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第四章 ハートランドのゲーム
60: ゲーム廃人コース
しおりを挟む「このシナリオ、今こうやって使うには、あらゆる面でピッタリですね。」
イマヌェル見崎が感心したようにハートランドに言った。
イマヌェル見崎はソラリスを辞めて、今は弥勒会議の外部顧問のような位置づけになっている。
弥勒会議から、ヘッドハンティングがあったようだが、以前から弥勒会議の動きを知っていたイマヌェル見崎はこの組織を完全に信用してはいないようで、首を縦に振らなかったようだ。
「このシナリオの秘密を教えてあげましょうか?」
ハートランドは自分の元に応援要員として派遣されてきたイマヌェル見崎を、今や完全に信用している。
保海源次郎がΩウェブの創始天才なら、その中をプラグなしで自由に動けるイマヌェル見崎はΩウェブ運行の天才と言えた。
「もしかしてこのシナリオ、貴方が書かれたのですか?」
「そんなわけないでしょ。私はそういう能力はまったくないわ。」
ハートランドは笑いながら言った。
「実はこれね。シナリオの原案が保海源次郎なの。源次郎が自分でΩウェブに潜り始めた頃に知り合いのシナリオライターに書かせたものなのよ。あの時は半分、彼の遊びだと思ってたんだけど、、。」
「保海氏は、この時の事を予想しておられた?」
「まさか、、。でも、なんだか、それに似たことを無意識にやってったて事はあるかも知れないわね。シナリオライターにはこの世界観は自分が直接見たものだって言ってたらしいし。私との話でも一致する部分は多いわ。
もちろん実際に登場する細かな設定はゲームとして成立するように書き直されてるとは思うけど。」
「、、なる程。私がもう少し早くソラリスを辞めていれば、彼らと一緒に行ってお手伝いが出来たかも知れないのに残念ですね。」
「いえ、今、あなたが来てくれた事で充分助かってるわ。流騎冥のゲームシンクロ率が高すぎてNEOHOKAIシステムと離れていくばかりだったから、、あんな方法で二つを『寄せられる』とは思いも寄らなかったわ。」
「あれは調整官としてのテクニックですからね。ハートランドさんがご存じないのは当たり前ですよ。しかし本当に、流騎冥って人のゲームシンクロ率は高すぎますね。あれは普通にやっててもゲーム廃人コースだ。」
イマヌェル見崎は困ったように言った。
・・・・・・・・・
メロディは爪を噛み、髪の毛を掻きむしり、挙句の果ては、シェルター内の壁を、ところ構わわず、蹴りつけ殴り付けた。
最後に工作機械のフライディの胸部にある操作パネルにパンチを叩き込もうともしたが、それは止めた。
これが壊れてしまえば、メロディの数少ない娯楽が減るからだ。
それに考えて見れば、まだ流騎冥が傷ついたわけではないのだ。
メロディが、荒れているのは、流騎冥が窮地に陥ろうとしているのに、自分自身が何も出来ないという苛立ちからだった。
メロディの住居である縦穴式のシェルターは、巧妙に隠されていて人目に付かないが、距離的には、それ程、ウェスト・ウビコンから離れている訳ではない。
流騎冥が心配なら、直接ウェスト・ウビコンに出向けばいいのだが、メロディにはそれがどうしても出来ないのだ。
人間が怖いからだ。
、、、人間が怖い理由は、よく判らない。
メロディが、砂嵐の中で行き倒れになっていた流騎冥を助けられたのも、彼が「動かず」、そしてシェルターのすぐ近くにいたからだった。
メロディが、流騎冥の置かれた状況を知ったのは、この少年が定期的に行っている「太い回線」によるウェスト・ウビコン内の情報閲覧によるものだった。
シェルターには、ウェスト・ウビコンに地中で繋がる緊急用有線回線が備わっている。
それはこのシェルター自体が、ウェスト・ウビコンの環境運営システム危機に対して、外部からの有人操作を可能にする為に設計設置されたものだったからだ。
ただし、このシェルターが作られた後に、ウェスト・ウビコンで構築されたネットワークには干渉することは出来ない。
