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訓練 (お誕生日)
giorni immutabili (挿絵有)
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柚木のお誕生日話です。本編に性描写はありませんが、おまけに軽くそういう雰囲気あります。柚木視点
◇ ◆
今年は色んなことがあった。未南さんと篠田さんと亜蘭がIrisに加入してくれて、Daisyの人たちとも交流を深めることが出来て。
たった一年でたくさんの変化があったけど、たった一日だけはいつもと変わらずに過ごす日がある。それが12月21日──俺の誕生日だ。
前日はいつも七彩が部屋に来て、夜遅くまで語り合う。とはいえ毎日会ってるし、休みの日もよく二人で出かけるので本来話すことはないんだろうけど、不思議と会話は途切れない。今日も仕事が終わってから、七彩はお酒やおつまみを持って部屋に来てくれた。
「この酎ハイ美味しい」
新発売と書かれた缶チューハイを片手に、そう伝えると、七彩は良かった~と言いながらおつまみを口へ運んだ。
「そういえばさ、いつも通り明日明後日と休みなんだけど…明後日、桜花先輩がランチに行こうって誘ってくれた」
「あ、そうなのー?良かったじゃんー」
「うん……先輩とご飯行けるのはすげー嬉しいけど、なんかちょっとだけ淋しくて」
用意してくれたおつまみを食べながらそう呟くと、七彩は困ったような表情をしながらグイッと缶チューハイを飲み干した。
俺が切なげな声でそう言ったからか、今まで盛り上がっていた部屋の空気は少しだけ気まずいものとなり、しばしの沈黙が流れた。
「毎年桜花先輩の作るケーキ食べて、次の日はお腹壊して寝てるもんねぇ~………」
全てにおいて完璧にこなす桜花先輩だが、唯一苦手なことは料理。昔から食堂に入ることさえ風見先輩に止められているが、俺の誕生日の時だけ必ずケーキを作ってくれる。
最初こそはその出来に驚いたが、一生懸命作ってくれているのは見たらすぐに分かるので、それが何よりも嬉しかった。誰も手を付けないケーキを半分ずつして食べて、次の日には二人で寝込む。最近では耐性がついてきているのか、同じ量を食べてもお腹を壊すのは俺だけなので申し訳なさそうにしながら看病をしてくれる──という日常を過ごしていたのだ。
しかし、今年は初めて誕生日の次の日に食事に誘われた。ということはおそらく、今年からはもうケーキを作る予定はないんだろう。
「あー…もしかして、今年は桜花先輩のケーキないのかなー?とか思ってる?」
「うん。だってランチ行こうって誘うってことは、ケーキ作る予定ないのかなって」
「お腹壊さなかったら普通に行けるくない?」
「…だって、桜花先輩が料理上達するとは思えないもん。料理上手な人達、先輩が怖くてちゃんと教えてあげれてないし。まー…ランチ行けるのは幸せだけどな」
用意してくれたおつまみを食べながら、先程絶賛した酎ハイを飲むと、七彩はうーんと唸り声を上げて何かを考えている様子だった。
「んーー……本当はさぁ、サプライズにしたかったと思うから言っちゃダメだと思うんだけどさー」
「ん?」
「明日、ちゃんと桜花先輩ケーキ作ってくれるよ。けど知らなかった体でいてね。明日の夜になれば柚木の不安な気持ちは無くなるんだろうけどさーせっかくの誕生日なのに淋しい気持ちにさせたくないから」
「え…でも」
「千隼がめちゃくちゃスパルタ教育してるから、桜花先輩ほんっっとに料理上達したんだよ。今まではみんな気を遣ってなかなか言いたいこと言えなくて上手く上達しなかったみたいだけど、千隼も極め出したら相手が誰だろうと厳しいからねぇーだから、明日は桜花先輩のケーキ楽しみにしてなよ。実際味見したのは千隼と桜花先輩だけなんだけどさー。千隼先生からOK出てたし、明日は一から一人で作るみたいだよ」
その言葉を聞いて、ついさっきまで抱いていた淋しさは消え、つい口元が緩んでしまう。
「あははー。嬉しそう。ごめんね、サプライズ感なくしちゃって」
「…ううん。結構ショックだったから、その話聞けて安心した」
「良かったぁ。明日は俺とランチ行ってー、夜はみんなでご飯食べてー、デザートに桜花先輩のケーキ食べようね」
「…うん」
照れくさくて酎ハイを一気に飲む干すと、スマホに一通のメッセージが届いた。時刻を見ると0時を示しており、送り主は桜花先輩。
【柚木くんお誕生日おめでとう】という言葉と共に、風見先輩が遊びで作ったIrisメンバーのL◯NEスタンプが送られてきた。そのスタンプは桜花先輩本人で、おめでとうという言葉と共に、一昨年くらいに作ったケーキを持って微笑んでいる写真。
「おー!桜花先輩って相変わらずきっちりしてるよねぇ。因みに毎年柚木に送りたいからって自分のスタンプの文言はおめでとうにしてねって言ったらしいよ。本当愛されてるよねぇ」
スマホの画面を見ながらニヤニヤ笑う七彩に照れくさくなるも、いつも通りお礼の言葉を添えて返信をした。
「返信出来たー?」
「うん」
「じゃあ柚木。お誕生日おめでとう。メッセージでは桜花先輩が一番かもだけど、直接言ったのは今年も俺が一番ー!」
「…ありがと。嬉しい」
「ずっと大好きだよ、柚木ー」
「…俺も好きだよ」
お互い少しアルコールが入っているからか、恥ずかしい台詞を吐きながらも、いつも通りの誕生日を迎えた。
◇ ◆
「柚木先輩!おめでとうございます!」
「柚木さんおめー」
