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第三部 宰相閣下の婚約者
776 銀の骸と向き合う覚悟(3)
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私は教科書越しではあるけれど、公害病患者の写真を目にしたことがある。
ファルコは実際に罹患したお姉さんを見ている。
エドヴァルドは私の心配ばかりしてくれているけれど、もしかしたら初見の衝撃というのはエドヴァルドが一番大きいんじゃないかという気がしていた。
「これはこれは……! 皆さんも、アルノシュト伯爵令息の様子を見に……?」
そして医局で私たちを出迎えてくれたのは、軍神の間から戻って来ていたらしい、ガールシン医局長だった。
わざわざ出迎えたというよりは、バタバタと通常業務で動いていた中で、こちらの来訪に気が付いたというのが正しいかも知れない。
「ああ。門外漢なのは理解しているが、アルノシュト伯爵領はイデオン公爵領の麾下に属す領。この目で見ておく必要があると判断した」
「なるほど」
どうやらガールシン医局長も、とりたててこちらを咎めようという意図はなかったようだ。
既に複数の人間がここを訪れていたため、多分私たちもそうなんだろうとの確認で尋ねただけらしい。
「同じことを聞かれ、同じことを返している状況ではあるが……我々医局員の誰一人として、令息の症状を過去に見たことがない。書庫の文献を探させたり、対処療法としての痛み止めを処方するくらいしか、今はまだ……」
未知の症状は、ただただ医者としての無力さを突きつけられる――
ガールシン医局長は、そう言って唇をかみしめた。
誰も知らないということは、アルノシュト伯爵領以外ではまだ公害病は確認されていないのか。
ただ、そんな風に前向きにとらえてしまうには、王都に入って来ている情報はあまりにも少なすぎた。
「治療法のことはともかくとして、ここにいる私の護衛が、アルノシュト伯爵の息子が職人見習として暮らしていた村近くの出身だと言う。もしかしたら、見たことのある症状かも知れないということで同行させたのだ」
カトル・アルノシュト伯爵令息は既に勘当されて、ただの「カトル」として銀細工の職人になるべく暮らしていたと言うが、今のこの状態では、そんなことは二の次なんだろう。
ツィリル・アルノシュト伯爵の血を引く唯一の実子という事実の方が、ここでは優先されているようだった。
「ほう! もしもそうであれば、患者本人には聞けない症状を含めて、今よりも進展させられるかも知れない。あまり目に優しい症状ではないと予め申し上げたうえで――ぜひ、本人を見てもらいたい」
エドヴァルドの言葉に、藁にも縋ると言った態で医局長がファルコを見やった。
一瞬拳を強く握りしめていたようにも見えたけど、ファルコは口に出しては「……もちろんだ」とだけ声を溢していた。
「本人に聞けないということは、容態はあまり思わしくないのか」
私が思った疑問は、どうやらエドヴァルドも同様に思っていたらしい。
医局長は、ただでさえ色素の薄いところが、更に顔色を悪くしながら、ゆっくりと首を縦に振った。
「何をしても――それこそ、呼吸をすることすら痛みを伴っているように見える。痛みを堪えて呻く声か、そのもの『痛い』と言う単語以外に、ここまで何かを聞けたことはない」
「……っ」
本当に、教科書で知る公害病の症状に酷似しているようだ。
ファルコの様子を見ても、多分、お姉さんが罹患していた当時の症状とほぼ同じなんじゃないかと思えた。
「その……フォルシアン嬢も面会を……?」
ガールシン医局長が気遣わしげな視線をこちらに向けてくれる。
気持ちは有難いので、私は少しだけ口元を綻ばせた。
「はい。私も、故国で似た症状を聞いたことがありますので、何か役に立てればと……」
「私のこの色素異常のことといい、今回のことといい、多くの知識がある国なのだな……叶うのならば、局員の誰かを学びに遣りたいほどだ」
私が異世界の住人と知らない医局長は、かなり真面目にそう思っているようだけど、実際にそれが叶うことはない以上は、互いに歯がゆい思いを持たざるを得なかった。
「正直、先ほどまでここにいたフォルシアン公爵の連れの男性は、今にも気を失いそうになっていた。それが当然の反応だと私も思う。どうか覚悟して病室に入って欲しい」