シェルターを設置したのがグレーテルキューブであり、そのグレーテルキューブは、随分昔から人間に対する直接的な関与を停止していたからだ。
グレーテルキューブの関与から逃れた人間達は、自分たちの思惑だけで物事を進める。
汎用性の極めて乏しい、新しいネットワークもその一例だった。
従って、メロディが閲覧出来るのは、ウェスト・ウビコン内を走る昔からの強固な通信網、あるいは原始的な通信だけだった。
そこに引っかかったのが、スネーククロスの流騎冥に対する公開殺害予告だった。
メロディには自分の中で渦巻く感情が、何なのかよく理解できていなかった。
時より思い浮かぶのは、流騎冥が話して聞かせてくれた、この砂漠の向こうにある昆爬達が住む荒れ果てた大地と、そこで血と汗と涙を流す兵士達の姿だった。
「昆爬ってのは、色々な種類があるんだ。軍の陸上戦艦なみのデカイ奴がいるかと思えば、馬みたいに地上を6本の脚で駆け回るのもいる。でも一番手強いのは、ティラノザウルスみたいな格好した奴で、コイツは速くて強い。駆逐艦級に体当りしてきて、艦をひっくり返すくらいの馬力がある。」
そんな話をしてくれる流騎冥だが、メロディのイメージの中ではティラノサウルス昆爬の首元に馬乗りになって、この怪物を制圧している彼の姿が輝いていた。
流騎冥は、メロディを外の世界に連れ出してくれる自由の翼であると同時にヒーローだった。
そんな流騎冥と、何時でも会っていたかったが、子供ながらにもそれは許されないと理解していた。引きこもりの自分と、放浪の勇者がいつも一緒にいられる筈がない。
反面、流騎冥は必ず自分に会いに来てくれるという確証の様な感覚も抱いていた。
「いつかは、俺と一緒に、お前の言う超時空特異点ゲートやらを探しに行こう。そいつはこの星の何処かにあるんだろう?なあに大丈夫だ。お前が自分の足で外に踏み出せるまで、何時までも待ってやるさ。それにその時はキットやってくる。お前はこの俺を助けてくれたんだからな。」
その約束は、まだ果たされていないのだ。
それに流騎冥は、彼が特異点テクノロジーの遺失物を、メロディに与えるから、メロディが喜ぶと思っているようだが、それは勘違いだ。
遺失物は、メロディにとって、流騎冥とメロディを結ぶ絆の一種に過ぎない。
メロディにとって一番大切な人間は流騎冥だった。
だが今のメロディには、何も出来ない。
この少年に出来ることは、ただウェスト・ウビコン内の情報閲覧を続ける事だけだった。
流騎冥は、アパート住人の為の共同ガレージに置いてある野戦用バギーの前に立っていた。
バギーの上に被せてある幌を取り去って、それをキレイに畳んで備え付けのロッカーに直した。
流騎冥は、車の美観等を気にするタイプではないが、バギーは無天蓋車だったのでそうせざるを得なかったのだ。
ガレージの全ての設備がボロボロで薄汚かったが、治安だけは良かった。
退役軍人の老人達が、交代で管理人の役割を果たしていたからだ。
ここには彼らの軍隊勤務時代の思い出に繋がる数々の物品が置いてある。
流騎冥は、今まで何度も彼を外界に運んでくれた愛車の足回りを一通り点検してから、装備一式を後部座席に搬入した。
バギーでガレージを出る時に、今日の管理当番に当たっていた老人に声をかけられた。
「何だ、これから出かけるのか?外か?」
「いや、内回りだ。」
「珍しいな、お前さんが、それで出掛ける時は大体が外だろう」
「ちょっとした、野暮用があってね。」
「そうか、もし外だったら、アニサキサスコロニーに寄ってガル酒を買って来て貰おうと思っとたんだがな」
「すまんね。覚えとくさ、じゃな。」
流騎冥は何時もの喋り口で挨拶を終えて、道にバギーを進めた。
「聞こえる騎冥?」
突然聞こえてきたその声が、余りにも懐かしく思えて流騎冥はバギーを荒れた野道に停止させた。
周りを見る、誰もいない、もちろんバギーの中に誰かがいる筈もない。
しかし前とは違って、「声」に対する流騎冥の反応は早くなっていた。
シナリオの中に没入しながら、外の声に耳を傾けるという事に少しはなれて来たということだろうか?
