262 / 785
第二部 宰相閣下の謹慎事情
【仕立て屋Side】ヘルマンの荊棘(けいきょく)(前)
しおりを挟む
※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
「今回は既製品のお届けで宜しいんですか?」
イデオン家へ自ら納品に行く事は、数日前から店の店長には伝えてあった。
納品分の積み込み前の最終チェックの傍らで、念の為とばかりに店長が確認をしてきた。
「ああ。何でも商業ギルドの方から、高位貴族を強調しない服装で来いと釘を刺されたらしい」
普通は自ら足を運ぶような事はしない。
ギルドとしても、本当は「来てくれるな」と言う事を裏で言いたかったんだろうが、エドヴァルドにしてみれば「レイナ嬢だけを行かせる」と言う選択肢がなかったに違いない。
「ああ、それでアクセサリーもセットでご用意された訳ですか」
服と一緒に用意されている装飾品類を一瞥しながら、なるほどとばかりに店長は頷いている。
「請求書の方に記載がないのは、先日のお詫びも兼ねて――と」
…どうやらこの前、帰宅寸前のところを俺に泣きつかれ、窓枠の霜取りに付き合わされた事を未だに根に持っているらしい。
本の角が額にぶつかって、微かに切り傷が出来た上に「ちょっと揶揄いすぎた……」と乾いた笑いを見せた俺に「どうして王都のど真ん中でこんな事を私が…」と、こめかみに青筋を立てながらも霜取りに手を貸してくれた店長には、悪い事をしたと思う。
女性である店長からすれば、ガリガリ霜を削るのは、それなりの力仕事だった事は想像に難くない。
放って帰ろうかとさすがに提案したものの、翌日水浸しになる!階下に漏れでもしたらどうします!と、更に怒りを煽っただけだった。
聞えよがしな店長に、俺はゴホゴホと咳払いをする事で、今は聞かなかった事にしておく。
せめて次の給料日には、特別手当を付けておこう。
「ま、まあ、ちゃんと新規も取ってくるから心配するな!そろそろクローゼットの中身が一周する頃だろうからな!」
そう言って、俺はそそくさとイデオン公爵邸に向かった。
「よぉ、エドヴァルドにレイナ嬢!」
が、しかし。
(また〝痕〟増やしてんじゃねぇか、アイツ……)
俺がデザインするドレスは、そんなモノを想定してないってコトを何度言わせるんだ!
今度は店じゃなく口を凍らせたいかと凄まれようと、俺にだって譲れない一線はある。
新しいドレスを最低5着、それも王宮でお披露目出来るようなドレスを考えているとなると、余計に釘は刺しておきたい。
そんなに周囲を牽制したいなら、せめて〝痕〟は見えるところ一箇所にしておけよと思う。
最終ではないが、それなりに――。
婚約式、結婚式の相談が入るのも、そう遠い話ではない気がしてきた。
これは今の内から、この前の〝青の中の青〟の様に、良い素材があれば先だって押さえておかねば!と、内心密かに気炎を吐いたところで、エドヴァルドから「ちょっと待てフェリクス」と、帰宅への「待て」がかかった。
「………は?」
ロイヴァス兄上がここに?
