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11.当て馬バトルは波乱の幕開け
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いつでもヤレると思っていた奴なのに、突然誰かに横取りされそうなったら、何故か沸々とした怒りが湧き起こる。
誰よりも先に「コイツを俺モノのにしなければ」って気持ちになるのは、俺がクズだからなのか。
------------------------------
ー死霊のダンジョン跡地 最下層ー
【おじさんside】
俺の胸の上にぽたり、ぽたりと温かい雫が降ってきて、ガキを抱きしめた方が良いのか、背中を撫でてやるのがいいのか、迷った両手を上げたり下げたりしていた。
「ひっく。ひっく。」
しゃくり上げるたびに、ガキの右耳に付いたピアスが振り子のように震え、ラベンダー色の翡翠が光のプリズムを作っている。
俺はぼんやりとそれを眺めながら、やっぱガキは面倒だな、とかそんな事を思っていた。
男だから気は進まなかったが、見てくれだけはその辺の女よりよっぽど極上で・・・。
淫紋を刻んだ責任を取らせるために、コイツは俺の慰みモノにでもしてやろうかと思っていたのに。
泣かれると、どうしたらいいのかわからない。そうしていると、不意に部屋の外から声が聞こえた。
「オリーっち??何処にいんの??まさか、また泣いてんのか?うわっ、なんだコレ。移転室がメチャクチャじゃんか。何があったんだよー。」
「グズッ。ヒック、カイト?」
誰だ、気軽に名前を呼び合う仲なのか?そういえば俺は、このガキの名前すら知らなかったと、今更ながらに気がついた。
「・・・。おいガキ、今のは誰なんだ?」
軽薄そうな男の声に何故か苛立ちを覚えて、口調がキツくなる。
「ふん!」
ガキは俺に密着したまま、ぷいっとそっぽを向いた。マーキスカットの尖ったピアスの先が俺の胸にちくりと刺さる。
その胸の痛みはまるで、抜けないバーブ針の様に表皮を突き破ってじくじくと侵入し、そのまま俺に脳乱の苦しみ与え続ける事になる。
「なんだよ、クソガキっ。いい加減にしろよ!下手にでたら、付け上がりやがって!!」
「ひっく。ぐすっ。」
先程までは、妙に大人びた態度だったのに、今は感情の制御が全く出来ない子供の様だ。ちょっと凄んだけですぐに泣く正直うんざりしていた。
「オリーっち?誰か他にいんのか?ちょっとまってろ。吸収!」
ズズズと、瓦礫や壊れたトイレがダンジョン内に吸い込まれて行き、部屋には俺とガキだけが残された。
やってきた男は、驚愕する様にこちらを見た後、俺を心底憎々しげに睨みつけて来た。
「誰だよこのおっさん。オリーっち、まさか・・・。」
男は浅黒い肌に、黒い巻角がある。女好きしそうな甘い顔立ちの悪魔族の青年。
「あっ!!魔力切れ起こしてんじゃん。あれほど気をつけろって言ってたのに!!呪い止めも、効果が弱まっちゃってるしー!」
あからさまに俺を敵視してくる男の左耳には、ガキの付けてる物と同じ形のピアスがはまっていた。
「早くMPポーション飲みなよ!ちゃんと1本は必ず持っとくって言ってたのにー。」
男の瞳はガキのつけているピアスの石と同じ紫だった。男は逆に、ガキの髪色と同じピンクの石を付けている。
「ぐすっ。僕もう一本飲んじゃったの。カイト、ポーションちょうだい。」
何だ、ペアを身につけ合う仲のヤツがいたって事か。仲良さそうにしやがって、くだらない。散々煽っといて、俺は当て馬要因かなにかか?
「おい、おっさん。いい加減オリーっちから離れろよ!!」
俺はコイツらに散々振り回されてたって事か。俺はふつふつとした怒りを感じて
、だったらそれをぶち壊すような酷い当て馬役をやってやろうと思った。
「ククッ。残念だったな、カイト」
俺はガキを優しく抱きしめて、ピアスの付いた耳たぶを甘噛みしながら男に見せつける様に片口の端をいやらしく上げて囁いた。
男にしっかり聞こえるように。
「くくっ。無理矢理、奪って悪かったな。オマエの初めて、サイコーだったぞ。」
はだけたシャツ姿の俺の上に騎乗位でコイツが乗っかっていたんだ、勘違いすれば良いとばかりに噛んだ耳たぶをぺろりと舐める。
「ぁ、ぁ、ぁぅっ・・。」
ガキはビクビクと震えている。さぞや焦っているんだろうと、ほくそ笑んで俺はガキの顔を覗いた・・・。
は?
「なっ。」
なぜ、頬を上気させてるんだ?
思っていた反応と違うんだが。
必死に男に言い訳をするだろうと思っていたのに、これはまるで・・・。
俺に惚れてるみたいじゃないか?
ガキは、なぜか荒い息遣いで小刻みにひくりひくりと痙攣を起こしていた。
艶めいた唇から覗く舌は、さっき俺が散々に虐め抜いたからか、紅く熟れていて、その柔らかさと淫奔さを思い起こさせる。
「んぁ。ぉじさん・・・。ボクっ。」
とろとろに蕩けた瞳は、まるで俺だけを見つめて誘っているみたいだ。
俺が混乱している間に男はガキを引き寄せポーションの瓶を口に突っ込んだ。
「オリーっち、早くポーションを飲んで!!おっさん、ホント。噂に違わずサイテーなヤツなんだな!こんな状態のオリーっちを弄ぶなんて。」
まどろんだ瞳のまま、ガキはポーションを飲み下す。
「はぁ。んくっ。んくっ。んぅ。」
ぽたりぽたりと唇から滴る白く粘性のある液体がガキの服に染みをつくる。
短いスパンで飲むポーションは、きつかったのかも知れない。悩ましげに眉をハの字に歪めた表情は、何処か倒錯的で爛れた事後の気だるい雰囲気を醸し出していた。
「うっ。ボク、ちょっと魔力酔いしちゃったみたい。もう寝てくるね。」
「お、お、おりーっち。俺っちが、べ、べ、ベットに連れてってやるよ!」
「ううん。もうだいじょ、うっぷ。カイトありがとう。おやすみなさい。」
「えー!!心配だよー。」
「おじさん、ごめん今日は、そこのソファ使って。また明日、ね。」
パタンと部屋の扉が閉まると、男が掴みかかって来て、殴りつけられる。
『バキッ』
「くそっ。オリーっちを汚しやがって。」
勘違いしているみたいだが、別に俺の知ったこっちゃない。
「ふん。ガキから誘って来たんだ、残念だったな。カ・イ・ト」
「くそっ、呪いさえなきゃ。オリーっちは俺のモノだったんだ!!
言っとくけどな、オリーっちの呪いを俺っちが解いたら、俺っちの嫁になるんだ!そういう悪魔契約をしてある。」
「なっ。悪魔契約だと!?いったいガキは、何の呪いにかかっているんだ。」
「はっ。なーんだ、そんな事も知らないのか。言っとくけど、俺っちが贈ったオリーっちのピアスは絶対外すなよ。あれは呪い止めになってる。
昔酷い奴が、神話級の魅了をオリーっちにかけた後ポイ捨てしたんだ。今もその呪いに苦しんでる。
もし今ピアスを外したら、オリーっちはその悪い男に簡単に股を開くビッチになっちゃうみたいだからな・・。」
「じゃああいつは、何の為に俺を買ったんだ?」
「ぷぷっ。ウケる。そういえば、おっさんあいつの奴隷になったのか。
俺っちが呪いを解いたら、おっさんは捨てられる。いや、捨てさせる!!
ずっとヒモでいられると思わないでねっ!おじさん今からじっくり自身の身の振り方を考えてOK?」
「ふん、欲しけりゃいつでもくれてやるよ。まあ、今のうちに飽きるまで使わせてもらうがな。」
「このクズ野郎!見張ってるからな!」
そう言って男は出て行った。
ソファに寝転んでも、俺はなかなか寝付けなかった。
いつのまにか、俺はガキとダンジョン巡りするのを楽しみに思っていたのかも知れない。
誰よりも先に「コイツを俺モノのにしなければ」って気持ちになるのは、俺がクズだからなのか。
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ー死霊のダンジョン跡地 最下層ー
【おじさんside】
俺の胸の上にぽたり、ぽたりと温かい雫が降ってきて、ガキを抱きしめた方が良いのか、背中を撫でてやるのがいいのか、迷った両手を上げたり下げたりしていた。
「ひっく。ひっく。」
しゃくり上げるたびに、ガキの右耳に付いたピアスが振り子のように震え、ラベンダー色の翡翠が光のプリズムを作っている。
俺はぼんやりとそれを眺めながら、やっぱガキは面倒だな、とかそんな事を思っていた。
男だから気は進まなかったが、見てくれだけはその辺の女よりよっぽど極上で・・・。
淫紋を刻んだ責任を取らせるために、コイツは俺の慰みモノにでもしてやろうかと思っていたのに。
泣かれると、どうしたらいいのかわからない。そうしていると、不意に部屋の外から声が聞こえた。
「オリーっち??何処にいんの??まさか、また泣いてんのか?うわっ、なんだコレ。移転室がメチャクチャじゃんか。何があったんだよー。」
「グズッ。ヒック、カイト?」
誰だ、気軽に名前を呼び合う仲なのか?そういえば俺は、このガキの名前すら知らなかったと、今更ながらに気がついた。
「・・・。おいガキ、今のは誰なんだ?」
軽薄そうな男の声に何故か苛立ちを覚えて、口調がキツくなる。
「ふん!」
ガキは俺に密着したまま、ぷいっとそっぽを向いた。マーキスカットの尖ったピアスの先が俺の胸にちくりと刺さる。
その胸の痛みはまるで、抜けないバーブ針の様に表皮を突き破ってじくじくと侵入し、そのまま俺に脳乱の苦しみ与え続ける事になる。
「なんだよ、クソガキっ。いい加減にしろよ!下手にでたら、付け上がりやがって!!」
「ひっく。ぐすっ。」
先程までは、妙に大人びた態度だったのに、今は感情の制御が全く出来ない子供の様だ。ちょっと凄んだけですぐに泣く正直うんざりしていた。
「オリーっち?誰か他にいんのか?ちょっとまってろ。吸収!」
ズズズと、瓦礫や壊れたトイレがダンジョン内に吸い込まれて行き、部屋には俺とガキだけが残された。
やってきた男は、驚愕する様にこちらを見た後、俺を心底憎々しげに睨みつけて来た。
「誰だよこのおっさん。オリーっち、まさか・・・。」
男は浅黒い肌に、黒い巻角がある。女好きしそうな甘い顔立ちの悪魔族の青年。
「あっ!!魔力切れ起こしてんじゃん。あれほど気をつけろって言ってたのに!!呪い止めも、効果が弱まっちゃってるしー!」
あからさまに俺を敵視してくる男の左耳には、ガキの付けてる物と同じ形のピアスがはまっていた。
「早くMPポーション飲みなよ!ちゃんと1本は必ず持っとくって言ってたのにー。」
男の瞳はガキのつけているピアスの石と同じ紫だった。男は逆に、ガキの髪色と同じピンクの石を付けている。
「ぐすっ。僕もう一本飲んじゃったの。カイト、ポーションちょうだい。」
何だ、ペアを身につけ合う仲のヤツがいたって事か。仲良さそうにしやがって、くだらない。散々煽っといて、俺は当て馬要因かなにかか?
「おい、おっさん。いい加減オリーっちから離れろよ!!」
俺はコイツらに散々振り回されてたって事か。俺はふつふつとした怒りを感じて
、だったらそれをぶち壊すような酷い当て馬役をやってやろうと思った。
「ククッ。残念だったな、カイト」
俺はガキを優しく抱きしめて、ピアスの付いた耳たぶを甘噛みしながら男に見せつける様に片口の端をいやらしく上げて囁いた。
男にしっかり聞こえるように。
「くくっ。無理矢理、奪って悪かったな。オマエの初めて、サイコーだったぞ。」
はだけたシャツ姿の俺の上に騎乗位でコイツが乗っかっていたんだ、勘違いすれば良いとばかりに噛んだ耳たぶをぺろりと舐める。
「ぁ、ぁ、ぁぅっ・・。」
ガキはビクビクと震えている。さぞや焦っているんだろうと、ほくそ笑んで俺はガキの顔を覗いた・・・。
は?
