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第二部 宰相閣下の謹慎事情
【ギーレン王宮Side】シーグリックの岐路(後)
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
翌日、王宮に戻った頃には、色々な意味でぐったりと疲れ果てていた。
とは言え、なるべく、国王陛下が出発をするギリギリのタイミングで報告はしないとならないので、それまでに、こっそりと後宮のエヴェリーナ妃のところへ、先に報告に行った。
「あら、シーグリック。目の下にクマがあってよ?」
全てを采配していながらも、そう言ってしれっと笑えるあたり、本当に大物だと思う。
殿下を裏切っているんじゃ…って言う罪悪感が半端ないにも関わらず、イデオン公爵にもエヴェリーナ妃にも逆らえない。
これ以上殿下の評判を落とさない為と言われれば、納得せざるを得ない状況なのだ。
「その様子だと、順調にコトは運んだのかしら?」
ただ、人ひとり攫えば良かっただけの筈なのに。
どうしてこうなった。
「……ええ、まあ。そんな他人様の閨をがっつり覗くほど趣味悪くはないですが、とりあえずは先に到着していた『イデオン公爵らしき人』に、日が落ちた後に到着した某子爵令嬢が、媚薬入りのお茶を振る舞ってましたよ。背中向いて、部下に扮した使用人が『その辺りに置いておいてくれ』なんて言ったら分からないでしょうし。別室で、その『らしき人』がお茶を飲むのを待っていた間には、母親には睡眠薬が、令嬢のお茶には別の種類の媚薬が、何・故・か混入されていたみたいですけど」
そう言って、チラッとエヴェリーナ妃の表情を伺ってみたけれど、自分ごときが察せられる筈もなかった。
あら、ステキなお茶会――などと、微笑っている。
「まあ、そのうち正気に戻って、愕然とするんじゃないですか」
「ほほ…。そもそも、今回の一連の騒動を小説仕立てにしてバラ撒かれた時点で、イデオン宰相に手を出すのは諦めなくちゃいけなかったのよ。それを辺境伯家と言う落としどころを作ってあげただけ、感謝して欲しいくらいだわ」
…ああ、皮肉なんて言える立場じゃなかった。とてもじゃないけど太刀打ちできない。
さっさと事務報告を終わらせてしまおう。
「この後は、殿下に『宰相らしき男をバシュラールに運んだ』と、報告予定。それと、夕食時のあれこれは、見なかった事にする――で、良いんですよね」
「ええ。後は夕食後、殿下が寝落ちしたところで知らせに来て頂戴。聖女サマと同じ部屋でお休みして貰ったところで、アンジェスの皆様方にはお帰り頂きましょう。それとそのタイミングで、アナタもケガをしてくれるかしら」
「………え?」
一瞬、エヴェリーナ妃が何を言っているのか分からなかった。
あら、分からない?と、首を傾げる彼女の笑顔は崩れない。
「アナタは、殿下が急に眠ってしまった事に、何かがおかしいと疑って、王宮内を巡回するの。そこで、今にもアンジェスに戻ろうとしている宰相一行と出くわして、止めようとしたけれど、護衛に負けてケガをする――そう言う態にしておけば、殿下も必要以上にアナタを責められないでしょう?きっと『替え玉に気付かなかった』事も、咎めなしとは言わないけれど、ちょっとした謹慎くらいで済むんじゃないかと思うのよ」
「……っ」
この妃は、どこまでを見通しているんだろう。
きっとこの人に逆らっては、殿下とてギーレンの次期王位は危うい。
……気がする。
「ふふ……そうそう、殿下に盲信する事が、忠誠の奉げ方ではないのよ。良い傾向だわ。これからも自分で考えて、何が一番殿下の為になるのかを考えていくと良いわ。もしかしたら、一時は殿下の反発もあるかも知れないけれど、頭が冷えれば理解出来ない方ではない。そこが息子とは決定的に違うところなのよね」