カトル・アルノシュト伯爵令息が治療を受けているという部屋の前で、ガールシン医局長はもう一度そう、念を押した。
「承知した」
ここまで来れば、エドヴァルドの回答もそれしかない。
私は少しだけ、エドヴァルドに添えていた手に力を入れて、共に病室の中へと足を踏み入れた。
「うぅ……」
静かであるはずの病室で、呻き声が聞こえている。
ベッドが置かれているであろう辺り、全てカーテンで覆われていたが、それをガールシン医局長がゆっくりと横に動かし、ベッドとそこに横たわる患者の姿を私たちの視界に晒した。
「――っ」
本気で驚いた時、人は悲鳴さえも出ないのだろうか。
私は上げかけた声を全て呑みこんでしまい、ただエドヴァルドの腕を強く握りしめてしまった。
ガタンと音がしたのは、ファルコが走り寄ろうとした近くの椅子に足をぶつけた音だ。
「くそ……っ! やっぱり姉貴と同じじゃねぇか……っ‼︎」
それほど大きな声じゃなかった。
むしろ苦しげに絞り出したと言っていい声だった。
それでも、私とエドヴァルドの耳にはしっかりと届いてしまった。
患者用の寝間着から見える、痩せ細り、折れ曲がった手首。
寝台のシーツ越しにも、横たわる本人が身体全体をくの字に折り曲げているのが見える。皮膚も顔色も土気色だ。
見えない部分に至るまで、骨と皮の状態であろうことは誰の目にも明らかだ。
多分もう、全身の骨が委縮している。衰弱も始まっているし、軽症と呼べる段階ではなくなっている。
「レイナ……無理はするな」
こんな時にも私を気遣ってくれるエドヴァルドの声は、恐らくはわざと感情をねじ伏せているように思えた。
宰相として、公爵として、そうすることに慣れてきてしまった人。
私はぶんぶんと首を横に振って、それを固辞することしか出来なかったけど。
決めたのだ。
エドヴァルドの隣に立つと、私が決めた。
「呪いじゃないです……感染もしません。だからまずは、風評被害を抑えてあげて下さい……」
上手く喋ることは出来ただろうか。
カトル・アルノシュトのためだけじゃない。
ファルコのお姉さんのためにも。
既に命を落としてしまった多くの村人のためにも、
公害病は呪いの病ではないことを伝えなくちゃならない。
――まだこの病を知らない全ての人々に、公害病の真実を。
ファルコは実際に罹患したお姉さんを見ている。
エドヴァルドは私の心配ばかりしてくれているけれど、もしかしたら初見の衝撃というのはエドヴァルドが一番大きいんじゃないかという気がしていた。
「これはこれは……! 皆さんも、アルノシュト伯爵令息の様子を見に……?」
そして医局で私たちを出迎えてくれたのは、軍神の間から戻って来ていたらしい、ガールシン医局長だった。
わざわざ出迎えたというよりは、バタバタと通常業務で動いていた中で、こちらの来訪に気が付いたというのが正しいかも知れない。
「ああ。門外漢なのは理解しているが、アルノシュト伯爵領はイデオン公爵領の麾下に属す領。この目で見ておく必要があると判断した」
「なるほど」
どうやらガールシン医局長も、とりたててこちらを咎めようという意図はなかったようだ。
既に複数の人間がここを訪れていたため、多分私たちもそうなんだろうとの確認で尋ねただけらしい。
「同じことを聞かれ、同じことを返している状況ではあるが……我々医局員の誰一人として、令息の症状を過去に見たことがない。書庫の文献を探させたり、対処療法としての痛み止めを処方するくらいしか、今はまだ……」
未知の症状は、ただただ医者としての無力さを突きつけられる――
ガールシン医局長は、そう言って唇をかみしめた。
誰も知らないということは、アルノシュト伯爵領以外ではまだ公害病は確認されていないのか。
ただ、そんな風に前向きにとらえてしまうには、王都に入って来ている情報はあまりにも少なすぎた。
「治療法のことはともかくとして、ここにいる私の護衛が、アルノシュト伯爵の息子が職人見習として暮らしていた村近くの出身だと言う。もしかしたら、見たことのある症状かも知れないということで同行させたのだ」
カトル・アルノシュト伯爵令息は既に勘当されて、ただの「カトル」として銀細工の職人になるべく暮らしていたと言うが、今のこの状態では、そんなことは二の次なんだろう。
ツィリル・アルノシュト伯爵の血を引く唯一の実子という事実の方が、ここでは優先されているようだった。