「なっ。」
なぜ、頬を上気させてるんだ?
思っていた反応と違うんだが。
必死に男に言い訳をするだろうと思っていたのに、これはまるで・・・。
俺に惚れてるみたいじゃないか?
ガキは、なぜか荒い息遣いで小刻みにひくりひくりと痙攣を起こしていた。
艶めいた唇から覗く舌は、さっき俺が散々に虐め抜いたからか、紅く熟れていて、その柔らかさと淫奔さを思い起こさせる。
「んぁ。ぉじさん・・・。ボクっ。」
とろとろに蕩けた瞳は、まるで俺だけを見つめて誘っているみたいだ。
俺が混乱している間に男はガキを引き寄せポーションの瓶を口に突っ込んだ。
「オリーっち、早くポーションを飲んで!!おっさん、ホント。噂に違わずサイテーなヤツなんだな!こんな状態のオリーっちを弄ぶなんて。」
まどろんだ瞳のまま、ガキはポーションを飲み下す。
「はぁ。んくっ。んくっ。んぅ。」
ぽたりぽたりと唇から滴る白く粘性のある液体がガキの服に染みをつくる。
短いスパンで飲むポーションは、きつかったのかも知れない。悩ましげに眉をハの字に歪めた表情は、何処か倒錯的で爛れた事後の気だるい雰囲気を醸し出していた。
「うっ。ボク、ちょっと魔力酔いしちゃったみたい。もう寝てくるね。」
「お、お、おりーっち。俺っちが、べ、べ、ベットに連れてってやるよ!」
「ううん。もうだいじょ、うっぷ。カイトありがとう。おやすみなさい。」
「えー!!心配だよー。」
「おじさん、ごめん今日は、そこのソファ使って。また明日、ね。」
パタンと部屋の扉が閉まると、男が掴みかかって来て、殴りつけられる。
『バキッ』
「くそっ。オリーっちを汚しやがって。」
勘違いしているみたいだが、別に俺の知ったこっちゃない。
「ふん。ガキから誘って来たんだ、残念だったな。カ・イ・ト」
「くそっ、呪いさえなきゃ。オリーっちは俺のモノだったんだ!!
言っとくけどな、オリーっちの呪いを俺っちが解いたら、俺っちの嫁になるんだ!そういう悪魔契約をしてある。」
「なっ。悪魔契約だと!?いったいガキは、何の呪いにかかっているんだ。」
「はっ。なーんだ、そんな事も知らないのか。言っとくけど、俺っちが贈ったオリーっちのピアスは絶対外すなよ。あれは呪い止めになってる。
昔酷い奴が、神話級の魅了をオリーっちにかけた後ポイ捨てしたんだ。今もその呪いに苦しんでる。
もし今ピアスを外したら、オリーっちはその悪い男に簡単に股を開くビッチになっちゃうみたいだからな・・。」
「じゃああいつは、何の為に俺を買ったんだ?」
「ぷぷっ。ウケる。そういえば、おっさんあいつの奴隷になったのか。
俺っちが呪いを解いたら、おっさんは捨てられる。いや、捨てさせる!!
ずっとヒモでいられると思わないでねっ!おじさん今からじっくり自身の身の振り方を考えてOK?」
「ふん、欲しけりゃいつでもくれてやるよ。まあ、今のうちに飽きるまで使わせてもらうがな。」
「このクズ野郎!見張ってるからな!」
そう言って男は出て行った。
ソファに寝転んでも、俺はなかなか寝付けなかった。
いつのまにか、俺はガキとダンジョン巡りするのを楽しみに思っていたのかも知れない。
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