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第二部 宰相閣下の謹慎事情
412 困ったちゃんがいっぱい
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※本日から、1日1話夜の更新です。
「そもそも『どうしてもと仰るなら、然るべき筋を通して王家にご献上下さい』とまで言われているにも関わらず、給仕の侍女にも渡さず無理矢理自分で淹れている時点で『たまたま手に入ったお茶をお薦めしたかった』なんて話が通用する訳ないじゃないですか。中身を知った上で、どうしても飲ませたかった――としか思われませんよ?」
それくらい、フォサーティ側室夫人の行動はあり得なかった。
「仮にこのお茶を飲んで皆が倒れたとして、真っ先に疑われるのって、淹れた人間ですよ?自分が疑われずに飲ませたかったのなら、せめてここにいる他の人間に淹れさせないといけなかったでしょう。最悪、その誰かに罪を着せて逃げおおせる事が出来た…かも、知れないんですから」
まあ、それまでの挙動不審で無理だろうとは思うけど。
ただの可能性の問題だ。
「おまえ…っ、さっきから聞いていれば生意気な口ばかり!私を誰だと…っ」
「生憎と、王族に薬を盛るような方に払う敬意は持ち合わせておりません。毒じゃなければ、露見しても大した罪には問われないと思ってます?そんなワケないでしょう。何にせよ、身体に害のある薬を盛った時点で実刑一択ですよ。私はさほどバリエンダールの法には詳しくありませんから、ここで死刑だとまでは断言しませんけど」
死刑、の単語を聞いた側室夫人の顔色が、赤から青へと、それは見事な変貌を遂げた。
「わ…私の実家は、ベッカリーア公爵家で……先代陛下からは殊のほか……っ」
震える唇から紡がれた声に、私はなんとなく、そこにあった面倒な権力関係の一端を垣間見た。
もしかして、先代陛下とやらも結構な困ったちゃんだったのかな?
北方遊牧民の迫害に関して、むしろ音頭を取っていた…っぽいのは、何となくこれまでの流れで分かったけど。
確か宰相家の側室夫人も、先代陛下の一声で無理矢理ねじ込まれたとか何とか。
「……今まで息子さん含め、お二人が野放しになっていた理由が何となく分かりました」
「我が国の恥でもあるから、あまり言いたくはなかったが――先王の負の遺産は、実はまだまだ残っておってな」
それまで、テオドル大公や私を見ながら話の成り行きを窺っていたらしいメダルド国王陛下が、いつの間にかティーワゴンの傍まで近づいて来ていて、気付けば茶器の蓋を開けて、中をじっと覗き込んでいた。
「ふむ。確かに変わった茶葉ではあるな……」
私は慌てて、一歩下がって〝カーテシー〟の姿勢を見せた。
「ああ、良い良い。そう畏まるな。テオ殿に事情を説明して貰うつもりだったが、もうあらかた理解したわ。馬鹿ですか?は、なかなかに傑作であったぞ」
「…っ、お耳汚しな事を申し上げました」
「いや。王族たる者、国内で生産される品とその産地を知らぬなどと思われている方が心外でな。確かに、このように物騒な用途で使われる茶になぞ心当たりはなかったが、北部地域で茶など作られておらぬ事くらいは知っておるわ。仮にこの茶で誰かが倒れたとしても、北方遊牧民を排する話になぞなりはしなかったであろうよ」
「そ、そんな…っ」
マトヴェイ外交部長に拘束されたままのフォサーティ宰相側室夫人が、絶望的と言わんばかりの声を発している。
「……これ、夫人と息子さんを後ろから焚きつけた『誰か』がいますね?」
国王陛下の前ではあったけど、私はついうっかり、疑問を口に出してしまっていた。
「ちょっとでも国政を知る真面な人間なら、こんな計画を囁かれたところで実行にも移さないでしょう。こんな計画でも成功すると信じちゃうくらいに、この二人が足りないのはこの際横に置いて……この二人を表舞台から退かせたかったのか、そのナントカ公爵家ごと潰したいから巻き込んだのか……」
ベッカリーア公爵家な、とメダルド国王は苦笑している。
「まあ、今はそのあたりにしておいてくれんかね。もちろん、テオ殿が参加された茶会でこのような事が起きたのだ。どう裁いたかは関係者含め、後ほど必ず報告と謝罪の場を設けさせてもらう故」
どうにも政治的な決着を図りたい国王陛下の思惑をヒシヒシと感じるけれど、仮にも一国の王からこのように言われてしまっては、私の方から抗弁出来よう筈もない。
私は、場を預けると言う意味をこめて、テオドル大公を仰ぎ見た。
「うむ……まあ、陛下にそう言われてしまうと、我らとしてもこれ以上強くは出られんよ。ただ、決着の仕方次第では、この王宮に暴風雪が吹き荒れるか、全て凍り付くか――いや、冗談ではないとだけ言わせて貰っておこう」
「⁉」
いや、真面目な顔してナニ言っちゃってるんですか、テオドル大公!
メダルド国王も、ちょっと唖然としちゃってますよ⁉
「まあ、我が国との友好は、縁組や人質では成り立たぬとだけ言うておくわ。使えぬと知れれば、躊躇なく切り捨てるのが当代の国王と宰相であるが故な」
…確かに、仮に自治領の話が立ち消えになった末に、グイド・フォサーティが人質として送られてきた日には、あっと言う間にクヴィスト公爵の二の舞かも知れない。
そ、そうか――と、答えたメダルド国王は、何ならちょっと押され気味だったかも知れない。
「我が国への、そう言った話が出なかったとは言わせんよ、陛下。そしてその選択肢は賢くない。年寄りの戯言と思わず、聞き入れて貰えると有難いがね」
メダルド国王とテオドル大公が、どちらも目だけが微笑っていない笑顔で向かい合っていて、ちょっと怖い。
さすが、伊達にどちらも王族を名乗る二人だと、思ったそこへ――「フランカ、ミルテ‼」「ユングベリ嬢‼」と、別人の叫び声がそれぞれ聞こえた。
…って、ユングベリ嬢って誰か言った?
ミルテ王女を呼び捨てにするのなんて、兄上様一人しかいないだろうけど。
もう一人は?
「――陛下」
気のせいかと、辺りを見回す私を横目に、メダルド国王のすぐ傍にまで近付いて来ていたフォサーティ宰相が、その場に片膝をついていた。
「この度は、大変ご迷惑をおかけ致しました。どうか公正なご判断での処分をお願い致します。必要であれば、私自身の出処進退も陛下にお預け致します」
「……いや。私も其方も、決定的な過ちを期待するあまりに、ここまで引き延ばし過ぎていた事もまた確か。その辺り、後で落としどころを話し合おうぞ」
「は………」
どうやらフォサーティ宰相は、やはりと言うか何かしら意図があって、あの側室夫人と息子を放置していたらしい。
不良在庫処分を他国でさえしないでいてくれれば、好きに話し合って下さいとしか、私も言えないけど。
「――フランカ、ミルテ、無事か⁉」
そしてミラン王太子もどうやら、先にフランカ嬢の名を呼ぶ程には愛はあるらしい。
と言っても婚約者への愛とシスコンは、それぞれ別の区画の住人だろうから、一概に今の一件だけでミラン王太子が、ごくごくノーマルな神経の持ち主だとは断言出来なかった。
「大丈夫ですわ、王太子殿下。ミルテ王女殿下が、主催者らしく毅然とした態度で、招待状のない方を諭していらっしゃいましたわ」
さりげなくミルテ王女を立てるフランカ嬢の方が、いっそミラン王太子のツボをよく分かっている気がした。
「違うのです、お兄様!テオお祖父様が励まして下さって、ユングベリ嬢が、私たちがお茶を口にする事がないよう、動いて下さったおかげですの。私は、お茶会を最後までやり遂げる事が出来ませんでしたわ。お恥ずかしい限りです……」
ああー……美少女が俯いて肩を震わせる様は、お兄様でなくとも庇護欲をそそられそうで、私もついうっかり「王女殿下」と、そこに話しかけてしまった。
「何事にも、想定外の事態と言うのはございます。今の事は、ちょっと野良猫が乱入して場を荒らしたとでも思って、お茶会を再開なされば宜しいと思いますよ?――そうだ!どうせでしたら、大好きなお兄様にも手づからお茶を振る舞って差し上げては如何ですか?」
「「「野良猫」」」
何故か方々から、思わぬところにツッコミを受けてしまった。
野良犬の方が良かったですか?と返してみれば、途中からずっと表情を強張らせていたミルテ王女が、ようやくそこで、口元を綻ばせた。
「……ユングベリ嬢は、まだ私とお茶を続けて下さいますか?」
「もちろん、喜んで」
私はそう言って、ミルテ王女に〝カーテシー〟を返そうとした筈だったんだけど、そこに思いがけない横やりが入った。
「……いや。それでも、これはそのままにしない方が良いでしょう」
不意に片腕を取られて、王女とは違う方向に勢いよく引っ張られてしまった。
「……っ⁉」
ひやり、と人肌にしては冷たすぎる感触が、引っぱたかれた方の頬を覆っていく。
『ああ。軽く水の魔力を、温度を下げて纏わせただけですから、大丈夫ですよ。私の部族にのみ伝わる生活魔法の一端です』
どうやら、周囲の者が理解出来ない部族言語でそれは囁かれていたらしい。
『フォサーティ卿……』
『ジーノで構いませんよ、ユングベリ嬢。私が思っていた以上に、行動力のある方でしたね』
ウルリック副長に手渡されていたハンカチーフは、いつの間にか私の手からすり抜けていた。
その代わりに、ジーノ・フォサーティ宰相令息の手が、そっと私の頬に添えられていた。
「そもそも『どうしてもと仰るなら、然るべき筋を通して王家にご献上下さい』とまで言われているにも関わらず、給仕の侍女にも渡さず無理矢理自分で淹れている時点で『たまたま手に入ったお茶をお薦めしたかった』なんて話が通用する訳ないじゃないですか。中身を知った上で、どうしても飲ませたかった――としか思われませんよ?」
それくらい、フォサーティ側室夫人の行動はあり得なかった。
「仮にこのお茶を飲んで皆が倒れたとして、真っ先に疑われるのって、淹れた人間ですよ?自分が疑われずに飲ませたかったのなら、せめてここにいる他の人間に淹れさせないといけなかったでしょう。最悪、その誰かに罪を着せて逃げおおせる事が出来た…かも、知れないんですから」
まあ、それまでの挙動不審で無理だろうとは思うけど。
ただの可能性の問題だ。
「おまえ…っ、さっきから聞いていれば生意気な口ばかり!私を誰だと…っ」
「生憎と、王族に薬を盛るような方に払う敬意は持ち合わせておりません。毒じゃなければ、露見しても大した罪には問われないと思ってます?そんなワケないでしょう。何にせよ、身体に害のある薬を盛った時点で実刑一択ですよ。私はさほどバリエンダールの法には詳しくありませんから、ここで死刑だとまでは断言しませんけど」
死刑、の単語を聞いた側室夫人の顔色が、赤から青へと、それは見事な変貌を遂げた。
「わ…私の実家は、ベッカリーア公爵家で……先代陛下からは殊のほか……っ」
震える唇から紡がれた声に、私はなんとなく、そこにあった面倒な権力関係の一端を垣間見た。
もしかして、先代陛下とやらも結構な困ったちゃんだったのかな?
北方遊牧民の迫害に関して、むしろ音頭を取っていた…っぽいのは、何となくこれまでの流れで分かったけど。
確か宰相家の側室夫人も、先代陛下の一声で無理矢理ねじ込まれたとか何とか。
「……今まで息子さん含め、お二人が野放しになっていた理由が何となく分かりました」
「我が国の恥でもあるから、あまり言いたくはなかったが――先王の負の遺産は、実はまだまだ残っておってな」
それまで、テオドル大公や私を見ながら話の成り行きを窺っていたらしいメダルド国王陛下が、いつの間にかティーワゴンの傍まで近づいて来ていて、気付けば茶器の蓋を開けて、中をじっと覗き込んでいた。
「ふむ。確かに変わった茶葉ではあるな……」
私は慌てて、一歩下がって〝カーテシー〟の姿勢を見せた。
「ああ、良い良い。そう畏まるな。テオ殿に事情を説明して貰うつもりだったが、もうあらかた理解したわ。馬鹿ですか?は、なかなかに傑作であったぞ」
「…っ、お耳汚しな事を申し上げました」
「いや。王族たる者、国内で生産される品とその産地を知らぬなどと思われている方が心外でな。確かに、このように物騒な用途で使われる茶になぞ心当たりはなかったが、北部地域で茶など作られておらぬ事くらいは知っておるわ。仮にこの茶で誰かが倒れたとしても、北方遊牧民を排する話になぞなりはしなかったであろうよ」
「そ、そんな…っ」
マトヴェイ外交部長に拘束されたままのフォサーティ宰相側室夫人が、絶望的と言わんばかりの声を発している。
「……これ、夫人と息子さんを後ろから焚きつけた『誰か』がいますね?」
国王陛下の前ではあったけど、私はついうっかり、疑問を口に出してしまっていた。
「ちょっとでも国政を知る真面な人間なら、こんな計画を囁かれたところで実行にも移さないでしょう。こんな計画でも成功すると信じちゃうくらいに、この二人が足りないのはこの際横に置いて……この二人を表舞台から退かせたかったのか、そのナントカ公爵家ごと潰したいから巻き込んだのか……」
ベッカリーア公爵家な、とメダルド国王は苦笑している。