今回は、こちらから仕掛けたところを打ち破られた。
それで矛を収めなくてはならないと、エヴェリーナ妃は言う。
「正直ね、陛下を誘導するのが一番大変なのよ。ギーレンは大国なのだから、周辺諸国が従うべきって言う態度が、あらゆる所で透けて見えているから」
「そもそも、陛下がお着きになった時点で事態は露見するでしょうし、そのまま引き返して来られたら、アンジェスのご一行はギリギリ帰国出来たとしても、殿下と聖女の『既成事実』に関しては、成立しない可能性もあるんじゃ?」
少なくとも殿下の方は、激昂しているだろう陛下に叩き起こされるに違いない。
そんな疑問が表情に出たのか、エヴェリーナ妃は「私がそのあたりを考えていないとでも?」と、笑った。
「陛下には、遅効性睡眠薬を出がけにお水と称してお飲みいただいたわ。馬車の中でゆっくりと眠くなって、後は別荘の使用人に睡眠香を部屋に焚いておくよう言ってあるから、某子爵令嬢や母親ともども、事態を把握されるのはせいぜい明日の朝と言ったところじゃないかしら」
「―――」
エグイ、と思わず口に出しそうになって、慌てて咳払いをする。
遅効性の睡眠薬は、キスト室長考案のレシピを、今は元王立植物園の研究員で、不正を働いて罪人となった連中が、必要に応じて作成している状態だ。
いざと言う時に、身代わりでの処刑が可能だからだ。
王宮内、他に誰が使おうと「知らずにうっかり溢しました。混ざっていたなら申し訳ない」でとぼけきる事が出来る。
きっと睡眠香も「ゆっくり羽を伸ばして貰おうと思って調合させた」とでも言えば、それ以上は強く出られない。
――結果、全てが露見をするのは明日の朝と言う事になるのだろう。
「まあ、揉み消せないように色々と根回しはしておいたから、陛下は困ってこちらに泣きついてこられるでしょうね。頭ごなしに自分の言う事を聞かせられない時だけ、ラハデ家の権力をアテにして泣きついてこられるのだから、困ったものよね」
まるでそれが確定した未来であるかの様に、エヴェリーナ妃は嘆息している。
帰って来たら帰って来たで、息子が聖女と一晩過ごしたかの様な状況に遭遇するとなると、陛下、卒倒しやしないだろうか――と思いながらも、口には出せない。
それならそれで、エヴェリーナ妃ならどうとでも出来そうだ。
「ああでも、殿下に関しては、好敵手さえ周辺諸国にいれば、まだやり直しがきくわ。今回の件で色々と学習してくれると良いのだけれどね」
「……好敵手」
脳裡にアンジェス国の面々がアレコレ浮かんだのを見越したかの様に「ふふふ…」と、エヴェリーナ妃は笑った。
「それでね、アナタが謹慎になったら、私のお願いを聞いて欲しいのだけれど」
「……謹慎?」
「殿下が突然足りない子になってなければ、それで済む筈よ。自信を持ちなさいな。シーグリック・アルビレオは、エドベリ殿下の唯一無二の侍従。最も近くで仕える者。殿下もそう思っていてよ」
だから安心してお願いを聞いて頂戴、と言われては、感動も半減だ。
もはやそれは「お願い」じゃないと、きっと妹も思ってくれるだろう。
「多分、1週間から10日くらいじゃないかと思うのよ、謹慎。1ヶ月とか言ってしまうと、ただの人違いで与える罰じゃないもの。だからその間、アナタにはちょっと他国の情勢を確認してきて欲しいと思って」
拒否の言葉とか、最初から聞く気がなさそうなエヴェリーナ妃の言葉に、多分に諦めを含みつつ、意外とも言える命令の内容に、思わず視線を向けてしまった。
「他国?」
