侯爵様、契約妻ではなくレンタル奥様です

cyaru

文字の大きさ
3 / 47

第03話  赤字は続くよ。どこまでも

しおりを挟む
その夜、イクル子爵では外に働きに出ている兄ケインと、遠くの街まで家具の引き取りに出ていたイクル子爵、そしてリサの3人はスープと固いパンだけの夕食を取っていた。

「もう商会を畳んだらどうだ?経理の仕事でも貰えば食うだけは出来るだろう?」

「そうね。慰謝料のお金もそのまま手付かずだし、今だったら従業員の皆に半月の給料として手渡せば借金無しで済むわよ?」

「ダメだ。回収商会が無くなれば困る人が出る。商売は続けなきゃならん」

「親父、頭固いぞ。そんな事言ってもだな?売り上げもほとんどないんだ。回収がしたいなら買い取りじゃなくて回収費用を貰うように転換しろよ。従業員だってこのままじゃ雇えないんだ。現実を見ろよ」

商会を畳むにしても回収場となっている庭や倉庫は買い取りしてきた品で溢れかえっている。処分費を捻出するなら土地を売ってペイ出来そうな量の今、決断するしかなかった。



粗末な食事を終え、テーブルに広げたのは伝票と帳簿。
今日買い取ってきた品を書き記し、買い取り価格も記入するとまた残高は少なくなった。

ボヤくリサに帳簿を覗き込んできた兄ケインもボヤく。

「リユースの家具が以前のように売れてくれればまだいいんだけどなぁ。誰かドーンと買ってくれないかしら」

「今時中古の家具とか買う奴はいないさ。買う奴がいるとすればシンクだったりの厨房機器くらいじゃないか?」

「そうなのよね。厨房機器は特殊だから部品売りでも買いたいって人はいるんだけど、他がサッパリ。それにそろそろ教会からもバザーで売れ残った衣類も買い取ってくれと言ってくるわ」

「衣類か。選別しないとウェスにも出来ないからな。教会もアコギなことするよな。無償で提供された品から売れそうなモノだけ売って、襤褸切れはウチに買い取らせるんだからさ」

「寄付よ。神父様もウチの内情は知っているから買取価格を寄付でいいって言ってくださってるし」

「で、割増で買い取ってるんだろ?なら寄付だけして買取じゃなく有料回収にすりゃいいのさ」

「兄さん。簡単に言わないで。教会が絡むと面倒なのよ」


帳簿と睨めっこをしても数字が変わる訳でなく、投げやりな気分も加わったケインは冗談半分にリサに言う。

「どっか金持ちの後妻にでも行くか?」

テーブルをバン!と叩いてイクル子爵が怒鳴った。

「馬鹿な事を言うな!」

「じょ、冗談だよ。マジにすんなって」

リサに全く非がないとは言え婚約破棄になって傷物扱いになってしまったことに心を痛めているイクル子爵はケインを𠮟りつけた。

「リサは好いた男がいればそこに嫁げばいい。家の事や金で決めるな」

「解ってるよ。怒んなって。なんでもガチに受け取るなよな」

「言っていい事と悪いことがある。仮にも妹なんだぞ?」

「へぇへぇ。先、湯浴びて来るわ」

イクル子爵がムッと機嫌を悪くした事にケインは軽く手をあげ湯殿のある廊下を歩いて行った。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

