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VOL.27 類(クズ)は友(ゲス)を呼ぶ
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3か月もするとレスモンドの宮はあの賑わいがすっかりと過去のものになっていた。
使用人は次々に退職をして、数人を残すのみ。
国王も王妃も自業自得だとレスモンドが宮の外に出なければいいので見て見ぬふりで補充もしない。
賭博場を開こうにも遊ぶ金も無い。
レスモンドは誰からも見放されたかと思いきやそうではなかった。
「どうです?なかなかのワインでしょう?」
「うむ。美味いな。今年は裏年だと聞いたがこんな美味いワインもあったんだな」
「えぇ。殿下の治世ともなればもっと極上の品を献上致しましょう」
「俺の治世か…。ハッ。ありもしない夢物語に絵空事だ。お前だって現在俺がどんな状況かくらいは知っていように」
「えぇ。存じておりますよ。そうですね…例えるなら伸びしろしかない、とでも申しましょうか」
「俺に世辞を言ったところで何の得もないぞ?」
「本心で御座いますよ。殿下はこの国の頂点に立つお方。私はそう考えていますが、確かに時期も御座いますが、私が思うに、陛下の曇った目を覚ませるのは殿下しかいないと思いますし、今がその時ではないかとも考えております」
「どういう意味だ?俺に何をしろと?」
「功績を1つ。しかも大きな功績を挙げて頂ければ」
ニヤリとほくそ笑む男はディチ子爵。あまり良い噂を聞く男ではなく社交界では鼻つまみ者。一緒に事業をやりたいと握手する者もいない。それでも爵位を保っているのは稼ぐ術を持っているからに他ならない。
「ハァー。で?俺にどんな素晴らしい功績を挙げろというんだ?」
「この大規模都市計画を発表して頂ければ。総予算の5%を確約して頂けるのなら下準備は済ませておきますよ」
ディチ子爵はレスモンドに「計画書」と表紙のついた書類の束を差し出してきた。レスモンドは捲る事もせずにディチ子爵から受け取った書類をソファテーブルに放り投げた。
「読ませる前に搔い摘んで説明しろ。その方が早い」
「左様で。では細かい部分は読んで頂くとして、大まかな説明を致しましょう」
ディチ子爵は少し留め具が外れてバラけそうになった書類を指で整えながら説明をした。
「端的に言えば、大掃除をしましょうという事です。現在王都のメイン商店街から見て北側には貧民窟、そして西側には法で規制される前の家屋が密集している地域があります」
「あるな。ゴミどもや貧乏人の掃き溜めだ」
「その区画を大掃除しませんかと言うものですよ。今でもナントカ筋、ナントカ通りと殊勝な名前を付けていますが所詮は道としても政策としても隘路に過ぎません。取り払うべきです。犯罪の温床でもありますしね。あんな場所に逃げ込まれたら騎士団も追跡も難しいでしょう?」
「解らぬでもないがな。取り払うと言ってもゴミどもが住んでいるだろう。どうするんだ」
「ゴミは所詮ゴミです。焼き払えばいいんですよ。例えば…あんなあばら家が密集した区域。どこかで火が出ればあっという間に火の海になり焼き尽くされるでしょうねぇ」
「面白い事を言うんだな。焼き払えば更地になるから解体の手間も省ける。そこに何を作ろうと言うんだ?」
「なんでも。美術館でも音楽ホールでも何でも作れば宜しいのです。そこで仕事も生まれますから経済が回ります。世の中、金が回らねば意味がありませんからね。底辺で蠢く者など排除し住みやすい国を作るのです。陛下が成し遂げられなかった事業を殿下が功績として挙げるのです。ポルトーの娘などいなくとも何の問題もないではないかと目が曇った老害も納得をするでしょう」
「ふむ。面白いな。俺はこの計画書を出せばいいだけ、そう言うんだな?」
「えぇ。殿下が議会に提案をするだけです。審理に入る頃にはゴミの焼却処分となります。殿下は宮から出られないのですから疑われる事もありません。偶々計画書を出したタイミングで広い土地が更地になり計画を推し進めやすい状況が出来てしまう。それだけの事ですよ」
「お前が火をつけるのか。悪党だな」
「ですが、消すのも私です。善人とも言えるでしょう?」
レスモンドは千載一遇のチャンスだとディチ子爵と手を組んだ。
確かにディチ子爵の言うようにレスモンドは宮から出る事は出来ないのだ。その事は父である国王から指示を受けた騎士団が証明をしてくれる。
世の中には様々なタイミングがある。
偶然時期が重なっただけとなるのなら、こんなウマい話は無い。
貧民窟や、貧民窟手前の社会の底辺と呼ばれる人間の住む区画はディチ子爵が言わずとも誰もが臭い物に蓋とばかりに存在をないもの、見なかったものにしようとする部分だ。
税金を払っている者もいるがごく一部でその地域から得られる税収など雀の涙。
就業支援や炊き出しを行っている偽善者もいるが、成果はあげていない。
無くなった方がどれほどの功績となるだろう。
ディチ子爵とワインで乾杯をするレスモンド。