「ええ、そうよ。殿下に合うお嬢さんがいないかどうか、確認をしてきて貰おうかと思っているのよ。シャルリーヌをアンジェスからは出したくないでしょうから、向こうは向こうで必死に候補を探すとは思うけれど、こちらだって何もしない訳にはいかないわ」
殿下が執着をせずとも、元々第一王子の妃となる予定で教育を終えていたシャルリーヌ・ベクレル伯爵令嬢は、次期王妃としては得難い人材だと思う。
だけど、それに固執しすぎたあまりに今回の様に国の威信が傾いているのなら、次点を探すのも大事な事だ。
「アンジェスだって、自国に都合の悪い情報は伏せるでしょうし。こちらは、こちらの視点で情報を掴んでおかないと。今はまだ、ギーレン国内ではこれと思うお嬢さんが育っていないのよね……」
自分は知らないけれど、きっとデビュタントの年齢以上の適齢期のご令嬢の情報は既に把握していると言う事なんだろう。
ラハデ公爵家にも、お抱えの組織がある。
当主は実弟サイアス様だけれど、サイアス様の知る情報は、全てエヴェリーナ妃と共有されていると言っても過言ではない筈だった。
「えーっと……他国の王族、高位貴族のご令嬢の情報を掴んで来い、と……」
「ええ。そうね……ベルィフ、バリエンダール、サレステーデあたりをとりあえずは探って来て貰おうかしら。終わったら、アンジェスでイデオン宰相かレイナ嬢と情報を共有して帰って来れたら、なお良いわね」
「え……だけど移動は……」
「多分だけれど『聖女様はお飾り、白い結婚。本来のギーレン王家の血筋を繋ぐに相応しいご令嬢候補を殿下に』と言えば、陛下は簡単に賛成下さると思うのよ。堂々と〝転移扉〟を使って、調査に行って頂戴な。殿下は反発されるかも知れないから、謹慎予定のアナタをこっそり使うと言えば、陛下はそれも納得される筈」
――なんだろう。殿下も陛下も、エヴェリーナ妃の手のひらでコロコロ転がっている気がする…なんて思うのは、不敬なんだろうか。
「せっかくだから、二人で行ってくれば?調査の幅も広がるでしょうし」
……いや、転がされているのは、きっと自分も同じだと、しみじみ思った。
翌日、王宮に戻った頃には、色々な意味でぐったりと疲れ果てていた。
とは言え、なるべく、国王陛下が出発をするギリギリのタイミングで報告はしないとならないので、それまでに、こっそりと後宮のエヴェリーナ妃のところへ、先に報告に行った。
「あら、シーグリック。目の下にクマがあってよ?」
全てを采配していながらも、そう言ってしれっと笑えるあたり、本当に大物だと思う。
殿下を裏切っているんじゃ…って言う罪悪感が半端ないにも関わらず、イデオン公爵にもエヴェリーナ妃にも逆らえない。
これ以上殿下の評判を落とさない為と言われれば、納得せざるを得ない状況なのだ。
「その様子だと、順調にコトは運んだのかしら?」
ただ、人ひとり攫えば良かっただけの筈なのに。
どうしてこうなった。
「……ええ、まあ。そんな他人様の閨をがっつり覗くほど趣味悪くはないですが、とりあえずは先に到着していた『イデオン公爵らしき人』に、日が落ちた後に到着した某子爵令嬢が、媚薬入りのお茶を振る舞ってましたよ。背中向いて、部下に扮した使用人が『その辺りに置いておいてくれ』なんて言ったら分からないでしょうし。別室で、その『らしき人』がお茶を飲むのを待っていた間には、母親には睡眠薬が、令嬢のお茶には別の種類の媚薬が、何・故・か混入されていたみたいですけど」
そう言って、チラッとエヴェリーナ妃の表情を伺ってみたけれど、自分ごときが察せられる筈もなかった。
あら、ステキなお茶会――などと、微笑っている。
「まあ、そのうち正気に戻って、愕然とするんじゃないですか」
「ほほ…。そもそも、今回の一連の騒動を小説仕立てにしてバラ撒かれた時点で、イデオン宰相に手を出すのは諦めなくちゃいけなかったのよ。それを辺境伯家と言う落としどころを作ってあげただけ、感謝して欲しいくらいだわ」
…ああ、皮肉なんて言える立場じゃなかった。とてもじゃないけど太刀打ちできない。
さっさと事務報告を終わらせてしまおう。
「この後は、殿下に『宰相らしき男をバシュラールに運んだ』と、報告予定。それと、夕食時のあれこれは、見なかった事にする――で、良いんですよね」
「ええ。後は夕食後、殿下が寝落ちしたところで知らせに来て頂戴。聖女サマと同じ部屋でお休みして貰ったところで、アンジェスの皆様方にはお帰り頂きましょう。それとそのタイミングで、アナタもケガをしてくれるかしら」
「………え?」
一瞬、エヴェリーナ妃が何を言っているのか分からなかった。
あら、分からない?と、首を傾げる彼女の笑顔は崩れない。
「アナタは、殿下が急に眠ってしまった事に、何かがおかしいと疑って、王宮内を巡回するの。そこで、今にもアンジェスに戻ろうとしている宰相一行と出くわして、止めようとしたけれど、護衛に負けてケガをする――そう言う態にしておけば、殿下も必要以上にアナタを責められないでしょう?きっと『替え玉に気付かなかった』事も、咎めなしとは言わないけれど、ちょっとした謹慎くらいで済むんじゃないかと思うのよ」
「……っ」
この妃は、どこまでを見通しているんだろう。
きっとこの人に逆らっては、殿下とてギーレンの次期王位は危うい。
……気がする。
「ふふ……そうそう、殿下に盲信する事が、忠誠の奉げ方ではないのよ。良い傾向だわ。これからも自分で考えて、何が一番殿下の為になるのかを考えていくと良いわ。もしかしたら、一時は殿下の反発もあるかも知れないけれど、頭が冷えれば理解出来ない方ではない。そこが息子とは決定的に違うところなのよね」
今回は、こちらから仕掛けたところを打ち破られた。
それで矛を収めなくてはならないと、エヴェリーナ妃は言う。
「正直ね、陛下を誘導するのが一番大変なのよ。ギーレンは大国なのだから、周辺諸国が従うべきって言う態度が、あらゆる所で透けて見えているから」
「そもそも、陛下がお着きになった時点で事態は露見するでしょうし、そのまま引き返して来られたら、アンジェスのご一行はギリギリ帰国出来たとしても、殿下と聖女の『既成事実』に関しては、成立しない可能性もあるんじゃ?」
少なくとも殿下の方は、激昂しているだろう陛下に叩き起こされるに違いない。
そんな疑問が表情に出たのか、エヴェリーナ妃は「私がそのあたりを考えていないとでも?」と、笑った。
「陛下には、遅効性睡眠薬を出がけにお水と称してお飲みいただいたわ。馬車の中でゆっくりと眠くなって、後は別荘の使用人に睡眠香を部屋に焚いておくよう言ってあるから、某子爵令嬢や母親ともども、事態を把握されるのはせいぜい明日の朝と言ったところじゃないかしら」
「―――」
エグイ、と思わず口に出しそうになって、慌てて咳払いをする。
遅効性の睡眠薬は、キスト室長考案のレシピを、今は元王立植物園の研究員で、不正を働いて罪人となった連中が、必要に応じて作成している状態だ。
いざと言う時に、身代わりでの処刑が可能だからだ。
王宮内、他に誰が使おうと「知らずにうっかり溢しました。混ざっていたなら申し訳ない」でとぼけきる事が出来る。
きっと睡眠香も「ゆっくり羽を伸ばして貰おうと思って調合させた」とでも言えば、それ以上は強く出られない。
――結果、全てが露見をするのは明日の朝と言う事になるのだろう。
「まあ、揉み消せないように色々と根回しはしておいたから、陛下は困ってこちらに泣きついてこられるでしょうね。頭ごなしに自分の言う事を聞かせられない時だけ、ラハデ家の権力をアテにして泣きついてこられるのだから、困ったものよね」
