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VOL.09 追い出されるのも予定通り
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教皇との茶の席を立ったオリビアは「ふん!!」気合を入れ侯爵家の馬車に乗り込んだ。
オリビアにとって王家は問題ではない。
レスモンドが先に用意をした婚約解消届。オリビアが強制をしたわけでもないし、力関係は誰も目から見ても明らかで強制したところでレスモンドが頷くはずもないと誰もが思うだろう。
何より世に1つしかない上に、レスモンド以外が触れる事も許されない王子印が押されている。
「案外教皇様も神様が教えてくれたんじゃなくて王子印を見たからかもね」
気合を入れたのはオリビアにとっての本丸は父親でありポルトー侯爵家だからである。
父親が激昂するのは当然として、どれだけ荷物を持ち出せるか。
盗むわけではない。
父親から最低限持っておけと揃えられたドレスなどは持ち出す必要がない。
ドレスは売れそうで余り売れない事は小耳に挟んでいた。
新しいドレスを仕立てる時の下取りに出すなら仕立て屋がそれなりの値で買い取ってくれるが、汗は吸わないし宝飾品や、宝飾品に見立てたガラス玉を縫い付けるので意外と穴だらけ。
ドレスを欲しがるのは貴族くらいでこれから平民の生活をするのに必要な品ではない。平民が必要としないのだからウェスとしてもドレスはあまり買い取っては貰えないのである。
「お婆様から貰ったイヤリングと…本は暇つぶしになるから2、3冊かな。バザーで服を買っておいて良かったわ」
視察に行く教会などには刺繍したものを寄付したりするが、次期王太子妃が来る!となれば集客にもなる。所謂客寄せだ。
オリビアは寄付すると同時に個人的にも子供たちに頼んで販売をしてもらい、その売り上げでバザーで売られていた服を買った。金銭としては結局教会の収益となったがオリビアには平民服が2着残った。
侯爵家の使用人に見つかれば「こんな襤褸」と捨てられてしまうので「祖父母からの形見分け」を貰った箱の中に押し込んである。
祖母には申し訳ないが、良い思い出もない。
厳しいというよりも祖母も父ににて強欲で癖が強かった。
父ではなく母親に似たオリビアの事は「どこの種が芽吹いたんだろうね」と散々に嫌味を言われたし、髪色だけは父と同じだったが「泥棒」と言われたことがある。
取り敢えず持ち出すものは最小限。それもトランクではなく背中に背負えるリュックに入る分だけ。
オリビアが持ち出す品を決めた時、馬車は侯爵家の正門をくぐった。
ポルトー侯爵家では王宮で起こった出来事をまだ誰も知らない。
「お帰りなさいませ」
家令がオリビアを出迎えてくれた。いつもならここで家令に王宮でのことを報告する。その報告をもとに家令が父親に報告をして問題があればオリビアが呼び出される。
だが今日は違う。
「お父様は御在宅?」
「はい。お嬢様?王宮での報告は?」
「直接お父様に伝えるわ。執務室?サロン?」
「旦那様は執務室で御座います」
「ならお客様もいないわね」
「で、ですが、旦那様は執務の最中ですので私がお伝えします」
「気にしないで。自分で言えるから」
父親の子飼いでもある家令はオリビアの報告をそのままに父に伝えない。いつもどこか着色して伝えるのでオリビアとしては信用できない人間の1人である。
オリビアの歩みを止めようと必死な家令を振り切り、オリビアは父親の執務室の扉をノックと同時に開けた。
「なんだ。いきなり」
「お父様に大事な話がありましたので」
「そんな事はジェイムズに言えばいい。お前が直接来ることでもないだろう」
「直接お伝えした方が良いと判断したから来たのです」
オリビアはツカツカと執務机で作業をする父親の元に行き、書面を差し出した。
文字を全部読まずともポルトー侯爵の表情は険しくなり顔色は一気に赤くなった。
「どういう事だ!」
「どうも何も。本日王宮に上がったのは来訪中の教皇様よりお茶の誘いを頂いていたからですが、レスモンド第1王子殿下より火急と呼び出され、出向きましたら婚約解消を言い渡され、拒否する事も出来ませんでしたので同意した次第です」
「そ、それを教皇に?」
「はい。レスモンド第1王子殿下は大変急がれていたようなので、丁度教皇様ともお約束が御座いましたし手間を取らせるよりはと」
「ばっ!馬鹿者!なんてことを!お前はっ!お前は!!」
「お怒りのようですけども、婚約解消を強く望まれたのはレスモンド第1王子殿下です。私に拒否権があったとでもお父様はお考えですか?」
「だとしてもだ!何故そのままっ!!えぇい!!お前など娘でも何でもない!侯爵家の面汚しだ!出て行け!さっさと出て行け!二度と顔を見せる事は許さん!」
「そうですか。承知いたしました。早速仰せの通――」
予想通りに激昂したポルトー侯爵はさっきまで執務をしていた書類の束をオリビアに向かって投げつけた。
父に向かって発する言葉は何もない。
冷たい娘と言われようが、自分の事を道具としか思っていない父に情はない。
オリビアは我を忘れ、怒りに任せて手当たり次第手に触れる物を投げつけるポルトー侯爵に一礼すると執務室を出て、馬車の中で持って行くと決めた荷物をリュックに詰め込むと正門ではなく裏口から侯爵家を後にした。
オリビアにとって王家は問題ではない。
レスモンドが先に用意をした婚約解消届。オリビアが強制をしたわけでもないし、力関係は誰も目から見ても明らかで強制したところでレスモンドが頷くはずもないと誰もが思うだろう。
何より世に1つしかない上に、レスモンド以外が触れる事も許されない王子印が押されている。
「案外教皇様も神様が教えてくれたんじゃなくて王子印を見たからかもね」
気合を入れたのはオリビアにとっての本丸は父親でありポルトー侯爵家だからである。
父親が激昂するのは当然として、どれだけ荷物を持ち出せるか。
盗むわけではない。
父親から最低限持っておけと揃えられたドレスなどは持ち出す必要がない。
ドレスは売れそうで余り売れない事は小耳に挟んでいた。
新しいドレスを仕立てる時の下取りに出すなら仕立て屋がそれなりの値で買い取ってくれるが、汗は吸わないし宝飾品や、宝飾品に見立てたガラス玉を縫い付けるので意外と穴だらけ。
ドレスを欲しがるのは貴族くらいでこれから平民の生活をするのに必要な品ではない。平民が必要としないのだからウェスとしてもドレスはあまり買い取っては貰えないのである。
「お婆様から貰ったイヤリングと…本は暇つぶしになるから2、3冊かな。バザーで服を買っておいて良かったわ」
視察に行く教会などには刺繍したものを寄付したりするが、次期王太子妃が来る!となれば集客にもなる。所謂客寄せだ。
オリビアは寄付すると同時に個人的にも子供たちに頼んで販売をしてもらい、その売り上げでバザーで売られていた服を買った。金銭としては結局教会の収益となったがオリビアには平民服が2着残った。
侯爵家の使用人に見つかれば「こんな襤褸」と捨てられてしまうので「祖父母からの形見分け」を貰った箱の中に押し込んである。
祖母には申し訳ないが、良い思い出もない。
厳しいというよりも祖母も父ににて強欲で癖が強かった。
父ではなく母親に似たオリビアの事は「どこの種が芽吹いたんだろうね」と散々に嫌味を言われたし、髪色だけは父と同じだったが「泥棒」と言われたことがある。
取り敢えず持ち出すものは最小限。それもトランクではなく背中に背負えるリュックに入る分だけ。
オリビアが持ち出す品を決めた時、馬車は侯爵家の正門をくぐった。
ポルトー侯爵家では王宮で起こった出来事をまだ誰も知らない。
「お帰りなさいませ」
家令がオリビアを出迎えてくれた。いつもならここで家令に王宮でのことを報告する。その報告をもとに家令が父親に報告をして問題があればオリビアが呼び出される。
だが今日は違う。
「お父様は御在宅?」
「はい。お嬢様?王宮での報告は?」
「直接お父様に伝えるわ。執務室?サロン?」
「旦那様は執務室で御座います」
「ならお客様もいないわね」
「で、ですが、旦那様は執務の最中ですので私がお伝えします」
「気にしないで。自分で言えるから」
父親の子飼いでもある家令はオリビアの報告をそのままに父に伝えない。いつもどこか着色して伝えるのでオリビアとしては信用できない人間の1人である。
オリビアの歩みを止めようと必死な家令を振り切り、オリビアは父親の執務室の扉をノックと同時に開けた。
「なんだ。いきなり」
「お父様に大事な話がありましたので」
「そんな事はジェイムズに言えばいい。お前が直接来ることでもないだろう」
「直接お伝えした方が良いと判断したから来たのです」
オリビアはツカツカと執務机で作業をする父親の元に行き、書面を差し出した。
文字を全部読まずともポルトー侯爵の表情は険しくなり顔色は一気に赤くなった。
「どういう事だ!」
「どうも何も。本日王宮に上がったのは来訪中の教皇様よりお茶の誘いを頂いていたからですが、レスモンド第1王子殿下より火急と呼び出され、出向きましたら婚約解消を言い渡され、拒否する事も出来ませんでしたので同意した次第です」
「そ、それを教皇に?」
「はい。レスモンド第1王子殿下は大変急がれていたようなので、丁度教皇様ともお約束が御座いましたし手間を取らせるよりはと」
「ばっ!馬鹿者!なんてことを!お前はっ!お前は!!」
「お怒りのようですけども、婚約解消を強く望まれたのはレスモンド第1王子殿下です。私に拒否権があったとでもお父様はお考えですか?」
「だとしてもだ!何故そのままっ!!えぇい!!お前など娘でも何でもない!侯爵家の面汚しだ!出て行け!さっさと出て行け!二度と顔を見せる事は許さん!」
「そうですか。承知いたしました。早速仰せの通――」
予想通りに激昂したポルトー侯爵はさっきまで執務をしていた書類の束をオリビアに向かって投げつけた。
父に向かって発する言葉は何もない。
冷たい娘と言われようが、自分の事を道具としか思っていない父に情はない。
オリビアは我を忘れ、怒りに任せて手当たり次第手に触れる物を投げつけるポルトー侯爵に一礼すると執務室を出て、馬車の中で持って行くと決めた荷物をリュックに詰め込むと正門ではなく裏口から侯爵家を後にした。
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