「まあ、今はそのあたりにしておいてくれんかね。もちろん、テオ殿が参加された茶会でこのような事が起きたのだ。どう裁いたかは関係者含め、後ほど必ず報告と謝罪の場を設けさせてもらう故」
どうにも政治的な決着を図りたい国王陛下の思惑をヒシヒシと感じるけれど、仮にも一国の王からこのように言われてしまっては、私の方から抗弁出来よう筈もない。
私は、場を預けると言う意味をこめて、テオドル大公を仰ぎ見た。
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「⁉」
いや、真面目な顔してナニ言っちゃってるんですか、テオドル大公!
メダルド国王も、ちょっと唖然としちゃってますよ⁉
「まあ、我が国との友好は、縁組や人質では成り立たぬとだけ言うておくわ。使えぬと知れれば、躊躇なく切り捨てるのが当代の国王と宰相であるが故な」
…確かに、仮に自治領の話が立ち消えになった末に、グイド・フォサーティが人質として送られてきた日には、あっと言う間にクヴィスト公爵の二の舞かも知れない。
そ、そうか――と、答えたメダルド国王は、何ならちょっと押され気味だったかも知れない。
「我が国への、そう言った話が出なかったとは言わせんよ、陛下。そしてその選択肢は賢くない。年寄りの戯言と思わず、聞き入れて貰えると有難いがね」
メダルド国王とテオドル大公が、どちらも目だけが微笑っていない笑顔で向かい合っていて、ちょっと怖い。
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…って、ユングベリ嬢って誰か言った?
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もう一人は?
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「……いや。私も其方も、決定的な過ちを期待するあまりに、ここまで引き延ばし過ぎていた事もまた確か。その辺り、後で落としどころを話し合おうぞ」
「は………」
どうやらフォサーティ宰相は、やはりと言うか何かしら意図があって、あの側室夫人と息子を放置していたらしい。
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ああー……美少女が俯いて肩を震わせる様は、お兄様でなくとも庇護欲をそそられそうで、私もついうっかり「王女殿下」と、そこに話しかけてしまった。
「何事にも、想定外の事態と言うのはございます。今の事は、ちょっと野良猫が乱入して場を荒らしたとでも思って、お茶会を再開なされば宜しいと思いますよ?――そうだ!どうせでしたら、大好きなお兄様にも手づからお茶を振る舞って差し上げては如何ですか?」
「「「野良猫」」」
何故か方々から、思わぬところにツッコミを受けてしまった。
野良犬の方が良かったですか?と返してみれば、途中からずっと表情を強張らせていたミルテ王女が、ようやくそこで、口元を綻ばせた。
「……ユングベリ嬢は、まだ私とお茶を続けて下さいますか?」
「もちろん、喜んで」
私はそう言って、ミルテ王女に〝カーテシー〟を返そうとした筈だったんだけど、そこに思いがけない横やりが入った。
「……いや。それでも、これはそのままにしない方が良いでしょう」
不意に片腕を取られて、王女とは違う方向に勢いよく引っ張られてしまった。
「……っ⁉」
ひやり、と人肌にしては冷たすぎる感触が、引っぱたかれた方の頬を覆っていく。
『ああ。軽く水の魔力を、温度を下げて纏わせただけですから、大丈夫ですよ。私の部族にのみ伝わる生活魔法の一端です』
どうやら、周囲の者が理解出来ない部族言語でそれは囁かれていたらしい。
『フォサーティ卿……』
『ジーノで構いませんよ、ユングベリ嬢。私が思っていた以上に、行動力のある方でしたね』
ウルリック副長に手渡されていたハンカチーフは、いつの間にか私の手からすり抜けていた。
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