まるでそれが確定した未来であるかの様に、エヴェリーナ妃は嘆息している。
帰って来たら帰って来たで、息子が聖女と一晩過ごしたかの様な状況に遭遇するとなると、陛下、卒倒しやしないだろうか――と思いながらも、口には出せない。
それならそれで、エヴェリーナ妃ならどうとでも出来そうだ。
「ああでも、殿下に関しては、好敵手さえ周辺諸国にいれば、まだやり直しがきくわ。今回の件で色々と学習してくれると良いのだけれどね」
「……好敵手」
脳裡にアンジェス国の面々がアレコレ浮かんだのを見越したかの様に「ふふふ…」と、エヴェリーナ妃は笑った。
「それでね、アナタが謹慎になったら、私のお願いを聞いて欲しいのだけれど」
「……謹慎?」
「殿下が突然足りない子になってなければ、それで済む筈よ。自信を持ちなさいな。シーグリック・アルビレオは、エドベリ殿下の唯一無二の侍従。最も近くで仕える者。殿下もそう思っていてよ」
だから安心してお願いを聞いて頂戴、と言われては、感動も半減だ。
もはやそれは「お願い」じゃないと、きっと妹も思ってくれるだろう。
「多分、1週間から10日くらいじゃないかと思うのよ、謹慎。1ヶ月とか言ってしまうと、ただの人違いで与える罰じゃないもの。だからその間、アナタにはちょっと他国の情勢を確認してきて欲しいと思って」
拒否の言葉とか、最初から聞く気がなさそうなエヴェリーナ妃の言葉に、多分に諦めを含みつつ、意外とも言える命令の内容に、思わず視線を向けてしまった。
「他国?」
「ええ、そうよ。殿下に合うお嬢さんがいないかどうか、確認をしてきて貰おうかと思っているのよ。シャルリーヌをアンジェスからは出したくないでしょうから、向こうは向こうで必死に候補を探すとは思うけれど、こちらだって何もしない訳にはいかないわ」
殿下が執着をせずとも、元々第一王子の妃となる予定で教育を終えていたシャルリーヌ・ベクレル伯爵令嬢は、次期王妃としては得難い人材だと思う。
だけど、それに固執しすぎたあまりに今回の様に国の威信が傾いているのなら、次点を探すのも大事な事だ。
「アンジェスだって、自国に都合の悪い情報は伏せるでしょうし。こちらは、こちらの視点で情報を掴んでおかないと。今はまだ、ギーレン国内ではこれと思うお嬢さんが育っていないのよね……」
自分は知らないけれど、きっとデビュタントの年齢以上の適齢期のご令嬢の情報は既に把握していると言う事なんだろう。
ラハデ公爵家にも、お抱えの組織がある。
当主は実弟サイアス様だけれど、サイアス様の知る情報は、全てエヴェリーナ妃と共有されていると言っても過言ではない筈だった。
「えーっと……他国の王族、高位貴族のご令嬢の情報を掴んで来い、と……」
「ええ。そうね……ベルィフ、バリエンダール、サレステーデあたりをとりあえずは探って来て貰おうかしら。終わったら、アンジェスでイデオン宰相かレイナ嬢と情報を共有して帰って来れたら、なお良いわね」
「え……だけど移動は……」
「多分だけれど『聖女様はお飾り、白い結婚。本来のギーレン王家の血筋を繋ぐに相応しいご令嬢候補を殿下に』と言えば、陛下は簡単に賛成下さると思うのよ。堂々と〝転移扉〟を使って、調査に行って頂戴な。殿下は反発されるかも知れないから、謹慎予定のアナタをこっそり使うと言えば、陛下はそれも納得される筈」
――なんだろう。殿下も陛下も、エヴェリーナ妃の手のひらでコロコロ転がっている気がする…なんて思うのは、不敬なんだろうか。
「せっかくだから、二人で行ってくれば?調査の幅も広がるでしょうし」
……いや、転がされているのは、きっと自分も同じだと、しみじみ思った。
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