【完結】冷酷陛下はぬいぐるみ皇妃を手放せない~溺愛のツボはウサギの姿?それとも人間(中身)の私?~

りんりん
恋愛
「これが私ということですか? まさか冗談ですよね」 レイン様との初めての夜。 私は鏡の中の自分にかわいた笑い声をあげた。 真っ白なフワフワの身体。 丸い虹色の瞳。 なぜか私はお父様からいただいたぬいぐるみの姿になっていたからだ。 「何を企んでいるんだ。魔法でぬいぐるみになって、俺の寝首をかくつもりなのか」 レイン様は凍り付いた瞳を私にむけた。 レイン様の正式な名前はレイン・ファン・バルバドで、バルバド帝国の若き皇帝陛下でもある。 冷酷な事でしられるレイン様の二つ名は【血の雨】という。 そんな美しくも恐ろしい皇帝陛下にウサギ村の貧乏令嬢である 従姉妹に婚約者を奪われた私はひょんな事から嫁ぐことになった。 私はお金の為に。 陛下は政治的な立場をまもるための契約結婚だったけれど。 「皇妃がウサギになった事がばれるときっと大騒ぎになるだろう。 しばらくは俺達だけの秘密にしておくんだ」 そう言ってレイン様は私をポショットにいれて連れ歩く事にした。 貴族会議や公務にともなわれた私がポショットの中から見たのは、 レイン様の孤独や思いがけない温かさだった。 そしていつしかぬいぐるみの分際で、皇帝陛下を愛し始めていたのだ。 レイン様のお役に立ちたい。 その一心で聖獣ラビと契約を交わし不思議な魔法を使えるようにも なった。 なのにレイン様の反勢力派に捕らえられてしまう。 私はレイン様の弱みになりたくなかった。 だから彼らと一緒にこの世から消えるつもりだったのに。 騎士達を率いたレイン様が反勢力のアジトへ突入してきたのだ。 これは私、キャンディラビットがぬいぐるみになって冷酷皇帝陛下レイン様に溺愛される、ちょっと不思議なお話です。 (土曜日曜の二日間で一気に完結まで更新いたしますので、安心してお楽しみください。 よろしくお願いいたします)

溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~

紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。 ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。 邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。 「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」 そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。

「愛さない」と告げるあなたへ。ほか【異世界恋愛短編集】

みこと。
恋愛
逆境を跳ね返すヒロインたち! 異世界恋愛を中心としたお話を「短編集」としてまとめました。コメディ、ダーク、いろいろ取り揃えています。章ごとに独立したお話なので、お好きなタイトルからお楽しみください。 『「愛さない」と告げるあなたへ。奇遇ですね? 私もです。』『おっとり令嬢ですが、婚約破棄なら受けて立ちましょう!』『ある公爵家における、父親の苦悩~娘が突然「婚約破棄」されたらしい』『嘘つき彼女がドレスを脱いだら』『わたくし、恋する相手を盛大に間違えていました。〜婚約していた王子殿下が、私を嵌めようとした結果。』他、順次、更新していきます。 ※他サイトでも各タイトルで掲載中。 ※表紙は楠結衣様にご制作いただきました。有難うございます!

とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件

紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、 屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。 そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。 母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。 そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。 しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。 メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、 財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼! 学んだことを生かし、商会を設立。 孤児院から人材を引き取り育成もスタート。 出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。 そこに隣国の王子も参戦してきて?! 本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡ *誤字脱字多数あるかと思います。 *初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ *ゆるふわ設定です

不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。

猫宮乾
恋愛
 再婚した父の元、継母に幽閉じみた生活を強いられていたマリーローズ(私)は、父が没した事を契機に、結婚して出ていくように迫られる。皆よりも遅く夜会デビューし、結婚相手を探していると、第一王子のフェンネル殿下が政略結婚の話を持ちかけてくる。他に行く場所もない上、自分の未来を切り開くべく、同意したマリーローズは、その後後宮入りし、正妃になるまでは婚約者として過ごす事に。その内に、フェンネルの優しさに触れ、溺愛され、幸せを見つけていく。※pixivにも掲載しております(あちらで完結済み)。

女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る

小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」 政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。 9年前の約束を叶えるために……。 豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。 「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。 本作は小説家になろうにも投稿しています。

殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!

さら
恋愛
 王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。  ――でも、リリアナは泣き崩れなかった。  「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」  庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。  「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」  絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。  「俺は、君を守るために剣を振るう」  寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。  灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

処理中です...