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第39話 地下の2人に面会人
成果は本来望んだものではなかったけれど、議長と王太子クリスティアンはピチャピチャと歩くたびに音のする地下牢を歩きながら目当ての部屋に向かった。
そこには鎖で両手を縛られて壁に張り付けられているエリアスと、襤褸雑巾のようになったパンディトンが転がされていた。
「義兄上、なんとも憐れな。議長に心からの許しを乞えば僕がとりなしてあげますよ?」
クリスティアンの言葉に垂れていた首がゆっくりと持ち上がるとエリアスはクリスティアンに向けて「ぺっ!」唾を吐きかけた。この状態で出来る唯一の攻撃だった。
「いいんですか?可愛い義弟にそんな事をして。慰み者になる所を助けてあげたのに」
「貴様に義兄と呼ばれる筋合いはない。何より貴様を義弟として認めることはないッ」
「面白い事を言う。義兄上は立場を弁えていない。イメルダに立場を弁えろと仰ってましたよね?確かにあの女は義兄上の言う通りだ。でも、義兄上もですよ?今の立場、解ってます?」
クリスティアンはそういいながらエリアスの胸から臍に向かって指を這わせた。
男色で美丈夫を愛でたい議長はニマニマと笑い、舌なめずり。
「何とも美丈夫の苦悶に歪む顔はそそられる。成長するごとに私好みになってくれてうれしいよ。男は30を超えてからが味わい深い。たっぷり可愛がってあげましょう」
両手を鎖でつながれて万歳の形になっているため、力を入れたり抜いたりするために顕著に動きがみられるエリアスの腋に顔を近づけた議長はエリアスの香りを吸い込み始め、堪能すると蛇のようにチョロチョロと舌先を体に這わせ始める。
屈辱と苦悶に顔を歪めたエリアスの顎を手で支えるようにしてクリスティアンは勝ち誇ったように言葉を続けた。
「今なら僕への行いを反省し、グラシアナを差し出せば公爵としてこれからも生きていけるんです。賢明な義兄上ならどんな返事をすればいいか判りますよね」
「何度も言うが考えを変える気はない。一生阿婆擦れで自分を慰めているのがお前にはお似合いだ」
「そんな事、言っていいのかな?また襤褸雑巾が床を掃除する事になるけど?」
ちらりと床に転がるパンディトンに視線を流し、再度エリアスを見たクリスティアンは喉を鳴らしくつくつと笑った。
★~★
クリスティアンはグラシアナに会いたい、話をしたい。そうすれば解ってもらえると信じてやまない。21年も婚約者をしていたのだから、そう簡単に離れられるはずもないしそもそも・・・怪我をしたのも記憶を失ったのも「軽い悪戯」であって決して悪気はない。
時間が経てば経つほどに思うのだ。
【そんなに頑なに怒らなくてもいいじゃないか】
失われた記憶はもう戻らなくていい。
まっさらな紙に新しく文字や絵を描くようにクリスティアンとの甘い生活だけを描いて行けばいい。
議長はクリスティアンに言った。
『あなたの役目はその血を後世に残す事です』と。
しかし、機能しないのだ。特にイメルダを見ると通常以上に委縮してしまって気分も乗らない。そんなクリスティアンに副議長が言った。
『練習だと思えばいいのです』
議会が欲しているのはクリスティアンの子供であって、この際相手はイメルダでも構わない。現役を退き、老後と言ういつ終わるかは神のみぞ知る立場になっても次の国王、その次の国王と飼い馴らせば甘い汁は吸い続けられる。
王家の存続だけが国民に余計な事を考えさせない事なのだから何としてもクリスティアンの子供が必要だった。
既に第2王子、第3王子にも子は生まれているが、これまでの慣習通り王家からの籍を抜いた王子の子なので民衆は興味がないし、王族と認めていない。
議会としてはイメルダとの間に子供が出来た所で問題はない。
むしろ懐妊する事の方が大事でそのためにはクリスティアンに餌が必要だった。
直ぐに食いついたクリスティアンは腰を振り続けた。
議会が考えるのはこれで当面は大丈夫だが継続させるにはグラシアナが必要だった。
出産で儚くなる女性の数は決して少なくない。同じように子供がもう大丈夫と言われる年齢に成長するにも備えはあった方がいい。
血統馬の種付けで「当て馬」がある。その気にさせるために必要な当て馬が必要だった。
その上で、外交的に使い物にならない妃をラインナップさせても仕方がない。
記憶がないだけで素地はあるのだからグラシアナに急ぎ教育をして叩きこみ、なんとか形だけでも取り繕いたい。そんな狙いがあった。
クリスティアンがグラシアナに思いを寄せているのは議長たちも知っていて、それを利用した。
利用されているとも知らず、クリスティアンは議長たちの思うように動いてくれた。
クリスティアンは3日に1度先触れを出して面会を要請した。
それらは全て今、目の前で成す術もなく議長に体を舐められるエリアスによって遮られてきた。