「ほう! もしもそうであれば、患者本人には聞けない症状を含めて、今よりも進展させられるかも知れない。あまり目に優しい症状ではないと予め申し上げたうえで――ぜひ、本人を見てもらいたい」
エドヴァルドの言葉に、藁にも縋ると言った態で医局長がファルコを見やった。
一瞬拳を強く握りしめていたようにも見えたけど、ファルコは口に出しては「……もちろんだ」とだけ声を溢していた。
「本人に聞けないということは、容態はあまり思わしくないのか」
私が思った疑問は、どうやらエドヴァルドも同様に思っていたらしい。
医局長は、ただでさえ色素の薄いところが、更に顔色を悪くしながら、ゆっくりと首を縦に振った。
「何をしても――それこそ、呼吸をすることすら痛みを伴っているように見える。痛みを堪えて呻く声か、そのもの『痛い』と言う単語以外に、ここまで何かを聞けたことはない」
「……っ」
本当に、教科書で知る公害病の症状に酷似しているようだ。
ファルコの様子を見ても、多分、お姉さんが罹患していた当時の症状とほぼ同じなんじゃないかと思えた。
「その……フォルシアン嬢も面会を……?」
ガールシン医局長が気遣わしげな視線をこちらに向けてくれる。
気持ちは有難いので、私は少しだけ口元を綻ばせた。
「はい。私も、故国で似た症状を聞いたことがありますので、何か役に立てればと……」
「私のこの色素異常のことといい、今回のことといい、多くの知識がある国なのだな……叶うのならば、局員の誰かを学びに遣りたいほどだ」
私が異世界の住人と知らない医局長は、かなり真面目にそう思っているようだけど、実際にそれが叶うことはない以上は、互いに歯がゆい思いを持たざるを得なかった。
「正直、先ほどまでここにいたフォルシアン公爵の連れの男性は、今にも気を失いそうになっていた。それが当然の反応だと私も思う。どうか覚悟して病室に入って欲しい」
カトル・アルノシュト伯爵令息が治療を受けているという部屋の前で、ガールシン医局長はもう一度そう、念を押した。
「承知した」
ここまで来れば、エドヴァルドの回答もそれしかない。
私は少しだけ、エドヴァルドに添えていた手に力を入れて、共に病室の中へと足を踏み入れた。
「うぅ……」
静かであるはずの病室で、呻き声が聞こえている。
ベッドが置かれているであろう辺り、全てカーテンで覆われていたが、それをガールシン医局長がゆっくりと横に動かし、ベッドとそこに横たわる患者の姿を私たちの視界に晒した。
「――っ」
本気で驚いた時、人は悲鳴さえも出ないのだろうか。
私は上げかけた声を全て呑みこんでしまい、ただエドヴァルドの腕を強く握りしめてしまった。
ガタンと音がしたのは、ファルコが走り寄ろうとした近くの椅子に足をぶつけた音だ。
「くそ……っ! やっぱり姉貴と同じじゃねぇか……っ‼︎」
それほど大きな声じゃなかった。
むしろ苦しげに絞り出したと言っていい声だった。
それでも、私とエドヴァルドの耳にはしっかりと届いてしまった。
患者用の寝間着から見える、痩せ細り、折れ曲がった手首。
寝台のシーツ越しにも、横たわる本人が身体全体をくの字に折り曲げているのが見える。皮膚も顔色も土気色だ。
見えない部分に至るまで、骨と皮の状態であろうことは誰の目にも明らかだ。
多分もう、全身の骨が委縮している。衰弱も始まっているし、軽症と呼べる段階ではなくなっている。
「レイナ……無理はするな」
こんな時にも私を気遣ってくれるエドヴァルドの声は、恐らくはわざと感情をねじ伏せているように思えた。
宰相として、公爵として、そうすることに慣れてきてしまった人。
私はぶんぶんと首を横に振って、それを固辞することしか出来なかったけど。
決めたのだ。
エドヴァルドの隣に立つと、私が決めた。
「呪いじゃないです……感染もしません。だからまずは、風評被害を抑えてあげて下さい……」
上手く喋ることは出来ただろうか。
カトル・アルノシュトのためだけじゃない。
ファルコのお姉さんのためにも。
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公害病は呪いの病ではないことを伝えなくちゃならない。
――まだこの病を知らない全ての人々に、公害病の真実を。
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