あやかし古書店の名探偵

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第一章 ~『あやかし古書店』~

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「この辺りのはずよね……」

 美冬は駅から歩いて数分の場所にある裏路地を彷徨っていた。『あやかし古書店はこちら』と、店への案内板を頼りに、人気のない道を進む。

「この店がそうなのかしら」

 時代を感じさせる煉瓦造りの建物は一見するとよくある古書店だが、近くの商店が軒並みシャッターを下ろしているせいで、何だか異質さを感じさせる。

「これ、河童の置物かしら……この店のマスコットキャラ?」

 あやかし古書店の看板を手に持つ河童の置物が愛らしい接客用の笑顔を浮かべている。よく見ると愛嬌があり、こちらまで笑顔になる。

「こういう店に入るのは初めてなのよね。勝手に入ってもいいのかしら……」

 店内の様子を伺いながらゆっくりと扉を開ける。足を踏み入れると、ぎっしりと本が詰められた棚と、古書の匂いに包まれる。

「ごめんくださーい」

 誰かいないかと声をかけるが反応はない。仕方なく、飾られている商品に目を通していく。

(こっちは鬼で、こっちは化け蜘蛛。あやかし関連の本ばかりね……うわっ、こっちは河童がキュウリを好きな理由だって……気になる本もちらほらあるわね)

 あやかし関連の書籍は何も怪しげな呪術に関する本ばかりではない。普通の人が読んでも楽しめるようなコミカルな題材の書籍も多く存在した。

(本来の目的を忘れて、他の本に夢中になっている場合じゃないわ。私は呪いを解くために本を売りに来たのよ)

「ごめんください! 誰かいませんか!」

 先ほどよりも大きい声で呼びかけると、店の奥から慌てるような物音が響く。廊下を駆ける足音と共に人影が姿を現す。

「いらっしゃいませ……あれ? 東坂さん」
「西住くん! どうしてここに!」
「僕はここで働いているからね」

 あやかし古書店のロゴが刻まれたエプロンを身に着けた西住が店の奥から顔を出す。薄暗い店内でも彼の放つ魅力の輝きは幾分も衰えていなかった。

「もしかしてここでバイトしているの?」
「バイトではないね。ここは両親から譲り受けた僕の店、つまりこの店のオーナーなんだ」
「大学生なのに店を経営するなんて、さすが西住くんね」
「褒められることは何もしてないよ……この店も両親から『どうせお前はまともな会社に就職できない』からって与えられただけだからね。僕の社会不適合の賜物なのさ」
「……随分と理解のあるご両親なのね」
「そうだね。両親には助けられているよ。ただ向こうは僕のことを一族の恥だと軽蔑しているようだけどね」
「け、軽蔑!?」
「こっちの話だから気にしないでよ。それよりも――」

 乾いた笑みを浮かべながら、西住は話題を変えるべく周囲に目を泳がせる。

「この店はどうかな?」
「私は好きよ。扱っている本も面白そうだし、それに何より店員がイケメンだもの」
「え? 店員は僕しかいないよ?」
「え?」
「……も、もしかして、イケメンって僕のこと!?」

 西住らしい冷静さを崩して、耳まで顔を紅潮させながら慌てふためく。美冬も意識しないままに本音を口にしていたことを恥じ、必死に否定するように手を振る。

「違うの! いや、別に西住くんがイケメンであることは否定しないけど、特に他意はなくて、つい本音が口から出てしまっただけなの!」
「ふふふ、ありがとう。他の誰でもない東坂さんから褒めて貰えるのなら、とても嬉しいよ」
「うっ……」

(その笑顔はズルいわ。何も言い返せなくなるもの)

 自分でも分かるほどに美冬は気恥ずかしさが表情に現れていた。そんな彼女に助け舟を出すように、西住は彼女の手に持つ古書へと視線を向ける。

「今日はその本を売りに来てくれたの?」
「実はそうなの」
「見せてもらってもいいかな」
「もちろんよ」

 本を手渡されると、西住は目をキラキラと輝かせながら、ページをペラペラと捲る。

「これは『宮川舎漫筆《きゅうせんしゃまんぴつ》』だね」
「この本のことを知っているの?」
「有名な本だからね。宮川政運によって幕末に執筆された随筆集だよ」
「へぇ~、そんなに古い本なのね。もしかしてお宝なの?」
「安くはないね。市場価格で三万前後の値がついているよ」
「……夢はないけど、現実味のある値段ね」
「でも値段以上の価値がある本だよ。ほら、見てよ。挿絵も入っていて読みやすいんだ」