「柚木、今年はセーラー服にしたよ」
「柚木先輩!!おめでとうございます!」
誕生日当日。七彩とのランチを終えて組織へ戻ると、笑顔のみんながプレゼントを持って出迎えてくれた。由麗からは限定販売している人気店のお菓子、亜蘭からはお洒落な洋服、塞原上司からはミニスカートのセーラー服などなど。両手で持つのも大変なほどにたくさんのプレゼントを受け取った。
「ありがとうございます。嬉しいです、すごく。先にプレゼントを部屋に置いてくるね」
みんなにお礼を伝えた後に部屋に戻ろうとすると、何故か一緒に亜蘭もついてきた。
「半分持ちますよ」
「いや、平気。亜蘭は先に食堂行ってていいよ」
「んー…一つ柚木さんに伝えておきたいことがありましてね」
「何?」
「桜花センパイからね、毎年メッセージカードもらってません?」
「うん。もらってるけど」
「そのメッセージカードにスライムみたいなイラストついてます?」
「うん。毎年何かしら描いてくれてるね。年々進化してるけど結局何なのか分かんないけど聞きにくくて。スライムっぽいけど変わったところから尻尾みたいなの出てたりするし。──でも、それがどうした?」
「今までの見たことないから分かりませんけど、今年のはわんちゃんらしいすよ。たまたま練習してるの見かけたんすけど…」
その言葉を聞いて、今までもらったメッセージカードを思い出すも、到底そうは思えないものが頭に浮かぶ。もしかして今までも犬とか猫とか、そう言うものだったのだろうか…。
「多分、そのことについても触れると喜ぶんじゃないかと思って勝手ながら報告でーす。んじゃ、待ってますね。柚木さん」
自室のドアを開けてくれた亜蘭は、そう言ってすぐに食堂の方へ向かって行った。プレゼントを机の上へ置いて、今までの手紙のことを思い出しながら俺も早足で食堂へ向かった。
到着するなり疲れた笑顔で待っててくれたのは千隼で、可愛らしいお洒落なエプロンを纏っている。
「柚木先輩!おめでとうございます!今日は柚木先輩のリクエストの手巻き寿司です!みんなで巻き巻きして食べましょう!」
テーブルに並べられているのは豪華な食材。七彩が手招きしてくれてる方へ向かうと、同じテーブルには笑顔の由麗と渚が先に座っていた。
「美味しそう。楽しみ」
「俺も楽しみです!!亜蘭の時はお肉メインでしたからねー!お寿司嬉しいです!!」
特にこれといった合図はないが、みんなが席についたところで各々で食事が開始される。大きな海苔にたくさんの酢飯をよそって一番に海鮮に手を伸ばす渚はいつも以上に笑顔で嬉しそうだ。
「おい先に柚木先輩だろ?」
「だって美味しそうなんだもん!!」
「あはは。いいよ、渚先に食べて。嬉しそうな顔見てるだけで幸せ」
「んじゃ遠慮なくいただきまーーーす!!」
「うわぁ、お前!こぼれてんだよ!米多すぎ!」
いつも通り賑やかな会話をしながら、みんなと一緒に食事をする中、桜花先輩の姿がないことに気付く。辺りを見回してもどのテーブルにも居ないし、千隼の姿もない。
俺が先輩を探していることに気付いた七彩は近くでそっと耳打ちした。
「多分今、千隼がケーキの最終チェックしてくれてるよ。桜花先輩ね、毎年本当は柚木とランチにも行きたかったんだって。だから今年は『柚木がお腹を壊さないケーキを作る』って頑張ってたよ」
「…そっか。嬉しいな」
ケーキのことに気付いていないフリをして手巻き寿司を食べ進めて数十分後。そろそろお腹がいっぱいになってきた頃にキッチンから桜花先輩が登場した。
「柚木くん」
「桜花先輩」
「メッセージでは伝えたけど、お誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
「実はね、今年も柚木くんの大好きなケーキを作ったの。一番に見て欲しいからこっち来れる?」
「はい、もちろん」
達成感丸出しの桜花先輩は目を輝かせながら俺の手を握ると、そのままキッチンへ歩いて行った。
中に入ると──周りはすごいことにはなっていたが、綺麗なテーブルの上に置かれていたのは大きめのタルトのケーキだった。
ケーキにはみずみずしいみかんがたくさんのっており、見た目はかなり美味しそうだった。中央にはメッセージの書かれたチョコレートプレートが刺さっており、桜花先輩の達筆な文字と、奇妙なスライムの絵が描かれていた。
「すごく美味しそうです」
「それなら良かった。千隼くんとおもちくんに、いっぱいお料理教えてもらったんだ」
「おもちくん?」
「うん。前に篠田さんが商品用に作ったスライムなんだけど、お客さんから返品されちゃったみたいでね。今は人工知能を搭載したペットとして千隼くんとずっと一緒に居るんだよ」
示された方を見ると、かなり疲れ果てた千隼の横には淡いピンク色をしたスライムがぷよぷよと震えていた。
「うわ、可愛い」
「……喋ることも出来るんです。ぷよぷよして餅みたいだからおもちって名付けました……」
めちゃくちゃ疲れ果てている千隼がそう呟くと、おもちはそんな千隼を労るようにぷよぷよと飛び跳ねており、かなり懐いていることが分かる。
「柚木先輩。桜花上司、めちゃくちゃ練習したので安心して食べて下さいね。メッセージプレートも一生懸命書いてたので。おもちのイラストありがとうございます」
その言葉を聞いてふとメッセージに目をやると、確かにおもちに見えなくもない。しかし亜蘭からは『わんちゃんですよ』と言われたので正直どちらか分からない。
(メッセージカードがわんちゃんであって、ケーキのプレートはスライムなのか…?)