全く予想だにしていなかった爆弾を投げつけられて、俺はその場で完全に固まってしまった。
「いや、その…エドヴァルド、この前のコトでおまえが怒っていたのはよく分かった。それはすまなかった。改めて詫びる。次のドレスもなるべく良い素材を集めてくる。だからだな――」
父親や一番目の兄、二番目の兄に関しては「嫌い」の部類に分類分けされるが、三番目――ロイヴァス兄上に関しては、どちらかと言うと「苦手」の部類に分けられる。
学園時代の在席期間がかぶっていた訳ではないが、興味のある科目とない科目との落差が激しすぎて、教師すら呆れていた俺とは違い、ロイヴァス兄上は卓抜な選良達の一員と言って良い存在だったと聞く。
ただ父達は、本家に貢献出来ないのであれば、押し並べて役立たずであるかの様に思っているのだ。
王宮の上級官吏試験に通る兄よりも、食用の羊を領内で取り纏める事にした四番目の兄や、領都の商業ギルドで羊皮紙の安定供給を支える五番目の兄の方が、本家においては評価が上と言う状況が、まかり通っている。
ロイヴァス兄上が、多少なりと領都の本家に税にしろ流通にしろ融通をきかせていたならば、逆に評価は最上位になったかも知れないが、就いた部署は不正を取り締まる、言わば真逆の司法・公安部門。
聞けば学園時代に、ベルセリウス侯爵家の嫡男が、キヴェカス伯爵領の産地偽装疑惑に苦しむ、自分よりも7歳も若い当主の為に何か出来ないかと、首席の知恵を貸せ!と、ある日いきなり席に突撃して来たところから、イデオン公爵領との関わりが深くなっていったらしい。
自ら裁判を受けて立とうとするキヴェカス家の子息とて、まだ学園に入れる年齢ではなかった為、該当しそうな法律の書物や裁判例を、学園図書館の蔵書から借りて、密かにベルセリウス侯爵令息に貸していたのが、何を隠そうロイヴァス兄上だったと、俺は俺の年代になって、図書館長から聞かされた。
大抵、一学年に数人は反骨精神に溢れた生徒が出るとかで、兄の年も、裁判相手がクヴィスト公爵家傘下の伯爵家と知りながら、まだ領主でもない学生が手を貸すと言う状況を、むしろ教師達は何も言わずに見守っていたらしい。
道理で俺がデザイナーとしてやっていくと、経営だ何だと受講する科目を偏らせ出したところで、学園内では誰も何も言わなかった筈だと、後で激しく納得したものだ。
ドレスをデザインするなどと、本家においては勘当必至のド底辺の所業なのに。
基本的に、三男以下の貴族男子は己の身を立てる手段を、学園在学中から漠然とでも良いから考えておく必要がある。
ロイヴァス兄上は、結果的にキヴェカス家の騒動に間接的ながら関わった事で、法の道に活路を見出した。
最初の頃は、当然ながら下っ端官吏として、エドヴァルドと関わる事もなかったらしいが、俺が学園に入って、デザイナーになると言い出したところで、事態が激変した。
ただでさえ、ロイヴァス兄上が官吏として王宮に上がっただけでも本家では嫌味の風が吹いていたところが、今度は六男がデザイナーと聞いて、嫌味の風が罵詈雑言の嵐になった。
俺は俺なりに、リボンとレースの数で競うような、母や祖母が嘆いた、地位にも年齢にもそぐわないドレス業界に、風穴を開けたいと思っただけで、そこならば自活の道を探れると確信しての事だったが、本家には全く理解されなかった。
――それを俺がやる必要はない。
本家の言い分は、常にそれ以上でも以下でもない。
つまりは俺の言い分に耳すら貸そうとはしないのだ。
四番目の兄や五番目の兄は、ロイヴァス兄上が揉めたのを目にした時点で、早々に本家に抗う事を諦めて領内に残っていたから、余計に俺は目立った。
学園で同期となったエドヴァルドが、キヴェカスの一件もあって顔を見知っていた、ロイヴァス兄上を引き込む事で「王都在住の二人は、ヘルマン侯爵家一族に相応しい働きで、イデオン公爵家の知遇を得た」と本家に主張出来るよう力業を発揮しなければ、今頃俺はアンジェス以外の国にだって出ていたかも知れない。
「敢えて領内に留まらず、王都で畑違いの荊の道を歩むと言う、その心意気を買ったまでの事。慈善事業をしているつもりはない。当然、結果は出して貰う」
そう言ってのけたエドヴァルドにロイヴァス兄上は心酔し、事あるごとに俺にもヘルマン家の一員としての義務を説く。
むしろ本家を見返す意味でも、可能な限りその名にはしがみつけ――と。
俺は未だ、そんな兄上にも及ばないし、エドヴァルドはその遥か先を突っ走ったままだ。
エドヴァルドになら、店の発展で、常に後ろを追いかけている事を示す事が出来る。
だけどロイヴァス兄上には、どう接するべきなのかが未だによく分からない。
――だから俺は、ロイヴァス兄上が苦手なのだ。
「今回は既製品のお届けで宜しいんですか?」
イデオン家へ自ら納品に行く事は、数日前から店の店長には伝えてあった。
納品分の積み込み前の最終チェックの傍らで、念の為とばかりに店長が確認をしてきた。
「ああ。何でも商業ギルドの方から、高位貴族を強調しない服装で来いと釘を刺されたらしい」
普通は自ら足を運ぶような事はしない。
ギルドとしても、本当は「来てくれるな」と言う事を裏で言いたかったんだろうが、エドヴァルドにしてみれば「レイナ嬢だけを行かせる」と言う選択肢がなかったに違いない。
「ああ、それでアクセサリーもセットでご用意された訳ですか」
服と一緒に用意されている装飾品類を一瞥しながら、なるほどとばかりに店長は頷いている。
「請求書の方に記載がないのは、先日のお詫びも兼ねて――と」
…どうやらこの前、帰宅寸前のところを俺に泣きつかれ、窓枠の霜取りに付き合わされた事を未だに根に持っているらしい。
本の角が額にぶつかって、微かに切り傷が出来た上に「ちょっと揶揄いすぎた……」と乾いた笑いを見せた俺に「どうして王都のど真ん中でこんな事を私が…」と、こめかみに青筋を立てながらも霜取りに手を貸してくれた店長には、悪い事をしたと思う。
女性である店長からすれば、ガリガリ霜を削るのは、それなりの力仕事だった事は想像に難くない。
放って帰ろうかとさすがに提案したものの、翌日水浸しになる!階下に漏れでもしたらどうします!と、更に怒りを煽っただけだった。
聞えよがしな店長に、俺はゴホゴホと咳払いをする事で、今は聞かなかった事にしておく。
せめて次の給料日には、特別手当を付けておこう。
「ま、まあ、ちゃんと新規も取ってくるから心配するな!そろそろクローゼットの中身が一周する頃だろうからな!」
そう言って、俺はそそくさとイデオン公爵邸に向かった。
「よぉ、エドヴァルドにレイナ嬢!」
が、しかし。
(また〝痕〟増やしてんじゃねぇか、アイツ……)
俺がデザインするドレスは、そんなモノを想定してないってコトを何度言わせるんだ!
今度は店じゃなく口を凍らせたいかと凄まれようと、俺にだって譲れない一線はある。
新しいドレスを最低5着、それも王宮でお披露目出来るようなドレスを考えているとなると、余計に釘は刺しておきたい。
そんなに周囲を牽制したいなら、せめて〝痕〟は見えるところ一箇所にしておけよと思う。
最終ではないが、それなりに――。
婚約式、結婚式の相談が入るのも、そう遠い話ではない気がしてきた。
これは今の内から、この前の〝青の中の青〟の様に、良い素材があれば先だって押さえておかねば!と、内心密かに気炎を吐いたところで、エドヴァルドから「ちょっと待てフェリクス」と、帰宅への「待て」がかかった。
「………は?」
ロイヴァス兄上がここに?
全く予想だにしていなかった爆弾を投げつけられて、俺はその場で完全に固まってしまった。
「いや、その…エドヴァルド、この前のコトでおまえが怒っていたのはよく分かった。それはすまなかった。改めて詫びる。次のドレスもなるべく良い素材を集めてくる。だからだな――」
父親や一番目の兄、二番目の兄に関しては「嫌い」の部類に分類分けされるが、三番目――ロイヴァス兄上に関しては、どちらかと言うと「苦手」の部類に分けられる。
学園時代の在席期間がかぶっていた訳ではないが、興味のある科目とない科目との落差が激しすぎて、教師すら呆れていた俺とは違い、ロイヴァス兄上は卓抜な選良達の一員と言って良い存在だったと聞く。
ただ父達は、本家に貢献出来ないのであれば、押し並べて役立たずであるかの様に思っているのだ。
王宮の上級官吏試験に通る兄よりも、食用の羊を領内で取り纏める事にした四番目の兄や、領都の商業ギルドで羊皮紙の安定供給を支える五番目の兄の方が、本家においては評価が上と言う状況が、まかり通っている。
ロイヴァス兄上が、多少なりと領都の本家に税にしろ流通にしろ融通をきかせていたならば、逆に評価は最上位になったかも知れないが、就いた部署は不正を取り締まる、言わば真逆の司法・公安部門。
聞けば学園時代に、ベルセリウス侯爵家の嫡男が、キヴェカス伯爵領の産地偽装疑惑に苦しむ、自分よりも7歳も若い当主の為に何か出来ないかと、首席の知恵を貸せ!と、ある日いきなり席に突撃して来たところから、イデオン公爵領との関わりが深くなっていったらしい。
自ら裁判を受けて立とうとするキヴェカス家の子息とて、まだ学園に入れる年齢ではなかった為、該当しそうな法律の書物や裁判例を、学園図書館の蔵書から借りて、密かにベルセリウス侯爵令息に貸していたのが、何を隠そうロイヴァス兄上だったと、俺は俺の年代になって、図書館長から聞かされた。
大抵、一学年に数人は反骨精神に溢れた生徒が出るとかで、兄の年も、裁判相手がクヴィスト公爵家傘下の伯爵家と知りながら、まだ領主でもない学生が手を貸すと言う状況を、むしろ教師達は何も言わずに見守っていたらしい。
道理で俺がデザイナーとしてやっていくと、経営だ何だと受講する科目を偏らせ出したところで、学園内では誰も何も言わなかった筈だと、後で激しく納得したものだ。
ドレスをデザインするなどと、本家においては勘当必至のド底辺の所業なのに。
基本的に、三男以下の貴族男子は己の身を立てる手段を、学園在学中から漠然とでも良いから考えておく必要がある。
ロイヴァス兄上は、結果的にキヴェカス家の騒動に間接的ながら関わった事で、法の道に活路を見出した。
最初の頃は、当然ながら下っ端官吏として、エドヴァルドと関わる事もなかったらしいが、俺が学園に入って、デザイナーになると言い出したところで、事態が激変した。
ただでさえ、ロイヴァス兄上が官吏として王宮に上がっただけでも本家では嫌味の風が吹いていたところが、今度は六男がデザイナーと聞いて、嫌味の風が罵詈雑言の嵐になった。
俺は俺なりに、リボンとレースの数で競うような、母や祖母が嘆いた、地位にも年齢にもそぐわないドレス業界に、風穴を開けたいと思っただけで、そこならば自活の道を探れると確信しての事だったが、本家には全く理解されなかった。
――それを俺がやる必要はない。
本家の言い分は、常にそれ以上でも以下でもない。
つまりは俺の言い分に耳すら貸そうとはしないのだ。
四番目の兄や五番目の兄は、ロイヴァス兄上が揉めたのを目にした時点で、早々に本家に抗う事を諦めて領内に残っていたから、余計に俺は目立った。
学園で同期となったエドヴァルドが、キヴェカスの一件もあって顔を見知っていた、ロイヴァス兄上を引き込む事で「王都在住の二人は、ヘルマン侯爵家一族に相応しい働きで、イデオン公爵家の知遇を得た」と本家に主張出来るよう力業を発揮しなければ、今頃俺はアンジェス以外の国にだって出ていたかも知れない。
「敢えて領内に留まらず、王都で畑違いの荊の道を歩むと言う、その心意気を買ったまでの事。慈善事業をしているつもりはない。当然、結果は出して貰う」
そう言ってのけたエドヴァルドにロイヴァス兄上は心酔し、事あるごとに俺にもヘルマン家の一員としての義務を説く。
むしろ本家を見返す意味でも、可能な限りその名にはしがみつけ――と。
俺は未だ、そんな兄上にも及ばないし、エドヴァルドはその遥か先を突っ走ったままだ。
エドヴァルドになら、店の発展で、常に後ろを追いかけている事を示す事が出来る。
だけどロイヴァス兄上には、どう接するべきなのかが未だによく分からない。
――だから俺は、ロイヴァス兄上が苦手なのだ。
1,057
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。