30 / 52
最終章☆それぞれの立ち位置(22話)
ライアル伯爵家の財政事情
しおりを挟む
架空、創作の話です。現実世界と混同しないようご注意ください。
この章は最終章となりますので第一章から第四章のインシュアの保険販売とは読んだ時の受け取り方(感じ方)が変わるかも知れません。
中間にあるライアル伯爵家日記に近いと思って頂いて構いません。
架空、創作の話です。現実世界と混同しないようご注意ください。
◇~◇~◇
ライアル伯爵家では当主のライアル伯爵とその実子であり息子であるベンジャーがまさに一触即発の状態で睨みあいを続けていた。
予期せぬ負傷で頭部を縫合する事になったライアル伯爵の抜糸を終えた医師と助手が2人を避ける様にして部屋から出て行くとベンジャーは父、ライアル伯爵の元にツカツカと歩み寄った。
原因は2つあった。
元々ライアル伯爵家はそんなに裕福な家ではなかった。没落寸前とまでは言わないが樽や桶などの何かを入れる容器を木材伐採から製品加工販売を生業としていたのである。
日用品の中で平民であったとしてもいくつかは必要になるし加工する時のツタを染色したりして若い子向けに販売が伸びた事もある。定期的に買い替えが必要だった商品なのでそれなりに最低限の需要はあった。
しかし金物の製品やガラス製品が安価で売られるようになってくると売り上げも落ち込んだ。そこに外国からプラ製品が持ち込まれ爆発的なヒット商品となった。日用品として桶や樽を買うものはさらに少なくなって多くの在庫を抱えた。
――爵位を返上して、田舎でのんびり暮らそうか――
強欲なライアル伯爵でもそう思った時期があった。
父から爵位は継いだしベンジャーという息子も生まれた。夫人は第二子をとせがむが経済的な困窮からこの上子供が増えればどうなるか。なので子供はベンジャー以外には作る気になれず1人病院に行き、パイプカットをしてもらったのだ。その事は今も夫人は知らない。
いよいよ腹を括る時が来た。
ライアル伯爵は帳簿を見て天を仰いだ。4カ月後の手形が落ちなければ商売はもうできない。
今ある財産をもって夜逃げを考えた。手形が不渡りになれば2回目である。債権者が押し寄せて来て爵位を返上した金くらいでは事が足らない。
しかし、夫人には言い出せなかった。幼いベンジャーとお手玉遊びをするのを見て悩む日々。
そんな時だった。流行病が国内を席巻したのだ。
突然高熱を出し、呼吸が出来なくなったものが続出した。
医者も最初はベンジャーの打撲程度でも往診に来てくれていたが手が回らないと来なくなった。
ある日、屋敷の前で見るからに発熱している平民の男が「水を飲ませてくれ」と言って来た。市井にある井戸の水で感染するとデマが広まっていて、貴族の飲む水なら安心だと言うのだ。
ライアル伯爵はどうせ沢山あるのだからと桶いっぱいに水を汲んで男に飲ませた。
数日水も飲めなかったと男は感謝し、1時間程すると自分の足で歩いていなくなった。
それを見ていた他の平民も水をくれと言った。
その平民も一目で発熱していると判る。早く立ち去って欲しくて男の飲んだ桶の残りを与えた。するとその平民も1時間ほどするとフラフラしていたのに少しマシな状態で歩いて何処かに居なくなった。
そこからである。
――ライアル伯爵家の水は病気が治る――
誰が言ったかは定かではないがそんな噂が広がり、屋敷の前は人の群れで溢れかえった
そしてライアル伯爵は【高効能水】を売り出したのだ。
水だけなら8万ベル。但しこの桶に浸透した成分がなければ効果が薄い。桶は2万ベル。
今まで500ベルで卸していた桶だが、これが飛ぶように売れた。
平民でも買えた解熱剤も手に入らなくなり、解熱剤の1回分は王宮で働く文官の2年の年収に匹敵する額にまで高騰していたのだ。それに比べればかなり安い。
在庫の桶や樽は腐るほどあるのだ。桶を抱えて水だけ売ってくれと言う者にはこう言った。
――もう成分は溶けだしているので、ただの水になるがそれで良いか――
客は水だけでは効果がないのなら意味がないと新しい桶も買うしかないのだ。
抱えて帰るのも辛い量だったが零れた水に人が群がるほどだった。
ライアル伯爵は桶を売り切った後は入れ物がなくては意味がない触れ込みだったので廃材を使って手のひらサイズのコップのような入れ物を作り販売を再開した。
全盛期は【高効能水】180ccを20万ベルで売っていた。
当時は発症すれば致死率80%と言われたのだ。
【罹患する前なら予防薬として。発症したら治療薬として。あなたの気持ちを穏かにする高効能水】
そんな触れ込みで毎日数十億を売りあげた。噂は噂を呼んでシャボーン国以外の国からも多くの商人が来て『あるだけ全部』と買い取っていった事もある。
学院に初等科から入って卒業し文官になった者の初任給が手取り13万ベルほどだった事からどれだけ高価な物だったかが伺い知れる。
そんな暴利のような金額でも飛ぶように売れたのだ。購入者の中には領地を売った金全てで購入した貴族もいるし、娘や息子を娼館に売って金を作った者もいる。
【高効能水】に効果があるか。それは誰にもわからない。
ただ一つ言えるのは、入れ物は確かに木材を利用ししっかり作られたものだが、水はライアル伯爵家にある池の水である。地下水が湧き出ていて水の色合いや匂いなどは少し離れた所にある湖と同じだった。
当然煮沸などしていない。沈殿物がある事もあったがライアル伯爵はこう言った。
――よく掻き混ぜて飲まないと意味がない――
流行病の特効薬などなく10年以上経った今でも治療法、予防法は確立されていない。
ただ患者は年間に発症する者が両手で足りるほどで直ぐに隔離されて少なくとも半年は専用の施設で治療を受けるからか蔓延には至っていない。
だから【高効能水】を今、購入する者はいない。それによって財政が赤字に転落しているのだ。
以前に行っていた樽や桶の生産はもうとっくにやめている。入れ物はプラ容器にしたのだ。
――充分に成分をしみ込ませているので効果抜群--
だが、誰も買わない。
ライアル伯爵家はそうやって莫大な財産を築いたが、同時に樹齢何百年という木々があった山は全て木々を伐採し桶を作る材料として使ったため、木がなくなった山は次々に売り飛ばした。
今は植林すらされておらず土が剥き出しになっている。
そのうちの一つが先日崖崩れを起こした山である。子爵家が仕方なく買い取った理由は、山はなんだかんだで手を入れねば崩落を起こす事がある。
ライアル伯爵は【高効能水】をお得容量の樽。桶ではなく樽で3つ買ってくれるなら山もつけると子爵に言ったのだ。山は要らないと子爵は言ったが「なら水は売らない」と言われ山付きで買ったのだ。
はげた山は売り飛ばし管理の必要もなくなった。しかし肝心の【高効能水】は売れない。
所謂、【品のない成金】でもあるライアル伯爵家の内装は今でもそれだけで財産である。
全面金箔の部屋もあるし、格子天井の宗教画は教会にあるものよりも立派である。
通常に使っている馬車は国王陛下が乗る馬車よりも高価な仕様で、特別仕様になれば屋敷が幾つも買える。
ただ、間違ってはいけない。買う時は高価だが年数が経ち中古となった今、半額で買い取ってくれるかと言えば否である。そこまで豪華な馬車はどこも必要としないのだ。
夫人の散財も激しく、【珍しい】【一点もの】と言われれば誰よりも多く札束を積んで商人から宝石を買い漁った。半分以上はクズ石はガラス玉、そこそこでもキュービックジルコニアなのだ。
