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サキュバスちゃんに搾〇されました(その2)

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 俺とケーミーは食料と回復アイテムを調達し、そのまま城下町の宿屋に泊まった。
もちろんケーミーとは別の部屋で寝る。
 明日もう一度お城に行って、国王に挨拶あいさつしてから旅立とう。
なんか前回の旅でスワン王国に来たときと微妙に展開が違っている。
ボルハルトさんとは会わなかったし。
まぁ、結局は良い人だったし、手合わせのおかげで兵士の間でも俺の評判は良くなっただろう。
この調子なら国王が、旅に同伴してくれる兵士とか貴重のアイテムを用意してくれる……かもしれない。
 さて、夜も更けたな。
明日に備えて早く寝よう。
昨日は野宿だった。
今日はフカフカのベッドでありがたいぜ。

 夜中、俺はただならぬ気配に目を覚ました。
俺の近くに……何かいる!?
邪悪で……不気味な魔力だ……!!
 俺はすぐに目を開けた。

「……うっ!! うわあっ!?」

 部屋の中に……美しい女性!?
……って、サキュバスだ!
毛に包まれていない長めの黒い尻尾!
背中には黒い翼があるぞ……!!
黒いブラジャーとパンツ姿で……エロいな!
とても細身で整った体型だぞ!?
 サキュバスが……なんでこんなところに!?
遭遇するのは初めてだが、サキュバスが男を誘惑するのは有名な話……!!
もたもたしていると誘惑されてしまう!

「……」

 む、無言?
喋らないのか、喋れないのか……。
とにかく下位のサキュバスだな……!
あ! ゆっくりとベッドの上に乗って、俺に近づいてきたぞ!?

「……エ、エロいッ!! って、マズい! 誘惑される! せ、聖剣は……!?」

 ベッドの近くに置いておいた聖剣を速攻で手にし、一瞬だけ魔力を込めた後にホーリーバスターを放った。
無事にヒットしたぞ。
敵の動きが遅くてよかった。
あ、床に倒れたサキュバスが消えた!
消滅した……。
 で……なんでこんなところにサキュバスが?
明らかに下位のサキュバスだったな。
深い思考はしていなさそうで、喋りもせず、動きはゆっくり。
欲望のままに精液をむさぼり尽くすのだろう。
もたもたしていたら、誘惑されるところだったぜ……!
 サキュバスは、男の精液が大好物らしい。
精液が出なくなるまで、ひたすら貪るとか。
その後は連れ去って監禁して、男が死ぬまで精液を貪り続けるとか……。
本来、魔界にいる生物らしいが……恐ろしい。
 モンスターは魔王が造った生物とされている。
サキュバスはモンスターではないし、魔族でもない。
【悪魔】と呼ばれる種族らしい。
モンスターとも魔族とも生態が異なるのだ。

「そうだ! ケーミー!? ……無事か!?」

 サキュバスは女性には無関心なこともあるが、襲ってくることもある。
俺は廊下に飛び出し、隣にあるケーミーの部屋に入った。
鍵が掛かっているのでドアを壊して……!

「勇者様!? 物騒ですね……! えっ!? もしかして夜這いですかっ!? この変態勇者!」
「えぇっ!? 違う!!」

 だ、誰が変態勇者だ……!

「へっ!? めっちゃマジなテンションじゃないですか。どうしたんですか!? 怖いんですけど……!」

「俺の部屋にサキュバスが現れた! 悪魔だ! ケーミーは大丈夫か!? ……まぁ、大丈夫そうだな」

「はい、異常ありません! サキュバスですか!? サキュバスの出現は……意味わかんないですね。とにかく私は大丈夫です! ……あ、建物の外から悲鳴が聞こえますよ! 外にもサキュバスがいるんじゃないですか……!?」

「えっ!? 外だって!?」

 落ち着いて外の方に耳を傾けると、確かに大勢の悲鳴が聞こえる。
……サキュバスがたくさん出現したのか!?

「……よし! 助けに行こう!」

 俺は急いで装備を整え、外に出た。
うわっ……!! やっぱり外にもサキュバスがいる!
人間の男がサキュバスに抱っこされている……!!
その男は気絶しているぞ……。
精液をごっそり吸い取られたのだろう。
下半身丸出しで勃起しているからな。
 他にも、搾精しているサキュバスが目に見える範囲だけで5体はいるぞ。
不気味な魔力でいっぱいだ……!
やはり皆、下着姿で細く色っぽいボディだ。
彼女達は全裸で横たわる男の性器を尻尾の先でくわえている……!
あれが、搾精か……。
本で読んだことはあったけど、実際に見たのは初めてたぜ。
ところどころ、人間の女性が倒れている……。
サキュバスに攻撃されて動けないようだ。
男と女で、こんなに扱いに違いがあるのか……。
 ん……? サキュバス達はみんな男を抱えたまま、どこかに向かって歩いているぞ。