一人でぐるぐると頭を悩ませてみたが、一応亜蘭からの言葉を信じて口を開いた。
「あ、このイラストおもちくんなんですね。俺わんちゃんかと思いました。可愛いですね」
と、呟いておそるおそる先輩を見ると、ぱぁぁあっと目を輝かせてくれた。
「流石柚木くんだね。このイラストは犬だよ。イラストも練習したし、今回は上手に描けたと思ってたんだ」
千隼が『これが犬!?』と驚いていたが、桜花先輩が嬉しそうにしているので一安心した。
「みんなで一緒に食べたいって言ったんだけど、風見くんが柚木と二人で楽しめって言ってきたからさ。俺も一番に柚木くんに食べて欲しいから切っちゃっていいかな?」
「もちろんです。あ、けど…ケーキと桜花先輩と一緒に写真撮りたいです」
「え、いいの?嬉しい。じゃあ千隼くん。撮ってくれないかな」
「分かりました!二人とも並んで下さーい!」
千隼にスマホを手渡した後、桜花先輩と並んでケーキを持って笑みを浮かべた。
「はいチーズ!二人ともすごく幸せそうな顔してますよ~」
「本当だ。ありがと、千隼」
写真を確認すると、二人ともとても幸せそうな表情をしており、ケーキもメッセージも綺麗に写っていた。
「じゃあ早速食べよう。はい、柚木くんの分」
手渡されたお皿にはプレート付きの一人前のタルトがのせられていて、とても甘い香りが鼻を通る。
「…いただきます」
ぱくりと口へ入れると、口内に広がるのは甘くて美味しいみかんとタルトの味。買ってきたと言われても納得出来る程の出来栄えに、かなり衝撃を受けた。
「! めちゃくちゃ美味しい…です」
「本当?嬉しい…っ、毎年柚木くんには辛い思いさせてたから、今年こそはって頑張ったんだ」
「…本当にありがとうございます。全部食べたいくらいに美味しいです」
「あはは。そんなにたくさん食べたらまたお腹壊しちゃうよ。これならみんなと一緒に美味しく食べれるだろうし、人数分切っちゃうね」
終始るんるんでケーキを分ける先輩を見ながら、俺はお皿の上のケーキを全て平らげた。
(やっぱり桜花先輩からのみかんは何よりも美味しいな…)
「あの…桜花先輩、足りません。俺もう少し食べたい」
「…仕方ないなぁ。もう一つだけだよ」
そう言いながらも、大きめにカットしてくれたタルトをお皿に置いてくれた。みんなの分もお皿にのせ、食堂へ持って行くと、引き攣った顔で桜花先輩のケーキを見つめる面々。
「いや、柚木のために作ったんだろ?俺たちは遠慮しとくよ」
すぐにそう言ったのは青ざめた風見先輩で、その発言にむっとした桜花先輩は一口分をフォークで摘んで風見先輩の口に放り込んだ。
「てめ…!何すん──……んまい!?」
「俺今年は上達したんだから、みんなで食べようよ。千隼くんが手伝ってくれたからたくさんあるの」
「これなら食えるわ!ほら、七彩も食え!」
「いやいや、食べますけどまずはハッピーバースデーの歌を歌いながら柚木のお祝いしましょうよ!」
「俺はさっきみんなにお祝いしてもらったから大丈夫だよ。桜花先輩が切り分けてくれたから、みんなで食べよう」
テーブルにみんなの分を置くと、最初は青ざめていたメンバー達もおそるおそる口へ運んでは美味しい!と口々に発していた。特にどでかい声で感想を言ったのはもちろん──。
「うわぁぁあ!何これ美味しい!いつも見た目からして不味そうでしたもんね!?桜花上司!上達しましたねぇ!」
渚だった。悪気は一切ないが毒々しい言葉を放つ渚に、桜花先輩は見るからに怒っていたが、みんなが嬉しそうに食べているのを見たからか、何も言わずに俺の隣へ来て一緒にケーキを食べた。
「渚くんは本当に素直な子だね。たまにすごくイラッとくるけど」
「それが渚の良さでもありますからね」
「そうだね」
「──先輩。本当にありがとうございます。今年も先輩のケーキが食べれてすごく嬉しいです。これからもずっと、食べたいです」
「もちろん。これからもずっと、俺が手料理を振る舞うのは柚木くんだけだよ。毎年美味しくないケーキを残さずに食べてくれるのが嬉しかったんだ。ありがとね」
「…今までのケーキも、俺にとっては最高に美味しかったですよ」
「それはどうも。これからもよろしくね、柚木くん」
「──はい。ずっと、よろしくお願いします」
「桜花上司ーーー!!俺もっと食べたい!!もうないんですか!?」
「……はいはい、渚くん待っててね。すぐに用意するから」
いつも二人きりで食べていたケーキ。それもそれで楽しかったけど、みんなで食べるケーキは今までよりも美味しく感じた。
渚の願いに応えてキッチンに戻る桜花先輩の背中を見つめながら、一口一口しっかりと味わいながら、幸せも噛み締めた。
end.
