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◇2話以上
所有物③
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バイオレンスな二人。千明が本気で望月を殺そうとしてるので色々とご注意下さい。
※首絞め行為有
※◯ね等の暴言がぼかしなく有
※二人ともヤンデレ?(表現が分かりません)
攻→望月/視点
受→千明
本番有/連続絶頂/口移し/最後甘々
OK?
↓↓↓
「ねぇ、望月くん。今日はこんな首枷なんかじゃなくて、君が絞めてよ。」
--俺の首。
そう言われたのは社会人になった秋の事だった。
コイツが高校時代にレイプ未遂をされてから、付かず離れず俺主導な関係性が続く中、初めて希望されたのが謎のハードプレイ。
「お前、どうしたの。激しいプレイ好きなの?」
「最初俺の事容赦なく犯した望月くんの所為だよ?あれから俺はおかしくなったの。だから責任持ってよ。…俺からこういう事してってお願いしたの初めてなんだしさ」
「初めてのお願いがこんなハードプレイなの怖いんだけど。…俺別に極めてねーし、知識もないんだけど」
「いいの。極めてても極めてなくても。俺は望月くんに支配されたい」
珍しく何を言っても聞かないので暫く話を聞いてやると、本当の目的は支配される事ではなかった。
何があったかは言わないが、もう何もかもどうでも良くなったらしい。
「…」
「ねぇ、失敗してもいいから俺とハードなプレイしようよ。締まりが良くなって最高らしいよ?望月くんも気持ち良くなれるなら俺はそれで本望だし」
最初はこんな奴どうでも良かった。
ただ遊び相手が欲しくて、自分の思い通りになってくれる奴が欲しくて弱味を握って犯した。
(今はそんな気持ちだけで会ってるわけないの、分かんねーのかよ)
何が失敗してもいい、だ。
失敗したらどうなるか分かってんのかコイツ。
何がもうどうでもいい、だ。
じゃあ詳しく話してくれてもいいじゃないか。
なのに何で。
「そんなに泣きそうな顔しないでよ」
「…別に泣きそうな顔なんてしてねーよ。お前がバカで驚いただけ」
「ねぇ、望月くん。早く、シよ?」
「……」
ドサリと俺をベッドに押し倒してきたコイツも、同じく泣きそうな表情だった。
◇ ◆
「はぁ…っ、気持ち良い……」
結局肝心な話は出来ないまま、コイツに流されて行為に及んだ。俺の服を剥いで上へ乗り、自ら腰を振る。
俺も俺で、コイツが求めてくると勃つモンは勃ってしまった。
部屋にはベッドの軋む音とコイツの喘ぎ声、そして接触している部分からはローションの卑猥な水音が響く。
「望月くん…っ、好きだよ」
高校時代からずっとそう囁いてくれるその言葉は、俺の中で生きる活力だった。
(俺も、好きじゃなかったらこんなに長く関係なんて続けてねーよ)
自分の気持ちに気付きたくなかった学生時代。けど毎日のようにそう囁かれ、大学になっても会う度にそう言われると自然に俺も認めれる様になった。
「千明」
「…!」
「何、締め付け過ぎ…」
「だって今、名前……」
「…千明。交代しよう。してやるよ、お前の望む意味の分かんねーハードなプレイを」
挿入したまま体勢を逆転させると、目を見開いてよく分からない感情を浮かべていた。
「もちづ、」
俺の名を呼び終える前に口付けて舌を絡めると、きゅっと背中に回る手。深く口付けながら頭を撫でてやると、締まりが強くなった。
首絞めなんてした事ないし、本当はコイツが求めてなんていないのは分かってるけど。
「!ぅ……っ」
手の平を優しく首へ添えて頚動脈を少し押さえてやると、背中に回っていた手は、阻止する様に俺の手首を掴んできた。
「首絞めて欲しかったんだろ。失敗してもいいんだよな」
「ぁ……っ、」
5秒位してすぐに圧迫していた指を離すと、唾液を垂らして恍惚とした表情を向けてきた。
「…何で何もかもがどうでもいいとか思ったの?」
「…もう、辛い」
「何が」
「この前、君が………」
「俺が何だよ」
意識がはっきりしてきた所でもう一度首を押さえると、表情を歪めて力無く俺の手首を握る。
「は…ッ、あ……君、が………お前が、」
グッと俺の手首を掴む力が強くなったかと思えば、初めて俺の事を『お前』と呼び、殺意の混ざった眼差しを向けてきた。
「お前が……女と歩いてたからだよ!!」
「は?」
「俺、ずっと…お前の事が好きだって、高校の時から言い続けてきたのに…っ」
「ちょ、おい」
「こんな日に限って俺の名前呼んで、キスして…っ最低なんだよ、死ねよ、もうっ…お前も死ねよ!!」
「待て、ちょっ……」
「…俺以外、見るなら…死ねよ…っ、俺も、お前が居なかったら生きる意味もない…!高校の時、すぐに捨ててくれれば、良かった、のにッ…ずっと関係、続けやがって…!!」
何故か突然怒り出した千明に困惑して首から手を離すと、再び押し倒された。流石に俺のモノは萎れてしまい、繋がっていた部分から抜けた。
「……好き、だよ…望月くん…俺だけ、見てよっ、俺だけ…」
グズグズと不細工な顔で号泣しながら俺を見下ろしては、顔に涙を溢してくる。何なら鼻水や涎までもが俺の顔面に落ちてきやがった。
「…お前そんな独占欲あったの?」
「あるよぉぉ…高校の頃からずっと、ずっと…でも望月くんが俺以外と居るの見ないし…っ何だかんだで、望月くんも俺を好きだと思ってたのにぃ…この前、街で女と腕組んで歩いてたからぁぁ…もうっどうでもいいって、思ったのぉぉ……」
コイツが言う女が検討つかずに頭を悩ませていると、盗撮していたのか写真を見せてきた。
そこには俺と、妹が写っていた。
「………」
誕生日にプレゼントを強請られて連れ出された事を思い出した。しかし家族構成も何も伝えていないので、妹が居ることなんてコイツは知らない。何なら俺もコイツにどんな家族が居るのかも知らない。
ただコイツが居ればいいから、そんなのどうでも良かったからだ。
これ、妹だよ。というのは簡単だ。
けどここまで乱れ狂った千明の姿は初めて見た。
俺のために、俺の所為で、普段明るいコイツが死を思う程に感情が揺れ動く姿が。
--どうしようもなく興奮した。
「お前さ、俺にそんな口聞いていいって言ったっけ」
「…いいよ、だってもうお前の所有物じゃねーから」
押し倒して俺の首を絞めてくるコイツの手は適当で、本気で力を込めて殺す絞め方をしてきた。
「……っ、ち、あきッ、千明!」
「死んでよ望月くん」
ググッと絞める力が更に加わると、流石に死が過った。
何だ、何でコイツはこんなにバイオレンスに育ったんだ。
俺の所為なのか。俺が高校時代から今までずっと激しい事をしてきたから似てきたのか。
そう思うと何だか笑えてきた。
「は…?何で笑ってんの?死ぬと思って乱心したの?」
俺が笑ったからか、千明の手が緩んだ。その隙に思いっきり腹部に蹴りを繰り出した。
「うぐ……っ」
ちょうど鳩尾を狙ったので千明は一気に青ざめて倒れ込んだ。
「げほっ…てめ、よくもやってくれたな」
「ぐ……ぅぅ、望月くんが悪いくせに…俺の事、弄びやがってぇぇ……」
「お前は俺の所有物っつったろ。だから弄ぶもくそもねーよバーカ」
「…ぅ、……くるじぃぃ…」
「でもま、俺の事でお前がここまで取り乱す事が分かって満足したよ」
「…最低だな…」
「そんなに強く蹴ってねーだろ、起きろよ。再開だ」
「悪魔かよ…普通にいてーんだよ…」
「俺の事殺そうとしたくせに」
ある程度千明が復活してきた頃、もう一度組み敷くと、今まで向けられた事のない眼差し。
心底憎悪の眼差しは、元々は俺が欲しかったモノ。
けど。
「…俺の事だけ見てよぉ、望月くん」
「な…っ」
「俺が居なかったら生きる意味もないんだよぉ…好きだよ俺だけ見てよぉ…って最高にふざけた事叫んでて笑えたわ」
「死ね…しねしねバカバカ!!」
「最高に……」
--嬉しかったよ。
「え…」
しっかりと目を見つめながらそう呟いた後、優しくキスすると、ポロポロと泣き始めた。
「…お前、俺の事一番近くで見てきただろ。だったら俺が好きでもない奴とこんなに長く一緒に居るわけないってすぐ分かるだろ」
「え…」
「好きだよ。高校の時からずっとお前の事が。…こんなド変態なドM好きになるとか恥ずかしくて、認めたのは大学生くらいん時。…それからはずっとお前の事好きな人と認識して抱いてた」
「じゃあもっと愛情表現してくれたって…」
「セックスは最上級の愛情表現だろ」
「脅して犯してきた人から出る言葉とは思えない……」
「それにしても、お前いつからそんなにバイオレンスになったの?主人の俺を殺そうとするなんて」
「…っ」
「さっき笑ったのは長年連れ添った相手が似るって本当なんだなって思ったから。…お前立派に俺色に育ったな」
「…ううぅ、やだぁ…」
「まぁあのままお前が俺の事殺してたら、妹も気に病むだろうから良かったわ」
「…?妹?」
「うん。さっき写真に写ってたの、妹だよ。可愛いだろ」
「は?い、妹居るなんて…」
「言ってないよ。言う必要もなかったし」
「え、ちょっと待って。妹と腕組んでるの?あんな嬉しそうな顔をして?」
「妹をバカにしたら殺すぞ」
「え、まさかのシスコン…。しかも妹さんをバカにしたわけじゃ…っ!どっちかというと君の事を、」
「…じゃあ誤解も全部解けた所でお仕置きと行こうか、千明くん」
「…っ!」
さっきまでの強さがなくなったコイツはただの千明で、入れるには時間はかからなかった。
「んんっ…!やぁっ…望月くん!」
「まじでお前、笑えるわ」
正常位で思いっきり体を繋げて腰を打ち付けると、いつも通り可愛く鳴いてくれた。
「やめっ…イッたぁ!イッ…ぁぁ!」
「今日はイキ地獄でも味わえよ。俺と死ぬ気だったんだろ?」
「ぅあっ…あ!そこ、だめ!!だめっ…」
「あー、知ってるよそれ位。ここ好きだもんなお前」
奥を狙ってグリグリと刺激すると、強い締め付けが襲い、直後に千明の体は痙攣した。
「なー千明」
「な、にっ、何っもうやめて、やめっ……」
「好きって言って」
「あ…っ!言って、きたっ、よ…!ずっと…っ」
「今もう一回言って。俺の顔見ながら、名前もついでに呼んで?」
「ひっ…!ぁああっ…待っ…て、ぇぇっ!そこやめっ!もう無理っ、」
「じゃあ言って」
「す、……っ」
言える様に少し腰の動きを落としてやると、今まで散々伝えてきたくせに真っ赤になったまま止まってしまった。
「…っ、…~~」
「何その反応」
「は、恥ずかしい…っ」
「…今更?」
「ちょ、望月く、おっきくしないでよ…っもう、俺、」
「本当、お前の所為でここ窮屈だわ」
繋がっている部分を少し人差し指で弄ってやると、甘い声を上げながら腰が跳ねた。
「…ちょ!何処、触ってんの…っ」
