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禁止事項に苛立つ夫
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「ここ判る人手を挙げて~」
「はーい」
「はい…多分ですけど‥」
大人も子供も一緒に勉強をします。年がいっていても幼くてもやはり皆が一番喜ぶ瞬間は自分の名前が書けたとき。
そして我が子の、両親の名前が書けたときです。
「もうちょっとね。Sってクネッとしてるから書きにくいわよね。でも上手よ。頑張って」
「ここは右上がり…右下がり…どっちだったかな」
「ゴメスさん、エヌは右に下がって真っすぐ上に急上昇するのよ」
「エレイン代官様ぁ、指が足らないですー!」
大抵の人が困ったのが、日頃数を数える事は出来てもそれが計算になると手足の指の数以上になる事です。
13と15を足す時、20以上になるので判らなくなるのです。
指の数で足りる答えでも問題が20以上の数字だと減らせる指が足らないので困る人続出です。
「そうね。じゃぁまとめて、分解してみましょう」
「まとめる?」
「そう、数字例えば100は10が10個なの。10は1が10個
23から8を引く時、20は10が2つでしょう?片方はそのまま10で置いといて片方を1が10個。なら全部で1が13個。そこから8を引いて、使わなかった10を足してあげればいいわ」
「なるほど…そうよね。お金を払う時お財布の中全部は出さないもの」
「そうね。お金で考えてみてもいいわ。大人の方はそのほうが簡単かも知れないわ」
「ヤギ小屋でもいいよ!1個の小屋に10匹入れて10匹ごとに別の小屋に入れるんだ」
「そうそう。それもいい考えね」
農夫さんと子供たちは毎週入れ替わりでやってきます。3泊4日。ですが行きは来るのに1日かかりますから勉強に来る週は居残り組とうまく調整をします。帰りは転移魔法であっという間ですけどね。
この頃では、最初の提案の時に話に加わらなかった農夫も勉強にやってきます。
「そろそろ畝を作る時期なんだけどエレインさんは来られないんだよねぇ」
「そうねぇ。そういう約束だからごめんなさいね」
「でも領主さま、最近変わったんだよ?」
「えっ?別の方に変わりましたの?」
「そうじゃなくて、なんかこう…人格が変わった?って感じ」
「先週なんか俺たちと一緒に里芋畑に入って泥だらけになったんだぜ?肝が冷えたよ」
「それに屋敷にいる女の人とは仲が良くないみたいだよ」
「ふーん。まぁ関係ありませんわ。対人関係は基本なのに困った方ですわね」
1日勉強ばかりは学園でも学校でもないのでみんな疲れてしまうものです。
最終日は敢えて時間いっぱい勉強するのでみんな家に帰るとぐっすり寝るようですけどね。
午後は牧場で馬の手入れやヤギの世話です。
屋根についていた苔棚の苔もいい感じになってきましたので次回の王都屋台で売ってもらう予定です。
エレインの刺繍した物とかチーズなんかは王都までの往復の費用や荷馬車の修理代などに使います。
勿論馬はエレインの馬を貸し出します。
年はいってると言われて買った馬ですが、4頭で引く荷馬車なので目は引きますし荷物も多く載せられます。
1頭では厳しくても4頭なら軽々ですし馬の年齢は関係ないようです。
農夫さん達の奥さんが作ったものはそのままその人に売り上げとして入ります。
ですがそれもエレインがここにいる間だけ。
馬やヤギは皆に分ける事は決まっているけれど、世話やチーズの作り方、それ以降の経費の支払いについては最後に取り決めをしなくちゃねと滞在半年近くなってくるとエレインも考えるのです。
一方のパトリック。付き合ってるんだー!と陛下の前で言ったものの最近はリリシアと一緒の寝台ですら寝る事はありません。
流石に夜間は屋敷にいるようですが、昼間は馬車でどこかに出かけていきます。
「よろしいのですか?」
「放っておけ。それより西の方で魔獣が出ているようだが」
「えぇ。今は比較的弱いので人の気配で逃げるようなものですがこの先は判りませんね」
「ところで‥‥彼女に手紙も禁止事項になるのだろうか」
「彼女と申しますと奥様でございますか」
「あぁ」
「契約事項の2つ目は別邸での生活についての訪問と口出しの禁止ですから、それに触れなければよいのでないでしょうか」
「直接…話をしてみるのは無理だろうか」
「どうでしょうか。奥様は魔石電話はお持ちのようですよ」
「だが、番号を知らない」
パトリックが知らない番号を執事も知っているとは思えませんし、農夫も魔石電話はもっていないので知らないでしょう。
「農夫たちは交代で毎週奥様の元に行っているそうです」
「は?何をしに行ってるんだ?そんなに男を呼んで何をしてるんだ?」
「旦那様、ご自分がそうだから相手も同じとは限りません」
「どういう意味だ」
「奥様の元に行ってるのは農夫だけではありません、その子供たちもです」
「一体何をしてるんだ?」
「農夫たちが言うには読み書き計算を教えてもらっているようです」
「なんだって?」
「泊まり込みで食事付き、おかげで王都での取引もスムーズだと好評ですよ」
「泊まり込み…そんな事は許可していないッ」