だが、所詮は成金。本物との見分け方など知らない。輝いている、大きい。それが夫人の基準だ。
それに輪をかけてメイサの散財である。
収入がもう12、13年ない状態で散財をしていれば、どんなに莫大な財産であろうと目減りする。
ベンジャーが憤慨をしている【1つ目の理由】は支払いの督促についてである。
仕事場に借金取りが来たと督促状を叩きつけた。
ヨハンのデビュタントを明日に控えてはいるが、ライアル伯爵家に支払える金はないのだ。
「金は何とかする。心配するな」
ライアル伯爵はそう言って夫人の部屋に行き、寝台で寝ている夫人をちらりと見て大量にある宝石箱の幾つかを使用人に渡し買取店に向かわせた。
持ち込んだ全ての宝石を売ってもベンジャーが叩きつけた督促状の額には及ばない。
結局使用人は屋敷に戻り報告する。
ライアル伯爵は今度は目覚めている夫人の【私のものよ!触らないで!】という声を背中に聞きながら全ての宝石箱を持ち出し売るように指示をした。
成金になりたての頃の宝飾品だけは高値で買い取って貰えたと札束の入ったカバンを抱えて使用人が戻ってきた。これで他の支払いも出来ると思ったが、執事に金の入ったカバンを「預かります」と押さえられてしまった。
10日後に使用人達への給料の支払い日が迫っていたからだった。
そして執事は言った。
「王宮からの返事は来ておりません」
ライアル伯爵はさらに肩を落とし、ベンジャーは激昂した。
この章は最終章となりますので第一章から第四章のインシュアの保険販売とは読んだ時の受け取り方(感じ方)が変わるかも知れません。
中間にあるライアル伯爵家日記に近いと思って頂いて構いません。
架空、創作の話です。現実世界と混同しないようご注意ください。
◇~◇~◇
ライアル伯爵家では当主のライアル伯爵とその実子であり息子であるベンジャーがまさに一触即発の状態で睨みあいを続けていた。
予期せぬ負傷で頭部を縫合する事になったライアル伯爵の抜糸を終えた医師と助手が2人を避ける様にして部屋から出て行くとベンジャーは父、ライアル伯爵の元にツカツカと歩み寄った。
原因は2つあった。
元々ライアル伯爵家はそんなに裕福な家ではなかった。没落寸前とまでは言わないが樽や桶などの何かを入れる容器を木材伐採から製品加工販売を生業としていたのである。
日用品の中で平民であったとしてもいくつかは必要になるし加工する時のツタを染色したりして若い子向けに販売が伸びた事もある。定期的に買い替えが必要だった商品なのでそれなりに最低限の需要はあった。
しかし金物の製品やガラス製品が安価で売られるようになってくると売り上げも落ち込んだ。そこに外国からプラ製品が持ち込まれ爆発的なヒット商品となった。日用品として桶や樽を買うものはさらに少なくなって多くの在庫を抱えた。
――爵位を返上して、田舎でのんびり暮らそうか――
強欲なライアル伯爵でもそう思った時期があった。
父から爵位は継いだしベンジャーという息子も生まれた。夫人は第二子をとせがむが経済的な困窮からこの上子供が増えればどうなるか。なので子供はベンジャー以外には作る気になれず1人病院に行き、パイプカットをしてもらったのだ。その事は今も夫人は知らない。
いよいよ腹を括る時が来た。
ライアル伯爵は帳簿を見て天を仰いだ。4カ月後の手形が落ちなければ商売はもうできない。
今ある財産をもって夜逃げを考えた。手形が不渡りになれば2回目である。債権者が押し寄せて来て爵位を返上した金くらいでは事が足らない。
しかし、夫人には言い出せなかった。幼いベンジャーとお手玉遊びをするのを見て悩む日々。
そんな時だった。流行病が国内を席巻したのだ。
突然高熱を出し、呼吸が出来なくなったものが続出した。
