9 / 17
Phrase 8
しおりを挟む
「おい、ひなた大丈夫か…!?
って、この匂い…もしかしてヒートか?」
βのだいきでも分かるほど、濃厚な甘い香りが周囲に漂っていた。
(身体が熱い…苦しい…
助けて、とわさん……)
ハァハァと荒い息を吐く僕を見て、kaiさんが言う。
「今までヒート来たことなかったのか…?
そしたら抑制剤も持ってないよな。
誰か、会場の医療室へ行って抑制剤を貰ってきてくれ!」
「っはい!俺行ってきます!」
だいきはそう言うと、一目散に走っていった。
「わ、私はお水買ってきます!」
りさちゃんも自販機へ駆け出す。
「……ひなた、嘘だと言ってくれ……」
ポツッと頬に何かが落ちた。
不思議に思って顔を上げると――
とわさんが泣いていた。
「……とわ、さん……」
心はとわさんを求めているのに、
身体はkaiさんを欲しがってしまう。
どうして……
なんで………
「……なんでなんだ……
なんでお前ばっか、俺のものを取っていくんだ……」
「に、兄ちゃん落ち着いて……」
(……え?兄ちゃん……?)
今、kaiさん…とわさんのことを兄ちゃんって……?
「kaiさん!とわ先輩!!
抑制剤もらってきました!
お医者さんも連れてきました!」
だいきが白衣を着た男性を連れて戻ってくる。
「……うん、これは完全にヒートだね。
とりあえずこれ飲もうか。」
差し出された水と薬を、震える手で受け取り、ゴクッと飲み込んだ。
⸻
しばらくして、身体は落ち着いてきた。
養護室のソファで休ませてもらっていると、
さっきまでの熱が嘘みたいに引いていく。
「あの……皆さん、ありがとうございます……
まさか僕にヒートが来るなんて……」
そう言い終わる前に――
ギュッ
誰かに強く抱きしめられた。
匂いはとわさんに似ている…
けど、違う。
抱きしめていたのは、kaiさんだった。
「……やっと見つけた。
僕の運命の番。
運命なんて本当にあるんだね。」
とわさんじゃないのに、
なぜか異常なほど落ち着いてしまう自分が怖かった。
「かい、ひなたから離れろ。
ひなたは俺の恋人だ。」
「そうなんだ。
でも運命は僕みたいだよ?
……今すぐにでも首裏噛んで、僕のものにしたい。」
「やめろ!!!!」
パチン
乾いた音が響く。
とわさんがkaiさんの頬を叩いていた。
「……二度とひなたに近づくな、かい。」
そう言うと、kaiさんはニヤッと笑う。
「運命って、そんな簡単に離してくれないと思うけどな~。
……まぁいいや。ひなたくん、聞いて?」
kaiさんは真っ直ぐ僕を見つめた。
「僕は高谷かい。
とわ兄ちゃんの双子の弟だよ。」
(……双子……!?)
マスクをしていたせいか、全然気づかなかった。
匂いが似てるとは思ってたけど……。
「僕が迎えに行くからね。」
そう言い残し、kaiさんは控え室へ戻っていった。
⸻
とわさんに双子の弟がいることも、
その弟が有名ピアニストだなんて、知らなかった。
「……ひなた……」
とわさんが弱々しく僕の手を握る。
「ひなた、ずっと俺の傍にいてくれるか……?」
「……もちろんです、とわさん。」
だいきとりさちゃんがいるのも忘れて、
僕たちは強く抱き合った。
(……でも)
かいさんの方が心地よかったなんて――
口が裂けても言えない……。
って、この匂い…もしかしてヒートか?」
βのだいきでも分かるほど、濃厚な甘い香りが周囲に漂っていた。
(身体が熱い…苦しい…
助けて、とわさん……)
ハァハァと荒い息を吐く僕を見て、kaiさんが言う。
「今までヒート来たことなかったのか…?
そしたら抑制剤も持ってないよな。
誰か、会場の医療室へ行って抑制剤を貰ってきてくれ!」
「っはい!俺行ってきます!」
だいきはそう言うと、一目散に走っていった。
「わ、私はお水買ってきます!」
りさちゃんも自販機へ駆け出す。
「……ひなた、嘘だと言ってくれ……」
ポツッと頬に何かが落ちた。
不思議に思って顔を上げると――
とわさんが泣いていた。
「……とわ、さん……」
心はとわさんを求めているのに、
身体はkaiさんを欲しがってしまう。
どうして……
なんで………
「……なんでなんだ……
なんでお前ばっか、俺のものを取っていくんだ……」
「に、兄ちゃん落ち着いて……」
(……え?兄ちゃん……?)
今、kaiさん…とわさんのことを兄ちゃんって……?
「kaiさん!とわ先輩!!
抑制剤もらってきました!