その会話を使用人のように退職で逃げる事も出来ずに宮に留め置かれた令嬢2人が聞いていたなど知る由もない。レスモンドはそんな2人の事など存在すら忘れてワインを浴びるように飲んだ。
使用人は次々に退職をして、数人を残すのみ。
国王も王妃も自業自得だとレスモンドが宮の外に出なければいいので見て見ぬふりで補充もしない。
賭博場を開こうにも遊ぶ金も無い。
レスモンドは誰からも見放されたかと思いきやそうではなかった。
「どうです?なかなかのワインでしょう?」
「うむ。美味いな。今年は裏年だと聞いたがこんな美味いワインもあったんだな」
「えぇ。殿下の治世ともなればもっと極上の品を献上致しましょう」
「俺の治世か…。ハッ。ありもしない夢物語に絵空事だ。お前だって現在俺がどんな状況かくらいは知っていように」
「えぇ。存じておりますよ。そうですね…例えるなら伸びしろしかない、とでも申しましょうか」
「俺に世辞を言ったところで何の得もないぞ?」
「本心で御座いますよ。殿下はこの国の頂点に立つお方。私はそう考えていますが、確かに時期も御座いますが、私が思うに、陛下の曇った目を覚ませるのは殿下しかいないと思いますし、今がその時ではないかとも考えております」
「どういう意味だ?俺に何をしろと?」
「功績を1つ。しかも大きな功績を挙げて頂ければ」
ニヤリとほくそ笑む男はディチ子爵。あまり良い噂を聞く男ではなく社交界では鼻つまみ者。一緒に事業をやりたいと握手する者もいない。それでも爵位を保っているのは稼ぐ術を持っているからに他ならない。
「ハァー。で?俺にどんな素晴らしい功績を挙げろというんだ?」
「この大規模都市計画を発表して頂ければ。総予算の5%を確約して頂けるのなら下準備は済ませておきますよ」
ディチ子爵はレスモンドに「計画書」と表紙のついた書類の束を差し出してきた。レスモンドは捲る事もせずにディチ子爵から受け取った書類をソファテーブルに放り投げた。
「読ませる前に搔い摘んで説明しろ。その方が早い」
「左様で。では細かい部分は読んで頂くとして、大まかな説明を致しましょう」
ディチ子爵は少し留め具が外れてバラけそうになった書類を指で整えながら説明をした。
「端的に言えば、大掃除をしましょうという事です。現在王都のメイン商店街から見て北側には貧民窟、そして西側には法で規制される前の家屋が密集している地域があります」
「あるな。ゴミどもや貧乏人の掃き溜めだ」
「その区画を大掃除しませんかと言うものですよ。今でもナントカ筋、ナントカ通りと殊勝な名前を付けていますが所詮は道としても政策としても隘路に過ぎません。取り払うべきです。犯罪の温床でもありますしね。あんな場所に逃げ込まれたら騎士団も追跡も難しいでしょう?」
「解らぬでもないがな。取り払うと言ってもゴミどもが住んでいるだろう。どうするんだ」
「ゴミは所詮ゴミです。焼き払えばいいんですよ。例えば…あんなあばら家が密集した区域。どこかで火が出ればあっという間に火の海になり焼き尽くされるでしょうねぇ」
「面白い事を言うんだな。焼き払えば更地になるから解体の手間も省ける。そこに何を作ろうと言うんだ?」
「なんでも。美術館でも音楽ホールでも何でも作れば宜しいのです。そこで仕事も生まれますから経済が回ります。世の中、金が回らねば意味がありませんからね。底辺で蠢く者など排除し住みやすい国を作るのです。陛下が成し遂げられなかった事業を殿下が功績として挙げるのです。ポルトーの娘などいなくとも何の問題もないではないかと目が曇った老害も納得をするでしょう」
「ふむ。面白いな。俺はこの計画書を出せばいいだけ、そう言うんだな?」
「えぇ。殿下が議会に提案をするだけです。審理に入る頃にはゴミの焼却処分となります。殿下は宮から出られないのですから疑われる事もありません。偶々計画書を出したタイミングで広い土地が更地になり計画を推し進めやすい状況が出来てしまう。それだけの事ですよ」
「お前が火をつけるのか。悪党だな」
「ですが、消すのも私です。善人とも言えるでしょう?」
レスモンドは千載一遇のチャンスだとディチ子爵と手を組んだ。
確かにディチ子爵の言うようにレスモンドは宮から出る事は出来ないのだ。その事は父である国王から指示を受けた騎士団が証明をしてくれる。
世の中には様々なタイミングがある。
偶然時期が重なっただけとなるのなら、こんなウマい話は無い。
貧民窟や、貧民窟手前の社会の底辺と呼ばれる人間の住む区画はディチ子爵が言わずとも誰もが臭い物に蓋とばかりに存在をないもの、見なかったものにしようとする部分だ。
税金を払っている者もいるがごく一部でその地域から得られる税収など雀の涙。
就業支援や炊き出しを行っている偽善者もいるが、成果はあげていない。
無くなった方がどれほどの功績となるだろう。
ディチ子爵とワインで乾杯をするレスモンド。
その会話を使用人のように退職で逃げる事も出来ずに宮に留め置かれた令嬢2人が聞いていたなど知る由もない。レスモンドはそんな2人の事など存在すら忘れてワインを浴びるように飲んだ。
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