「、、、済まない。又、全然気がついていなかった。完全に没入してた。」
「この先が思いやられるわね。」
「、、、、、。」
「まあいいわ。私達も貴方への接続を確立させるのが難しくなって来てる、人の事は言えないわね。それより大変な事が起こってるのよ。」
「現実世界でか?」
「そういえばそう、そうでないといえばそうじゃない。ビッグマザーが、この計画に気づいて妨害をかけてきてるの。」
「、、って、このシステムはスタンドアローンじゃなかったのか?だから、ここから潜ることになったんだろ?」
「バーチャル世界を構成するエレメントは膨大なデータを必要とするわ。それを何処が供給してると思うの?」
「、、、ビッグマザーか、、だけど」
「そう、データを供給してるだけ、、とも言えるわね。こちらへの介入の方法がない、ナイトは堅固、私もそう思ってたから、この計画を立てたの。今だってビッグマザーは私が構築したHOKAIシステムのリンク部分には手出しが出来てない。でも、あなたがいる通常のシナリオ世界では、エレメントとしてあなたに干渉できる。」
「その干渉ってのはなんだ?判りやすく言ってくれ。」
「シナリオに登場するあなたの敵が、リアルな殺傷能力を持ってるって事。聖痕現象よ。この程度のゲームシナリオで、聖痕現象が起こるなんて信じられないけど、HOKAIに繋ぐのに弄った今のシステム構成ならそれが可能なのよ。ビッグマザーはそれが判ってるみたい。」
「でもビッグマザーがこの世界の人間を操っているって訳じゃないんだな?」
なぜか流騎冥は、ビッグマザーがスネーククロスに取って代わる事が許せないような気分になっていた。
「それはそうね、シナリオ世界の人間はシナリオ通りに動いているだけ。ただ彼らがあなたに与える影響やダメージは、ゲーム上の事じゃないって事よ。」
「そっちの方は、俺がなんとかする、、。それより俺は、この先、今の半覚醒みたいな状態を保っていられるのか?つまり本来の俺の任務を遂行出来るのかって事だが。せめて任務を忘れずにいたい。かすかでもいいんだ。」
「判らないわね。私がずっとこうやっていれば別だけど、私と連絡をとるってことは、あなたの没入度を下げるって事だから、それを過剰に続けたら支障がでるだろうし。でもその時が来れば、あなたなら、ちゃんと反応すると思う。相手は真言君なんだから。真言君はあなたのライバルだったんでしょう。真言君の気が、今の私の声の代わりになると思うわ。」
「わかった。一つだけ教えてくれ。この世界で保海にリンクしそうな奴は誰なんだ?」
「判らないわ、その時になってみなければ、私達はNEOHOKAIワールドにリンクされる側なんだから。ただ言えるのは、その該当者はこのシナリオの中で貴方に敵意を持ってる人間の中にはいないと思う。言い方を変えるとビッグマザーがエレメントとして潜る込めるような人間にはNEOHOKAIシステムの接続が成立しないってことね。それと前にも言ったけど、場所とか建物も、あなたが向こうからのリンク先を調べるいいヒントになるわ。それはあの大聖堂に限らない。建物や場所は、それぞれのイベントの象徴になってるから、一つ一つに意味があるのよ。」
「屑野郎共の尻の穴は、コンセントが塞がってるって事か、、。それと建物な、もう一度、心に刻み込んで憶えておく。」
「、、、。時間みたい、私は一旦抜けるわよ。このまま喋ってるとあなたは完全覚醒して、こっちに帰ってしまう。痛し痒しね。それだと最初から又、やりなおしになる。時間の無駄だし、今度はビッグマザーの干渉はもっと巧妙になるわ。頑張って。それと勝負には勝たなきゃ駄目よ、本当に死んじゃうんだから。」
「判ってる、つもりだ。」
流騎冥はそう言ったが、彼の本当の勝負は、それをどれだけ憶えていられるかという事だった。
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