 本を開くと、崩し文字の羅列の隣に、半ページ一枚丸々使ったイラストが掲載されていた。

 現代のライトノベルに近い挿絵本は、江戸後期にブームになっており、『宮川舎漫筆《きゅうせんしゃまんぴつ》』もそのブームの中で生み出された本だった。

「この本……狐の話が載っていたことは覚えているけど、細かい話は忘れちゃったのよね。西住くんはどんなお話が載っているか知っているの?」
「なら折角だし解説するよ。『宮川舎漫筆《きゅうせんしゃまんぴつ》』は随筆、つまりはエッセイだからね。宮川政運が日々の生活の中で見聞きしたことや、起きた出来事を綴っているよ」
「日記みたいなものね」
「うん。でも現代人の価値観からすると、嘘っぱちに感じるけどね」
「日記なのに嘘なの!」
「江戸時代の人たちは自然現象に科学的理由を付けられなかったからね。書いている本人は大真面目なんだろうけど、僕らかするとファンタジー小説と変わらないんだ。例えばそうだね、『宮川舎漫筆《きゅうせんしゃまんぴつ》』の中で一番有名な話は、狐が人間に憑依する物語なんだけど、これも現代人の価値観からするとノンフィクションとは言い難いでしょ」
「そうよね……あれ? 狐が憑依する……」

 狐に紐づいて土蔵《どぞう》で目撃した銀髪の美青年を思い出す。彼もまた狐耳をしていた。

「ねぇ、その狐の話、もっと詳しく教えてくれないかしら」
「もしかして東坂さんもあやかしに興味が?」
「い、以前よりはね」
「うんうん。良い兆候だよ。あやかし沼はね、片足を突っ込むとそこからズブズブと嵌っていくからね。きっと東坂さんも三度の飯よりあやかしが好きになれるよ」
「あははは」

 乾いた笑みを浮かべる美冬を尻目に、狐の物語が記されたページを開く。

「物語は狐が犬にかみ殺される場面から始まるんだ」
「とんでもない始まり方ね……」
「幽霊になった狐は宙を彷徨い、一人の小侍に憑依するんだ。狐は身体を貸してもらったお礼に壇ノ浦や関ケ原などの物語で民衆を喜ばせ、小侍を人気者にするんだ。さらに持病の治療をしたり、小侍に降りかかる不幸を防いであげたりもしてね、狐の登場する話では珍しく、ハッピーエンドで終わる清々しい物語なんだよ」

 いつもの口調とは比較にならないほどの早口で西住が『宮川舎漫筆《きゅうせんしゃまんぴつ》』の素晴らしさを語る。その変化に追いつけずに、乾いた笑みを零すと、その笑みで正気を取り戻したのか、いつもの冷静な彼へと戻る。

「ごめんね。あやかしのことになると理性が飛んじゃうんだ」
「気にしないで。むしろ西住くんの知らなかった一面を知ることができて良かったわ……でもどうしてそんなにあやかしが好きなの?」

 何か好きになるキッカケがあったのかと問われた西住は、悩む素振りを見せた後、意を決したように語り始める。

「僕には秘密があるんだ」
「秘密?」
「実は……あやかしが見えるんだよ」
「それって霊能力者ってこと?」
「似たようなものだね……あやかしは家族以上に身近にいる存在だったから、詳しく知りたいと思ったんだ。そしたら、今の僕が出来上がっていたのさ」
「そんなエピソードがあったのね……でもあやかしってどこにでもいるものなの?」
「墓地の近くにいくとたくさんね。他にも近所の公園や大学にも出没するよ……それから東坂さんの傍にもいるね」
「やっぱりそうなのね」
「やっぱり?」
「実はね、本を売りに来たのは、呪いを解くためなの」

 美冬は急にモテるようになったことや、撮影された写真に人影が映し出されていたことなど、起きた出来事をありのままに伝える。

「それはあやかしの仕業だね。それに東坂さんの予想通り、本を売れば呪いも消えるよ」
「ならこの本を――」
「でもね、僕は売らない方がいいと思う」
「え?」
「東坂さんは勘違いしているけど、あやかしは悪者ばかりじゃない。中には好意的なあやかしもいるんだ。東坂さんに憑いているあやかしのようにね」
「でも写真の人影はすごく不気味だったわ」

