ハブられ系キョロ充幼馴染と恋をする

むすめっすめ

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「あ、拓生!」

お~いと自転車に乗りこちらに向かってくるのは、幼馴染の高橋恭介だった。

「...聞こえてる?」

恭介が拓生の肩に手を乗せる

「うわっ!すみ...」

ません、と謝ろうとした瞬間にやめた。

「なんだ、恭介か...」

「あ、何の曲聴いてるの!?」

イヤフォンを付けていて恭介に気づかなかった。まだ自分の最寄り駅で、先生なんて居ないはずなのに咄嗟に謝ろうとしてしまった。
少し気恥しい...

「アニソン...」

「アニメソング!の略だ!」

「そーそー...」

恭介はへぇ~と興味があるのかないのか分からない声を出す、自転車を引きながら俺の隣をついて歩く。

...恭介は、今どこ住みなんだ。
昨日、少し気になった、いや本当はだいぶ、
朝にこの駅に居るってことは家は近くなんだろうか
...なんとなく気になるから聞いてみるか、

「なぁ、恭介今どこ住んでるんだ」

ド直球、
言ったあとから少し後悔した。
枕詞の1つのでも使えればよかった。

「坂道降りたとこのマンション!」

こちらも簡潔に教えてくれた。

「...小学校卒業した後、すぐ引っ越したじゃん、そことは違う場所なのか?」

「うん、また引っ越したんだ。」


なんで、また?
...なんで、会ってくれなかったんだ?

俺はそこまで聞く勇気はなかった。
だってあの頃、恭介はなぜか俺の事を避けていたから、それを知っていて掘り返すことはしたくなかった。

むしろ、なんで避けていたのに今関わっているのか不思議なくらいだ。

でも、それでも、
なかったことにした方がいい。


もう、俺は恭介に恋心は無いのだから。


「あ、電車の時間やばい、そろそろ行くわ」

「えっあ...俺、自転車...」

何か言おうとしていた恭介を置いて、駆け足で改札に向かった。





やっと、また一人になった。
同じ制服の学生がチラホラいる中、俺はまたイヤフォンを付けて自分の世界に入る。

この曲、いいな。
最近はアニソンばっかり聞いていたからか、オススメに流れてくるのが同じ系統になっていたが、最近流行りのボカロが流れてきた。

昔はボカロ聞いていたなぁ、だけど俺は機械音声が苦手で聞くのを躊躇していたところもある。最近のは凄いんだな、本当に人の声みたいだ、これなら聴けそうだと新しいプレイリストに入れた。

良いのを見つけた、新しい発見とはこうゆうことを言うのだろうか、
やっぱり1人だけでも楽しい。

いい気分で通学路を歩いている時だった、
また何者かに肩を叩かれる。

俺は咄嗟に朝の出来事を思い出した。

「おい、恭介...」

と言って後ろを振り返ろうとした時、
俺の肩を叩いたであろう人物が爆笑しだした。

イヤフォン越しでもわかる、バカでかい声、聞き覚えがある。
俺は振り返り、その人物を見た時、少し冷や汗をかいた。

「恭介って!...お前らやっぱ仲良いんだ!?」

俺の肩を叩いた人物は、
クラスメイトの陽キャだった。

「おはよう...?」

朝だし、とりあえず挨拶
よっ友でもないが、その場を凌ぐためにはこんぐらいしか言葉が思い浮かばなかった。

挨拶をすると、陽キャはまた爆笑しだした。
ことある事に爆笑、何がそんなに面白いのだろうか。

周りを見ると俺に話しかけてきた陽キャはたった1人みたいだった。取り巻きがいなくてもこの破壊力...流石だな。

陽キャは俺と肩を無理やり組んで、わざとらしく周りを見渡す、

馴れ馴れしいな...

「“キョロ介“は...いねーなぁ、つまんねぇの」

「キョッ...!?」

キョロ介って...あいつ、陽キャにもそんなふうに呼ばれてるのか?俺と同じネーミングセンスの奴がこの世にいたんだ。

思わず声を出すと、陽キャはニヤニヤとこちらを見る

「そう、キョロ介!...キョロ介と同じ中学の奴が付けたみたいなんだけどセンスいーよな!」

恭介と同じ中学の奴が付けた...?そんな話、全く知らない、
あの時キョロ介と呼んだのは、ただ思いついて読んだだけで...
そういえば恭介は中学の頃の話だとか、またいじめられるだとか言ってたような...

いじめられる...?

恭介は...中学の頃、キョロ介と言われて...

いじめられてたのか?

「...まさか、そんな」

だとしたら、昨日の俺、地雷発言過ぎないか?
...あの時は、明確に悪意を持ってやったものの、恭介には悪いことをしたな...

謝った方がいいのだろうか、分からない。
恭介との絶妙な距離感に頭を抱えた。


「...おーい、久木?」

「あ、え...何?」

隣に居た陽キャが、何も反応を示さない俺を不思議に思ったのか俺の顔を覗こうとした、

その時、俺のすぐ脇に自転車が通った。
俺は気づかなかったが、俺の肩を組んでいた陽キャが自転車を避けるようにそちらへ引き寄せてくれたようだった。

「あっぶな...」

俺たちが立ち止まっていた所が自転車道だったため、俺のすぐ脇を通った自転車は俺たちに立ち止まんなと怒声を浴びせ、行ってしまった。

俺はビビり散らかし、目を見開きながら自転車を見つめていた。
朝から治安悪くね...??引かれるとこだったのか俺...それより、助けてくれた陽キャにお礼を...

俺は陽キャの腕にすっぽりハマりながら、陽キャの方を向く、その時気づいた。

めちゃくちゃ近い、

陽キャと俺の身長はさほど変わらない、だが俺が猫背だったことで陽キャは肩が組めていた。今は俺が真っ直ぐそちらを向いたことで、状況は陽キャが俺を抱きしめる様な形になっていた。

陽キャは俺の顔をまじまじと見つめている。

あまりの近さに、お礼も忘れて陽キャの手を振りほどく。
ごめん、と短く言って俯く
それなのに陽キャは再度俺の顔を覗き込むように屈んだ。

「何...?」

しつこい陽キャに顔を歪めると、陽キャの綺麗な顔はお手本のような笑顔を浮かべ、俺の頭に手を伸ばす。

予想外の行動に強ばるように目を瞑ると、陽キャは俺の前髪に触れて手ぐしで整えた。

「前髪、崩れてた。」

「...あぁ、」

俺の前髪に整ってる時なんか無いけど...
いつもただ下ろしてるだけなのに、勝手に前髪をサイドに分けられて前髪を手で押さえる

「いいからっ...えーと...」

お礼を言おうと、陽キャの名前を思い出そうとするが出てこない。

「...みつる、日陽充!クラスメイトの名前くらい覚えろよな!」

軽く前髪を押さえていた手をデコピンされる。

「ごめん...ありがとう、日陽。」

さすがに、同じ制服の学生が増えてきてこちらをチラチラと見る視線に耐えられなかった。

その視線に嫌な状況が思考を過ぎる

もしクラスメイトに見られてたら...

だるいなぁ...

日陽は昨日、俺をクラスメッセージから削除した陽キャでは無いが、その陽キャと日陽は同じグループではある。

日陽が今日話しかけてきたってことは、もう既に俺は目をつけられているのだろう。いじられるだけでも大変めんどくさい。

ため息を着いて周りを確認した後、俺は一人で再度イヤフォンを付けて聖域を目指し歩き出した。



「...久木、キレーな顔してんなぁ...」



日陽がこちらを見つめていたことを俺は知る由もない。
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