医者も最初はベンジャーの打撲程度でも往診に来てくれていたが手が回らないと来なくなった。
ある日、屋敷の前で見るからに発熱している平民の男が「水を飲ませてくれ」と言って来た。市井にある井戸の水で感染するとデマが広まっていて、貴族の飲む水なら安心だと言うのだ。
ライアル伯爵はどうせ沢山あるのだからと桶いっぱいに水を汲んで男に飲ませた。
数日水も飲めなかったと男は感謝し、1時間程すると自分の足で歩いていなくなった。
それを見ていた他の平民も水をくれと言った。
その平民も一目で発熱していると判る。早く立ち去って欲しくて男の飲んだ桶の残りを与えた。するとその平民も1時間ほどするとフラフラしていたのに少しマシな状態で歩いて何処かに居なくなった。
そこからである。
――ライアル伯爵家の水は病気が治る――
誰が言ったかは定かではないがそんな噂が広がり、屋敷の前は人の群れで溢れかえった
そしてライアル伯爵は【高効能水】を売り出したのだ。
水だけなら8万ベル。但しこの桶に浸透した成分がなければ効果が薄い。桶は2万ベル。
今まで500ベルで卸していた桶だが、これが飛ぶように売れた。
平民でも買えた解熱剤も手に入らなくなり、解熱剤の1回分は王宮で働く文官の2年の年収に匹敵する額にまで高騰していたのだ。それに比べればかなり安い。
在庫の桶や樽は腐るほどあるのだ。桶を抱えて水だけ売ってくれと言う者にはこう言った。
――もう成分は溶けだしているので、ただの水になるがそれで良いか――
客は水だけでは効果がないのなら意味がないと新しい桶も買うしかないのだ。
抱えて帰るのも辛い量だったが零れた水に人が群がるほどだった。
ライアル伯爵は桶を売り切った後は入れ物がなくては意味がない触れ込みだったので廃材を使って手のひらサイズのコップのような入れ物を作り販売を再開した。
全盛期は【高効能水】180ccを20万ベルで売っていた。
当時は発症すれば致死率80%と言われたのだ。
【罹患する前なら予防薬として。発症したら治療薬として。あなたの気持ちを穏かにする高効能水】
そんな触れ込みで毎日数十億を売りあげた。噂は噂を呼んでシャボーン国以外の国からも多くの商人が来て『あるだけ全部』と買い取っていった事もある。
学院に初等科から入って卒業し文官になった者の初任給が手取り13万ベルほどだった事からどれだけ高価な物だったかが伺い知れる。
そんな暴利のような金額でも飛ぶように売れたのだ。購入者の中には領地を売った金全てで購入した貴族もいるし、娘や息子を娼館に売って金を作った者もいる。
【高効能水】に効果があるか。それは誰にもわからない。
ただ一つ言えるのは、入れ物は確かに木材を利用ししっかり作られたものだが、水はライアル伯爵家にある池の水である。地下水が湧き出ていて水の色合いや匂いなどは少し離れた所にある湖と同じだった。
当然煮沸などしていない。沈殿物がある事もあったがライアル伯爵はこう言った。
――よく掻き混ぜて飲まないと意味がない――
流行病の特効薬などなく10年以上経った今でも治療法、予防法は確立されていない。
ただ患者は年間に発症する者が両手で足りるほどで直ぐに隔離されて少なくとも半年は専用の施設で治療を受けるからか蔓延には至っていない。
だから【高効能水】を今、購入する者はいない。それによって財政が赤字に転落しているのだ。
以前に行っていた樽や桶の生産はもうとっくにやめている。入れ物はプラ容器にしたのだ。
――充分に成分をしみ込ませているので効果抜群--
だが、誰も買わない。
ライアル伯爵家はそうやって莫大な財産を築いたが、同時に樹齢何百年という木々があった山は全て木々を伐採し桶を作る材料として使ったため、木がなくなった山は次々に売り飛ばした。
