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「…ルーカス様だけでもせめて…!お願いします!!」
「ルーカス…お前行ってやれよ…」
「ユウトと離れたくは無い…」
「別に今生の別れってわけじゃないだろ?…」

ぎゅうぅぅ…っと俺の事を抱きしめるルーカスの力が馬鹿みたいに強くなった所でやっとルーカスが折れた。

「しかたねぇだろ?…俺に依頼が入っちまったんだから…」
「秒で帰る…」
「はいよ…ちゃんと待ってっから…な?」
「…あぁ」

「…ルーカス様ッ!随分と丸くなられて…」
「え…ルーカスくんってどんな感じだったの…?」
「…良く言うと孤高の一匹狼ですね…」
「ねぇ…それ良く言ってる?」

リオネルさんが割と長い眠りから覚めた時に依頼が入ったから俺はもう行かなくてはいけない、けど、ルーカスはなるべくスペジの事情を知っていなくてはならないから俺とは別行動。
約4ヶ月振りの1人行動で俺もちょっと緊張はしている。

「じゃあ、俺行くな?」
「…ユウト…愛してる…」

このロマンチック王子は片膝着いて俺の手の甲にキスしやがった。

「な…なんだよお前……俺…!行ってくるから!お前も…せいぜい頑張れよな…」
「ユウト!」

この甘ったるい空気に耐えられなかった俺はダッシュで逃げ出した。
今日の依頼は森に出来たゴブリンの群れの討伐依頼。
ゴブリン位ならCランクでもいけるけど、あいにくCランクパーティが護衛の以来で抜けてたから俺にパスされた。

「え~っと…どこだ…?」

森を颯爽と駆け回るのも久しぶりだ。
スペジに行ってからはずっとルーカスが俺を運んでたから…って、今はルーカス関係ねぇだろうが…!

「あ…いた」

げ…見張りヤグラまである…ヤグラがあると色々とめんどくさいんだよな…
数は6…か、まぁその位なら…

アイス

バキバキ!!と敵全体が凍っていくのを見守って火魔法で凍ってしまった周りを溶かしていく。

氷はめちゃくちゃに便利だ、いっぺんに全部を凍らせることができる、使い方間違えたら殺人魔法だけど、俺は加減が分かるのでまぁオッケー。

「げ…青の魔石…この色…ゴブリン上位互換じゃねぇか…」

種類は多くてわかってないけど上位互換だと分かるこの色…。
こうして俺の金はどんどん増えていくんだろうな…なんなら家でも買うか?…いやスペジに募金したっていい。

ロラーナの孤児院とかでも良いかもな。
子供には美味いもん食わしてやりたいし…

「っよーし!帰るか!…ルー…」

やべぇ…思わずルーカス呼ぶ所だった…寂しくなんかねぇぞ…?これは慣れから来るやつだ…

「…はぁぁ…俺まじでどうした…?」
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