8 / 54
(๑><๑) ハーシア15歳♡
08:情報収集
しおりを挟む
両親の乗り気でない様子に「何故?」と問うて「ファクター殿が好きなのか?」と藪蛇になって話を振られては敵わない。ハーシアは友人から茶会の誘いが来ていたのを思い出し、探りを入れてみる事にした。
「セシル家から婚約の申し込みが来たんだけど、どう思う?」
自分なのか、ユリアなのか。そこは伏せて事実だけを友人に伝えてみた。
――あれ?なんでみんな硬直してるの?――
友人にグイっと腕を掴まれ、見知った者ばかりなのにテーブルの中央に全員が顔を集めると急に小声で囁かれた。
「シア、知らなかったの?」
「何を?」
「セシル家の事よ!」
――知らないから聞いてるんだけど?――
「ファクター様は確かにお顔はよろしいんだけどっ!」
「その良さを帳消しにするのがファクター様のお母様よ!」
――あ~解る~。解りみしかないわぁ――
あれはとてもじゃないけど付き合えない。
意地悪とかそんなレベルではなかった。
子離れしていないと言うか、夫にも息子にも完全に依存していて自分のテリトリーを犯す者には容赦しない感じがハーシアにも感じ取れていた。
事あるごとに「これは貴族同士の結婚ですッ!」と言っていたがそんな事はハーシアもよく判っている。だからファクターが1年のほとんどを遠征と告げて家を空ける事も文句を言わなかった。
それだけ息子が家を空けるのに「後継ぎはまだか」と急かしながらもファクターに閨での事を根掘り葉掘り聞こうとしていたのも知っている。
ファクターは「する事はしている」と答えるに留まっていたけれど、母親が息子に「足をこうやって持ち上げて」と閨での女性の体位をどうすれば子が授かりやすいか身振り手振りで示していたのを見た時はゾッとしたものだ。
ファクターの前では良い母親を演じるのに、居なくなると嫌味の嵐。
あれをもう一度体験したいなんてそこまでハーシアに被虐趣味はない。
「それに第3王子派だもの。先はないわね」
「先はないって?」
「これはオフレコなんだけど!」
情報通は色んなことを知っている。
こうやって箝口令を布いたところで話が広がっていくのだなと思いながらハーシアは話に耳を傾けた。
現在王宮では立太子するのは第1王子と決定をしているけれど、揉めているのは補佐となる王弟公、隣国では大公と呼ばれる位置に第2王子、第3王子のどちらが就くか。派閥が争っていたのだ。
王弟公になれなくても、5つある辺境伯のどこかに婿養子、若しくは養子として迎え入れられる事が決まってはいるので、立場としてはどちらも強い発言力がある。
単に王都か、田舎か。その違いだ。
しかし、田舎と言えど隣国に近い分だけ王都よりも早く流行は先取りできるし、申し訳ないがこの国の王都と隣国の副都市を比べると副都市の方が繫栄している国だってある。
事実西の辺境では昔からの友好国が国境を介しているので、ハーシアの知る限り10年後、一番先に鉄道が敷設されるのだ。その便利さは話でしか聞くことはなかったが想像すら出来ない繁栄ぶり。
それまで馬車で片道2カ月、天候次第では3か月かかった道のりを天候に関係なく3日あれば往復可能。黒い煙を吐きながら進む機関車を一度見てみたいと思ったものだ。
遅れているのは東で第3王子が婿入りをしていた記憶のある辺境の地。
ここは王都と比べても考え方が4~5世代ほど違う。国内でも奴隷制度が撤廃された後も根強く残っていた地で選民思想は強いし、男尊女卑も当たり前。
予防なんて言葉も無く、病気になれば医者ではなく祈祷師を呼ぶ地。
職業だって選択の自由なんて言葉だけで実際は世襲ばかり。
なので貴族院の議員も西の地域は代々決まった一族が選ばれている。他の候補者を選ぶと村八分にされるし匿名選挙を行っても一族以外の候補者を誰が投票したのか犯人探しが始まる、そんな地域だった。
第3王子は現在率いている軍隊に支給される資金に使途不明金、そして一部の貴族から帳簿に記載されない賄賂が渡されていると嫌疑がかかり調査をされている。
「第2王子殿下が暴いたそうよ。王弟公は第2王子殿下で決まりね」
勿論非公開なので場にいるハーシアを含む友人7人の中で知っているのは2人だけ。
「なるほど。今第3王子派閥の家と繋がるのはよろしくないって事ね」
「そう言う事。連座でいきなりコレよ。お断りの一択!」
オリビアはコレと言いながら両手の手首を合わせ、捕縛される意味の仕草を見せた。
つまり第3王子は王弟公への道は潰えたに等しく、使途不明金に賄賂まで明らかになれば辺境伯の娘の元に婿入りする事すら危うい。いや、調査が始まった時点でもう詰んでいるのだ。
箝口令が布かれている筈なのに、オリビアたちは知っている。
つまり、第3王子は近いうちに毒杯を賜り、民衆には名誉ある戦死と発表されるのがほぼ決まっているようなもの。
だから両親が渋い顔をして乗り気ではなかったのだな。
ハーシアなりの納得したのだった。
「セシル家から婚約の申し込みが来たんだけど、どう思う?」
自分なのか、ユリアなのか。そこは伏せて事実だけを友人に伝えてみた。
――あれ?なんでみんな硬直してるの?――
友人にグイっと腕を掴まれ、見知った者ばかりなのにテーブルの中央に全員が顔を集めると急に小声で囁かれた。