お医者さんも連れてきました!」
だいきが白衣を着た男性を連れて戻ってくる。
「……うん、これは完全にヒートだね。
とりあえずこれ飲もうか。」
差し出された水と薬を、震える手で受け取り、ゴクッと飲み込んだ。
⸻
しばらくして、身体は落ち着いてきた。
養護室のソファで休ませてもらっていると、
さっきまでの熱が嘘みたいに引いていく。
「あの……皆さん、ありがとうございます……
まさか僕にヒートが来るなんて……」
そう言い終わる前に――
ギュッ
誰かに強く抱きしめられた。
匂いはとわさんに似ている…
けど、違う。
抱きしめていたのは、kaiさんだった。
「……やっと見つけた。
僕の運命の番。
運命なんて本当にあるんだね。」
とわさんじゃないのに、
なぜか異常なほど落ち着いてしまう自分が怖かった。
「かい、ひなたから離れろ。
ひなたは俺の恋人だ。」
「そうなんだ。
でも運命は僕みたいだよ?
……今すぐにでも首裏噛んで、僕のものにしたい。」
「やめろ!!!!」
パチン
乾いた音が響く。
とわさんがkaiさんの頬を叩いていた。
「……二度とひなたに近づくな、かい。」
そう言うと、kaiさんはニヤッと笑う。
「運命って、そんな簡単に離してくれないと思うけどな~。
……まぁいいや。ひなたくん、聞いて?」
kaiさんは真っ直ぐ僕を見つめた。
「僕は高谷かい。
とわ兄ちゃんの双子の弟だよ。」
(……双子……!?)
マスクをしていたせいか、全然気づかなかった。
匂いが似てるとは思ってたけど……。
「僕が迎えに行くからね。」
そう言い残し、kaiさんは控え室へ戻っていった。
⸻
とわさんに双子の弟がいることも、
その弟が有名ピアニストだなんて、知らなかった。
「……ひなた……」
とわさんが弱々しく僕の手を握る。
「ひなた、ずっと俺の傍にいてくれるか……?」
「……もちろんです、とわさん。」
だいきとりさちゃんがいるのも忘れて、
僕たちは強く抱き合った。
(……でも)
かいさんの方が心地よかったなんて――
口が裂けても言えない……。
12
あなたにおすすめの小説
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
『2度目の世界で、あなたと……』 ― 魔法と番が支配する世界で、二度目の人生を ―
なの
BL
Ωとして生まれたリオナは、政略結婚の駒として生き、信じていた結婚相手に裏切られ、孤独の中で命を落とした。
――はずだった。
目を覚ますと、そこは同じ世界、同じ屋敷、同じ朝。
時間だけが巻き戻り、前世の記憶を持つのは自分だけ。
愛を知らないまま死んだ。今度こそ、本物の愛を知り、自ら選び取る人生を生きる。
これは、愛を知らず道具として生きてきたΩが、初めて出会った温もりに触れ、自らの意思で愛を選び直す物語。
「愛を知らず道具として生きてきたΩが転生を機に、
年上αの騎士と本物の愛を掴みます。
全6話+番外編完結済み!サクサク読めます。
欠陥αは運命を追う
豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」
従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。
けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。
※自己解釈・自己設定有り
※R指定はほぼ無し
※アルファ(攻め)視点
【完結】番になれなくても
加賀ユカリ
BL
アルファに溺愛されるベータの話。
新木貴斗と天橋和樹は中学時代からの友人である。高校生となりアルファである貴斗とベータである和樹は、それぞれ別のクラスになったが、交流は続いていた。
和樹はこれまで貴斗から何度も告白されてきたが、その度に「自分はふさわしくない」と断ってきた。それでも貴斗からのアプローチは止まらなかった。
和樹が自分の気持ちに向き合おうとした時、二人の前に貴斗の運命の番が現れた──
新木貴斗(あらき たかと):アルファ。高校2年
天橋和樹(あまはし かずき):ベータ。高校2年
・オメガバースの独自設定があります
・ビッチング(ベータ→オメガ)はありません
・最終話まで執筆済みです(全12話)
・19時更新
※なろう、カクヨムにも掲載しています。
αとβじゃ番えない
庄野 一吹
BL
社交界を牽引する3つの家。2つの家の跡取り達は美しいαだが、残る1つの家の長男は悲しいほどに平凡だった。第二の性で分類されるこの世界で、平凡とはβであることを示す。
愛を囁く二人のαと、やめてほしい平凡の話。
本当にあなたが運命なんですか?
尾高志咲/しさ
BL
運命の番なんて、本当にいるんだろうか?
母から渡された一枚の写真には、ぼくの運命だという男が写っていた。ぼくは、相手の高校に転校して、どんな男なのか実際にこの目で確かめてみることにした。転校初日、彼は中庭で出会ったぼくを見ても、何の反応も示さない。成績優秀で性格もいい彼は人気者で、ふとしたことから一緒にお昼を食べるようになる。会うたびに感じるこの不思議な動悸は何だろう……。
【幼い頃から溺愛一途なアルファ×運命に不信感を持つオメガ】
◆初のオメガバースです。本編+番外編。
◆R18回には※がついています。
🌸エールでの応援ならびにHOTランキング掲載、ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる