げて抱きついて来た。
「あーもしかしてヤキモチ妬いてんの?俺のこと好きって言ってたもんねぇ。でもマッサージ店に行ったのは理由が──」
楽しそうな声にもイラッとしたので、手を掴んでタオルを結びつけた。
「うおおお、なんつー早技!?ちょ、話を最後までっ」
「理由って何ですか」
「風見さんが「日頃頑張ってくれてるから」って誘ってくれたんだよ!折角の誘いを断れないから…っ、ひゃあ!」
「…断りにくいかもしれませんが、僕は風見さんのマッサージしてくれっていう申し出を断ったんですよ?未南さんの嫌がることしたくないから。なのに何であなたは簡単にオッケーするんですか。ってことでお仕置きです」
──というのが冒頭に至った理由だ。
上に着ていた服を捲り上げ、腹部を晒して真っ先に未南さんの弱点でもある臍に口付けた。
唇が触れるだけで敏感に反応する未南さんは謝罪しながらパタパタと足を動かして刺激から逃れようと試みていた。
もちろん離すはずもないので動けないように足へ体重をかけて臍を愛撫しながら空いている両手を脇腹に添えた。
「あっ……待って、待って篠田くん!!」
慌てて制止する声が聞こえるも、行為をやめるつもりはないので優しく脇腹を擽ると、ビクンと大きく腰が跳ねた。
舌で臍の周りを愛撫しながら肌を撫でると、次第に甘い声に変わっていった。
「ごめっ……篠田くっ……ただの、もみほぐし、だからっ…気にしないと、思って…ごめんなさいっ…ひひっ…ぁはははっ…くすぐったいぃぃっ」
「──前にちゃんと伝えたけど、僕はあなたのことが……その、す………き、なので…だから、もみほぐしだろうが何だろうが誰にもあなたの体に触れて欲しくないんです」
「! ……そ、そんな照れながら言ってくんなよ!こ、こっちまで照れるだろっ…」
「う、うるさいです。とにかく…お仕置きするんで黙ってて下さい!」
「んっ、……分かった、分かったからぁ……て、手ぇ解いて…抵抗しねーから」
「拘束するのは趣味なので」
「変態が!!」
「そんな口叩けるならもっと擽っても問題なさそうですね」
「ぎゃあああああ!!あはははははっ!!」
脇腹を激しく擽ると思いっきり激しい笑い声が響く。必死に逃げようと暴れる体を押さえつけながら徐々に手を上へ移動させると、未南さんは更に暴れる力を増した。
「ほらほら、しっかり逃げないと未南さんの弱点に着いちゃいますよ~」
脇腹からトコトコと歩かせた指は胸の横へ到達すると、思いっきり悲鳴を上げながら悶え出した。
人差し指を立ててグリグリと刺激すると、もう悪態も吐けないくらいに余裕がなくなっていった。
「ひっ、あ"ぁぁぁぁあ!! ごめんなさいっ、ぁははははは!!やめっ…そこ、やだってば!!やだ!やだぁぁぁぁあ!!」
「だめです。そんなに暴れないで下さい」
指を動かしつつ、服を更に捲り上げて胸元を晒すとぷくっとピンク色の乳首が見えた。それに唇を寄せて吸い上げると、未南さんの体は可愛い反応を示してくれた。
「やぁ…っ、舐め、んなっ……」
「ん。硬くなってきましたね」
「ひぁぁぁ…っ!!喋んなばかぁぁぁ!!」
「歯が当たると感じるんですか?可愛いですね~。けどこれお仕置きなんで気持ち良いことするだけじゃないですよ?そんな態度だと……」
胸の横に置いていた指を脇へ持っていき、こちょこちょと動かしてやると、再び激しい笑い声が聞こえてきた。体もビクンビクンと面白いくらい跳ねていて、乳首を愛撫すると気持ち良さそうな声を混ざり、忙しそうだ。
舌先でころころと転がしながら肌を擽り続けると、僕の体には未南さんのモノが当たった。
「未南さん、勃ってますよ」
「っ、ばかっ、うるせぇぇ……もぉやめろ!!もう反省したからぁぁっ……」
「終わるわけないでしょ?今から未南さんを全裸に縛り付けて何時間も攻める予定なのに」
「させるかばかぁぁ!!お前だって仕事あんだろ!!」
「ありますよ。けどまぁ大丈夫です」
「ちゃんと仕事しろよぉぉ……っ、あっ、ぅ、ぅぅ……篠田くんっ、だめ、むりっ…!!」
話している間も舌の動きは止めず、肌も気持ち良さを感じる触り方で撫でながら膝でグリグリと股間を刺激すると、早くも限界が近付いている様子。
「…もう僕以外に触れさせないって約束出来ます?」
「するっ…する、からっ……」
