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葎視点
Cocomo Orange
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披露宴は本当にすごかった。と言うか、楽しかった。曾祖母たちにも見せてあげられるように、会場の様子や二人の様子をデジカメにたくさん収めた。
お色直しは二回で、一回目は、デザインはウェディングドレスと同じなのに外側に付いていた透けていた布地は淡いクリーム色に変わり、二回目は和装だった。中は白無垢で、羽織っている袿は透けていて、上は透明なのに下に行くほど少しずつ色が濃くなるグラデーションになっていた。その色は、淡いブルー。
「うわっ! あれ、オーガンジーの袿?! 今、注目を集めてるのよね。いいなあ。私もオーガンジーの袿にしようかな」
と、隣にいた美作先輩が呟いた。
(へえ……あの袿、オーガンジーって言うんだ……)
と内心で思っていたんだけど、どうして淡いブルーなのかがわからなかったので、二人がテーブルに来た時にどうしてその色なのか、思いきって聞いてみた。
「これですか? 私の目の色、っていうのもありますが、泪さんの色に染まりましたって意味もあるんです」
「え?」
「泪さんの泪の字は、さんずいに目って書くんです。つまり、泪ですよね。泪って、こういう色にたとえられませんか?」
そう言って袿を持ってにっこり笑った圭は本当に幸せそうで、思わずその顔をデジカメに収める。隣にいる専務を見ると、照れているのか耳を真っ赤にしながらそっぽを向いていた。
「うぅ……くそう……圭に当てられた! 今度は私が当ててやるんだからね!」
「ふふ……楽しみにしてますね、真葵さん」
そう言って圭はテーブルを離れて行った。
そう言えば、袿って、その家に染まりましたって意味があったっけ……と思い出して、だからかと妙に納得してしまった。
***
二次会は夕方にやるからと言われていたので、一旦家に帰って写真を現像すると、曾祖母や祖父母たちに見せた。
「おお……幸せそうだな」
「それに、旦那さんは優しそう」
「うん、すごく幸せそうだったし、旦那さんも、仕事は切れ者なんて言われてるけど、圭に対しては優しそう見えたよ。それとね……圭に許してもらえた。多分、だけど」
「え?」
「詳しい話は今度するけど、圭に頬っぺたを二発ひっぱたかれた」
そう言うと、曾祖母と祖父はくくっと笑った。……僕にとっては笑い事じゃないんだけどね、と内心ガックリと項垂れる。
「ああ、その頬が赤いのはそういうことか」
「……うん。あと、今度、旦那さんを連れて会いに行くから、って言われたよ」
「……っ!」
圭の言葉に息を呑むと、三人は嬉しそうに微笑んだ。祖母は少し涙ぐんでいる。
「ひいばあちゃん、もうちょっと長生きしたら、そのうち玄孫も見れるかもね」
からかい半分でそう言うと
「お前に言われんでも、長生きするわ!」
と、そう言って笑った曾祖母も、少しだけ目が潤んでいた。
「じゃあ僕、二次会に行って来るね。ゆっくり写真を眺めてて」
と言って家を出た。
***
二次会の会場は専務の友人が経営しているレストラン兼バーを借りきってやる、と聞いていた。
地図を見ながらうろうろしていると
「羽多野、こっち!」
と声をかけられたので顔を上げると、秘書課の先輩が手を振っていたので、そっちに駆け寄る。
「遅かったな」
「写真を現像して祖父母たちと話をしてたら、出るのが遅くなってしまって」
「マジ? その写真持ってきたか?」
「持って来てないです。現像しただけで、まだアルバムにも入れてないんですよ?」
「だよな。ちゃんとアルバムに入れたら、会社に持って来いよ?」
「もちろんです」
先輩たちやいろんな人と他愛もない話をしながら、二次会も写真を撮ったりしていたら、オーナーや専務が圭に何か頼みこんでいた。なんだろうと思ったら、圭がバーテンの服に着替えて着て「Irish Back Fireでよかったよね」と言って、何と、カクテルを作り始めたのだ。
薄暗い室内に浮かぶのは、グラスに灯った、小さな火。それを専務に渡すと、今度は店内が明るくなり、落ち着いた曲から一転、ロックが流れ始めた。
「あれ……? これって、トム・クルーズが出てた『カクテル』って映画で流れてなかった?」
誰かがそう言った途端、圭はオーナーを睨んでから溜息をつくと、カウンターに乗っていたビンを徐に掴み、曲に合わせてそれを手のひらの上で回したり、ビンを投げたりしながら、カクテルを作りめた。