おまけ①
七彩「そういや柚木ってみかん大好きだよね」
柚木「うん。組織に入って初めて風邪を引いた時に、桜花先輩がみかんゼリー食べさせてくれたの。それからみかんが大好きになった」
七彩「へぇー!めっちゃいいエピソードだね!」
柚木「まぁケーキで一番好きなのはいちごタルトなんだけどな」
七彩「それ、桜花先輩に言うなよ?みかんにめちゃくちゃ拘ってたから」
柚木「うん」
おまけ②
篠田「ゆっきさぁーん☆お誕生日おめでとうございまぁーす☆」
柚木「!?!?!?」
篠田「柚木さん専用のぷにぷに触手を作ってみました!コーラルブルーで綺麗でしょ?」
柚木「あっ、ちょっ、ぎゃぁぁぁぁあ!」
篠田「あらあら。もう柚木さんに懐いちゃって!いっぱい癒されて下さいねー!僕は仕事残ってるので戻りまーす!」
柚木「ちょっ、取って行けよ!!ひゃはははは!巻きつくな!あっ、変なとこ、触っ──んんん!」
おまけ③
千隼「うわぁああぁぁあ!」
渚「何!?どうしたの!?」
千隼「めっっちゃ太ってる!!!」
渚「あぁ、そりゃ約二週間毎日毎日桜花上司のケーキ味見させられてたらそうなるだろー!おもちみたいでぷにぷにしてて可愛い!」
千隼「ひゃあっ!?」
渚「お肉ついても敏感なのは変わりないんだなー」
千隼「触んなぁ!…ひゃはっ!くすぐったい…!」
渚「桃に特別レッスンしてもらえば?」
千隼「……うん」
渚「(うわお)」
おまけ④
亜蘭「本当、羨ましいなぁ柚木さん。センパイ、俺には一生料理してくんないのかなー」
渚「今回はなんとか上手くいってたけど、絶対手料理食べたい♡なんて言わない方がいいよ。これ、今までの柚木先輩へのケーキ」
亜蘭「!? う、うわぁぁぁあ…柚木さん、よく今まで生きてるな……」
渚「本当それ。今回は千隼が居たけど、一人で料理なんてさせてみろ。亜蘭◯ぬぞ」
亜蘭「(……料理食べたいなんて言わないでおこ)」
おまけ⑤
七彩「セーラー服も可愛いじゃん」
柚木「…着せてんじゃねーよ」
七彩「せっかく変態からのプレゼントなんだし、一回くらいは着なきゃでしょ?──でも俺以外に見せちゃダメだからね」
柚木「お前本当独占欲強いな」
七彩「うん。だって俺柚木大好きだもん!」
柚木「大好きならとっとと拘束解け!!」
七彩「だーめ!誕生日は桜花先輩に持ってかれたから、今からは俺が堪能する。せっかくだし貞操帯も着けとこうか」
柚木「やめろばかぁぁぁぁあ!」
おまけ⑥
七彩「そういえばL◯NEスタンプ、結構前に作って亜蘭たち居ないから新しく作ります?」
風見「おーそうだな。聞いてくるわ」
*
亜蘭「そんなスタンプ絶対やです」
未南「俺も苦手なんで」
篠田「未南さんとのツーショットならいいんですけどねぇ」
風見「だめだった……」
七彩「なんかすみません」
おまけ⑦
柚木「由麗。美味しいお菓子ありがとうね。一緒に食べない?」
由麗「え、いいんですか?」
柚木「うん。由麗と一緒に食べたくてお菓子リクエストしたんだ」
由麗「……先輩、人を沼らせる素質ありますよね」
柚木「?」
由麗「…無自覚怖いなぁ。先輩、今年はもっともっと幸せな一年にしましょうね」
柚木「うん、ありがと」
~おわり~
Happy birthday☆☆
柚木の誕生日を12月21日に設定したので、お祝いしてみました。読んで下さった皆様、ありがとうございました。
因みにタイトル『giorni immutabili』は『変わらない日々』という意味です。何故か以前書いた『Colori vivaci (明るい色/色鮮やか)』が亜蘭の誕生日話だと思い込んでいたので、タイトルも頑張って考えたんですが、誕生日話じゃなくて、あれ?と思いました。けど頑張って考えたのでタイトルはそのままにしてます。
あと、本当はみかんタルトを持ってお祝いする桜花のイラストやみんなと仲良く誕生日を過ごす柚木を描きたかったのですが、間に合わなかったので諦めました。
なので本編でちらっと登場したスタンプのイラストを載せておきます。バランス悪くてすみません。
風見が作ったL◯NEスタンプ
そして、更に下には聖奈さんから頂いたお祝いイラストを載せてます。いつもありがとうございます♡
触手のイラストなので、もしも苦手な方が居られたらスルーして下さい。
触手の色もとても透明感があり、ぷるつや感が出ていてとっっても素敵です…!柚木の焦った表情も可愛い( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )改めてありがとうございました!!
