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第04話 違う、違う、客じゃな~い
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翌日、いつもと変わらぬ朝が来た。
その日もイクル子爵は昨日ほどではないが、買い取りを頼まれている家具の引き取りに朝早くから3人の従業員と共に出かけて行った。
ケインも仕事に出掛けて行くとリサは「今日こそ門の周囲を片付けよう」と家の中の掃除を簡単に済ませ、腕まくりをしながら外に出た。
「リサちゃーん。お客さーん!」
「お客様?家具を買いに来たのかしら」
従業員の声がする方を見れば、立派な馬車が1台停車している。
遠目からでも馬車を引く馬の毛並みが艶々なのが判る。
――いい飼い葉食んでるのね!――
リサに向かって「こっちだよ」と手を振る従業員の隣には黒い上着に黒いシルクハットの男性が1人。
――沢山買ってくれそう!お金持ちっぽいわ!――
久しぶりに家具が売れると思いリサは身だしなみをチェックすると従業員の元に掛けて行き、やってきた客にペコリと頭を下げて挨拶をした。
「イクル商会のリサと申します。本日はどのような品をお探しでしょうか」
「申し訳ございません。別件で御座います」
――え?客じゃない?違うの?――
客でないとすれば詐欺師?
いやいや、見るからに金を持ってなさそうな家に時間を割くくらいなら他家をあたるはず。
だったら…
――土地転がしの地上げ屋?!――
いやいや、この辺りを再開発するなんて話は全く聞こえては来ない。
むしろ再開発区域にでもなってくれれば立退料もらって商売を畳むのに。
リサは自分には聞こえてこないだけ??と考えた。
だとすれば、ゴネ得なんて大嘘だ。再開発は国の事業。ちょっとだけ駆け引きをして最高値を引き出したところで抜けるのがお得。最後までゴネたら強制退去になって住む家も失ってしまうものだ。
――何事も塩梅って必要なのよね。よし、来い!地上げ屋!――
リサの中で地上げ屋認定をされてしまったスティルはにこやかに話しかけてきた。
「私はカモク侯爵家の執事をしておりますスティルと申します。先代様からイクル子爵殿に頼みが御座いまして参った次第です」
「侯爵様の?どうしましょう。父は所用で早朝に出てしまいましたので帰りが夕方になるのです。私で良ければお話を伺いますが」
「お嬢様でも結構です。何と言っても…主役はお嬢様ですから」
「へっ?私っ?‥‥し、失礼しましたっ」
まさか自分に用があったとは思ってもみなかったリサは素っ頓狂な声をだしてしまい直ぐに詫びたが、よくよく考えると父ではなく自分?もう一度スティルを見て、自分を指さすと「うんうん」頷いていた。
用があるのはリサにだとしても残念だ。
――なぁんだ。お客様じゃないのかぁ――
先ほどまでのやる気は銀河の彼方に飛んでいった。
その日もイクル子爵は昨日ほどではないが、買い取りを頼まれている家具の引き取りに朝早くから3人の従業員と共に出かけて行った。
ケインも仕事に出掛けて行くとリサは「今日こそ門の周囲を片付けよう」と家の中の掃除を簡単に済ませ、腕まくりをしながら外に出た。
「リサちゃーん。お客さーん!」
「お客様?家具を買いに来たのかしら」
従業員の声がする方を見れば、立派な馬車が1台停車している。
遠目からでも馬車を引く馬の毛並みが艶々なのが判る。
――いい飼い葉食んでるのね!――
リサに向かって「こっちだよ」と手を振る従業員の隣には黒い上着に黒いシルクハットの男性が1人。
――沢山買ってくれそう!お金持ちっぽいわ!――
久しぶりに家具が売れると思いリサは身だしなみをチェックすると従業員の元に掛けて行き、やってきた客にペコリと頭を下げて挨拶をした。
「イクル商会のリサと申します。本日はどのような品をお探しでしょうか」
「申し訳ございません。別件で御座います」
――え?客じゃない?違うの?――
客でないとすれば詐欺師?
いやいや、見るからに金を持ってなさそうな家に時間を割くくらいなら他家をあたるはず。
だったら…
――土地転がしの地上げ屋?!――
いやいや、この辺りを再開発するなんて話は全く聞こえては来ない。
むしろ再開発区域にでもなってくれれば立退料もらって商売を畳むのに。
リサは自分には聞こえてこないだけ??と考えた。
だとすれば、ゴネ得なんて大嘘だ。再開発は国の事業。ちょっとだけ駆け引きをして最高値を引き出したところで抜けるのがお得。最後までゴネたら強制退去になって住む家も失ってしまうものだ。
――何事も塩梅って必要なのよね。よし、来い!地上げ屋!――
リサの中で地上げ屋認定をされてしまったスティルはにこやかに話しかけてきた。
「私はカモク侯爵家の執事をしておりますスティルと申します。先代様からイクル子爵殿に頼みが御座いまして参った次第です」
「侯爵様の?どうしましょう。父は所用で早朝に出てしまいましたので帰りが夕方になるのです。私で良ければお話を伺いますが」
「お嬢様でも結構です。何と言っても…主役はお嬢様ですから」
「へっ?私っ?‥‥し、失礼しましたっ」
まさか自分に用があったとは思ってもみなかったリサは素っ頓狂な声をだしてしまい直ぐに詫びたが、よくよく考えると父ではなく自分?もう一度スティルを見て、自分を指さすと「うんうん」頷いていた。
用があるのはリサにだとしても残念だ。
――なぁんだ。お客様じゃないのかぁ――
先ほどまでのやる気は銀河の彼方に飛んでいった。
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