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お茶を飲んで一息ついた頃。

『さて、話を続けようか。まず、なぜ君を時間逆行させたかだね。僕は帝国の状況を何とかしてほしかったんだ。』

「レインも、帝国の現状を憂えているの?」

純粋に疑問に思った。

なにか帝国に思い入れがあるのかしら?

『そうだね…帝国そのものより、この土地自体が僕にとってとても大切なんだ。大切な場所を、例えば内戦とかで荒らされたくないというのが目的かな。』

なるほど。

たしかに、前時間枠では内戦とかで土地がさらに荒れたわね。

「でも、それなら一度失敗した私ではなく、別の誰かのほうが適任ではないのかしら。」

むしろ私なんて前時間枠で悪徳皇后なんて言われていたし…。

『君の前世は…【にほん】といったかな。その国で、君は今君がいる世界の本を読みこんでいた。いわば、帝国の最悪の状態をすでに知っている状態、…本来の未来を知っている存在なんだ。だから、君は思っている以上に帝国内部の立て直しにピッタリの逸材なんだよ。』

「レイン、あなた…私が転生者だと知っていたのね。」

『僕が君の魂の派遣を手配したからね。』

なんと。

転生、時間逆行は全部レインが原因だったのね。

そう…。すべての元凶はレインだったのね。

これまで私の胸の中で燻っていた怒りがふつふつとわいてきた。

質量が質量なだけに、その怒りはすぐ噴火してしまった。

「なんで!私は処刑される直前に転生前の記憶を思い出したのよ!もっと前に思い出していたらいろいろと行動できたのに!」

おかげで二度と体験したくない首スパーンッの恐怖を身をもって体感しちゃったじゃないの!

「しかも小説では悪徳皇后と言われていたアスメリアに転生なんて!もっとあったでしょうが、宰相ポジションとか!」

相手の見た目が3歳の子供だから、本当は一発かましたいのにできないのが歯がゆい。

私の剣幕にひるんだのか、レインは慌てたように弁明を始めた。

『い、いや、ごめん!本当は赤子の時から負荷がないように少しずつ前世の記憶を戻すようにしようとしたんだ!でも、手違いがあってなかなかスムーズに記憶の解放ができなくて。やっとできたと思ったらすでに小説通りに話が進んで処刑の場面だったという…』

過失は完全にレイン側にあるから、後半のほうは尻すぼみになっていった。

『あと、異世界から連れてきた魂は、性別と種族を変えることができないんだ。元の世界だったら転生の際の魂の形を変えることは自由自在なんだけど。だから選択肢は女性しかなくて、かつ帝国は女性の地位はまだまだ低いだろう?だから、皇族であればまだ改革の幅を利かせれるかと思って…そしたらアスメリアしかなかったんだ。』

そう言ってからレインはしゅんと項垂れた。

うっ、そんな幼い姿でしょんぼりされると私が悪いことしたみたいで気が引けるからやめてくれないかしら…。




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