「嘘っ! 圭ってば、フレアバーテンディングができるの?!」
「あれ? お前ら、知らないのか?」
「知らないわ! というか、聞いてません! ……在沢室長、知ってましたね?!」
「そりゃあ、俺の娘だからな。まあ、俺も久しぶりに見たが」
(フレアバーテンディング、っていうのか)
今度その映画を見て見ようと思いつつも圭が動き始めてからすぐにデジカメをムービーモードに変え、その様子を撮りながら、室長たちの話に耳を傾けた。
ビン自体をくるくる回しながら上に放り投げては回っているビンを反対の手でキャッチしたり、圭自身が一回したかと思うと、それを受け止めたり、背中に手を回したかと思うとその姿勢のまま投げたビンをキャッチしたり。
曲に合わせて皆が拍手をする中、圭はそんなことをしながら、どんどんカクテルを作って行く。最後は、ビンを放り投げたあとでお辞儀をし、手を伸ばした先にビンが吸い込まれるように落ちて来たのには驚いたけど。
拍手を贈ったあと、ムービーモードをまたカメラモードに変え、電池残量の確認や写真の確認をしていると、圭が寄って来てそれを覗き込んできた。
「葎」
「圭、どうしたの?」
「披露宴の時もそうだったけど、さっきも写真、いっぱい撮ってたよね?」
「うん」
周りに誰もいないせいか、圭は僕のことを『葎』と呼んだので、僕も『圭』と呼んだ。それでも、お互い小さい声で、だったけれど。
「控え室で撮ったのだけでいいんだけど、あの写真、分けてくれないかな……?」
「え?」
圭がこんなことを言うなんて珍しい。結婚式なら、写真を撮ったはずなのに。
「ツーショットの写真、撮らなかったの?」
「撮ったけど碎けた感じのじゃないし、今、ちょっと覗いた写真、すごく綺麗に撮れてたから……。だめ、かな……?」
遠慮がちに言う圭の顔は、申し訳なさそうな顔で。いつも遠慮する圭。そして僕は、圭からもらってばかり。
「いいよ。SDカードをコピーしてあげるよ」
「え?! そんなにたくさんはいらないよ! あの写真だけで……!」
「遠慮しないでよ。SDカードのコピーくらい簡単にできるし、圭の思い出がたくさん詰まってるんだから、SDカードをコピーすれば、いつでも見られるでしょ? ……今の僕にはそれくらいしかできないけどさ」
コピーしたら連絡するよ、と言って圭に笑顔を返す。
「ごめんね。……ありがとう」
そう言った圭は、とても嬉しそうで、それでいて泣き笑いの顔をしていた。
お色直しは二回で、一回目は、デザインはウェディングドレスと同じなのに外側に付いていた透けていた布地は淡いクリーム色に変わり、二回目は和装だった。中は白無垢で、羽織っている袿は透けていて、上は透明なのに下に行くほど少しずつ色が濃くなるグラデーションになっていた。その色は、淡いブルー。
「うわっ! あれ、オーガンジーの袿?! 今、注目を集めてるのよね。いいなあ。私もオーガンジーの袿にしようかな」
と、隣にいた美作先輩が呟いた。
(へえ……あの袿、オーガンジーって言うんだ……)
と内心で思っていたんだけど、どうして淡いブルーなのかがわからなかったので、二人がテーブルに来た時にどうしてその色なのか、思いきって聞いてみた。
「これですか? 私の目の色、っていうのもありますが、泪さんの色に染まりましたって意味もあるんです」
「え?」
「泪さんの泪の字は、さんずいに目って書くんです。つまり、泪ですよね。泪って、こういう色にたとえられませんか?」
そう言って袿を持ってにっこり笑った圭は本当に幸せそうで、思わずその顔をデジカメに収める。隣にいる専務を見ると、照れているのか耳を真っ赤にしながらそっぽを向いていた。
「うぅ……くそう……圭に当てられた! 今度は私が当ててやるんだからね!」
「ふふ……楽しみにしてますね、真葵さん」
そう言って圭はテーブルを離れて行った。
そう言えば、袿って、その家に染まりましたって意味があったっけ……と思い出して、だからかと妙に納得してしまった。
***
二次会は夕方にやるからと言われていたので、一旦家に帰って写真を現像すると、曾祖母や祖父母たちに見せた。
「おお……幸せそうだな」
「それに、旦那さんは優しそう」
「うん、すごく幸せそうだったし、旦那さんも、仕事は切れ者なんて言われてるけど、圭に対しては優しそう見えたよ。それとね……圭に許してもらえた。多分、だけど」
「え?」
「詳しい話は今度するけど、圭に頬っぺたを二発ひっぱたかれた」
そう言うと、曾祖母と祖父はくくっと笑った。……僕にとっては笑い事じゃないんだけどね、と内心ガックリと項垂れる。
「ああ、その頬が赤いのはそういうことか」
「……うん。あと、今度、旦那さんを連れて会いに行くから、って言われたよ」
「……っ!」
圭の言葉に息を呑むと、三人は嬉しそうに微笑んだ。祖母は少し涙ぐんでいる。
「ひいばあちゃん、もうちょっと長生きしたら、そのうち玄孫も見れるかもね」
からかい半分でそう言うと
「お前に言われんでも、長生きするわ!」
と、そう言って笑った曾祖母も、少しだけ目が潤んでいた。
「じゃあ僕、二次会に行って来るね。ゆっくり写真を眺めてて」
と言って家を出た。
***
二次会の会場は専務の友人が経営しているレストラン兼バーを借りきってやる、と聞いていた。
地図を見ながらうろうろしていると
「羽多野、こっち!」
と声をかけられたので顔を上げると、秘書課の先輩が手を振っていたので、そっちに駆け寄る。
「遅かったな」
「写真を現像して祖父母たちと話をしてたら、出るのが遅くなってしまって」
「マジ? その写真持ってきたか?」
「持って来てないです。現像しただけで、まだアルバムにも入れてないんですよ?」
「だよな。ちゃんとアルバムに入れたら、会社に持って来いよ?」
「もちろんです」
先輩たちやいろんな人と他愛もない話をしながら、二次会も写真を撮ったりしていたら、オーナーや専務が圭に何か頼みこんでいた。なんだろうと思ったら、圭がバーテンの服に着替えて着て「Irish Back Fireでよかったよね」と言って、何と、カクテルを作り始めたのだ。
薄暗い室内に浮かぶのは、グラスに灯った、小さな火。それを専務に渡すと、今度は店内が明るくなり、落ち着いた曲から一転、ロックが流れ始めた。
「あれ……? これって、トム・クルーズが出てた『カクテル』って映画で流れてなかった?」
誰かがそう言った途端、圭はオーナーを睨んでから溜息をつくと、カウンターに乗っていたビンを徐に掴み、曲に合わせてそれを手のひらの上で回したり、ビンを投げたりしながら、カクテルを作りめた。
「嘘っ! 圭ってば、フレアバーテンディングができるの?!」
「あれ? お前ら、知らないのか?」
「知らないわ! というか、聞いてません! ……在沢室長、知ってましたね?!」
「そりゃあ、俺の娘だからな。まあ、俺も久しぶりに見たが」
(フレアバーテンディング、っていうのか)
今度その映画を見て見ようと思いつつも圭が動き始めてからすぐにデジカメをムービーモードに変え、その様子を撮りながら、室長たちの話に耳を傾けた。
ビン自体をくるくる回しながら上に放り投げては回っているビンを反対の手でキャッチしたり、圭自身が一回したかと思うと、それを受け止めたり、背中に手を回したかと思うとその姿勢のまま投げたビンをキャッチしたり。
曲に合わせて皆が拍手をする中、圭はそんなことをしながら、どんどんカクテルを作って行く。最後は、ビンを放り投げたあとでお辞儀をし、手を伸ばした先にビンが吸い込まれるように落ちて来たのには驚いたけど。
拍手を贈ったあと、ムービーモードをまたカメラモードに変え、電池残量の確認や写真の確認をしていると、圭が寄って来てそれを覗き込んできた。
「葎」
「圭、どうしたの?」
「披露宴の時もそうだったけど、さっきも写真、いっぱい撮ってたよね?」
「うん」
周りに誰もいないせいか、圭は僕のことを『葎』と呼んだので、僕も『圭』と呼んだ。それでも、お互い小さい声で、だったけれど。
「控え室で撮ったのだけでいいんだけど、あの写真、分けてくれないかな……?」
「え?」
圭がこんなことを言うなんて珍しい。結婚式なら、写真を撮ったはずなのに。
「ツーショットの写真、撮らなかったの?」
「撮ったけど碎けた感じのじゃないし、今、ちょっと覗いた写真、すごく綺麗に撮れてたから……。だめ、かな……?」
遠慮がちに言う圭の顔は、申し訳なさそうな顔で。いつも遠慮する圭。そして僕は、圭からもらってばかり。
「いいよ。SDカードをコピーしてあげるよ」
「え?! そんなにたくさんはいらないよ! あの写真だけで……!」
「遠慮しないでよ。SDカードのコピーくらい簡単にできるし、圭の思い出がたくさん詰まってるんだから、SDカードをコピーすれば、いつでも見られるでしょ? ……今の僕にはそれくらいしかできないけどさ」
コピーしたら連絡するよ、と言って圭に笑顔を返す。
「ごめんね。……ありがとう」
そう言った圭は、とても嬉しそうで、それでいて泣き笑いの顔をしていた。
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