「何処ってお前の尻の穴だよ」
「デリカシーのカケラもない…!」
「恥ずかしいの?すげー締め付けだけど」
もう受け入れるにはキツイであろう後孔を弄ると、少しスペースが出来た。
「はぁんっ…!あ!やぁ…!もう、何してっ…入んないからぁ、!」
「入ったよ。すげーな、ここまで拡がるもんなんだ」
かつては小さかった筈の後孔は、今俺のチンコと人差し指を咥えている。軽く指を進めて弱い箇所を擦ってみると、千明の股間も大きくなりトプトプと先走りを溢れさせた。
「もっ…恥ずかしい、何っ…?長いんだけど!!やめっ…んぁぁっ!」
泣いている千明自身を扱くと中の締まりが良くなり、そろそろ俺も限界が近付く。
グリグリと指の腹で千明の先端を擦ると、本日初めて前での絶頂で精液が飛び散った。
「ぁぁぁぁあ!!!」
「すご。中熱くうねってるよ」
「もぉぉぉっ、!ダメ!だめだってぇぇ!」
阻止する様に俺の手を掴んでくるも、全く力なんて入っていないので意味をなさない。
ラストスパートをかけ、挿入した指を抜いて千明の体を起こして初めて体位を対面座位にした。
「な…に、望月くんっ…」
「しっかり掴まってて」
「ひぅっ…やぁぁ!やだっ…これ、無理だってば!恥ずかしい…っ深い、深いっ」
ぎゅっとしがみついてくる体を抱き締めながら奥を貫くと、漸く俺も絶頂感が訪れた。
「……千明」
「んんっ…はい、なにぃっ……」
「高校の時からずっとずっと、千明が好きだったよ。これからは俺の恋人として、傍に居て下さい」
俺から伝えた言葉は今までの様な命令ではなく、初めての『お願い』。しっかりと千明の顔を見つめながらそう伝えると、ボロボロと泣きながら、震えた声で『はい』と返ってきた。
◇ ◆
「…ずるいよ、望月くん…」
「何が」
「だって……俺、今日死ぬつもりだったんだよ?どうせ望月くん、首絞めプレイの知識なんてないと思ってたから…殺してもらおうと思ったのに」
「殺人犯になりたくないから殺すわけないだろ。俺に迷惑かけない方法で死んでくれよ」
「何それひどいっ!!」
「…勝手に死のうとしたら許さないから」
「え…」
「お前が居なくなったら俺にも生きる理由はない。…俺から離れようとしたら殺すからな」
「わぁ…バイオレンスな愛だね…付き合わない方が良かったのかな…」
「お前の所為で俺もおかしくなったのに後悔しないでくれる?」
「いやいやそもそも望月くんが俺を犯すからでしょ!?あれがなかったら俺だって……」
「あ、そうだ。これあげる」
「え、何?まだ決着ついてないんだけど!!」
今日渡そうと思っていたのは久しぶりに高校の時と同じ自販機を見つけて購入したミルクティー。
「うわ、懐かしい!このミルクティー最近見てなかったから飲んでなかったんだよね!くれるの?」
「そのために買った」
俺も自分の分のカフェオレを鞄から出した。
「いただきまぁす」
嬉しそうに笑う千明がベッドに腰掛けた俺の隣にくっついて座り、高校卒業以来初めての思い出の飲み物を口にした。
「……ぬるい」
「ついてすぐ渡すはずだったからな」
ぬるいカフェオレだが、隣に千明がいるからとても美味しい。
ゆっくりと味わっていると、頬を少し膨らませた千明が俺にキスをしてきた。
「ん…っ」
口が開くと共に中へ注ぎ込まれたミルクティー。さっきまで飲んでいたカフェオレと混ざっていく。唇が離れた後、俺も同じ様にカフェオレを口に含んで千明にキスをして送り込んだ。
「にがぁい」
「ミルクティーは甘すぎ」
でも、
「今までで一番美味しい」
そう言ってもう一度キスをした。
end.