「ちょちょちょっ!? なんですかぁ……これ」

 ケーミーも準備を整え、宿屋から出てきた。
サキュバス達が向かっている先は……お城だな。
あ……城内から大きな魔力を感じるな。
昼間には感じなかった……邪悪で不気味な魔力だ。

「……城の方がヤバい」

「えっ!?」

「……魔力の大きさが、圧倒的だ」

「お城の中に親玉……ですかね?」

「ああ、きっとそうだ! お城に向かおう! たぶん……ボスは強い。スカーレンではないけど、スカーレン並に強いやつだと思う。魔力の質的には、上位のサキュバスだと思うけど」

 スカーレンとは魔力の質が違う。
彼女の性格からして、むやみやたらと町民を巻き込む戦法を取らないだろうしな。
 そんなことを考えながら俺はケーミーと一緒に走って城に向かう。
気絶した男を抱っこしているサキュバスを倒し、襲われている女性の町民を助けながら。

「……私も! 魔法で攻撃しますね!」

「いや、ケーミーは魔力は温存しておいて! まだ完全に回復していないでしょ? 俺が蹴散らす!」

「わかりました!」

 ケーミーの魔法は、サキュバスの親玉と戦うときに必要だ。
幸い、町の男達は精液を吸い取られているだけで、命は取られていない。
女性に対して攻撃はしているが、深追いはしていない。
サキュバス達は男の精液を搾取するのに夢中……って感じだ。
搾取し終わったら城の方に運ぶのに忙しいみたいだし。
……上位サキュバスのために運んでいるのか?
精液はすっからかんにしてしまっているけど。
下位のサキュバス達はやはり本能的で、魔族よりもモンスターに近いようだな。
親玉を倒してしまえば、侵略をやめる可能性があるかもしれない。
モンスターの群れは大抵そうだからね。
よし、上位サキュバスを倒すのが先だ……!!
 ちなみに、サキュバスの弱点も聖属性である。
ボルハルトさんと協力できれば、かなり勝率が高くなるんだけど……!

「てか……本当にサキュバスがたくさんいますね。城下町全体に出現していたら、100体以上はくだらないですよ。もともと魔界に生息してるんですよね? こんなに大量に出現するなんて話、本でも読んだことないです……! こんなホイホイ地上に来れるんですかねぇ?」

「う~ん、普通は無理。スカーレンが特別だよ。魔界から地上に転移するには、魔界側とこちら側……両方に魔法陣を描かないとダメなんだ。あとは……地上の果てに魔界との出入り口がある。そこがとりあえず旅の目的地なんだけどね」

「そうだったんですね。……そもそも、サキュバスって魔族じゃないですよね?」

「ああ。魔族ではない。もちろんモンスターでもない。【悪魔】だ。魔界の中で魔族と悪魔は違うエリアに住んでいるはず……」

「魔王軍って魔族で構成されているんですよね? じゃあこの状況はサキュバスの独断で……魔王軍の仕業ではないってことですかね?」

「う~ん……どうだろう?」

 いや……待てよ……。
いたかもしれない。
たしか魔王城に……魔法四天王の1人で……黒い翼を持っていて、色っぽい女性がいた気がする!
毛に包まれておらず長めの黒い尻尾は見えなかったが、サキュバスだったのかも……!!

「……いや、魔王軍にサキュバスがいる可能性もある」

「え……魔族と悪魔が結託しているんですかねー? もし魔王軍だったら、私の恋人の情報を持っているかもしれないですね! 今回もがんばりますよ……! 前回も私が助けたんですからね!」

「そうだね! 注意して……!」

 相手は強い。
ケーミーの力も必要だが。
……ケーミーが足手まといになる可能性もある。
けど、敵は完全なる魅了タイプだ。
女性の協力は必須である。
 それにしても……城の兵士はどうした!?
異変に気づいて町民を助けに来て欲しいものだが……!?
城の対応で精一杯なのか!?
 ……嫌な予感がするぜ!


---


「見えました! お城です!」

 城に到着し、正面のドアを開けた……!
門番はいなかった。
そして、ドアの前には大きな鎧が落ちていた……。
これはもう……門番はサキュバスにヤラれてしまったな。

「きゃあっ!?」

 うう……!! 大広間にサキュバスが10体はいるぞ!?
絵画や壺、彫刻などの芸術品をバックに兵士達が全裸で搾精されている……!
……な、なんだこの状況!?
その圧倒的な光景に、さすがのケーミーも悲鳴を上げているぞ!!

「おりゃああああっ……!!」

 そんな中、俺は速攻でホーリーバスターを放っていく。
魅了される前に攻撃する!
これはサキュバス討伐の鉄則だ……!

「勇者様……すごい! サキュバスも聖属性の技に弱いんですね!」

「ああ! 聖属性は、モンスター……魔族……悪魔……みんな弱点だ! サキュバスの親玉を倒すのが最優先だけど、できればボルハルトさんを探したい!」

「そうですね! 2人がかりで聖属性の攻撃をすれば、きっと余裕ですよ! あの人は年齢的に、サキュバスの誘惑にはヤラれないんじゃないですか?」

「……そう信じたい!」

 けど、おそらくボルハルトは俺よりちょっと年上なだけだよ!
まだまだ年齢的に現役のはずだけどね……!?
あと、そもそもエロい誘惑には何歳だろうと抗えないと俺は思うぞ!
 ん……? あ、あれ……!?
大広間の奥に女性が倒れている!
着ている服からして……王女様かな?
俺とケーミーはその女性に近寄った。

「サキュバスに……攻撃されました……」

 サキュバスめ……やはり女性は連れて行かずに殴り倒すのか。
町から運び込まれて行った男達はどこにいるのだろうか?
いや、まずは……ボルハルトを探すんだったな!
相手は強力。
戦力強化は大事だ。
とりあえずボルハルトの居場所を聞いておこう。

「あの……ボルハルトさんはどこにいますか?」

「分かりません……。けど、彼の部屋は2階の南東の……角部屋です……」

「ありがとうございます!」

 とりあえず2階に向かうか……。
あ、あれ? 正面の扉からサキュバス達がゾロゾロと入って来た……!
町民を抱き抱えているぞ!?
で、そのまま曲がって狭い通路の方に行ってしまった。
あの通路……見覚えがあるぞ。
あの先には中庭があって……訓練場があるんだ!
昼間に行ったところで間違いない!
……このサキュバス達について行けば、ボスがいそうだな。
魔力感知的にも……大きな魔力が訓練場の方向にあるぞ。
あ、もしかしてボルハルトも……訓練場にいるのかな?
城内はサキュバスによって荒らされている。
すでにボルハルトは兵士達とともにサキュバスの親玉と戦っているかもしれない。
……すでに魅了されている可能性もあるか?
あ……国王も探さないとダメだよね……?
……い、いや、もうボスを倒すしかないでしょ!
そうすれば、下位サキュバスが大人しくなる可能性は高い……!
よし……訓練場に向かうか!

「ケーミー! この女性を安全なところに! 癒しの聖水を使っといて!」

「わかりました! どっか部屋の中に押し込んでおきます!」

 『押し込んどきます』……って、おそらく王女様だからね!?
そんな注意している場合じゃないか……。

「ケーミー! ……魔力的にボスは中庭の訓練場だ! 先に行っている! すぐに来てくれ!」

「了解です! すぐ行きます!」

 俺は訓練場に向かう狭い通路を1人で進み、ボスのもとに向かった。


---


 俺は狭い通路を走り抜け、中庭に到達した。
目の前には木材でできた大きな訓練場がある。
その建物のドアを開け、1人で中に乗り込んだ。
そこに飛び込んできた光景は……まさに淫乱!
うわぁ……下位のサキュバス達が全裸の兵士達の精液をむさぼっているぞ!
兵士50人以上、サキュバスも50体以上はいる……!!
もうサキュバスの甘い香りと兵士達の喘ぎ声で訓練場が異常な事態だ!
サキュバス達を全員……1体ずつ倒していくか……!!

「……あら、勇者アキストくん♡ 意外と早かったのね」

 なんだ? 訓練場の中央付近にいるサキュバスによく通る声で喋り掛けられたぞ?
黒い翼と毛のない黒い尻尾……!
なんて妖艶なサキュバスだ……!
このサキュバスは下着姿ではない。
赤いドレスを身に付け、赤いヒールを履いている。
銀色の長いストレートの髪の毛、大きな銀色の瞳。
悪魔の場合は尻尾と髪と瞳の色が一致していないのかな……?
褐色の肌で細い身体、豊満な胸とお尻……。
間違いない……このサキュバスを俺は魔王城で見たぞ。
魔法四天王の1人だ!
他とは明らかに違う……上位サキュバスだ!


---
登場人物の詳細プロフィールです↓

デヴィルンヌ……魔法四天王の1人。
種族: 悪魔(サキュバス)
地位: 魔法四天王
年齢: 不明(見た目年齢20代後半)
身長: 167cm
声: よく通る高い声
身体的特徴・見た目: 銀色の長いストレートの髪の毛、大きな銀色の瞳、厚みのある唇。
褐色の肌で細い身体、豊満な胸とお尻、弾力のあるおっぱい、Hカップ。
黒い尻尾(毛はない)と翼を持つ。
服装: 赤いドレス、赤いヒール。
得意な魔法: 不明。尻尾で攻撃&搾精、男は近づいただけで魅了される。
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