◇ ◆
今年は色んなことがあった。未南さんと篠田さんと亜蘭がIrisに加入してくれて、Daisyの人たちとも交流を深めることが出来て。
たった一年でたくさんの変化があったけど、たった一日だけはいつもと変わらずに過ごす日がある。それが12月21日──俺の誕生日だ。
前日はいつも七彩が部屋に来て、夜遅くまで語り合う。とはいえ毎日会ってるし、休みの日もよく二人で出かけるので本来話すことはないんだろうけど、不思議と会話は途切れない。今日も仕事が終わってから、七彩はお酒やおつまみを持って部屋に来てくれた。
「この酎ハイ美味しい」
新発売と書かれた缶チューハイを片手に、そう伝えると、七彩は良かった~と言いながらおつまみを口へ運んだ。
「そういえばさ、いつも通り明日明後日と休みなんだけど…明後日、桜花先輩がランチに行こうって誘ってくれた」
「あ、そうなのー?良かったじゃんー」
「うん……先輩とご飯行けるのはすげー嬉しいけど、なんかちょっとだけ淋しくて」
用意してくれたおつまみを食べながらそう呟くと、七彩は困ったような表情をしながらグイッと缶チューハイを飲み干した。
俺が切なげな声でそう言ったからか、今まで盛り上がっていた部屋の空気は少しだけ気まずいものとなり、しばしの沈黙が流れた。
「毎年桜花先輩の作るケーキ食べて、次の日はお腹壊して寝てるもんねぇ~………」
全てにおいて完璧にこなす桜花先輩だが、唯一苦手なことは料理。昔から食堂に入ることさえ風見先輩に止められているが、俺の誕生日の時だけ必ずケーキを作ってくれる。
最初こそはその出来に驚いたが、一生懸命作ってくれているのは見たらすぐに分かるので、それが何よりも嬉しかった。誰も手を付けないケーキを半分ずつして食べて、次の日には二人で寝込む。最近では耐性がついてきているのか、同じ量を食べてもお腹を壊すのは俺だけなので申し訳なさそうにしながら看病をしてくれる──という日常を過ごしていたのだ。
しかし、今年は初めて誕生日の次の日に食事に誘われた。ということはおそらく、今年からはもうケーキを作る予定はないんだろう。
「あー…もしかして、今年は桜花先輩のケーキないのかなー?とか思ってる?」
「うん。だってランチ行こうって誘うってことは、ケーキ作る予定ないのかなって」
「お腹壊さなかったら普通に行けるくない?」
「…だって、桜花先輩が料理上達するとは思えないもん。料理上手な人達、先輩が怖くてちゃんと教えてあげれてないし。まー…ランチ行けるのは幸せだけどな」
用意してくれたおつまみを食べながら、先程絶賛した酎ハイを飲むと、七彩はうーんと唸り声を上げて何かを考えている様子だった。
「んーー……本当はさぁ、サプライズにしたかったと思うから言っちゃダメだと思うんだけどさー」
「ん?」
「明日、ちゃんと桜花先輩ケーキ作ってくれるよ。けど知らなかった体でいてね。明日の夜になれば柚木の不安な気持ちは無くなるんだろうけどさーせっかくの誕生日なのに淋しい気持ちにさせたくないから」
「え…でも」
「千隼がめちゃくちゃスパルタ教育してるから、桜花先輩ほんっっとに料理上達したんだよ。今まではみんな気を遣ってなかなか言いたいこと言えなくて上手く上達しなかったみたいだけど、千隼も極め出したら相手が誰だろうと厳しいからねぇーだから、明日は桜花先輩のケーキ楽しみにしてなよ。実際味見したのは千隼と桜花先輩だけなんだけどさー。千隼先生からOK出てたし、明日は一から一人で作るみたいだよ」
その言葉を聞いて、ついさっきまで抱いていた淋しさは消え、つい口元が緩んでしまう。
「あははー。嬉しそう。ごめんね、サプライズ感なくしちゃって」
「…ううん。結構ショックだったから、その話聞けて安心した」
「良かったぁ。明日は俺とランチ行ってー、夜はみんなでご飯食べてー、デザートに桜花先輩のケーキ食べようね」
「…うん」
照れくさくて酎ハイを一気に飲む干すと、スマホに一通のメッセージが届いた。時刻を見ると0時を示しており、送り主は桜花先輩。
【柚木くんお誕生日おめでとう】という言葉と共に、風見先輩が遊びで作ったIrisメンバーのL◯NEスタンプが送られてきた。そのスタンプは桜花先輩本人で、おめでとうという言葉と共に、一昨年くらいに作ったケーキを持って微笑んでいる写真。
「おー!桜花先輩って相変わらずきっちりしてるよねぇ。因みに毎年柚木に送りたいからって自分のスタンプの文言はおめでとうにしてねって言ったらしいよ。本当愛されてるよねぇ」
スマホの画面を見ながらニヤニヤ笑う七彩に照れくさくなるも、いつも通りお礼の言葉を添えて返信をした。
「返信出来たー?」
「うん」
「じゃあ柚木。お誕生日おめでとう。メッセージでは桜花先輩が一番かもだけど、直接言ったのは今年も俺が一番ー!」
「…ありがと。嬉しい」
「ずっと大好きだよ、柚木ー」
「…俺も好きだよ」
お互い少しアルコールが入っているからか、恥ずかしい台詞を吐きながらも、いつも通りの誕生日を迎えた。
◇ ◆
「柚木先輩!おめでとうございます!」
「柚木さんおめー」
「柚木、今年はセーラー服にしたよ」
「柚木先輩!!おめでとうございます!」