執事は憤るパトリックに一言。
【別邸での生活についての訪問と口出しは禁止でございますよ】
「はーい」
「はい…多分ですけど‥」
大人も子供も一緒に勉強をします。年がいっていても幼くてもやはり皆が一番喜ぶ瞬間は自分の名前が書けたとき。
そして我が子の、両親の名前が書けたときです。
「もうちょっとね。Sってクネッとしてるから書きにくいわよね。でも上手よ。頑張って」
「ここは右上がり…右下がり…どっちだったかな」
「ゴメスさん、エヌは右に下がって真っすぐ上に急上昇するのよ」
「エレイン代官様ぁ、指が足らないですー!」
大抵の人が困ったのが、日頃数を数える事は出来てもそれが計算になると手足の指の数以上になる事です。
13と15を足す時、20以上になるので判らなくなるのです。
指の数で足りる答えでも問題が20以上の数字だと減らせる指が足らないので困る人続出です。
「そうね。じゃぁまとめて、分解してみましょう」
「まとめる?」
「そう、数字例えば100は10が10個なの。10は1が10個
23から8を引く時、20は10が2つでしょう?片方はそのまま10で置いといて片方を1が10個。なら全部で1が13個。そこから8を引いて、使わなかった10を足してあげればいいわ」
「なるほど…そうよね。お金を払う時お財布の中全部は出さないもの」
「そうね。お金で考えてみてもいいわ。大人の方はそのほうが簡単かも知れないわ」
「ヤギ小屋でもいいよ!1個の小屋に10匹入れて10匹ごとに別の小屋に入れるんだ」
「そうそう。それもいい考えね」
農夫さんと子供たちは毎週入れ替わりでやってきます。3泊4日。ですが行きは来るのに1日かかりますから勉強に来る週は居残り組とうまく調整をします。帰りは転移魔法であっという間ですけどね。
この頃では、最初の提案の時に話に加わらなかった農夫も勉強にやってきます。
「そろそろ畝を作る時期なんだけどエレインさんは来られないんだよねぇ」
「そうねぇ。そういう約束だからごめんなさいね」
「でも領主さま、最近変わったんだよ?」
「えっ?別の方に変わりましたの?」
「そうじゃなくて、なんかこう…人格が変わった?って感じ」
「先週なんか俺たちと一緒に里芋畑に入って泥だらけになったんだぜ?肝が冷えたよ」
「それに屋敷にいる女の人とは仲が良くないみたいだよ」
「ふーん。まぁ関係ありませんわ。対人関係は基本なのに困った方ですわね」
1日勉強ばかりは学園でも学校でもないのでみんな疲れてしまうものです。
最終日は敢えて時間いっぱい勉強するのでみんな家に帰るとぐっすり寝るようですけどね。
午後は牧場で馬の手入れやヤギの世話です。
屋根についていた苔棚の苔もいい感じになってきましたので次回の王都屋台で売ってもらう予定です。
エレインの刺繍した物とかチーズなんかは王都までの往復の費用や荷馬車の修理代などに使います。
勿論馬はエレインの馬を貸し出します。
年はいってると言われて買った馬ですが、4頭で引く荷馬車なので目は引きますし荷物も多く載せられます。
1頭では厳しくても4頭なら軽々ですし馬の年齢は関係ないようです。
農夫さん達の奥さんが作ったものはそのままその人に売り上げとして入ります。
ですがそれもエレインがここにいる間だけ。
馬やヤギは皆に分ける事は決まっているけれど、世話やチーズの作り方、それ以降の経費の支払いについては最後に取り決めをしなくちゃねと滞在半年近くなってくるとエレインも考えるのです。
一方のパトリック。付き合ってるんだー!と陛下の前で言ったものの最近はリリシアと一緒の寝台ですら寝る事はありません。
流石に夜間は屋敷にいるようですが、昼間は馬車でどこかに出かけていきます。
「よろしいのですか?」
「放っておけ。それより西の方で魔獣が出ているようだが」
「えぇ。今は比較的弱いので人の気配で逃げるようなものですがこの先は判りませんね」
「ところで‥‥彼女に手紙も禁止事項になるのだろうか」
「彼女と申しますと奥様でございますか」
「あぁ」
「契約事項の2つ目は別邸での生活についての訪問と口出しの禁止ですから、それに触れなければよいのでないでしょうか」
「直接…話をしてみるのは無理だろうか」
「どうでしょうか。奥様は魔石電話はお持ちのようですよ」
「だが、番号を知らない」
パトリックが知らない番号を執事も知っているとは思えませんし、農夫も魔石電話はもっていないので知らないでしょう。
「農夫たちは交代で毎週奥様の元に行っているそうです」
「は?何をしに行ってるんだ?そんなに男を呼んで何をしてるんだ?」
「旦那様、ご自分がそうだから相手も同じとは限りません」
「どういう意味だ」
「奥様の元に行ってるのは農夫だけではありません、その子供たちもです」
「一体何をしてるんだ?」
「農夫たちが言うには読み書き計算を教えてもらっているようです」
「なんだって?」
「泊まり込みで食事付き、おかげで王都での取引もスムーズだと好評ですよ」
「泊まり込み…そんな事は許可していないッ」
執事は憤るパトリックに一言。
【別邸での生活についての訪問と口出しは禁止でございますよ】
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