ただエリアスを傷つけるのは議長から許可が出なかった。
だから手負の虎ならぬ、満身創痍の熊となっても剣を振り続け、最後は両足を撃ち抜かれて倒れたパンディトンをエリアスの目の前で散々に痛めつけた。
そのうち物言わぬ骸になるだろうが、クリスティアンにしてみればパンディトンも憎悪の対象。愛しいグラシアナを抱いて移動椅子に乗せた。
クリスティアンですらグラシアナにはエスコートの際に手しか触れた事が無い。しかもその手には手袋があり直接肌に触れる事は許されていなかったのに、パンディトンは服越しとは言えグラシアナを抱いた。
激しい嫉妬と憎悪。それだけでも許せないのに議場の騒ぎに駆け付けたクリスティアンの目に映ったのはパンディトンは腕にグラシアナを座らせていた姿。
バランスを取るためにグラシアナの腕がパンディトンの首に回されていた。
パンディトンに罰を与える時、クリスティアンはその腕を何度も鞭で打った。しなった鞭はパンディトンのあらゆる部分を打ち据え、見ていた騎士に「殿下、ここまでです!」強制的に止められるまでクリスティアンは笑いながら何度も鞭で打ち据えた。
翌日パンディトンの体も顔も元の大きさより腫れあがっていた。
計画では議会に逆らえないエリアスは呼び出された事で観念し、グラシアナを大人しく差し出す。その後にエリアスとグラシアナには薬を盛る。
戦地で兵士たちの士気を鼓舞するために使用する薬は依存性が高い。薬欲しさに何でもすると大の男が泣いて懇願するくらいに人間性も変わる。
エリアスは初期の禁断症状が出た所で屋敷に戻す。そして公爵と言う立場で公私ともに身も心も議長に傾倒させる。グラシアナも同様に症状が出始めたらクリスティアンが軟禁をする。
そこでグラシアナはクリスティアンに愛され、クリスティアンの子供を産む。
誰も痛い思いをせずに快楽に溺れるだけの未来が待つ計画だったのに失敗をした。
エリアスが手に入るとご満悦の議長だが、クリスティアンにしてみれば肝心のグラシアナが居なければ失敗と同じだった。
議長たちの思うがままに操られているとも知らず、手元にグラシアナがいない事に怒りが込み上げてきたクリスティアンはパンディトンの体を踏みつけた。
――そうだ、いいこと思いついた――
クリスティアンはふと思いついた計画に「僕って天才なんじゃ?」心が躍った。
ぐりぐりとパンディトンを踏みつける足を捩じりながら、余りにも素晴らしい考えが天から降りてきたと感じる。
「議長、戻ろう」
エリアスの首を舐め回していた議長に声をかけると颯爽と来た道を引き返して行く。
小走りになったクリスティアンの足が進む度に床に溜まった水が勢いよく跳ねた。
そこには鎖で両手を縛られて壁に張り付けられているエリアスと、襤褸雑巾のようになったパンディトンが転がされていた。
「義兄上、なんとも憐れな。議長に心からの許しを乞えば僕がとりなしてあげますよ?」
クリスティアンの言葉に垂れていた首がゆっくりと持ち上がるとエリアスはクリスティアンに向けて「ぺっ!」唾を吐きかけた。この状態で出来る唯一の攻撃だった。
「いいんですか?可愛い義弟にそんな事をして。慰み者になる所を助けてあげたのに」
「貴様に義兄と呼ばれる筋合いはない。何より貴様を義弟として認めることはないッ」
「面白い事を言う。義兄上は立場を弁えていない。イメルダに立場を弁えろと仰ってましたよね?確かにあの女は義兄上の言う通りだ。でも、義兄上もですよ?今の立場、解ってます?」
クリスティアンはそういいながらエリアスの胸から臍に向かって指を這わせた。
男色で美丈夫を愛でたい議長はニマニマと笑い、舌なめずり。
「何とも美丈夫の苦悶に歪む顔はそそられる。成長するごとに私好みになってくれてうれしいよ。男は30を超えてからが味わい深い。たっぷり可愛がってあげましょう」
両手を鎖でつながれて万歳の形になっているため、力を入れたり抜いたりするために顕著に動きがみられるエリアスの腋に顔を近づけた議長はエリアスの香りを吸い込み始め、堪能すると蛇のようにチョロチョロと舌先を体に這わせ始める。
屈辱と苦悶に顔を歪めたエリアスの顎を手で支えるようにしてクリスティアンは勝ち誇ったように言葉を続けた。
「今なら僕への行いを反省し、グラシアナを差し出せば公爵としてこれからも生きていけるんです。賢明な義兄上ならどんな返事をすればいいか判りますよね」
「何度も言うが考えを変える気はない。一生阿婆擦れで自分を慰めているのがお前にはお似合いだ」
「そんな事、言っていいのかな?また襤褸雑巾が床を掃除する事になるけど?」
ちらりと床に転がるパンディトンに視線を流し、再度エリアスを見たクリスティアンは喉を鳴らしくつくつと笑った。
★~★
クリスティアンはグラシアナに会いたい、話をしたい。そうすれば解ってもらえると信じてやまない。21年も婚約者をしていたのだから、そう簡単に離れられるはずもないしそもそも・・・怪我をしたのも記憶を失ったのも「軽い悪戯」であって決して悪気はない。
時間が経てば経つほどに思うのだ。
【そんなに頑なに怒らなくてもいいじゃないか】
失われた記憶はもう戻らなくていい。
まっさらな紙に新しく文字や絵を描くようにクリスティアンとの甘い生活だけを描いて行けばいい。
議長はクリスティアンに言った。
『あなたの役目はその血を後世に残す事です』と。
しかし、機能しないのだ。特にイメルダを見ると通常以上に委縮してしまって気分も乗らない。そんなクリスティアンに副議長が言った。
『練習だと思えばいいのです』
議会が欲しているのはクリスティアンの子供であって、この際相手はイメルダでも構わない。現役を退き、老後と言ういつ終わるかは神のみぞ知る立場になっても次の国王、その次の国王と飼い馴らせば甘い汁は吸い続けられる。
王家の存続だけが国民に余計な事を考えさせない事なのだから何としてもクリスティアンの子供が必要だった。
既に第2王子、第3王子にも子は生まれているが、これまでの慣習通り王家からの籍を抜いた王子の子なので民衆は興味がないし、王族と認めていない。
議会としてはイメルダとの間に子供が出来た所で問題はない。
むしろ懐妊する事の方が大事でそのためにはクリスティアンに餌が必要だった。
直ぐに食いついたクリスティアンは腰を振り続けた。
議会が考えるのはこれで当面は大丈夫だが継続させるにはグラシアナが必要だった。
出産で儚くなる女性の数は決して少なくない。同じように子供がもう大丈夫と言われる年齢に成長するにも備えはあった方がいい。
血統馬の種付けで「当て馬」がある。その気にさせるために必要な当て馬が必要だった。
その上で、外交的に使い物にならない妃をラインナップさせても仕方がない。
記憶がないだけで素地はあるのだからグラシアナに急ぎ教育をして叩きこみ、なんとか形だけでも取り繕いたい。そんな狙いがあった。
クリスティアンがグラシアナに思いを寄せているのは議長たちも知っていて、それを利用した。
利用されているとも知らず、クリスティアンは議長たちの思うように動いてくれた。
クリスティアンは3日に1度先触れを出して面会を要請した。
それらは全て今、目の前で成す術もなく議長に体を舐められるエリアスによって遮られてきた。
ただエリアスを傷つけるのは議長から許可が出なかった。
だから手負の虎ならぬ、満身創痍の熊となっても剣を振り続け、最後は両足を撃ち抜かれて倒れたパンディトンをエリアスの目の前で散々に痛めつけた。
そのうち物言わぬ骸になるだろうが、クリスティアンにしてみればパンディトンも憎悪の対象。愛しいグラシアナを抱いて移動椅子に乗せた。
クリスティアンですらグラシアナにはエスコートの際に手しか触れた事が無い。しかもその手には手袋があり直接肌に触れる事は許されていなかったのに、パンディトンは服越しとは言えグラシアナを抱いた。
激しい嫉妬と憎悪。それだけでも許せないのに議場の騒ぎに駆け付けたクリスティアンの目に映ったのはパンディトンは腕にグラシアナを座らせていた姿。
バランスを取るためにグラシアナの腕がパンディトンの首に回されていた。
パンディトンに罰を与える時、クリスティアンはその腕を何度も鞭で打った。しなった鞭はパンディトンのあらゆる部分を打ち据え、見ていた騎士に「殿下、ここまでです!」強制的に止められるまでクリスティアンは笑いながら何度も鞭で打ち据えた。
翌日パンディトンの体も顔も元の大きさより腫れあがっていた。
計画では議会に逆らえないエリアスは呼び出された事で観念し、グラシアナを大人しく差し出す。その後にエリアスとグラシアナには薬を盛る。
戦地で兵士たちの士気を鼓舞するために使用する薬は依存性が高い。薬欲しさに何でもすると大の男が泣いて懇願するくらいに人間性も変わる。
エリアスは初期の禁断症状が出た所で屋敷に戻す。そして公爵と言う立場で公私ともに身も心も議長に傾倒させる。グラシアナも同様に症状が出始めたらクリスティアンが軟禁をする。
そこでグラシアナはクリスティアンに愛され、クリスティアンの子供を産む。
誰も痛い思いをせずに快楽に溺れるだけの未来が待つ計画だったのに失敗をした。
エリアスが手に入るとご満悦の議長だが、クリスティアンにしてみれば肝心のグラシアナが居なければ失敗と同じだった。
議長たちの思うがままに操られているとも知らず、手元にグラシアナがいない事に怒りが込み上げてきたクリスティアンはパンディトンの体を踏みつけた。
――そうだ、いいこと思いついた――
クリスティアンはふと思いついた計画に「僕って天才なんじゃ?」心が躍った。
ぐりぐりとパンディトンを踏みつける足を捩じりながら、余りにも素晴らしい考えが天から降りてきたと感じる。
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