私のお猫さま 25歳を迎えて猫又さまになりました

月見こだま

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第三部

01:猫又さま、つかの間の休息

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 クロが化け犬を退けたあと。“ちゃん”は嫌だって言われたし、呼び捨てにすることにした。クロもそれでいいって言ってくれた。実年齢はともかく、人の姿はわたしより年下っぽいし。
 わたしとミケは再び黒いしっぽに包まれて、移動したらしい。歩いて移動する方が危ないって話だったけど。

「着いたぞ」

 そうして連れて来られたのは、広い庭つきの平屋。その平屋自体は大きくないけど、その隣には大きな二階建ての母屋がある。
 わたしたちは平屋の玄関で降ろされたのだが。

「う、くしゅっ!」
「プシュン!!」

 雨でびしょびしょに濡れて、服も張り付いて気持ち悪い。そこから体も冷えて、くしゃみが出た。ぶるっと体が大きく震える。ミケも、せっかく注射してもらったのに……。

「――風呂に入ってこい」
「お借りしていいの?」

 人のお宅で、というのは抵抗がある。しかし、このままでいたら、確実に風邪を引く。お借り出来るなら素直に甘えたい。

「構わん。入って一番奥に浴室がある。タオルと洗濯機も好きに使え」

 洗濯機もあるの!? お風呂入っても着替えはないから、どうしようかと思ってた。

「た、助かる……! じゃあお言葉に甘えて……ミケ、一緒に入ろう」
「お風呂は嫌いにゃ……プシュン!!」
「……入るなら人の姿の方がマシだぞ、三毛」
「え。――ああ!」

(クロも猫だもんね……そっか。やっぱりお風呂は嫌いなんだ)

 シャンプーはもちろん大変だけど、それよりも乾かすのが大変。ドライヤーの音は大きいし、かといって弱いとなかなか乾かないし。――ミケが子猫の頃はネットに入れて乾かしたりしてたけど、あの時の方が暴れて大変だったなあ。
 もしかしたらクロもそうだったのかなと思うと、こんな状況なのに少し笑ってしまった。

 それが伝わったのか、クロの柳眉がぴくりと動いたけど、特に何かを言うことはなかった。

 ――うん。でも確かに、人の姿だとゆっくりお風呂につかれて体も温まるかもしれない。

「ゆっくり入ってこい。ここは全体的に結界が張ってある」
「そうなの? ……ありがとう」
「プシュ!」
「ミケ~……」

 悠長にお話してる場合じゃなさそう。本当は注射の後だからお風呂入れたくなかったんだけど……。そうは言っていられないほどずぶ濡れだから仕方ない。

「それじゃ、行ってくるね」
「ああ」



 そしてわたしは広く綺麗な浴室と、備え付けられた高級ホテル並みのアメニティに驚くことになる。




(いや! 完全に宿泊施設!!)

 ミケも人の姿であればお風呂は気持ちいいと感じたらしく、二人でゆっくりと温まった。
 つかの間、厳しい現実を忘れて。
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