誕生日当日。七彩とのランチを終えて組織へ戻ると、笑顔のみんながプレゼントを持って出迎えてくれた。由麗からは限定販売している人気店のお菓子、亜蘭からはお洒落な洋服、塞原上司からはミニスカートのセーラー服などなど。両手で持つのも大変なほどにたくさんのプレゼントを受け取った。
「ありがとうございます。嬉しいです、すごく。先にプレゼントを部屋に置いてくるね」
みんなにお礼を伝えた後に部屋に戻ろうとすると、何故か一緒に亜蘭もついてきた。
「半分持ちますよ」
「いや、平気。亜蘭は先に食堂行ってていいよ」
「んー…一つ柚木さんに伝えておきたいことがありましてね」
「何?」
「桜花センパイからね、毎年メッセージカードもらってません?」
「うん。もらってるけど」
「そのメッセージカードにスライムみたいなイラストついてます?」
「うん。毎年何かしら描いてくれてるね。年々進化してるけど結局何なのか分かんないけど聞きにくくて。スライムっぽいけど変わったところから尻尾みたいなの出てたりするし。──でも、それがどうした?」
「今までの見たことないから分かりませんけど、今年のはわんちゃんらしいすよ。たまたま練習してるの見かけたんすけど…」
その言葉を聞いて、今までもらったメッセージカードを思い出すも、到底そうは思えないものが頭に浮かぶ。もしかして今までも犬とか猫とか、そう言うものだったのだろうか…。
「多分、そのことについても触れると喜ぶんじゃないかと思って勝手ながら報告でーす。んじゃ、待ってますね。柚木さん」
自室のドアを開けてくれた亜蘭は、そう言ってすぐに食堂の方へ向かって行った。プレゼントを机の上へ置いて、今までの手紙のことを思い出しながら俺も早足で食堂へ向かった。
到着するなり疲れた笑顔で待っててくれたのは千隼で、可愛らしいお洒落なエプロンを纏っている。
「柚木先輩!おめでとうございます!今日は柚木先輩のリクエストの手巻き寿司です!みんなで巻き巻きして食べましょう!」
テーブルに並べられているのは豪華な食材。七彩が手招きしてくれてる方へ向かうと、同じテーブルには笑顔の由麗と渚が先に座っていた。
「美味しそう。楽しみ」
「俺も楽しみです!!亜蘭の時はお肉メインでしたからねー!お寿司嬉しいです!!」
特にこれといった合図はないが、みんなが席についたところで各々で食事が開始される。大きな海苔にたくさんの酢飯をよそって一番に海鮮に手を伸ばす渚はいつも以上に笑顔で嬉しそうだ。
「おい先に柚木先輩だろ?」
「だって美味しそうなんだもん!!」
「あはは。いいよ、渚先に食べて。嬉しそうな顔見てるだけで幸せ」
「んじゃ遠慮なくいただきまーーーす!!」
「うわぁ、お前!こぼれてんだよ!米多すぎ!」
いつも通り賑やかな会話をしながら、みんなと一緒に食事をする中、桜花先輩の姿がないことに気付く。辺りを見回してもどのテーブルにも居ないし、千隼の姿もない。
俺が先輩を探していることに気付いた七彩は近くでそっと耳打ちした。
「多分今、千隼がケーキの最終チェックしてくれてるよ。桜花先輩ね、毎年本当は柚木とランチにも行きたかったんだって。だから今年は『柚木がお腹を壊さないケーキを作る』って頑張ってたよ」
「…そっか。嬉しいな」
ケーキのことに気付いていないフリをして手巻き寿司を食べ進めて数十分後。そろそろお腹がいっぱいになってきた頃にキッチンから桜花先輩が登場した。
「柚木くん」
「桜花先輩」
「メッセージでは伝えたけど、お誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
「実はね、今年も柚木くんの大好きなケーキを作ったの。一番に見て欲しいからこっち来れる?」
「はい、もちろん」
達成感丸出しの桜花先輩は目を輝かせながら俺の手を握ると、そのままキッチンへ歩いて行った。
中に入ると──周りはすごいことにはなっていたが、綺麗なテーブルの上に置かれていたのは大きめのタルトのケーキだった。
ケーキにはみずみずしいみかんがたくさんのっており、見た目はかなり美味しそうだった。中央にはメッセージの書かれたチョコレートプレートが刺さっており、桜花先輩の達筆な文字と、奇妙なスライムの絵が描かれていた。
「すごく美味しそうです」
「それなら良かった。千隼くんとおもちくんに、いっぱいお料理教えてもらったんだ」
「おもちくん?」
「うん。前に篠田さんが商品用に作ったスライムなんだけど、お客さんから返品されちゃったみたいでね。今は人工知能を搭載したペットとして千隼くんとずっと一緒に居るんだよ」
示された方を見ると、かなり疲れ果てた千隼の横には淡いピンク色をしたスライムがぷよぷよと震えていた。
「うわ、可愛い」
「……喋ることも出来るんです。ぷよぷよして餅みたいだからおもちって名付けました……」
めちゃくちゃ疲れ果てている千隼がそう呟くと、おもちはそんな千隼を労るようにぷよぷよと飛び跳ねており、かなり懐いていることが分かる。
「柚木先輩。桜花上司、めちゃくちゃ練習したので安心して食べて下さいね。メッセージプレートも一生懸命書いてたので。おもちのイラストありがとうございます」
その言葉を聞いてふとメッセージに目をやると、確かにおもちに見えなくもない。しかし亜蘭からは『わんちゃんですよ』と言われたので正直どちらか分からない。
(メッセージカードがわんちゃんであって、ケーキのプレートはスライムなのか…?)
