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VOL:3 表の顔と裏の顔
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人には誰でも表の顔と裏の顔がある。
眉目秀麗、容姿端麗、智勇兼備。
そう言われているコナー伯爵家のリヒトにも当然常日頃は出さない顔もある。
父親は若い頃には宰相候補と言われたが、元王女を娶った事で権力が一部に偏る事を懸念して総務副大臣となった。母親は傾国の美女とも言われた美人、各国からの申し出が後を絶たなかったが要らぬ争いを好まなかった前国王は他国に嫁がせずにコナー家に嫁がせた。
そんな両親を持つリヒト。
コナー伯爵家の次期当主として幼少期から家庭教師が付き、庭で弟妹が遊ぶ声を聞きながら勉学に剣術。基礎があった事からその後は何をやらせても同年代の子供と比べれば一歩抜きんでていた。
経営など判らない事があっても、副大臣の父親に聞けば丁寧に教えてくれるし、物心ついた時には父親の仕事も覗き見て覚えてしまった。
賢い所もあるが、どこか要領の良い子。
モラルを教えていた講師だけはリヒトを「歪んだ子」と評価した。
そんなリヒトが特に打ち込んだのは剣術。上手くなっても上には上がいて若い時は力があっても年老いた騎士の「技」にはリヒトは勝てず、ムキになった面もある。それが功を奏したのか今は近衛騎士となった。
傾国の美女と呼ばれた母親の容貌を受け継いだリヒトの顔面偏差値は非常に高く、ともすれば化粧をした女性よりも素嬪のリヒトの方が美しいとさえ言われた。
家格も申し分なく、借金など無縁。その上で美丈夫の将来有望な近衛騎士となれば女性が放っておくはずもない。リヒトは自分から申し出なくても女性に困った事は一度も無かった。
恋人と呼ぶ令嬢とサヨナラしても、その場で次の恋人が出来る。
「自慢するような子は嫌いなんだ。僕はアクセサリーじゃないからね」
そう言えば令嬢達の口は貝になる。
実は自分がリヒトの恋人なのだという優越感に浸れることもあって、両手両足の数では到底足らない令嬢達を恋人にしていったリヒト。
会うのもお忍びのようなデートは背徳感さえ感じ、誘われた令嬢は1人で盛り上がる。リヒトはそんな令嬢を間近で見られる特等席で堪能し、次々に捨てていった。
半世紀ほど前に貴族の結婚は改革があった。それまで厳しく「絶対」だった純潔は、結婚するにあたって純潔である必要は無くなり貞操観念も薄れた令嬢たちはリヒトが望めば体を許してくれた。関係を持つにあたって「失敗」をした事がないリヒトは14歳で女性の体を知り、若干20歳で「飽きて」しまった。
表向き、真面目であれば何処かでガス抜きをせねば帳尻は合わない。
リヒトは高位貴族である公爵家、侯爵家の子女と「ガス抜き」する為の付き合いを始めた。
彼らもまた家の名に恥じぬようにと幼少期から厳しい教育に躾をされていて、息をする場を求めていた。
馬鹿ではないので非合法な事をすれば何もかも失うリスクを知っている。
生まれた時から使用人がいる生活を「する側」である利権を手放すような愚かな事はしない。
数々の令嬢達を弄んでも合意の上であり、令嬢達もまんざらではない下心がある。
別れの言葉は単純で「結婚しようか」と言えば令嬢の方から離れていく。
順風満帆な伯爵夫人となり、隣には美丈夫な夫がいて生活にも困らないとなれば諸手を挙げて頷きそうなものだが、令嬢達は「結婚」の言葉で現実を見る。
伯爵家とは言え、義両親はもれなく付いてくるし、リヒトの母親は元王女。リヒトの伯父が国王なのであるから絶対に間違いが許されない立ち振る舞いが要求される針の筵のような生活はごめんである。
結果「リヒトは観賞用」「恋愛と結婚は別物」とする方が精神衛生上好ましいと判断をして別れを切り出しても揉めた事も無い。