「──僕のこと、好きですか?この前、風見さんに触れて欲しくないって言われてちょっとだけ期待してるんですけど」
愛撫を止めてじっと瞳を見つめると、涙に濡れた瞳でしっかりと見つめ返してくれた。
「…………ん、そうだよ」
「そうだよ、じゃなくてちゃんと言葉にしてほしいです」
「…好きだよ。篠田くんのこと」
恥ずかしそうにしながらも一切視線を逸らさずに伝えてくる未南さんは、少しだけ格好良いと思えた。
「あはは。嬉しいです。それにしても散々いじめてる僕のこと好きなんて未南さんも──」
「そういう雰囲気に持ってくな。俺はちゃんと言ったんだ。男らしく、お前も言えよ」
「……」
タオルで縛られてこんな状態にも関わらず、未南さんの眼差しは真剣で。
流石にちゃんと言わないといけないと分かっていても、今まで真面目に目を見て伝えたことなんてない。
(…は、ずかしい)
そう思ってしまうと上手く顔を見れなくて視線を逸らすと、「こっち見ろよ」と強い口調で言われた。
「…俺は、篠田くんが好きだよ。篠田くんは?」
「………」
「……」
「…です」
「ちゃんと言え」
「…れも、…」
「うん」
「…俺も、未南さんが好きです。だから、誰にも触らせないで。ずっと、これからも」
「よく出来ました」
「もう………やっぱりちゃんとSの部分はあるんですね」
「今のはSとは違くね?お前がいつもと同じような軽い雰囲気に持ってくからむかついてたの」
「だって恥ずかしいんですもん。こういうの」
「ま、新鮮な篠田くんが見れて良かった。つーか篠田くんが自分のこと俺って言ってんの初めて聞いた」
「え、言ってました?……普段は僕にしてるんです。仕事の時とかそっちの方がいいかと思って」
「ふぅん。なぁ、俺達って今どんな関係なの?」
「……え?」
「なぁ、普通男からきちんと言うもんじゃねーの?言えよ」
「ついに男であること放棄したんですか?」
「いいから。仕事モードじゃない、篠田くんの口からちゃんと言って」
未南さんの顔を見ていると、わざと恥ずかしがるような事言わせようとしているわけではなく、純粋に言って欲しそうな表情だった。
「……っ、い、一回しか言いませんからね」
「うん」
期待した瞳で見つめる未南さんの視線に緊張しながら、ふぅ、と息を吐いて気持ちを落ち着かせた。そしてずっと見つめ続けてくる未南さんを起こし、タオルを解いてぎゅっと抱き締めた。
「……好き。俺と付き合って、未南さん」
顔を見られないように強く抱き締めると、未南さんは嬉しそうな素直な声で「はい」と言ってくれた。
「あはは。お前体熱すぎ。いつも人のことバカにしといてさぁ」
「バカにした事なんてないですよ。可愛いからいじめたくなるだけで」
「……ん、俺も今、その気持ち分かったよ。可愛くて篠田くんのこといじめたくなっちゃった」
「いじめるのは僕の役目なんで。未南さんはずっと可愛く居て下さい」
「…ま、篠田くんの前ではそれでもいいか。大切にしろよ、俺のこと」
「もちろんです」
「……俺も大事にしてやるから」
「それは嬉しいですね」
「そういやお前さぁ。足の付け根弱かったんだっけ?」
「?」
悪戯っ子な声が聞こえると共に、足の間に入り込んでくる未南さんの指。一体何のことだ?と思っていると、ふと思い出した。
『未南さんは何処が弱点ですか?僕は足の付け根部分なので、そこを刺激するようなものを取り付けたいと思ってます』と、初めてペアを組んだ時に言ったんだっけ。
実際は何処も弱いと感じる箇所はないが、一つくらい言わないと未南さんも言ってくれないと思ったから。
(へぇ、今までの仕返しする気だったのかな?)
ニヤニヤ笑いながら体に触れてくる未南さんが子供っぽくて可愛らしい。
「未南さん」
「何だよ降参か?全く、今日の篠田くんは可愛──っ…え?」
足に触れてくる未南さんの両手を掴み、つい先程解いたタオルを再度結びつけた。
「……え、あれ?」
「触った時に、僕が全く反応してないのも分からないんですか? 全く、可愛い人だなぁ。でも…イタズラしようとした悪い子には、お仕置きですね」
「………」
その後、未南さんの激しい叫び声が部屋に響いたのだった。
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