一人でぐるぐると頭を悩ませてみたが、一応亜蘭からの言葉を信じて口を開いた。
「あ、このイラストおもちくんなんですね。俺わんちゃんかと思いました。可愛いですね」
と、呟いておそるおそる先輩を見ると、ぱぁぁあっと目を輝かせてくれた。
「流石柚木くんだね。このイラストは犬だよ。イラストも練習したし、今回は上手に描けたと思ってたんだ」
千隼が『これが犬!?』と驚いていたが、桜花先輩が嬉しそうにしているので一安心した。
「みんなで一緒に食べたいって言ったんだけど、風見くんが柚木と二人で楽しめって言ってきたからさ。俺も一番に柚木くんに食べて欲しいから切っちゃっていいかな?」
「もちろんです。あ、けど…ケーキと桜花先輩と一緒に写真撮りたいです」
「え、いいの?嬉しい。じゃあ千隼くん。撮ってくれないかな」
「分かりました!二人とも並んで下さーい!」
千隼にスマホを手渡した後、桜花先輩と並んでケーキを持って笑みを浮かべた。
「はいチーズ!二人ともすごく幸せそうな顔してますよ~」
「本当だ。ありがと、千隼」
写真を確認すると、二人ともとても幸せそうな表情をしており、ケーキもメッセージも綺麗に写っていた。
「じゃあ早速食べよう。はい、柚木くんの分」
手渡されたお皿にはプレート付きの一人前のタルトがのせられていて、とても甘い香りが鼻を通る。
「…いただきます」
ぱくりと口へ入れると、口内に広がるのは甘くて美味しいみかんとタルトの味。買ってきたと言われても納得出来る程の出来栄えに、かなり衝撃を受けた。
「! めちゃくちゃ美味しい…です」
「本当?嬉しい…っ、毎年柚木くんには辛い思いさせてたから、今年こそはって頑張ったんだ」
「…本当にありがとうございます。全部食べたいくらいに美味しいです」
「あはは。そんなにたくさん食べたらまたお腹壊しちゃうよ。これならみんなと一緒に美味しく食べれるだろうし、人数分切っちゃうね」
終始るんるんでケーキを分ける先輩を見ながら、俺はお皿の上のケーキを全て平らげた。
(やっぱり桜花先輩からのみかんは何よりも美味しいな…)
「あの…桜花先輩、足りません。俺もう少し食べたい」
「…仕方ないなぁ。もう一つだけだよ」
そう言いながらも、大きめにカットしてくれたタルトをお皿に置いてくれた。みんなの分もお皿にのせ、食堂へ持って行くと、引き攣った顔で桜花先輩のケーキを見つめる面々。
「いや、柚木のために作ったんだろ?俺たちは遠慮しとくよ」
すぐにそう言ったのは青ざめた風見先輩で、その発言にむっとした桜花先輩は一口分をフォークで摘んで風見先輩の口に放り込んだ。
「てめ…!何すん──……んまい!?」
「俺今年は上達したんだから、みんなで食べようよ。千隼くんが手伝ってくれたからたくさんあるの」
「これなら食えるわ!ほら、七彩も食え!」
「いやいや、食べますけどまずはハッピーバースデーの歌を歌いながら柚木のお祝いしましょうよ!」
「俺はさっきみんなにお祝いしてもらったから大丈夫だよ。桜花先輩が切り分けてくれたから、みんなで食べよう」
テーブルにみんなの分を置くと、最初は青ざめていたメンバー達もおそるおそる口へ運んでは美味しい!と口々に発していた。特にどでかい声で感想を言ったのはもちろん──。
「うわぁぁあ!何これ美味しい!いつも見た目からして不味そうでしたもんね!?桜花上司!上達しましたねぇ!」
渚だった。悪気は一切ないが毒々しい言葉を放つ渚に、桜花先輩は見るからに怒っていたが、みんなが嬉しそうに食べているのを見たからか、何も言わずに俺の隣へ来て一緒にケーキを食べた。
「渚くんは本当に素直な子だね。たまにすごくイラッとくるけど」
「それが渚の良さでもありますからね」
「そうだね」
「──先輩。本当にありがとうございます。今年も先輩のケーキが食べれてすごく嬉しいです。これからもずっと、食べたいです」
「もちろん。これからもずっと、俺が手料理を振る舞うのは柚木くんだけだよ。毎年美味しくないケーキを残さずに食べてくれるのが嬉しかったんだ。ありがとね」
「…今までのケーキも、俺にとっては最高に美味しかったですよ」
「それはどうも。これからもよろしくね、柚木くん」
「──はい。ずっと、よろしくお願いします」
「桜花上司ーーー!!俺もっと食べたい!!もうないんですか!?」
「……はいはい、渚くん待っててね。すぐに用意するから」
いつも二人きりで食べていたケーキ。それもそれで楽しかったけど、みんなで食べるケーキは今までよりも美味しく感じた。
渚の願いに応えてキッチンに戻る桜花先輩の背中を見つめながら、一口一口しっかりと味わいながら、幸せも噛み締めた。
end.
