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第七章 変わりすぎた日常
15話 賢王の都合 ダート視点
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まさかレースがお義母様と家を出ている間に、フィリアさんが訪ねて来るなんて思わなかった。
一応今はリビングで紅茶を飲んで貰っているけど雰囲気が気まずいというか、お互いに無言のままソファーに座っているだけの時間が過ぎ去っていく……
「……あなた、確か母と父の実験で呼び出された異世界の人だよね?、そんな子がどうしてレースのお嫁さんになる事になってるの?」
「どうして私の事を?」
「あの時偽装の魔導具を使って父と実家に帰ってたから、何があったのか知ってる感じかな」
「……え?」
「今はミオのおかげで自分の姿を変えなくてよくなったけど、当時は大変だったのよ」
そしてまた無言が始まる。
大変だったのよって言われても、私には何が大変なのか分からないから共感して上げる事が出来ない。
共通点が少しでもあるなら、わかるぅ!って感じで会話が弾んだりも出来るんだけど、どうすればいいのかな……
「私はあなたに怒ってるわけじゃないよ?、ただあの時の子がどうやってレースとこんな感じになったのかなってお姉ちゃんとして気になっただけ、出会いは?どうやってあの朴念仁と付き合えたの?、あの子はほっといたら死ぬまで独りぼっちのままで死にそうな程人と関わるのが得意では無かったのにどうやったの?」
「あ、えっと、おかあさ、いえカルディア様の依頼を受けてレースを迎えに行って、その後暫く一緒に暮らす事になったんだけど後は、二人の時間が増えて行く間に自然と?」
「……へぇ、どうで母さんの事だから、異世界人の女の子とこの世界の住人をくっ付けて交配させたらどうなるかとって言う興味本位で向かわせたら上手く行ったとかって言う感じかもね」
「確かに私達の血を受け継いだ子供ならカルディア様の手で産まれはしてるけど、そんな実験的なものじゃないと思うよ?」
「興味本位で人族とエルフ族の混血種を作り出しちゃうくらいなんだから、興味本位以外無いと思うけど?、おかげでミオに会うまではどちらの種族からも迫害を受けて最悪だったんだから……」
さっきから何度か言葉に出て来る【ミオ】が誰かは分からないけど、取り合えず大変だったという事は分かって気がする。
でもフィリアと私達の娘のダリアを同じように扱われるのは個人的に納得が行かない。
「迫害を受けてって言うけどあの子は大丈夫、だって私とレースの子だもの仮にそういう人達が現れても絶対に守るから」
「……へぇ、言うじゃない」
「それにさっきから何度も出て来る、ミオって誰?話が見えないんだけど」
「あれ?、早朝にミオと早く着いた事に関する報告を【魔王 ソフィア・メセリー】と冒険者ギルドに報告した時に、護衛依頼を冒険者になったレースと他二名で受ける事になったって聞いたからてっきり知ってるものかと思ってた……、だから彼の今の家をギルド長から聞いてマーシェンスのお土産を持ってこの家に訪ねて来たんだけど……」
「……もしかしてミオって、マーシェンスの【賢王 ミオラーム・マーシェンス】の事?」
ジラルドさん……、いくらギルド長でも個人情報を勝手に渡すのは人として駄目じゃないかな。
それに早く着いたって言うけど、マーシェンスの噂はストラフィリアにいる時にミュラッカちゃんから聞いた事があるから何となくは知ってる。
先王が暗殺されて直ぐにどうやったのか直ぐに情勢が安定し、以前よりも住みやすい国になったらしいけど、変わりに今の賢王は精神を病み離宮に幽閉されたらしい親族から命を狙われているという事で……
「それであってるよ」
「……フィリアさん、間違ってたら間違ってるでいいのだけれど、早く着いた理由って賢王ミオラーム様に向けられた刺客から逃げる為?」
「逃げる?、別にあんな殺意も隠せない暗殺の素人何て私からしたら逃げなくても何とかなるよ」
「じゃあどうして?」