※首絞め行為有
※◯ね等の暴言がぼかしなく有
※二人ともヤンデレ?(表現が分かりません)
攻→望月/視点
受→千明
本番有/連続絶頂/口移し/最後甘々
OK?
↓↓↓
「ねぇ、望月くん。今日はこんな首枷なんかじゃなくて、君が絞めてよ。」
--俺の首。
そう言われたのは社会人になった秋の事だった。
コイツが高校時代にレイプ未遂をされてから、付かず離れず俺主導な関係性が続く中、初めて希望されたのが謎のハードプレイ。
「お前、どうしたの。激しいプレイ好きなの?」
「最初俺の事容赦なく犯した望月くんの所為だよ?あれから俺はおかしくなったの。だから責任持ってよ。…俺からこういう事してってお願いしたの初めてなんだしさ」
「初めてのお願いがこんなハードプレイなの怖いんだけど。…俺別に極めてねーし、知識もないんだけど」
「いいの。極めてても極めてなくても。俺は望月くんに支配されたい」
珍しく何を言っても聞かないので暫く話を聞いてやると、本当の目的は支配される事ではなかった。
何があったかは言わないが、もう何もかもどうでも良くなったらしい。
「…」
「ねぇ、失敗してもいいから俺とハードなプレイしようよ。締まりが良くなって最高らしいよ?望月くんも気持ち良くなれるなら俺はそれで本望だし」
最初はこんな奴どうでも良かった。
ただ遊び相手が欲しくて、自分の思い通りになってくれる奴が欲しくて弱味を握って犯した。
(今はそんな気持ちだけで会ってるわけないの、分かんねーのかよ)
何が失敗してもいい、だ。
失敗したらどうなるか分かってんのかコイツ。
何がもうどうでもいい、だ。
じゃあ詳しく話してくれてもいいじゃないか。
なのに何で。
「そんなに泣きそうな顔しないでよ」
「…別に泣きそうな顔なんてしてねーよ。お前がバカで驚いただけ」
「ねぇ、望月くん。早く、シよ?」
「……」
ドサリと俺をベッドに押し倒してきたコイツも、同じく泣きそうな表情だった。
◇ ◆
「はぁ…っ、気持ち良い……」
結局肝心な話は出来ないまま、コイツに流されて行為に及んだ。俺の服を剥いで上へ乗り、自ら腰を振る。
俺も俺で、コイツが求めてくると勃つモンは勃ってしまった。
部屋にはベッドの軋む音とコイツの喘ぎ声、そして接触している部分からはローションの卑猥な水音が響く。
「望月くん…っ、好きだよ」
高校時代からずっとそう囁いてくれるその言葉は、俺の中で生きる活力だった。
(俺も、好きじゃなかったらこんなに長く関係なんて続けてねーよ)
自分の気持ちに気付きたくなかった学生時代。けど毎日のようにそう囁かれ、大学になっても会う度にそう言われると自然に俺も認めれる様になった。
「千明」
「…!」
「何、締め付け過ぎ…」
「だって今、名前……」
「…千明。交代しよう。してやるよ、お前の望む意味の分かんねーハードなプレイを」
挿入したまま体勢を逆転させると、目を見開いてよく分からない感情を浮かべていた。
「もちづ、」
俺の名を呼び終える前に口付けて舌を絡めると、きゅっと背中に回る手。深く口付けながら頭を撫でてやると、締まりが強くなった。
首絞めなんてした事ないし、本当はコイツが求めてなんていないのは分かってるけど。
「!ぅ……っ」
手の平を優しく首へ添えて頚動脈を少し押さえてやると、背中に回っていた手は、阻止する様に俺の手首を掴んできた。
「首絞めて欲しかったんだろ。失敗してもいいんだよな」
「ぁ……っ、」
5秒位してすぐに圧迫していた指を離すと、唾液を垂らして恍惚とした表情を向けてきた。
「…何で何もかもがどうでもいいとか思ったの?」
「…もう、辛い」
「何が」
「この前、君が………」
「俺が何だよ」
意識がはっきりしてきた所でもう一度首を押さえると、表情を歪めて力無く俺の手首を握る。
「は…ッ、あ……君、が………お前が、」
グッと俺の手首を掴む力が強くなったかと思えば、初めて俺の事を『お前』と呼び、殺意の混ざった眼差しを向けてきた。
「お前が……女と歩いてたからだよ!!」
「は?」
「俺、ずっと…お前の事が好きだって、高校の時から言い続けてきたのに…っ」
「ちょ、おい」
「こんな日に限って俺の名前呼んで、キスして…っ最低なんだよ、死ねよ、もうっ…お前も死ねよ!!」
「待て、ちょっ……」
「…俺以外、見るなら…死ねよ…っ、俺も、お前が居なかったら生きる意味もない…!高校の時、すぐに捨ててくれれば、良かった、のにッ…ずっと関係、続けやがって…!!」
何故か突然怒り出した千明に困惑して首から手を離すと、再び押し倒された。流石に俺のモノは萎れてしまい、繋がっていた部分から抜けた。
「……好き、だよ…望月くん…俺だけ、見てよっ、俺だけ…」
グズグズと不細工な顔で号泣しながら俺を見下ろしては、顔に涙を溢してくる。何なら鼻水や涎までもが俺の顔面に落ちてきやがった。
「…お前そんな独占欲あったの?」
「あるよぉぉ…高校の頃からずっと、ずっと…でも望月くんが俺以外と居るの見ないし…っ何だかんだで、望月くんも俺を好きだと思ってたのにぃ…この前、街で女と腕組んで歩いてたからぁぁ…もうっどうでもいいって、思ったのぉぉ……」
コイツが言う女が検討つかずに頭を悩ませていると、盗撮していたのか写真を見せてきた。
そこには俺と、妹が写っていた。
「………」
誕生日にプレゼントを強請られて連れ出された事を思い出した。しかし家族構成も何も伝えていないので、妹が居ることなんてコイツは知らない。何なら俺もコイツにどんな家族が居るのかも知らない。
ただコイツが居ればいいから、そんなのどうでも良かったからだ。
これ、妹だよ。というのは簡単だ。
けどここまで乱れ狂った千明の姿は初めて見た。
俺のために、俺の所為で、普段明るいコイツが死を思う程に感情が揺れ動く姿が。
--どうしようもなく興奮した。
「お前さ、俺にそんな口聞いていいって言ったっけ」
「…いいよ、だってもうお前の所有物じゃねーから」
押し倒して俺の首を絞めてくるコイツの手は適当で、本気で力を込めて殺す絞め方をしてきた。
「……っ、ち、あきッ、千明!」
「死んでよ望月くん」
ググッと絞める力が更に加わると、流石に死が過った。
何だ、何でコイツはこんなにバイオレンスに育ったんだ。
俺の所為なのか。俺が高校時代から今までずっと激しい事をしてきたから似てきたのか。
そう思うと何だか笑えてきた。
「は…?何で笑ってんの?死ぬと思って乱心したの?」
俺が笑ったからか、千明の手が緩んだ。その隙に思いっきり腹部に蹴りを繰り出した。
「うぐ……っ」
ちょうど鳩尾を狙ったので千明は一気に青ざめて倒れ込んだ。
「げほっ…てめ、よくもやってくれたな」
「ぐ……ぅぅ、望月くんが悪いくせに…俺の事、弄びやがってぇぇ……」
「お前は俺の所有物っつったろ。だから弄ぶもくそもねーよバーカ」
「…ぅ、……くるじぃぃ…」
「でもま、俺の事でお前がここまで取り乱す事が分かって満足したよ」
「…最低だな…」
「そんなに強く蹴ってねーだろ、起きろよ。再開だ」
「悪魔かよ…普通にいてーんだよ…」