今は植林すらされておらず土が剥き出しになっている。
そのうちの一つが先日崖崩れを起こした山である。子爵家が仕方なく買い取った理由は、山はなんだかんだで手を入れねば崩落を起こす事がある。
ライアル伯爵は【高効能水】をお得容量の樽。桶ではなく樽で3つ買ってくれるなら山もつけると子爵に言ったのだ。山は要らないと子爵は言ったが「なら水は売らない」と言われ山付きで買ったのだ。
はげた山は売り飛ばし管理の必要もなくなった。しかし肝心の【高効能水】は売れない。
所謂、【品のない成金】でもあるライアル伯爵家の内装は今でもそれだけで財産である。
全面金箔の部屋もあるし、格子天井の宗教画は教会にあるものよりも立派である。
通常に使っている馬車は国王陛下が乗る馬車よりも高価な仕様で、特別仕様になれば屋敷が幾つも買える。
ただ、間違ってはいけない。買う時は高価だが年数が経ち中古となった今、半額で買い取ってくれるかと言えば否である。そこまで豪華な馬車はどこも必要としないのだ。
夫人の散財も激しく、【珍しい】【一点もの】と言われれば誰よりも多く札束を積んで商人から宝石を買い漁った。半分以上はクズ石はガラス玉、そこそこでもキュービックジルコニアなのだ。
だが、所詮は成金。本物との見分け方など知らない。輝いている、大きい。それが夫人の基準だ。
それに輪をかけてメイサの散財である。
収入がもう12、13年ない状態で散財をしていれば、どんなに莫大な財産であろうと目減りする。
ベンジャーが憤慨をしている【1つ目の理由】は支払いの督促についてである。
仕事場に借金取りが来たと督促状を叩きつけた。
ヨハンのデビュタントを明日に控えてはいるが、ライアル伯爵家に支払える金はないのだ。
「金は何とかする。心配するな」
ライアル伯爵はそう言って夫人の部屋に行き、寝台で寝ている夫人をちらりと見て大量にある宝石箱の幾つかを使用人に渡し買取店に向かわせた。
持ち込んだ全ての宝石を売ってもベンジャーが叩きつけた督促状の額には及ばない。
結局使用人は屋敷に戻り報告する。
ライアル伯爵は今度は目覚めている夫人の【私のものよ!触らないで!】という声を背中に聞きながら全ての宝石箱を持ち出し売るように指示をした。
成金になりたての頃の宝飾品だけは高値で買い取って貰えたと札束の入ったカバンを抱えて使用人が戻ってきた。これで他の支払いも出来ると思ったが、執事に金の入ったカバンを「預かります」と押さえられてしまった。
10日後に使用人達への給料の支払い日が迫っていたからだった。
そして執事は言った。
「王宮からの返事は来ておりません」
ライアル伯爵はさらに肩を落とし、ベンジャーは激昂した。
53
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
〈完結〉前世と今世、合わせて2度目の白い結婚ですもの。場馴れしておりますわ。
ごろごろみかん。
ファンタジー
「これは白い結婚だ」
夫となったばかりの彼がそう言った瞬間、私は前世の記憶を取り戻した──。
元華族の令嬢、高階花恋は前世で白い結婚を言い渡され、失意のうちに死んでしまった。それを、思い出したのだ。前世の記憶を持つ今のカレンは、強かだ。
"カーター家の出戻り娘カレンは、貴族でありながら離婚歴がある。よっぽど性格に難がある、厄介な女に違いない"
「……なーんて言われているのは知っているけど、もういいわ!だって、私のこれからの人生には関係ないもの」
白魔術師カレンとして、お仕事頑張って、愛猫とハッピーライフを楽しみます!
☆恋愛→ファンタジーに変更しました
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる