エンディングノート

環流 虹向

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BIRTHDAY

くるくる枯渇

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「じゃ、俺は帰りますね!」

そう言ってトマト煮が完成した直後、成くんは素早く帰って行った。

信之「食べる?」

明人「1回冷ましてから。」

信之「じゃあ、ベランダに置いて早めに冷まそうか。」

そう言ってお風呂に入ったあとからずっと私のことを体全部で抱きしめてくれていた信之はキッチンに行き、トマト煮をベランダの室外機の上に置くとすぐに私の元に戻ってきた。

信之「前も煮物を冷ましたことあったね。」

明人「うん。」

信之「ベッドで冷めるの待つ?」

…いつもだったら嬉しいのに。

今は背中から心臓にぶわって寂しいのが来ちゃう。

なんでだろ。

明人「うん。けど、後ろがいいな。」

信之「ぎゅーは?」

明人「また今度。ちょっと後ろ好きになったの。」

信之「そっか。じゃあそうしよ。」

今日はどうしても信之の顔を見て出来る状態じゃなくて、体の快楽の為だけに信之に体を委ねる。

ずっと求めてた体温が体中温めてくれるのにずっと寂しくて悲しいのはなんでなんだろ。

思考が止まらない私はずっと優しくしてくれる信之だけが気持ちよくなってもらおうと思い、顔を枕に埋めて信之とは違う気持ちで初めてその時を過ごしてしまった。

信之「…明人?寝た?」

私は今日の出来事が信之と一緒にいても耐えられなくて、枕に涙を押し付けたまま寝たフリを決め込む。

信之「お疲れ様。おやすみ。」

いつも通り信之は私にそっと優しく声と布団をかけるとベランダに置いていたトマト煮を取りに行った。

一緒に食べたかったけど、今日はもう無理っぽい。

信之は食べられれば満足って言ってたけど、それすら一緒に出来なかった。

ごめんね。

成くんが買ってきた材料にニンニクが入ってないから思ったよりいい味にならないんだ。
しかも、クリームもなかったからまろやかさも足りない。

あのトマト煮は完璧で信之に食べさせたかったのに、信之の口に入るのは完成されてないトマト煮。

なんでその時1番に食べてほしい人に食べてもらえないんだろう。

好きな人に喜んでもらおうと思っただけなのに、なんでいつも空回りしちゃうんだろう。

信之とごはんを食べる1食分の大切な時間がなくなっちゃった。

しかも嫌いな奴に嫌なことされてまで1日過ごしたのに、こんなのあんまりだよ。

…もう、だめ。

泣き過ぎて頭痛い。

私は気持ちが落ちきり泣きすぎた時にしてしまう10時間越えの爆睡をかまし、次の朝のMGRで食べるピカイチサンドの時間さえもなくなってしまったことに1人で泣き、信之の仕事納めの日を終えた。


…………

ごめんね、信之。

…………


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