「シア、知らなかったの?」
「何を?」
「セシル家の事よ!」
――知らないから聞いてるんだけど?――
「ファクター様は確かにお顔はよろしいんだけどっ!」
「その良さを帳消しにするのがファクター様のお母様よ!」
――あ~解る~。解りみしかないわぁ――
あれはとてもじゃないけど付き合えない。
意地悪とかそんなレベルではなかった。
子離れしていないと言うか、夫にも息子にも完全に依存していて自分のテリトリーを犯す者には容赦しない感じがハーシアにも感じ取れていた。
事あるごとに「これは貴族同士の結婚ですッ!」と言っていたがそんな事はハーシアもよく判っている。だからファクターが1年のほとんどを遠征と告げて家を空ける事も文句を言わなかった。
それだけ息子が家を空けるのに「後継ぎはまだか」と急かしながらもファクターに閨での事を根掘り葉掘り聞こうとしていたのも知っている。
ファクターは「する事はしている」と答えるに留まっていたけれど、母親が息子に「足をこうやって持ち上げて」と閨での女性の体位をどうすれば子が授かりやすいか身振り手振りで示していたのを見た時はゾッとしたものだ。
ファクターの前では良い母親を演じるのに、居なくなると嫌味の嵐。
あれをもう一度体験したいなんてそこまでハーシアに被虐趣味はない。
「それに第3王子派だもの。先はないわね」
「先はないって?」
「これはオフレコなんだけど!」
情報通は色んなことを知っている。
こうやって箝口令を布いたところで話が広がっていくのだなと思いながらハーシアは話に耳を傾けた。
現在王宮では立太子するのは第1王子と決定をしているけれど、揉めているのは補佐となる王弟公、隣国では大公と呼ばれる位置に第2王子、第3王子のどちらが就くか。派閥が争っていたのだ。
王弟公になれなくても、5つある辺境伯のどこかに婿養子、若しくは養子として迎え入れられる事が決まってはいるので、立場としてはどちらも強い発言力がある。
単に王都か、田舎か。その違いだ。
しかし、田舎と言えど隣国に近い分だけ王都よりも早く流行は先取りできるし、申し訳ないがこの国の王都と隣国の副都市を比べると副都市の方が繫栄している国だってある。
事実西の辺境では昔からの友好国が国境を介しているので、ハーシアの知る限り10年後、一番先に鉄道が敷設されるのだ。その便利さは話でしか聞くことはなかったが想像すら出来ない繁栄ぶり。
それまで馬車で片道2カ月、天候次第では3か月かかった道のりを天候に関係なく3日あれば往復可能。黒い煙を吐きながら進む機関車を一度見てみたいと思ったものだ。
遅れているのは東で第3王子が婿入りをしていた記憶のある辺境の地。
ここは王都と比べても考え方が4~5世代ほど違う。国内でも奴隷制度が撤廃された後も根強く残っていた地で選民思想は強いし、男尊女卑も当たり前。
予防なんて言葉も無く、病気になれば医者ではなく祈祷師を呼ぶ地。
職業だって選択の自由なんて言葉だけで実際は世襲ばかり。
なので貴族院の議員も西の地域は代々決まった一族が選ばれている。他の候補者を選ぶと村八分にされるし匿名選挙を行っても一族以外の候補者を誰が投票したのか犯人探しが始まる、そんな地域だった。
第3王子は現在率いている軍隊に支給される資金に使途不明金、そして一部の貴族から帳簿に記載されない賄賂が渡されていると嫌疑がかかり調査をされている。
「第2王子殿下が暴いたそうよ。王弟公は第2王子殿下で決まりね」
勿論非公開なので場にいるハーシアを含む友人7人の中で知っているのは2人だけ。
「なるほど。今第3王子派閥の家と繋がるのはよろしくないって事ね」
「そう言う事。連座でいきなりコレよ。お断りの一択!」
オリビアはコレと言いながら両手の手首を合わせ、捕縛される意味の仕草を見せた。
つまり第3王子は王弟公への道は潰えたに等しく、使途不明金に賄賂まで明らかになれば辺境伯の娘の元に婿入りする事すら危うい。いや、調査が始まった時点でもう詰んでいるのだ。
箝口令が布かれている筈なのに、オリビアたちは知っている。
つまり、第3王子は近いうちに毒杯を賜り、民衆には名誉ある戦死と発表されるのがほぼ決まっているようなもの。
だから両親が渋い顔をして乗り気ではなかったのだな。
ハーシアなりの納得したのだった。
2,437
あなたにおすすめの小説
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう
音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。
幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。
事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。
しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。
己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。
修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる