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VOL.37 オリビアの対策
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オリビアは寄り合いで説明をした。
「1か所が消えたからと安心してはだめ。仕掛けて来る時は少し間をおいて別の場所にも火を放つと思うわ」
「間って、どれくらいだ?1日?1週間?」
「相手次第よ。10分かも知れないし30分、翌日、3日後。とにかく安心してはだめ」
「なら火が出た時はどうするんだ。消さなきゃ直ぐに火が回る。この辺りは新しい家でも建てて30年は経ってるんだ。古い家はあっという間に燃えてしまうよ」
「落ち着いて。先ず消火。それは基本だけど…最悪の場合は家を壊してもらうわ」
「家を壊す?!…ま、まぁそうだな…燃え移るにも何もないところがあれば燃えないからな」
「だが、家を壊すとなると大変だぞ」
「そうなる前に雪を使うのよ」
<< 雪を? >>
オリビアは各自に家に帰った後、当面の間、夜間は暫くの間竈の火を消さずに湯を沸かし、外の排水溝に流すようにと説明をした。
「本来屋根の雪下ろしなんかは陽のあるうちにするのが当たり前だけど、降ろした雪は一旦家の前に貯めて人工的に雪解け水を作るの。井戸の水だけじゃ消火は出来ないわ。絶対的に足らないのよ」
「でも外の水は湯を流した程度じゃ直ぐに凍ってしまうよ」
「だからよ。1軒がしたところで大した効果は得られないわ。でも全員がやるとなればどう?排水溝からの熱で排水溝の周囲の土が温められる。それで融ける雪もあるわ。面倒だけど2,3時間、昼に屋根から降ろした雪を溶かして流すの。排水は路地の行き当たりで一旦桝に溜まっているからそこからも水を汲み上げて消火に使うのよ」
クーヘンの店の前の排水溝は幅も細いが、ハンスの店の前の排水溝は深さもある。
それらは基点、基点で桝に溜まって少しづつ川に向かって流れていく。
放火犯の事も考えての事だ。
1日で一番気温が下がる時は足元の道も凍っているので逃走が難しくなる。
犯行に及ぶとすれば真夜中で夜明けよりもまだ前の時間。
その頃なら日付が変わる頃まで湯をジャンジャン流していれば冷たいながらも凍らずに水は液体のままだ。
「雪を溶かして、桝を応急の井戸にするってことか」
「そういうこと。今の段階で水を確保するのにそれしかないわ。それから緊急時に桶とかロープは何処にあるか解らないでしょう?桝の近くにはロープを付けた桶を置いておいてほしいの」
「なるほど、それで井戸みたいに汲み上げるのか」
「えぇ。滑車がないから人力だけど水量が減れば手で汲み上げるにも無理があるわ」
「なるほどな。最初から桶にロープを付けていれば汲み上げるにも便利だし、汚い水は寝る前に溶かした雪が流れ込んでちょっとはマシになってるしな」
貧民窟のように広小路などがあればまだいいが、西地区にはない。
消火用の水を用意するにも建物そのものが貧民窟の1軒屋と西地区の1軒屋では大きさも違う。
貧民窟で消火用に桶を積み上げていたが、西地区では置き場所もないしその水の量では足らないのだ。
国のインフラもなされないままなので消火設備も何もない。
自分の身を守るのは自分しかないと手を離されている状態で、貧民窟はスピア伯爵が自腹を切って整備を進めているが今のオリビアには金もコネも力もない。
足らないかも知れない付け焼刃だが、やらないよりはやった方がいい。
「それから…火が出た時だけど、消火をする人の他になんだけど、火が出ていない箇所に住む人は手分けをして道に積み上げている雪を溶かして家に水をジャンジャン掛けて欲しいの。野次馬で火事場を見たい気持ちをその時は封印して頂きたいわ」
「火が出てないのに?」
「えぇ。次々に火を放たれる可能性があるから予防策として家を濡らすの。水浸しなら火も点き難いでしょう?」
「やるしかねぇだろ。水に濡れたって乾けばいいが燃えたら終わりだ」
「そうだな。もしかすれば放火犯も捕まえる事が出来るかも知れねぇしな」
そんな事を話した寄り合い。
もしかすれば王妃になっていたかも?な経歴のオリビアは嫌だ、面倒だと思いながらも真面目に政務や執務をしてきたご褒美なのか。
「しばらく物価が安定してたのはアンタのおかげだ。恩返しさせてもらうよ」
住民は協力的だった。
だからなのか。
クーヘンたちと向かった地区で桝から水を汲み上げ、周囲の家屋を濡らしていると叫びながら男性が走って来た。
「どうしたんだ!」
「11班と、15班、それからえぇーっと…26班…どうでもいいや!火をつけた男を捕まえたんだ。全部で8人!来てくれ!」
まだ他にもいる可能性はある。
桝から水を汲み上げる住民5人をその場に残し、オリビアたちは呼びに来た男性と共に捕縛した男たちを収容したという寄り合い所まで駆けて行った。
「1か所が消えたからと安心してはだめ。仕掛けて来る時は少し間をおいて別の場所にも火を放つと思うわ」
「間って、どれくらいだ?1日?1週間?」
「相手次第よ。10分かも知れないし30分、翌日、3日後。とにかく安心してはだめ」
「なら火が出た時はどうするんだ。消さなきゃ直ぐに火が回る。この辺りは新しい家でも建てて30年は経ってるんだ。古い家はあっという間に燃えてしまうよ」
「落ち着いて。先ず消火。それは基本だけど…最悪の場合は家を壊してもらうわ」
「家を壊す?!…ま、まぁそうだな…燃え移るにも何もないところがあれば燃えないからな」
「だが、家を壊すとなると大変だぞ」
「そうなる前に雪を使うのよ」
<< 雪を? >>
オリビアは各自に家に帰った後、当面の間、夜間は暫くの間竈の火を消さずに湯を沸かし、外の排水溝に流すようにと説明をした。
「本来屋根の雪下ろしなんかは陽のあるうちにするのが当たり前だけど、降ろした雪は一旦家の前に貯めて人工的に雪解け水を作るの。井戸の水だけじゃ消火は出来ないわ。絶対的に足らないのよ」
「でも外の水は湯を流した程度じゃ直ぐに凍ってしまうよ」
「だからよ。1軒がしたところで大した効果は得られないわ。でも全員がやるとなればどう?排水溝からの熱で排水溝の周囲の土が温められる。それで融ける雪もあるわ。面倒だけど2,3時間、昼に屋根から降ろした雪を溶かして流すの。排水は路地の行き当たりで一旦桝に溜まっているからそこからも水を汲み上げて消火に使うのよ」
クーヘンの店の前の排水溝は幅も細いが、ハンスの店の前の排水溝は深さもある。
それらは基点、基点で桝に溜まって少しづつ川に向かって流れていく。
放火犯の事も考えての事だ。
1日で一番気温が下がる時は足元の道も凍っているので逃走が難しくなる。
犯行に及ぶとすれば真夜中で夜明けよりもまだ前の時間。
その頃なら日付が変わる頃まで湯をジャンジャン流していれば冷たいながらも凍らずに水は液体のままだ。
「雪を溶かして、桝を応急の井戸にするってことか」
「そういうこと。今の段階で水を確保するのにそれしかないわ。それから緊急時に桶とかロープは何処にあるか解らないでしょう?桝の近くにはロープを付けた桶を置いておいてほしいの」
「なるほど、それで井戸みたいに汲み上げるのか」
「えぇ。滑車がないから人力だけど水量が減れば手で汲み上げるにも無理があるわ」
「なるほどな。最初から桶にロープを付けていれば汲み上げるにも便利だし、汚い水は寝る前に溶かした雪が流れ込んでちょっとはマシになってるしな」
貧民窟のように広小路などがあればまだいいが、西地区にはない。
消火用の水を用意するにも建物そのものが貧民窟の1軒屋と西地区の1軒屋では大きさも違う。
貧民窟で消火用に桶を積み上げていたが、西地区では置き場所もないしその水の量では足らないのだ。
国のインフラもなされないままなので消火設備も何もない。
自分の身を守るのは自分しかないと手を離されている状態で、貧民窟はスピア伯爵が自腹を切って整備を進めているが今のオリビアには金もコネも力もない。
足らないかも知れない付け焼刃だが、やらないよりはやった方がいい。
「それから…火が出た時だけど、消火をする人の他になんだけど、火が出ていない箇所に住む人は手分けをして道に積み上げている雪を溶かして家に水をジャンジャン掛けて欲しいの。野次馬で火事場を見たい気持ちをその時は封印して頂きたいわ」
「火が出てないのに?」
「えぇ。次々に火を放たれる可能性があるから予防策として家を濡らすの。水浸しなら火も点き難いでしょう?」
「やるしかねぇだろ。水に濡れたって乾けばいいが燃えたら終わりだ」
「そうだな。もしかすれば放火犯も捕まえる事が出来るかも知れねぇしな」
そんな事を話した寄り合い。
もしかすれば王妃になっていたかも?な経歴のオリビアは嫌だ、面倒だと思いながらも真面目に政務や執務をしてきたご褒美なのか。
「しばらく物価が安定してたのはアンタのおかげだ。恩返しさせてもらうよ」
住民は協力的だった。
だからなのか。
クーヘンたちと向かった地区で桝から水を汲み上げ、周囲の家屋を濡らしていると叫びながら男性が走って来た。
「どうしたんだ!」
「11班と、15班、それからえぇーっと…26班…どうでもいいや!火をつけた男を捕まえたんだ。全部で8人!来てくれ!」
まだ他にもいる可能性はある。
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