私のお猫さま 25歳を迎えて猫又さまになりました

月見こだま

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第二部

11:猫又さまの診察

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 十一時少し前に病院に着いた。受付表を書いて、少し待つ。
 思ったよりも早く呼ばれて、前回と同じく一番奥に通される。

 待合室でもずっとくしゃみしてたし、早く治ってほしいな。

 コンコン、とノックの音がした。

「花屋敷さん、入りますね」
「はい」

(あ、注射の時に前までは看護師さんに抑えてもらってたけど)

 どうしよう。と思ってたら、神崎先生と――もう一人、白衣を着た女性が入って来た。
 え、誰? どうして?
 と思っていたら、神崎先生が扉を閉め、

「娘です。全て知っているので安心してください」

 そう続けた。
 女性はわたしに頭を下げ、口を開いた。

「神崎の娘で、岡本と申します。二週間ほど前からこちらで獣医師として勤めています。猫又のことも、幼い頃から知っていますのでご安心ください」
「――あ、そうなんですね……!」

(そっか。一瞬びっくりしたけど……神崎先生は神谷さんとお知り合いだったし、娘さんもクロちゃんと関わりあったのかも)

「はい。ここを継いでくれるそうです。もう一人の娘も、来月には動物看護師としてここで働きます」
「娘さんが獣医師と動物看護師なんですか?」
「そうなんですよ。私も来年七〇歳になりますので、助かります。ですので、本日のミケちゃんの診察は岡本先生が担当しますね」

(わ、親子なのにちゃんと切り替えてる。すごいな)

「さっそくミケちゃんの診察しましょうか。くしゃみひどいですし」
「よろしくお願いします。ミケ―」

 わたしはキャリーを開けて、ミケを抱き上げる。

「まず、体重は……うん、以前と変わりないですね。次は体温測りますね……熱もないですね」

 岡本先生がてきぱきと診察をする。ミケは時折『うう』と唸っているけど……。

「では、身体も触っていきますね」

 首のリンパ、腋窩リンパ、膝下リンパのところを両側から両手で確認していき、聴診器で肺や心臓の音を聞いていく。

「リンパの腫れも大丈夫ですね。じゃあ次は顔をみていきますね」

 先生は、鼻だけではなく、目も瞼をめくるようにして見ていく。

「鼻水は粘りがあって黄色みがかってますね。目の粘膜も少し腫れているので結膜炎も起こしてます。涙も出てますか?」
「そう言われてみれば涙も出てるかも……」
「食欲や元気は変わりないですか?」
「はい、いつもと変わらないです。」

 うーん、と岡本先生はパソコンで以前のカルテを見る。
 ミケはというと、わたしの腕に頭を突っ込むようにして震えてる。そして、またくしゃみ。去年よりひどそう。

「そうですね……同じ症状の時は毎回注射にされてますけど、今回もそうされますか?」
「はい、お願いします」
「抗生剤の注射は2週間効果が続きますが、消炎剤の薬は1日しか効果ないので液体の薬を2日ほど出しておきますね。それは頑張って飲ませて下さいね」
「う、はい。頑張ります……」
「それじゃ、ミケちゃん少し頑張ろうね」

 岡本先生は優しくミケに話かけた。
 流れるように神崎先生が優しくミケを押さえ、岡本先生が注射する。

「――はい、ミケちゃん頑張ったね。強い。いい子」
「んにゃ……」

 喋るかどうか迷ったミケが、褒められたことに返事をする。

「では、前回と同じ点鼻薬をお出しします。それと、今回は結膜炎も起こしているので点眼薬もお出ししますね。使い方はわかりますか?」
「はい、大丈夫です」

 わたしは頷いて、ミケの頭を撫でる。
 点眼も初めてじゃないから、なんとかなるはず。

「ミケ、終わったよ~。いい子だったね」

 わたしもミケを褒めて、キャリーケースに戻す。
 あとはお薬を貰って、お会計して帰るだけ、と思っていたけど。


「花屋敷さん、ミケちゃんのことで相談したいのですが」
「……? はい」

 神崎先生と岡本先生が真剣な顔でこちらを見た。嫌なことを想像しかけて、ぐっと思考を押さえる。『引き寄せて』しまうかもしれないから。
 けれど、先生が口にしたのは予想外のことだった。


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