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第6章 シルビアーナの父親レギオン・カイドール視点
049★パーティー会場にて・レギオンの回想1
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パーティー会場で、シルビアーナが婚約破棄と共に、断罪を宣言されるほんの少し前から物語りは始まる。
パーティー会場へと到着した私レギオン・カイドールは、娘であるシルビアーナの姿を探していた。
皇太子の婚約者に選ばれ、皇太子妃教育をするという名目で、私達夫婦の手元から連れ攫われるようにして、ブランデル陛下の監視下で生活する愛しい娘。
あの日、あの時、貴族社会の義務でもある祝賀会に、シルビアーナを連れて来ていなければ、ブランデル陛下に目を付けられることも無かっただろうに………。
あれ以来、私は自分の娘だというのに、年に数回しか会えない状態が続いている。
妻のディアーナは………。
『私が、あの時、ブランデル様の求婚を蹴り、貴方を愛した為に………。
愛しいシルビアーナは我が手から奪われ、呪われてしまったわ。
だから、私は、息子のレオンハルトを守る為にも、この領地より出ないわ。
家族以外の人前にも出ないわ』
そう言って、新しく与えられた領地(それも強引なやりかたで勝手に決められた)で、引きこもりになってしまった。
ソレント王国の至高の薔薇姫、金の月の女神ディアーナの化身、女神の愛し子と呼ばれ、その美貌と魔力を謳われた、私のディアが………。
あの日を境に、儚い月の精霊ルナリアのように、朧月(おぼろづき)のように、その輪郭をぼんやりとさせて、魔力も気配も美貌も、輝くように明るい性格も失った、私のディア。
私は、あのブランデルに、最愛の妻と最愛の娘の性格と存在の大半を奪われてしまった。
この国の侯爵家の嫡子に生まれ、いずれは近衛将軍となるはずだった私は、先代皇帝陛下・アレクサンデル様の平和を望む願いを拒否できなかった。
貴族として、皇族の血を引く母(アレクサンデル陛下の同母妹の為)立場もあり、泣く泣くシルビアーナの婚約を了承するしかなかった。
だか、その母も父も今は亡い。
また、先代皇帝陛下・アレクサンデル様も、既に逝った。
先代陛下・アレクサンデル様は、私とブランデル皇太子である現在の陛下が、ディアーナを争った時、彼女の意志を尊重するようにと言ってくれた。
結婚式の時には、姿替えの魔法を自らにかけて、参列してくれた。
私とディアーナの婚姻を本当に皇帝陛下・アレクサンデル様が、認めていると貴族達に自らの姿で示してくれた。
そのアレクサンデル陛下の願いにより私は、シルビアーナとあの馬鹿の婚約を了承した。
私は、あの時のアレクサンデル陛下を思い出す。
『レギオン、お前とディアーナの娘と、我が息子ブランデルの子が婚姻することによって、あのわだかまりが消えることを、私は願っている。だから、この婚約を了承して欲しい。レギオンよ、我が甥よ。私の願いを叶えてくれないか』
あんな風に言われては、拒否することなど出来はしない。
だから、私は、内心でムッとしていたが、伯父であるアレクサンデル陛下の望む答えを返したのだった。
だが、まさか、その後、さほど経たずに、シルビアーナを攫われるとは思わなかった。
パーティー会場へと到着した私レギオン・カイドールは、娘であるシルビアーナの姿を探していた。
皇太子の婚約者に選ばれ、皇太子妃教育をするという名目で、私達夫婦の手元から連れ攫われるようにして、ブランデル陛下の監視下で生活する愛しい娘。
あの日、あの時、貴族社会の義務でもある祝賀会に、シルビアーナを連れて来ていなければ、ブランデル陛下に目を付けられることも無かっただろうに………。
あれ以来、私は自分の娘だというのに、年に数回しか会えない状態が続いている。
妻のディアーナは………。
『私が、あの時、ブランデル様の求婚を蹴り、貴方を愛した為に………。
愛しいシルビアーナは我が手から奪われ、呪われてしまったわ。
だから、私は、息子のレオンハルトを守る為にも、この領地より出ないわ。
家族以外の人前にも出ないわ』
そう言って、新しく与えられた領地(それも強引なやりかたで勝手に決められた)で、引きこもりになってしまった。
ソレント王国の至高の薔薇姫、金の月の女神ディアーナの化身、女神の愛し子と呼ばれ、その美貌と魔力を謳われた、私のディアが………。
あの日を境に、儚い月の精霊ルナリアのように、朧月(おぼろづき)のように、その輪郭をぼんやりとさせて、魔力も気配も美貌も、輝くように明るい性格も失った、私のディア。
私は、あのブランデルに、最愛の妻と最愛の娘の性格と存在の大半を奪われてしまった。
この国の侯爵家の嫡子に生まれ、いずれは近衛将軍となるはずだった私は、先代皇帝陛下・アレクサンデル様の平和を望む願いを拒否できなかった。
貴族として、皇族の血を引く母(アレクサンデル陛下の同母妹の為)立場もあり、泣く泣くシルビアーナの婚約を了承するしかなかった。
だか、その母も父も今は亡い。
また、先代皇帝陛下・アレクサンデル様も、既に逝った。
先代陛下・アレクサンデル様は、私とブランデル皇太子である現在の陛下が、ディアーナを争った時、彼女の意志を尊重するようにと言ってくれた。
結婚式の時には、姿替えの魔法を自らにかけて、参列してくれた。
私とディアーナの婚姻を本当に皇帝陛下・アレクサンデル様が、認めていると貴族達に自らの姿で示してくれた。
そのアレクサンデル陛下の願いにより私は、シルビアーナとあの馬鹿の婚約を了承した。
私は、あの時のアレクサンデル陛下を思い出す。
『レギオン、お前とディアーナの娘と、我が息子ブランデルの子が婚姻することによって、あのわだかまりが消えることを、私は願っている。だから、この婚約を了承して欲しい。レギオンよ、我が甥よ。私の願いを叶えてくれないか』
あんな風に言われては、拒否することなど出来はしない。
だから、私は、内心でムッとしていたが、伯父であるアレクサンデル陛下の望む答えを返したのだった。
だが、まさか、その後、さほど経たずに、シルビアーナを攫われるとは思わなかった。
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