「……ミオが早く、この辺境開拓都市クイストに行きたいって言うからお願いを聞いただけ、だってあの子はまだ8歳よ?後二年で成人するとは言えまだ子供だもの、沢山遊ばせてあげたい」
それだけの理由で周りを振り回すのはどうかと思うけど……、だからと言ってそんな甘やかすような事をして良いのかと心配になる。
周りが必要以上に甘やかしてしまうのは良くないと思うし、それが王様となれば尚の事だと思う。
「それなら賢王ミオラーム様は今何をしてるの?」
「……あの子なら、ギルド職員の研修をしている栄花騎士団の人達に安全な滞在先とやらに連れて行かれた、何でも彼等が利用している宿泊施設らしくて防衛設備も整ってるらしい」
「それってもしかして、この診療所の寮の事?」
「そうなの?、何で栄花の精鋭がそんな所を使ってるのか分からないけど面白い所に滞在させるみたいだね……、でも確かに安易にこの都市に立てられた領主館に滞在させるよりも意表を付けるか」
……そんな偉い人を滞在させるのに使うなら一言位、こちらに話をして欲しかったけど、護衛依頼を受ける冒険者からしたら護衛対象の安全を確保する義務があるから、そういう意味では大分前倒しになってしまった気がするけど、既に依頼が始まっていると判断したらどこもおかしい事は無い。
ただ今現在寮にいるだろうスイさんは、突然滞在用の荷物を持って押し掛けてきた賢王ミオラームを見て、理解が追い付かないで慌ててるんだろうなぁって思うと何だかかわいそうな気がしてきた。
確か出身がマーシェンスだったから尚の事だろう。
「それにしてもレース遅い……」
「レースは今カルディア様と魔術の勉強してるから」
「母さんと?、そう……、ならもしかして勉強が終わったらここに二人で帰ってきたりするの?」
「帰って来るけどどうしたの?」
「……それなら私はこれで帰らせて貰う、母さんの近くにはいたくないから」
……フィリアは袋からお土産を取り出してテーブルの上に置くと歩いて玄関に向かう。
それを見て慌てて『カルディア様が、あなたと仲直りしたいって言ってたよ?』と伝えると、その場に少しの間立ち止まって『……今更仲直りって何を考えてるの?ありえない』と私の方を睨みつけた後に、出て行ってしまうのだった。
一応今はリビングで紅茶を飲んで貰っているけど雰囲気が気まずいというか、お互いに無言のままソファーに座っているだけの時間が過ぎ去っていく……
「……あなた、確か母と父の実験で呼び出された異世界の人だよね?、そんな子がどうしてレースのお嫁さんになる事になってるの?」
「どうして私の事を?」
「あの時偽装の魔導具を使って父と実家に帰ってたから、何があったのか知ってる感じかな」
「……え?」
「今はミオのおかげで自分の姿を変えなくてよくなったけど、当時は大変だったのよ」
そしてまた無言が始まる。
大変だったのよって言われても、私には何が大変なのか分からないから共感して上げる事が出来ない。
共通点が少しでもあるなら、わかるぅ!って感じで会話が弾んだりも出来るんだけど、どうすればいいのかな……
「私はあなたに怒ってるわけじゃないよ?、ただあの時の子がどうやってレースとこんな感じになったのかなってお姉ちゃんとして気になっただけ、出会いは?どうやってあの朴念仁と付き合えたの?、あの子はほっといたら死ぬまで独りぼっちのままで死にそうな程人と関わるのが得意では無かったのにどうやったの?」
「あ、えっと、おかあさ、いえカルディア様の依頼を受けてレースを迎えに行って、その後暫く一緒に暮らす事になったんだけど後は、二人の時間が増えて行く間に自然と?」
「……へぇ、どうで母さんの事だから、異世界人の女の子とこの世界の住人をくっ付けて交配させたらどうなるかとって言う興味本位で向かわせたら上手く行ったとかって言う感じかもね」
「確かに私達の血を受け継いだ子供ならカルディア様の手で産まれはしてるけど、そんな実験的なものじゃないと思うよ?」
「興味本位で人族とエルフ族の混血種を作り出しちゃうくらいなんだから、興味本位以外無いと思うけど?、おかげでミオに会うまではどちらの種族からも迫害を受けて最悪だったんだから……」