姑息なリヒトはマナーやモラルに問題はあっても違法ではない遊びを楽しんでいた。
眉目秀麗、容姿端麗、智勇兼備。
そう言われているコナー伯爵家のリヒトにも当然常日頃は出さない顔もある。
父親は若い頃には宰相候補と言われたが、元王女を娶った事で権力が一部に偏る事を懸念して総務副大臣となった。母親は傾国の美女とも言われた美人、各国からの申し出が後を絶たなかったが要らぬ争いを好まなかった前国王は他国に嫁がせずにコナー家に嫁がせた。
そんな両親を持つリヒト。
コナー伯爵家の次期当主として幼少期から家庭教師が付き、庭で弟妹が遊ぶ声を聞きながら勉学に剣術。基礎があった事からその後は何をやらせても同年代の子供と比べれば一歩抜きんでていた。
経営など判らない事があっても、副大臣の父親に聞けば丁寧に教えてくれるし、物心ついた時には父親の仕事も覗き見て覚えてしまった。
賢い所もあるが、どこか要領の良い子。
モラルを教えていた講師だけはリヒトを「歪んだ子」と評価した。
そんなリヒトが特に打ち込んだのは剣術。上手くなっても上には上がいて若い時は力があっても年老いた騎士の「技」にはリヒトは勝てず、ムキになった面もある。それが功を奏したのか今は近衛騎士となった。
傾国の美女と呼ばれた母親の容貌を受け継いだリヒトの顔面偏差値は非常に高く、ともすれば化粧をした女性よりも素嬪のリヒトの方が美しいとさえ言われた。
家格も申し分なく、借金など無縁。その上で美丈夫の将来有望な近衛騎士となれば女性が放っておくはずもない。リヒトは自分から申し出なくても女性に困った事は一度も無かった。
恋人と呼ぶ令嬢とサヨナラしても、その場で次の恋人が出来る。
「自慢するような子は嫌いなんだ。僕はアクセサリーじゃないからね」
そう言えば令嬢達の口は貝になる。
実は自分がリヒトの恋人なのだという優越感に浸れることもあって、両手両足の数では到底足らない令嬢達を恋人にしていったリヒト。
会うのもお忍びのようなデートは背徳感さえ感じ、誘われた令嬢は1人で盛り上がる。リヒトはそんな令嬢を間近で見られる特等席で堪能し、次々に捨てていった。
半世紀ほど前に貴族の結婚は改革があった。それまで厳しく「絶対」だった純潔は、結婚するにあたって純潔である必要は無くなり貞操観念も薄れた令嬢たちはリヒトが望めば体を許してくれた。関係を持つにあたって「失敗」をした事がないリヒトは14歳で女性の体を知り、若干20歳で「飽きて」しまった。
表向き、真面目であれば何処かでガス抜きをせねば帳尻は合わない。
リヒトは高位貴族である公爵家、侯爵家の子女と「ガス抜き」する為の付き合いを始めた。
彼らもまた家の名に恥じぬようにと幼少期から厳しい教育に躾をされていて、息をする場を求めていた。
馬鹿ではないので非合法な事をすれば何もかも失うリスクを知っている。
生まれた時から使用人がいる生活を「する側」である利権を手放すような愚かな事はしない。
数々の令嬢達を弄んでも合意の上であり、令嬢達もまんざらではない下心がある。
別れの言葉は単純で「結婚しようか」と言えば令嬢の方から離れていく。
順風満帆な伯爵夫人となり、隣には美丈夫な夫がいて生活にも困らないとなれば諸手を挙げて頷きそうなものだが、令嬢達は「結婚」の言葉で現実を見る。
伯爵家とは言え、義両親はもれなく付いてくるし、リヒトの母親は元王女。リヒトの伯父が国王なのであるから絶対に間違いが許されない立ち振る舞いが要求される針の筵のような生活はごめんである。
結果「リヒトは観賞用」「恋愛と結婚は別物」とする方が精神衛生上好ましいと判断をして別れを切り出しても揉めた事も無い。
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