おまけ①
七彩「そういや柚木ってみかん大好きだよね」
柚木「うん。組織に入って初めて風邪を引いた時に、桜花先輩がみかんゼリー食べさせてくれたの。それからみかんが大好きになった」
七彩「へぇー!めっちゃいいエピソードだね!」
柚木「まぁケーキで一番好きなのはいちごタルトなんだけどな」
七彩「それ、桜花先輩に言うなよ?みかんにめちゃくちゃ拘ってたから」
柚木「うん」
おまけ②
篠田「ゆっきさぁーん☆お誕生日おめでとうございまぁーす☆」
柚木「!?!?!?」
篠田「柚木さん専用のぷにぷに触手を作ってみました!コーラルブルーで綺麗でしょ?」
柚木「あっ、ちょっ、ぎゃぁぁぁぁあ!」
篠田「あらあら。もう柚木さんに懐いちゃって!いっぱい癒されて下さいねー!僕は仕事残ってるので戻りまーす!」
柚木「ちょっ、取って行けよ!!ひゃはははは!巻きつくな!あっ、変なとこ、触っ──んんん!」
おまけ③
千隼「うわぁああぁぁあ!」
渚「何!?どうしたの!?」
千隼「めっっちゃ太ってる!!!」
渚「あぁ、そりゃ約二週間毎日毎日桜花上司のケーキ味見させられてたらそうなるだろー!おもちみたいでぷにぷにしてて可愛い!」
千隼「ひゃあっ!?」
渚「お肉ついても敏感なのは変わりないんだなー」
千隼「触んなぁ!…ひゃはっ!くすぐったい…!」
渚「桃に特別レッスンしてもらえば?」
千隼「……うん」
渚「(うわお)」
おまけ④
亜蘭「本当、羨ましいなぁ柚木さん。センパイ、俺には一生料理してくんないのかなー」
渚「今回はなんとか上手くいってたけど、絶対手料理食べたい♡なんて言わない方がいいよ。これ、今までの柚木先輩へのケーキ」
亜蘭「!? う、うわぁぁぁあ…柚木さん、よく今まで生きてるな……」
渚「本当それ。今回は千隼が居たけど、一人で料理なんてさせてみろ。亜蘭◯ぬぞ」
亜蘭「(……料理食べたいなんて言わないでおこ)」
おまけ⑤
七彩「セーラー服も可愛いじゃん」
柚木「…着せてんじゃねーよ」
七彩「せっかく変態からのプレゼントなんだし、一回くらいは着なきゃでしょ?──でも俺以外に見せちゃダメだからね」
柚木「お前本当独占欲強いな」
七彩「うん。だって俺柚木大好きだもん!」
柚木「大好きならとっとと拘束解け!!」
七彩「だーめ!誕生日は桜花先輩に持ってかれたから、今からは俺が堪能する。せっかくだし貞操帯も着けとこうか」
柚木「やめろばかぁぁぁぁあ!」
おまけ⑥
七彩「そういえばL◯NEスタンプ、結構前に作って亜蘭たち居ないから新しく作ります?」
風見「おーそうだな。聞いてくるわ」
*
亜蘭「そんなスタンプ絶対やです」
未南「俺も苦手なんで」
篠田「未南さんとのツーショットならいいんですけどねぇ」
風見「だめだった……」
七彩「なんかすみません」
おまけ⑦
柚木「由麗。美味しいお菓子ありがとうね。一緒に食べない?」
由麗「え、いいんですか?」
柚木「うん。由麗と一緒に食べたくてお菓子リクエストしたんだ」
由麗「……先輩、人を沼らせる素質ありますよね」
柚木「?」
由麗「…無自覚怖いなぁ。先輩、今年はもっともっと幸せな一年にしましょうね」
柚木「うん、ありがと」
~おわり~
Happy birthday☆☆
柚木の誕生日を12月21日に設定したので、お祝いしてみました。読んで下さった皆様、ありがとうございました。
因みにタイトル『giorni immutabili』は『変わらない日々』という意味です。何故か以前書いた『Colori vivaci (明るい色/色鮮やか)』が亜蘭の誕生日話だと思い込んでいたので、タイトルも頑張って考えたんですが、誕生日話じゃなくて、あれ?と思いました。けど頑張って考えたのでタイトルはそのままにしてます。
あと、本当はみかんタルトを持ってお祝いする桜花のイラストやみんなと仲良く誕生日を過ごす柚木を描きたかったのですが、間に合わなかったので諦めました。
なので本編でちらっと登場したスタンプのイラストを載せておきます。バランス悪くてすみません。
風見が作ったL◯NEスタンプ
そして、更に下には聖奈さんから頂いたお祝いイラストを載せてます。いつもありがとうございます♡
触手のイラストなので、もしも苦手な方が居られたらスルーして下さい。
触手の色もとても透明感があり、ぷるつや感が出ていてとっっても素敵です…!柚木の焦った表情も可愛い( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )改めてありがとうございました!!
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