さっきから何度か言葉に出て来る【ミオ】が誰かは分からないけど、取り合えず大変だったという事は分かって気がする。
でもフィリアと私達の娘のダリアを同じように扱われるのは個人的に納得が行かない。
「迫害を受けてって言うけどあの子は大丈夫、だって私とレースの子だもの仮にそういう人達が現れても絶対に守るから」
「……へぇ、言うじゃない」
「それにさっきから何度も出て来る、ミオって誰?話が見えないんだけど」
「あれ?、早朝にミオと早く着いた事に関する報告を【魔王 ソフィア・メセリー】と冒険者ギルドに報告した時に、護衛依頼を冒険者になったレースと他二名で受ける事になったって聞いたからてっきり知ってるものかと思ってた……、だから彼の今の家をギルド長から聞いてマーシェンスのお土産を持ってこの家に訪ねて来たんだけど……」
「……もしかしてミオって、マーシェンスの【賢王 ミオラーム・マーシェンス】の事?」
ジラルドさん……、いくらギルド長でも個人情報を勝手に渡すのは人として駄目じゃないかな。
それに早く着いたって言うけど、マーシェンスの噂はストラフィリアにいる時にミュラッカちゃんから聞いた事があるから何となくは知ってる。
先王が暗殺されて直ぐにどうやったのか直ぐに情勢が安定し、以前よりも住みやすい国になったらしいけど、変わりに今の賢王は精神を病み離宮に幽閉されたらしい親族から命を狙われているという事で……
「それであってるよ」
「……フィリアさん、間違ってたら間違ってるでいいのだけれど、早く着いた理由って賢王ミオラーム様に向けられた刺客から逃げる為?」
「逃げる?、別にあんな殺意も隠せない暗殺の素人何て私からしたら逃げなくても何とかなるよ」
「じゃあどうして?」
「……ミオが早く、この辺境開拓都市クイストに行きたいって言うからお願いを聞いただけ、だってあの子はまだ8歳よ?後二年で成人するとは言えまだ子供だもの、沢山遊ばせてあげたい」
それだけの理由で周りを振り回すのはどうかと思うけど……、だからと言ってそんな甘やかすような事をして良いのかと心配になる。
周りが必要以上に甘やかしてしまうのは良くないと思うし、それが王様となれば尚の事だと思う。
「それなら賢王ミオラーム様は今何をしてるの?」
「……あの子なら、ギルド職員の研修をしている栄花騎士団の人達に安全な滞在先とやらに連れて行かれた、何でも彼等が利用している宿泊施設らしくて防衛設備も整ってるらしい」
「それってもしかして、この診療所の寮の事?」
「そうなの?、何で栄花の精鋭がそんな所を使ってるのか分からないけど面白い所に滞在させるみたいだね……、でも確かに安易にこの都市に立てられた領主館に滞在させるよりも意表を付けるか」
……そんな偉い人を滞在させるのに使うなら一言位、こちらに話をして欲しかったけど、護衛依頼を受ける冒険者からしたら護衛対象の安全を確保する義務があるから、そういう意味では大分前倒しになってしまった気がするけど、既に依頼が始まっていると判断したらどこもおかしい事は無い。
ただ今現在寮にいるだろうスイさんは、突然滞在用の荷物を持って押し掛けてきた賢王ミオラームを見て、理解が追い付かないで慌ててるんだろうなぁって思うと何だかかわいそうな気がしてきた。
確か出身がマーシェンスだったから尚の事だろう。
「それにしてもレース遅い……」
「レースは今カルディア様と魔術の勉強してるから」
「母さんと?、そう……、ならもしかして勉強が終わったらここに二人で帰ってきたりするの?」
「帰って来るけどどうしたの?」
「……それなら私はこれで帰らせて貰う、母さんの近くにはいたくないから」
……フィリアは袋からお土産を取り出してテーブルの上に置くと歩いて玄関に向かう。
それを見て慌てて『カルディア様が、あなたと仲直りしたいって言ってたよ?』と伝えると、その場に少しの間立ち止まって『……今更仲直りって何を考えてるの?ありえない』と私の方を睨みつけた後に、出て行ってしまうのだった。
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