 人影は黒のシルエットに口元だけ血で塗られたような赤い唇が浮かび上がっていた。とても好意的なあやかしとは思えない。

「あやかしは人の心から生まれる存在なんだ。だから人の眼を介さないと見ることはできない。ただ写真は姿を映すことができなくても魂を捉えることはできる。人間も皮膚の下は不気味な筋繊維と骨でできているように、あやかしも魂の形は善悪問わず醜悪に映るのさ」
「そ、そうなのね……」
「やっぱり怖い?」
「うん」

 西住の説明を聞いて恐怖を克服しようと努力するが、写真に映し出された恐ろしい姿を忘れることができずにいた。

「ならさ、あやかしの姿を見てみるかい?」
「え? 見えるの?」
「僕の特技でね、手を繋いだ相手と視界を共有することができるんだ。この力を使えば、あやかしの姿もばっちり見えるよ」
「ならさっそく――って、手を繋ぐの!?」
「……配慮が足りていなかったね。東坂さんも女の子だし、恋人でもない異性と手を繋ぐのには抵抗があるよね」
「そ、そんなことないわ。むしろ繋ぎたいというか何というか……そ、そうよ。私の手、汗で湿っているから、西住くんの手を汚しちゃうかもしれないし……」
「……東坂さんは優しいね。僕が傷つかないように、自分に非があると断ってくれるなんて……」
「誤解しているわ。本当に西住くんは悪くないの!」

 西住の勘違いを解くために、美冬は気恥ずかしさを振り払って手を差し出す。

「汗でベタベタになってもしらないわよ」
「ありがとう、東坂さん」

 西住は差し出された手をそっと握りかえす。美冬は気恥ずかしさに頬を染めた。

「見えるかい。君の視界に映るのがあやかしだ」

 美冬の視界には銀髪の美青年が映し出されていた。以前見た時は悲しげな表情だったが、今の彼はニコニコと友好的な笑みを浮かべている。

「随分とあやかしに好かれているみたいだね。こんなに好かれる人はなかなかいないよ」
「本当に?」
「うん。あやかしは純粋な心の人が好きなんだ。東坂さんのように綺麗な心の持ち主は多くないからね」

 人は誰しも社会で揉まれ、純粋さを忘れていく。物事を深く考えない単純な性格こそがあやかしにとって何よりの魅力だった。

「ねぇ、この狐さんと話すにはどうすればいいの?」
「残念だけどそれはできないんだ……生者の僕らとあやかしは生きている世界が違うからね。もし話せる者がいるとしたら、それは死者だけだよ」
「そっか……なら名前を知ることもできないのね」
「いいや、名前なら分かるよ」
「本当に!?」
「この狐は『宮川舎漫筆《きゅうせんしゃまんぴつ》』を媒体としたあやかしだ。なら名前も推測が付く。善狐。それが君に憑いているあやかしの名前だよ」
「善狐ね。それなら呼び方は……善狐さんでどうかしら?」

 美冬の声が届いたのか、善狐は口元に浮かべた笑みを強く刻む。名前を喜んでもらえたのだと知り、彼女の口元にも笑みが浮かんだ。

「ねぇ、西住くん。善狐さんは優しいあやかしなのよね?」
「うん。なにせ善き狐と書いて善狐だからね」
「なら悪い狐もいるの?」
「いるよ。狐のあやかしには野狐と善狐の二種類いるからね。野狐に憑かれると呪いにより不幸になり、最悪、殺されることもある。狐憑きと忌み嫌われる対象もこちらのあやかしだね。一方で善狐は小侍にそうしたように、憑いた人間を人気者にしてくれたり、病気や怪我などの外敵から守ってくれたりする。君の幸せを一番に考えてくれる大切な味方なのさ」
「善狐さんが私のことを……」
「善狐だけじゃないよ。おじいさんが『宮川舎漫筆《きゅうせんしゃまんぴつ》』を残してくれたのも、君のことが心配だったからじゃないかな。善狐こそが本当に残したかった遺産だったんだよ」
「そっか……おじいちゃんが……」

 美冬は善狐の存在から祖父の愛情を感じ、胸を熱くする。死んでも自分を見守り続ける彼はやはり優しい人だったと再認識できた。

「西住くん、私、本を売るのを止めるわ……おじいちゃんだと思って、この本のことを大切にする」
「うん。それがいいよ」

 西住は美冬の決定に同意する。善狐はそんな二人の様子を微笑まし気に見つめるのだった。

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