「俺の事殺そうとしたくせに」
ある程度千明が復活してきた頃、もう一度組み敷くと、今まで向けられた事のない眼差し。
心底憎悪の眼差しは、元々は俺が欲しかったモノ。
けど。
「…俺の事だけ見てよぉ、望月くん」
「な…っ」
「俺が居なかったら生きる意味もないんだよぉ…好きだよ俺だけ見てよぉ…って最高にふざけた事叫んでて笑えたわ」
「死ね…しねしねバカバカ!!」
「最高に……」
--嬉しかったよ。
「え…」
しっかりと目を見つめながらそう呟いた後、優しくキスすると、ポロポロと泣き始めた。
「…お前、俺の事一番近くで見てきただろ。だったら俺が好きでもない奴とこんなに長く一緒に居るわけないってすぐ分かるだろ」
「え…」
「好きだよ。高校の時からずっとお前の事が。…こんなド変態なドM好きになるとか恥ずかしくて、認めたのは大学生くらいん時。…それからはずっとお前の事好きな人と認識して抱いてた」
「じゃあもっと愛情表現してくれたって…」
「セックスは最上級の愛情表現だろ」
「脅して犯してきた人から出る言葉とは思えない……」
「それにしても、お前いつからそんなにバイオレンスになったの?主人の俺を殺そうとするなんて」
「…っ」
「さっき笑ったのは長年連れ添った相手が似るって本当なんだなって思ったから。…お前立派に俺色に育ったな」
「…ううぅ、やだぁ…」
「まぁあのままお前が俺の事殺してたら、妹も気に病むだろうから良かったわ」
「…?妹?」
「うん。さっき写真に写ってたの、妹だよ。可愛いだろ」
「は?い、妹居るなんて…」
「言ってないよ。言う必要もなかったし」
「え、ちょっと待って。妹と腕組んでるの?あんな嬉しそうな顔をして?」
「妹をバカにしたら殺すぞ」
「え、まさかのシスコン…。しかも妹さんをバカにしたわけじゃ…っ!どっちかというと君の事を、」
「…じゃあ誤解も全部解けた所でお仕置きと行こうか、千明くん」
「…っ!」
さっきまでの強さがなくなったコイツはただの千明で、入れるには時間はかからなかった。
「んんっ…!やぁっ…望月くん!」
「まじでお前、笑えるわ」
正常位で思いっきり体を繋げて腰を打ち付けると、いつも通り可愛く鳴いてくれた。
「やめっ…イッたぁ!イッ…ぁぁ!」
「今日はイキ地獄でも味わえよ。俺と死ぬ気だったんだろ?」
「ぅあっ…あ!そこ、だめ!!だめっ…」
「あー、知ってるよそれ位。ここ好きだもんなお前」
奥を狙ってグリグリと刺激すると、強い締め付けが襲い、直後に千明の体は痙攣した。
「なー千明」
「な、にっ、何っもうやめて、やめっ……」
「好きって言って」
「あ…っ!言って、きたっ、よ…!ずっと…っ」
「今もう一回言って。俺の顔見ながら、名前もついでに呼んで?」
「ひっ…!ぁああっ…待っ…て、ぇぇっ!そこやめっ!もう無理っ、」
「じゃあ言って」
「す、……っ」
言える様に少し腰の動きを落としてやると、今まで散々伝えてきたくせに真っ赤になったまま止まってしまった。
「…っ、…~~」
「何その反応」
「は、恥ずかしい…っ」
「…今更?」
「ちょ、望月く、おっきくしないでよ…っもう、俺、」
「本当、お前の所為でここ窮屈だわ」
繋がっている部分を少し人差し指で弄ってやると、甘い声を上げながら腰が跳ねた。
「…ちょ!何処、触ってんの…っ」
「何処ってお前の尻の穴だよ」
「デリカシーのカケラもない…!」
「恥ずかしいの?すげー締め付けだけど」
もう受け入れるにはキツイであろう後孔を弄ると、少しスペースが出来た。
