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酔っぱらう騎士①
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「お客さん、そろそろ看板なんですが」
「うるせぇっ。ほっといてくれッ」
「放っておきたいのはこっちも同じなんですが、看板なんですよ」
「んぁ?‥‥看板…ンフゥー…」
何本ものワインの空き瓶が転がるテーブルに突っ伏していたジークヴァルトは焦点の定まらない目で周りをゆっくりと眺めると、「ふぅー」一つ酒臭い息を吐いた。
おもむろにポケットから数枚の硬貨を取り出しテーブルに置く。
店主はその中から必要な分だけを手に取り、残りをジークヴァルトの胸ポケットの中に入れた。
「大丈夫ですか?厩務番を付けましょうか?」
「んー…いらね…歩けるッ。俺は酔ってないッ」
帝国を守る第三騎士団に所属しているジークヴァルトは酒場に来る際に、勤務の帰りだったのだろう。愛馬を酒場の厩舎に預けていた。
大抵は部下となる騎士や、それぞれの家からの従者が迎えにやって来るのだが店主も顔なじみなジークヴァルトはセコダリー侯爵家次男坊である。
長兄ハルステットが家督を継いだが、ジークヴァルトは貴族籍を抜け平民となり、安いアパートメントで一人暮らしをしているため、従者はいないし部下と言ってもジークヴァルトそのものが下から数えて片手の指で足りる順番なのだから部下がいる筈もない。
――いつもこんなに飲む人じゃないのになぁ。可哀想に――
店主は女将と共に呆れてジークヴァルトに肩を貸して店の外に出した。
「気を付けて帰ってくださいよ!」
声をかけた店主にジークヴァルトは片手で手綱を持ち、空いた手を軽く上げると背中で返事をした。
「うるせぇっ。ほっといてくれッ」
「放っておきたいのはこっちも同じなんですが、看板なんですよ」
「んぁ?‥‥看板…ンフゥー…」
何本ものワインの空き瓶が転がるテーブルに突っ伏していたジークヴァルトは焦点の定まらない目で周りをゆっくりと眺めると、「ふぅー」一つ酒臭い息を吐いた。
おもむろにポケットから数枚の硬貨を取り出しテーブルに置く。
店主はその中から必要な分だけを手に取り、残りをジークヴァルトの胸ポケットの中に入れた。
「大丈夫ですか?厩務番を付けましょうか?」
「んー…いらね…歩けるッ。俺は酔ってないッ」
帝国を守る第三騎士団に所属しているジークヴァルトは酒場に来る際に、勤務の帰りだったのだろう。愛馬を酒場の厩舎に預けていた。
大抵は部下となる騎士や、それぞれの家からの従者が迎えにやって来るのだが店主も顔なじみなジークヴァルトはセコダリー侯爵家次男坊である。
長兄ハルステットが家督を継いだが、ジークヴァルトは貴族籍を抜け平民となり、安いアパートメントで一人暮らしをしているため、従者はいないし部下と言ってもジークヴァルトそのものが下から数えて片手の指で足りる順番なのだから部下がいる筈もない。
――いつもこんなに飲む人じゃないのになぁ。可哀想に――
店主は女将と共に呆れてジークヴァルトに肩を貸して店の外に出した。
「気を付けて帰ってくださいよ!」
声をかけた店主にジークヴァルトは片手で手綱を持ち、空いた手を軽く上げると背中で返事をした。
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