異世界では人並みに幸せになれますように

27(カイル視点)

大公と約束をつけた今日俺は大公家に来ていた。


「ようこそおいでくださいました、カイル殿下、此方は妻のアリシアと嫡男スクイズです」


「妻のアリシアです」


「スクイズです」


俺はこんな茶番に付き合っているのが馬鹿らしくなって溜息をついた、
「ハァー、そんなのわかっている、堅苦しいのは嫌いだダレス卿止めてくれ」


まったく分かっている癖にこんな事をするなんて、
本当に嫌になると俺は足を組み手をソファーに肘を乗せ手に顎を乗せた。


「おやおやもう良いのですかカイル殿下？折角久しぶりにお会いしたのにもう疲れているとは」
ダレス卿は両手を顔の横に上げて頭を横に振った。
本当にこう言う所は父上と似ている、似た者同士と言う事かと思っていると、アリシア婦人が助けてくれた。



「もう止めてあげなさい貴方、カイル殿下ごめんなさいね、
　チョット機嫌が悪いのよ朝にアムルちゃんにふてくされてしまったからフフフッ」


「ああ、そう言えば父上が言っていたなぁー大公の娘に会ってこいって」
俺は仕返しにチラッと大公の顔を見て、ニヤッと笑ってやった、これぐらいは良いだろう。


「カイル殿下！幾ら陛下が言っていたとしても、合わせませんよ」


「ヘェー父上が言っていた通りなんだな、溺愛しているって、
　ではその代わりジョーンの剣術指南は許可して下さいねっ大公」
俺は此処ぞとばかりに今日の目的を約束付けようとした。


「それは！ムムッ」
と大公は悔しそうにした、俺はこれで大丈夫と思っていると横からスクイズが口を出してきた。



「カイル殿下、僕もジョーンには剣術を習っておりますので、ご一緒でも宜しいですよね」


ニコッとスクイズが笑顔になったけどその笑顔が怖いなぁーと思いつつも、
まぁ一緒に競争出来る相手がいた方が訓練にも集中出来るからな、良いだろうと直ぐに計算してしまった、
こういう処が少し俺は癖になっている。



「喜んでスクイズ、これから宜しくな」
手を差し出し握手した、俺の勝ちだな大公！と心の中で思い俺は又大公を見てニヤッとしてしまった。


大公は悔しそうにしていたが、俺は満足だ！その後スクイズは部屋を出て行き、
俺は父上からの手紙を見せ大公と大公婦人と3人で話していると、スクイズが慌てて部屋に来た。


俺は何かあったのかと思いスクイズに許しを与えた。


「申し訳ございませんカイル殿下、少しお時間を頂きます、
　父様、母様、アムルが部屋に居ません！何処に行ったか知りませんか！？何か聞いていますか！？」


スクイズは焦っていた、俺も何故か探せねばと思った。


「スクイズ直ぐに探すぞ！殿下申し訳ございません、一旦席を離れます事をお許し下さい」


「俺も探す」


「えっ！まっまぁ人手は多いい方が良いしな、ではカイル殿下はスクイズと一緒にお願いします、
　セデェスは屋敷の者にも言って探させろ、スクイズ、カイル殿下を頼んだぞ」


俺達は大公邸を探し回った。



俺はこの時何故こんなにも心が騒ついたのかわからなかったが、アムルリアに会って何かが変わった様な気がした。



父上の罠にハマってしまったかも知れないけど、そんな事はどうでも良い。



俺はアムルリアをどんな事よりも大切にしたいと思った。
これが変わると言う事か？これから何かが変わっていくと心から思うのだった。