「はぁんっ…!あ!やぁ…!もう、何してっ…入んないからぁ、!」
「入ったよ。すげーな、ここまで拡がるもんなんだ」
かつては小さかった筈の後孔は、今俺のチンコと人差し指を咥えている。軽く指を進めて弱い箇所を擦ってみると、千明の股間も大きくなりトプトプと先走りを溢れさせた。
「もっ…恥ずかしい、何っ…?長いんだけど!!やめっ…んぁぁっ!」
泣いている千明自身を扱くと中の締まりが良くなり、そろそろ俺も限界が近付く。
グリグリと指の腹で千明の先端を擦ると、本日初めて前での絶頂で精液が飛び散った。
「ぁぁぁぁあ!!!」
「すご。中熱くうねってるよ」
「もぉぉぉっ、!ダメ!だめだってぇぇ!」
阻止する様に俺の手を掴んでくるも、全く力なんて入っていないので意味をなさない。
ラストスパートをかけ、挿入した指を抜いて千明の体を起こして初めて体位を対面座位にした。
「な…に、望月くんっ…」
「しっかり掴まってて」
「ひぅっ…やぁぁ!やだっ…これ、無理だってば!恥ずかしい…っ深い、深いっ」
ぎゅっとしがみついてくる体を抱き締めながら奥を貫くと、漸く俺も絶頂感が訪れた。
「……千明」
「んんっ…はい、なにぃっ……」
「高校の時からずっとずっと、千明が好きだったよ。これからは俺の恋人として、傍に居て下さい」
俺から伝えた言葉は今までの様な命令ではなく、初めての『お願い』。しっかりと千明の顔を見つめながらそう伝えると、ボロボロと泣きながら、震えた声で『はい』と返ってきた。
◇ ◆
「…ずるいよ、望月くん…」
「何が」
「だって……俺、今日死ぬつもりだったんだよ?どうせ望月くん、首絞めプレイの知識なんてないと思ってたから…殺してもらおうと思ったのに」
「殺人犯になりたくないから殺すわけないだろ。俺に迷惑かけない方法で死んでくれよ」
「何それひどいっ!!」
「…勝手に死のうとしたら許さないから」
「え…」
「お前が居なくなったら俺にも生きる理由はない。…俺から離れようとしたら殺すからな」
「わぁ…バイオレンスな愛だね…付き合わない方が良かったのかな…」
「お前の所為で俺もおかしくなったのに後悔しないでくれる?」
「いやいやそもそも望月くんが俺を犯すからでしょ!?あれがなかったら俺だって……」
「あ、そうだ。これあげる」
「え、何?まだ決着ついてないんだけど!!」
今日渡そうと思っていたのは久しぶりに高校の時と同じ自販機を見つけて購入したミルクティー。
「うわ、懐かしい!このミルクティー最近見てなかったから飲んでなかったんだよね!くれるの?」
「そのために買った」
俺も自分の分のカフェオレを鞄から出した。
「いただきまぁす」
嬉しそうに笑う千明がベッドに腰掛けた俺の隣にくっついて座り、高校卒業以来初めての思い出の飲み物を口にした。
「……ぬるい」
「ついてすぐ渡すはずだったからな」
ぬるいカフェオレだが、隣に千明がいるからとても美味しい。
ゆっくりと味わっていると、頬を少し膨らませた千明が俺にキスをしてきた。
「ん…っ」
口が開くと共に中へ注ぎ込まれたミルクティー。さっきまで飲んでいたカフェオレと混ざっていく。唇が離れた後、俺も同じ様にカフェオレを口に含んで千明にキスをして送り込んだ。
「にがぁい」
「ミルクティーは甘すぎ」
でも、
「今までで一番美味しい」
そう言ってもう一度キスをした。
end.
応援ありがとうございます!
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